令和7年12月一般質問2「食物アレルギー対応から見る子どもを取り巻く環境の充実」
令和7年12月10日に行った一般質問の続きです。
次の質問2 食物アレルギー対応から見る子どもを取り巻く環境の充実 に移ります。
(1)食物アレルギー対応の実効性確保と支援体制の強化では、まず柏崎市立の小中学校・保育園における対応の実効性と職員支援について伺います。
食物アレルギーとは、免疫が特定の食べ物を誤って敵と認識し、過剰に反応してしまう状態です。特に乳幼児期から学童期に多い即時型アレルギーでは、食後数分から30分ほどでじんましんやかゆみ、呼吸困難、血圧低下、意識の低下などの症状が現れます。症状が全身に広がればアナフィラキシーとなり、命に危険が及びます。
その進行を食い止め、救急につなぐ応急処置が自己注射薬エピペンですが、使用が遅れれば急速に重症化し、後遺症を残すことや、まれに命を落とすこともあります。子どもの多くが集団の場で生活する中、食物アレルギーは重大な安全課題であり、周囲の大人が危険を未然に防ぎ、子どもの命を守るための配慮と責任が求められています。
国では学校や保育現場向けのガイドラインを示し、各自治体がマニュアルを整備していますが、それでも全国では事故が後を絶たず、近年では上越市の小学校や認定こども園でも連続して事故が発生しています。
柏崎市に目を向けると、今年度、食物アレルギーへの配慮を必要とする小中学生は4,792人中117人で、率にして2.44%、そのうち31人がエピペンを所有し、原因食品は20品目以上に上っています。なお、通常給食を食べたり、お弁当を持ってきたりして対応している食物アレルギーを持つ児童生徒も80人以上いると伺っています。一方、市立保育園では594人中26人、4.4%の園児が日常的な管理の対象となっています。
市立小中学校および保育園では、国・県の指針に基づいた詳細な対応マニュアルが整備され、個別の配慮や緊急時の対応まで丁寧にまとめられていることを確認しています。しかし、学校や保育の現場は日々多忙を極めており、マニュアルが細かく厳密になるほど、実際の運用に漏れが生じたり、職員に過度な負担や緊張がかかったりする側面もあります。
特に誤食防止や緊急対応には高度な知識と細心の注意が求められることから、マニュアルを確実に実行し、子どもの安全を守りながらも職員の負担を軽減できる仕組みや、組織的な支援体制の強化が重要だと考えます。
そこで質問いたします。
市立小中学校および市立保育園における食物アレルギー対応マニュアルの遵守状況および現場職員の負担軽減に向けた研修・支援体制の現状と課題についてお聞かせください。
【子ども未来部長】
市立学校・保育園における対応の実効性と職員支援につきまして、お答えいたします。
まず、食物アレルギー対応マニュアルの遵守についてです。小中学校におきましては、学校ごとに研修・訓練を定期的に行い、マニュアルの理解と、いざという時の備えを進めております。保育園では給食提供時に保育士と調理員がマニュアルに沿った確認方法を徹底しており、その対応については保育監が職員とともに実際に園を巡回して確認を行っております。
また、アナフィラキシーショックへの対応としてエピペン注射を使用することに不安の声もあることから、現在、教育委員会と保育課が連携し、学校・保育園などの職員を対象に、医師の実演を交えた研修を行い、マニュアルの遵守に努めているところでございます。
次に、職員支援についてです。現場で対応にあたる職員が大きな責任を担っていることから、過度な負担とならないよう、マニュアルにより職員の役割を明確にするとともに、組織的な対応を行うことで負担の軽減を図っております。
食物アレルギー対応につきましては、アレルゲンが多岐にわたり個人差もあること、また研究が日々進展していることに鑑み、マニュアルの改定や継続した研修会の実施を通じて、現場で対応する職員や関係機関との連携をより一層強化して取り組んでまいりたいと考えております。
【近藤】
今ほどご答弁の中で、マニュアル遵守状況と職員支援について伺いました。この職員の中に、特に学校給食を担う栄養士の方々は含まれているのでしょうか。
実際に学校栄養職員や栄養教諭の方々は、給食管理や食育指導など多岐にわたる業務を担う中で、食物アレルギー対応マニュアルの整備が進むほど対応の重さや確認作業が増え、負担感が大きくなっていると伺っています。また、いつ食物アレルギー事故が起こってもおかしくないような、ギリギリの状況が生じているというお話も伺っています。
教育現場では教員の働き方改革や負担軽減に向けた取り組みが進められていると承知していますが、栄養教諭や学校栄養職員の負担軽減についてはどのようにお考えでしょうか。再質問させていただきます。
【教育長】
それでは、近藤議員からの、食物アレルギー、特にエピペン対応等について、栄養教諭等に過剰な負担がかかっていないかというご質問にお答えいたします。
各学校においては、エピペンを所有するような、重症化しやすいお子さんがいらっしゃる場合、年度初め、原則として学校が始まる前に、かかりつけ医から直接来校いただく、あるいはオンライン等を通じて、管理職、担任、養護教諭、栄養職員を含む全職員を対象とした研修会を必ず行うことになっております。
食物アレルギーへの対応については、子どもたちをお預かりする以上、それ相応の責任をもってあたる必要があると考えております。柏崎市内の職員も、そうした意識で臨んでいるものと考えています。なお、取り扱い等については、しっかりとしたマニュアルにより、学級担任や管理職、養護教諭が不在であっても対応できるよう、役割分担を明確にし、組織として対応できるようにしております。
【近藤】
今ほど、学校の中では負担を特定の職員に集中させることなく、むしろ共有しながら対応しているとのことでした。学校栄養職員や栄養教諭も、子どもを取り巻く環境を支える重要な一員ですので、現場の声にも耳を傾けながら、マニュアル遵守に向けた適切な支援を引き続きお願いいたします。
次に、私立幼児教育・保育施設などにおける対応と市の支援のあり方について伺います。
公立の学校や保育園では、発症予防や緊急対応に関するマニュアルが整備され、研修も行われていますが、私立の保育園、ファミリーサポートセンター、放課後児童クラブ、放課後等デイサービスなど、学校外の場では対応のばらつきが生じやすい状況があるのではないかと危惧しています。
また、次年度からは「こども誰でも通園制度」が本格実施されますが、制度の特性上、初回利用や短時間・不定期利用による情報共有の難しさ、アレルギー除去食や代替食の提供に即応するのが難しいといった課題もあるのではないかと懸念しています。
食物アレルギーは発生場所にかかわらず、未然防止策と発症後の適切な初期対応が不可欠です。そのため、市としても学校・公立保育園で蓄積された知見を他の機関と共有し、子どもを守る仕組みを構築することが必要と考えます。
そこで質問いたします。
私立の幼児教育・保育施設、放課後児童クラブ、放課後等デイサービス、ファミリーサポートセンター、また次年度からの「こども誰でも通園制度」における食物アレルギー対応の状況と、市としての関わりについてお聞かせください。
【子ども未来部長】
私立の幼児教育・保育施設における対応と市の支援のあり方につきまして、お答えいたします。
まず、私立保育園においては、公立保育園と同様に食物アレルギー対応マニュアルを整備し、これに基づき対応を行っております。認定こども園・幼稚園につきましては、園が業務委託している民間業者の作業マニュアルに沿って適切に管理されており、市としても国の通知に基づき最新の関連情報を周知するとともに、必要時には個別相談への対応を行っているところでございます。
また、「こども誰でも通園制度」については、一時預かりと同様の対応を行っており、アレルギーのあるお子さんにつきましては、弁当・飲み物およびおやつの持参をお願いしております。
放課後児童クラブ、放課後等デイサービス、ファミリーサポートセンターにおきましては、利用契約時に保護者から食物アレルギーの有無を確認し、必要な対応については事業者間で協議を行っております。各施設では、それぞれのマニュアルに基づき、おやつの提供時や、一部の放課後等デイサービスでは食事の配膳時に対象者を明確に区分する工夫を行うなど、誤食がないよう細心の注意を払っております。
これに加え、市としても定期的に食物アレルギーに関する研修会を開催し、多くの関係者から参加いただくことで事故防止に努めております。今後も、安全・安心な食事が提供できるよう、引き続き子育て関連施設の実態把握に努め、切れ目なく子どもを守る体制を整えてまいります。
【近藤】
承知いたしました。引き続き、切れ目のない子どもを守る取り組みをお願いいたします。
さて、食物アレルギーに対応した取り組みは、安全面の確保にとどまらず、多様な子どもが排除されることなく学びに参加できる、いわゆるインクルーシブ教育の推進という観点からも重要だと思います。また、子ども自身が自らの体質やアレルギー原因食品を理解し、必要な場面で適切に行動できる力を育むことは、将来の自立にもつながる大切な教育的視点であると考えます。
そこで、(2)食物アレルギー対応を通して育む子どもたちの心の成長について伺います。
食物アレルギーが子どもの集団生活に与える影響として、行事や外食・交流の制限からくる疎外感や孤立感、いじめ・からかい、不安や恐怖、自己肯定感の低下などが、さまざまな調査研究で報告されています。こうした見えにくい困りごとを抱える児童の存在は、食物アレルギー対応が誤食を防ぐ危機管理として重要であると同時に、子どもたちが互いの違いを理解し、思いやりの心を育む教育的な機会であるとも言えます。
例えば、アレルギー事故防止のためにお弁当のおかず交換を禁止するなど、合理的な取り組みを行う学校もあると聞きますが、その背景や意義が十分に共有されていなければ、子どもたちには単なる「禁止」と受け取られかねません。本質である命を守る行動や、互いへの理解と気遣いが正しく伝わり、心の成長につながる対応となっていることが大切だと思います。
また、当事者である食物アレルギーを持つ子どもが、疎外感を抱くことなく、自らの体質を受け止め、安全な食を選択する力を身につけられるよう支援することも大切です。将来の自立につながる自己理解と自己管理の教育という点でも重要な取り組みであると考えます。
そこで質問いたします。
教育現場における食物アレルギー対応が、子どもたちの思いやりの醸成や危機管理意識の育成、さらには当事者の心理的支援や自己理解の促進につながっているのか。見解を伺います。
【教育長】
食物アレルギー対応を通して育む子どもたちの心の成長についてお答えします。
市内の小中学校では、食物アレルギーがある児童生徒について、医師が作成した「学校生活管理指導表」をもとに丁寧にヒアリングを行い、その上で食物アレルギー対応マニュアルに従って事故防止に最善を尽くしております。
また、クラスや関わりのある子どもたちに対しては、当該児童生徒と保護者から了解を得た上で、食物アレルギーへの対応が命を守る重要な取り組みであることと、具体的な対応方法を説明しております。互いの違いを認め合い、思いやりの気持ちを持ちながら、クラス全体で当該児童生徒を支えていくよう指導しているところです。
こうした取り組みの結果、これまで確認できる範囲において、教育委員会に報告されたいじめ事案の中には、食物アレルギーやその対応に起因するものはございません。
一方、食物アレルギーを持つ児童生徒には、常に健康状態についての声かけや確認を行うとともに、自らの体質の受け止めや理解を促し、保護者や教職員、医療・行政機関との情報連携を行うことで、発達段階に応じた自己管理する力を育んでおります。
食物アレルギー対応およびこれに関する教育活動は、その児童生徒の命・安全を守ることが第一であることは言うまでもありませんが、同時に、子どもたちが互いの違いを理解し、思いやりの心を育む大切な機会となっているものと考えております。
【近藤】
今のご答弁から、教育現場においては、食物アレルギーへの対応を思いやりの心を育むことにつなげているとお聞きしました。この「思いやりの心」を地域にも広げていくことが必要だと考えます。
そこで、(3)食物アレルギーへの市民の理解促進と地域展開に向けて伺います。
食物アレルギーを持つ子どもの保護者の方々は、日常の食事管理や誤食への不安に加え、行事や外食などで他の子と同じ経験をさせてあげられないという葛藤を抱えています。また、「少しくらい大丈夫でしょう」といった周囲の無理解や軽視によって、深く傷つくことも少なくありません。
こうした実態を踏まえ、学校や保育園だけではなく、地域全体に食物アレルギーへの理解が広がることが、子どもの安全確保や保護者の心の負担軽減につながると考えます。
現在、重篤化しやすい卵、乳(牛乳・乳製品)、小麦、えび、かに、そば、落花生、くるみの8つの食材は「特定原材料」として加工食品での表示が義務付けられているほか、アーモンド、オレンジ、キウイなど20品目の表示も推奨されています。
市内には飲食を伴うイベントや子ども食堂がありますが、こういった場でアレルギー表示を行うことで、食物アレルギーの子どもが参加しやすくなり、保護者にとっても「配慮されている」という安心感が生まれるのではないかと思います。
さらに、平常時から成分表示やアレルゲン表示が一般化していれば、災害時の炊き出しなどの食支援にも応用できるため、有事における安全な食の提供体制の強化にもつながると考えます。
しかし、必要な情報はインターネット等で調べられても、関心がなければその情報に触れないままの市民も少なくありません。だからこそ、行政によるわかりやすい周知は極めて有効だと考えます。正しい知識や対応方法、当事者の苦労を市民全体で共有できれば、飲食イベントや地域活動の中で小さな協力や配慮が自然と生まれていき、その積み重ねこそが子どもを取り巻く環境の充実につながる地域づくりではないかと思います。
そこで質問いたします。
食物アレルギーやその対応策について市民への啓発を進めるとともに、地域での協力体制や配慮の普及を進めることについて、見解をお聞かせください。
【福祉保健部長】
食物アレルギーへの市民の理解促進などについてのご質問にお答えいたします。
当事者やご家族が安心して日常生活を送れるよう、食物アレルギーに関する理解を促進することは大変重要であり、地域の中で互いに思いやりをもって行動していくことが必要であると認識しております。
一方で、食物アレルギーの原因となるアレルゲンは多岐にわたり、また症状や重症度にも個人差があることから、地域における飲食を伴うイベント等で正確な食品表示を統一的に行っていくことは、現段階では難しいと考えております。誤った表示や不十分な情報が、かえって安全性を損なう可能性もあるため、慎重な対応が必要であると考えます。
なお、市が実施する「歯の健康展」での試食提供では食品表示を行い、口頭でアレルゲンの有無の確認をしております。
また、糖尿病予防教室で食事を提供する際には、事前に書面でアレルゲンの有無を確認し、安全な食の提供に配慮しているところであります。
現時点では、地域行事等における積極的な標準表示の導入を直ちに進めることは困難ではありますが、食物アレルギーについての地域の理解を深めていくことは重要であると考えております。一人ひとりが安心して食に関わることができる地域社会を目指し、まずは関係者の食物アレルギーへの理解促進に取り組んでまいりたいと考えております。
【近藤】
今ほど、表示の一律導入は難しいとのお話でしたが、私の意図としましては、あくまでも自然発生的な取り組みのきっかけとして、まずは啓発、つまり食物アレルギーに対する正しい理解や対応方法が市民の皆さんに広がっていくことが重要だと考えています。
また、災害時との関わりで申し上げたように、備蓄食品としてアレルギー対応食を揃えていても、アレルゲンの種類が多様化する中ですべてに対応することは難しく、アレルギー対応食品だけでまかなうことにも限界があります。炊き出しの場面で「何が入っているか」「何が入っていないか」という表示が一つあるだけでも、当事者が自分で判断し、「これなら食べられるかもしれない」と選択できる助けになります。
そうした意味でも、まずは啓発が大事だと思いますので、正しい知識を市民の皆さんと共有していただきたいとお願いし、次の質問に移らせていただきます。
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