栄養士会柏崎支部 会員研修会
11月2日(火)栄養士会柏崎支部の会員研修会に参加しました。以下はその内容です。
◆活動報告「柏刈栄養サポート」
<柏刈栄養サポートとは>
●高齢者が可能な限り住み慣れた地域で最期まで自分らしく暮らせるよう、地域が包括的な支援やサービスを提供する体制(地域包括ケアシステム)における、栄養・食生活支援を担う活動。
●新潟県栄養士会柏崎支部が実施主体となり、医師会(在宅医療推進センター)、柏崎保健所と協力して、通院中の食事指導や在宅療養中の家での食事作りを支援する。
●主治医(開業医が対象。総合病院、国保診療所は含まない)と管理栄養士が雇用契約を結び、実施後に報酬が支払われる。(訪問3回まで)
●ケアマネージャーと連携して訪問、医師の指示に基づきスクリーニング・アセスメントを実施し、栄養指導・食事作り支援を行う。
●対象となる疾患⇒腎臓病食、肝臓病食、糖尿病食、胃潰瘍食、貧血食、脂質異常症食、通風食、心臓疾患などに対する減塩食、特別な検査食(流動食・軟食は除く)、十二指腸潰瘍食、クローン病及び潰瘍性大腸炎による腸管機能低下に対する低残渣食、高度肥満に対する治療食、高血圧に対する減塩食
●医療保険⇒フェニルケトン尿症、楓糖尿病食、ホモシスチジン尿症食、ガラクトース血症食、治療乳、無菌食、がん、接触機能もしくは嚥下機能低下、低栄養状態
●介護保険⇒経管栄養のための流動食、嚥下困難者のための流動食、低栄養食
<対応事例紹介(令和元年度)>
・80代女性。独居。
・認知症、糖尿病、脂質異常症、脳梗塞などを患う。
・血糖コントロール不全のため数値が変動。
・「本人が理解できる伝え方」で血糖管理できるようにしてほしい、との依頼あり。
・ご家族(別居)の協力が難しいケース。
・主治医、薬剤師会、ケアマネージャー(ケアマネ)と連携。
・訪問は3回
①買い物状況や生活パターンを把握。
②フードモデルなど媒体を用いて栄養指導。主食の量や食べる順番についても伝える。
③正月が近く「お餅」をどれだけ食べてよいか指導。
デイサービス 週1回・食事なし・リハビリのみ⇒週2回・食事付き に変えていただく。
*訪問終了後もケアマネを通して服薬、食事管理など確認。
<成果と課題>
●どのような食べ方をすると血糖値が上がるか理解できるようになった。
(家族も含めて意識付けできた)
●多職種連携を進めることができた。
●認知症の方の栄養指導の難しさを実感。
◆講話「柏崎市の健診結果の現状と課題」
●令和元年度の柏崎市健診結果「有所見」の割合
・HbA1c 8割
・LDL 5割
・収縮期血圧 4割
・腹囲 男性5割・女性2割
・中性脂肪 3割
●総医療費の約半分は生活習慣病(47%)
⇒健診受診率を上げ病気の危険因子を早い段階で見つけ、生活習慣病を早めに防ぐことが重要
●肥満者の割合 青壮年期に増加(男性40代~、女性50代~)
●柏崎市第2次健康増進計画 健康みらい21
重点課題「青壮年期への働きかけの強化」「糖尿病予防に向けた取組」
●柏崎市第3次食育推進計画
重点課題「望ましい生活習慣の推進」
・生活リズム
・早寝・早起き・朝ごはん
・適正体重の維持
*遅い夕食⇒朝食の欠食⇒肥満(朝食欠食者3割)
<各年代への働きかけ>
●乳幼児期
・母子健診、学級
・子どもの栄養相談会(個別相談)
・甘未飲料講座(保育園)など
●学童・思春期
・小児生活習慣病健診結果説明会
・甘未飲料講座(小学生親子)
・食育授業
・大学での啓発活動 など
●青壮年期
・出産前のパパママセミナー(主食・主菜・副菜や朝昼夕食のバランス等)
・特定保健指導
・検診結果説明会
・からだすっきり講座(事業所向け)
・糖尿病予防教室
・糖尿病相談会
・栄養相談会など
●高齢期
・フレイル予防の栄養講話など
「さ(魚)あ(油)に(肉)ぎ(牛乳)や(野菜)か(海藻)に、い(芋)た(卵)だ(大豆製品)く(果物)」
◆各職域の活動報告
【公衆衛生】
・行政栄養士の主な仕事は健康増進法など「法」に基づく県民の健康・幸せづくり
・地域住民に対する直接的な啓発は市町村栄養士が担当
・特定給食施設の指導や健康・栄養に関する実態調査を担う
・健康にいがた21の新たな展開「健康立県にいがた」
・「にいがた けんこうtime」
1日15分を健康のために使う⇒健康寿命の延伸
・「職場の元気応援隊」
働き世代のがん検診を推奨、健康相談など
・高校生に対する食育など
【学校健康】
●学校給食における新型コロナウイルス感染症対策
<配膳>
・広いスペースで配膳台を2台つなげて、人と人との距離をとれるよう工夫
・テープを貼り、人との間隔をあけて給食の配膳を行えるよう工夫
<食事中>
・人数が多いクラスは教室で食べる時の人数を半分に
・机と机の距離をあけて食べる
・休職中は喋らないことを徹底
・教室の窓と扉は開けっ放し
・「いただきます」までマスクを外さない
・前を向いたまま食べる
●地場産給食デー
・毎月19日は「食育の日」
・年1回、11/19は「地場産給食デー」
【福祉】
●にしかりの里の「自立支援介護」紹介
・ADL向上による認知症消失をめざす
・水分を食事以外に1日1500ml摂取
・常食をすすめる
・自然排便
・自力歩行を援助
<具体的な取り組み>
・職員研修(コロナ禍ではオンラインで実施)により趣旨を共有
・事例検討発表会を定期的に行う
・尿量・排便量をチェックし科学的根拠に基づいて実施
・水分1500ml摂取のためにはフルーツティー、ミルクティーなど飲料のフレーバーに変化をもたせたり、ゼリーを取り入れる
・排便がスムーズではない人には食物繊維、オリゴ糖、ビフィズス菌なども導入(下剤を使わない)
<成果>
・日中の覚醒度が上がり活動量が増える
・夜間は深い睡眠(途中で起きない)
・自然排便により不穏状態が減る
・口腔機能が向上し、食事形態の変更(ミキサー食→常食)が増加
・肺炎になる人が減った
・おむつから布パンツへの移行
・外出・外食を楽しめるようになった人もいる
⇒QOLの向上につながっている
【病院】
●厚生病院の業務紹介
・360食(精神科300床、内科60床)を同一厨房で調理(直営)
・管理栄養士4名、調理員19名 合計23名
・精神科の入院は長期(平均7年)のため「飽きない献立」を心掛ける
・栄養管理100人/管理栄養士1名 月3回、同じ人に対する栄養指導が多い
・精神科患者への栄養指導は難しい
・人員不足
(昨年調理員が大勢退職し、管理栄養士も調理業務を行った。その後数名の補充があり現在は落ち着いている)
・嚥下ピラミッドの活用に取り組む
(病院・施設により異なる食事形態を嚥下レベルごとに当てはめる。病院~施設への移動時に同じ嚥下状態の食事提供が可能になる)
【地域活動】
・フリーランス活動なので個々で受ける仕事は異なる
・家庭で家事・育児などを担いながら働くケースも多い
・栄養士会として受けた仕事を地域活動所属栄養士に振り分けることもある
<仕事例>
・開業医の栄養指導
・JA米ふれあいスクール講師
・栄養ケアステーション講演
・共同調理場委員
・文化生涯学習課の委員
・在宅医療・栄養推進員など
◆グループワーク
私達の班は「学校における子ども達の健康課題をどう解決するか?」をテーマに意見交換を行いました。
●学校給食をとりまく現状
・新型コロナウイルス感染症対策のため給食スタイルが変わっている。
・学校現場では教員に多くのことが課せられ、忙しくて食育に力を入れられない。
●肥満や糖尿病など病院指導を受けた子ども達にどう関わる?
・食育=生活。特に家庭生活と密接にかかわる。
・家族の理解と協力が食生活の見直し、生活改善に必要
・栄養指導によって変わる人は「素直な人」「家族が協力的な人」
・課題を持つ人との関わりは多職種連携で⇒様々な角度からの支援が効果につながる
・子ども達が病院で受けた指導の資料(紙媒体)を見せてもらい、統一した見解で指導してはどうか
・虫歯の子には肥満が多いとのデータもある
・栄養士はとかく「ごはん1杯は何グラム」という指導になりやすいが、日頃から飲んでいる飲料など、食生活全般に注意を払うべき
●まとめ
「子ども達の食に関する課題は、一生をかけての課題。適切な生活リズム、正しい食習慣を身に着けられるよう、何度でも働きかけましょう」
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様々な職場・領域で頑張っている同職種の皆さんの活動を知り、様々な意見を聞くことができて、とても有意義な時間でした。
現場を離れて2年近くになりますが、管理栄養士としてのスキルを磨き続けられるよう、地道に勉強していこうと思います。
関係者の皆様、ありがとうございました。
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