松川るい先生ご講演「日本のあるべき外交・安全保障」
1月19日、自由民主党・党本部にて令和5年女性局幹事会に新潟県連副局長の立場で出席しました。
2月25日に行われる全国女性局長・代表者会議に提出する活動方針案等の協議が主な内容であり、総じて女性議員(候補)を応援し、増やしていこうというものでした。
後半は参議院議員・外交部会長代理の松川るい女性局長による講演
「日本のあるべき外交・安全保障」を聴講しました。以下はその内容メモです。
ウクライナ・ロシア情勢の影響を受け、エネルギー価格や食料価格の上昇が国民の生活を圧迫している。
現在の世界情勢は米中が対立。習近平主席は5年前の共産党大会演説で、2040年までに世界の覇権国になることを目指すことを表明。アメリカの最大のライバル国は中国となった。
少し前までは自由貿易が当たり前、お金を出せば何でも手に入った。しかしウクライナ情勢以降、輸出入にも国家間の関係性が影響する。
このような世界の現実を見れば、自分の国を守るのは当たり前であり、外交も防衛も全ては国益を優先すべきものである。
外交とは国益のためにより良い環境・ポジションを築くためのものであり、国際社会において有利な枠組み、つまりは仲間をつくることが重要となる。
仲間や友達は優秀な方がよい。日本にとって(ドラえもんの)ジャイアンはアメリカだが、「ポチ」であってはいけない。極力、対等の関係性を目指すべき。
人間関係と国家間の関係の違いは、地理と歴史は変えられないということ。良いことも悪いことも互いに覚えている。
中国は日本の最大の貿易相手国であり、日本と中国との関係は、米中対立とは分けて考えなければならない。
「台湾有事」(中国による台湾への軍事侵攻)はいつ起こるかわからない。なぜ台湾を守ることが日本にとって重要なのかは、位置関係を見れば明白。
レッドラインがどこなのか理解しないと不要な衝突が生まれる。対立する相手ほど意思疎通は必要。国益を守る為には難しい相手とも付き合わなければならない。
日本はこれまで東アジアの発展途上国と友好関係を築いてきた。その関係性は「魚をあげる」のではなく、「魚の捕り方を教える」というもの。
故・安倍総理はインドとの友好関係構築にも尽力してきた。インドはいわば帝国。
帝国には広大な領土・人口・経済力・軍事力の4要素があり、ソフトパワーが国力に影響する(その意味ではロシアは人口が少なく帝国ではない)。
インドはレベルが高く、仲間となるため他国とは異なる関わり方をしてきた。
アフリカ諸島も同様である。
世界の国々を帝国・発展途上国・中間国に分けた場合、中間国(アフリカ諸島、太平洋諸島など)は国連の票田でもあり、友好関係を築くことは日本の国益にかなう。
防衛は外交と車の両輪。仲良くしていくことができないなら、こちらにも考えがあると示すことで、舐めてはいけない=侵略できないと思わせる。つまり抑止力を持つことが国を守ることにつながる。
昨年末、日本の安保3文書(国家安全保障戦略、国家防衛戦略、防衛力整備計画)の大改定が行われたことは歴史的な前進。これまでの防衛上の穴をすべて塞ぐ内容となっている。
防衛上必要な能力・人員・装備品を確保する内容だが、予算を確保し実施できるかが課題。
(増税論の理由となっている)
内容のポイントのひとつは「反撃能力」つまり長射程ミサイルの保有である。長射程ミサイルは1000㎞先を攻撃する能力を持つが、世界各国のうち日本だけは保有していない。
憲法9条第2項の解釈変更で対応しきれない現実がある。
かつて日本は専守防衛=自分の身は守っても相手を攻撃するのはアメリカ頼みだったが、もはやアメリカにその意思はない。
日本が自ら反撃能力を持つことが抑止力=相手に攻撃させない力となる。
もうひとつは継戦能力。本当の戦争はミサイル一発ではすまないことはウクライナ情勢を見れば明白。弾薬が尽きないよう防衛産業を維持する必要があるが、そのためには、日本国内だけではなく、信頼できるパートナー国と取引できるようにしなければならない。民間の技術力を活用して抑止力につなげるべき。(ちなみに民間技術の活用・発展を妨害してきたのが日本学術会議)
日本が国際紛争に巻き込まれた場合、戦うのは自衛官。彼らが安心して戦える環境整備を急ぐ必要がある。
台湾がもし中国に侵攻されたら、日本も巻き込まれる。これまでは北海道の部隊を移動させる計画だったが、北海道防衛も注力させなければならず、南西に力を割けない。
日韓関係は改善に向かっている。伊(ユン)政権は慰安婦問題の解決策を提示してきた。日米韓の連携が狙い。
台湾有事は中東から石油を運ぶシーレーンの危機=韓国にとっても危機。
韓国も台湾有事を起こさせないためのパートナーとして捉え、連携を強める。
韓国の方が日本よりも防衛力が高い。
台湾はなぜ大切か。その地理的な要素に加え半導体の輸出国としても重要。
日本は半導体技術を過去に手放し、生産能力がなく輸入頼み。
台湾の半導体が誰かの手に渡ったら?日本は経済安全保障の上でも危機的な状況に陥る。
中国を敵と見なしてはならないが、同時に見誤ってもならない。
今後は食糧、エネルギー、レアアースなども争奪戦となる。岸田首相がオーストリアに外遊したのもレアアース確保のため。
日本は良い国。生産性、世界への貢献度も高い。国益を守るためにも、世界の一員としてのポジションを上げる。それが日本のあるべき外交・安全保障の姿である。
質疑応答の時間には「防衛費の確保」に関して
・新型コロナウイルスを5類にするのは、コロナ対策費を削減する意味もある
・特命委員会にて防衛費確保の協議を進めている
・国民の有志による寄付を受け付けられるよう基金も検討
とのお話しもありました。
私も「ウクライナ情勢の見通しと台湾有事のタイミング」について質問させていただき、あくまでも松川先生の私見として、以下のようにお答えいただきました。
・ウクライナには現在、西側諸国が武器を供与しているため、戦争を継続できているが、ロシアは予備役も含めて兵員数が多く、簡単にはあきらめない。しかし停戦の努力はすべき。ウクライナが100%満足のいく停戦にはならないかもしれないが、少なくともロシアが軍事侵攻はマイナスだったと思えるような次善策、例えば朝鮮半島のように停戦ラインを定めることなども検討すべきだと思う。
・台湾有事とウクライナ侵攻は無関係であり、中国の意思決定にロシアは影響しない。しかし10年後には中国も変わることから、10年かけて有事を抑えることが必要。
また、「防衛費確保のための増税は統一地方選の公認候補に不利。タイミングを考慮してもらいたい。」との声もあれば、「女性議員であっても外交や防衛の問題を説明でき、沖縄のミサイル配備の必要性を堂々と訴えられるよう、勉強会を開いてほしい」といった声もありました。
非常に有意義なご講演であり、松川るい先生の毅然とした姿勢にも感銘を受けました。
先行き不透明な世界情勢だからこそ、冷静に現実を受け止めながら、世界の中の日本、日本の中の新潟県、新潟県の中の柏崎市 という視点を持って、理解や判断していくことが大切だと感じました。
また日本ではまだまだ政治分野への女性参画が少ない状況です。
「女性議員が変われば社会が変わる」とも言われますが、政治を身近なものとして、住民の皆さんと同じ目線で考え、社会をより良いものに変えていくことが期待されているのだと感じます。
自分を振り返れば反省しかありませんが、そういう存在に近付けるよう、努力し続けようと思います。
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終了後は久しぶりに靖国神社を参拝しました。
かつて日本を守るために戦い、散っていかれた英霊の御霊に恥じないよう、気持ち新たに頑張りたいと思います。
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