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2025年9月13日 (土)

令和7年9月一般質問1「未来につなぐ柏崎刈羽原子力発電所との共生・共創」

令和7年9月10日、一般質問を行いました。以下はその内容です。

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おはようございます。会派 「明日への希望」 の近藤由香里です。

今年も暑い日々が続き、熱中症警戒アラートが何度も出される一方で、各地で大雨等による被害が発生しています。亡くなられた方々のご冥福を謹んでお祈り申し上げますとともに、被害に遭われた皆様に心よりお見舞い申し上げます。

国政においては石破首相の辞任表明による不安定な政局の中、暮らしや産業を圧迫する物価高への対応は急務であります。

気候変動の原因となる二酸化炭素の排出を抑制し、物価高の要因であるエネルギーコストを削減するためにも、原子力発電の安全な活用は重要です。

 

最初の質問 「1未来につなぐ柏崎刈羽原子力発電所との共生・共創」では、再稼働をめぐる議論が佳境を迎えつつある、同発電所に対する不安感を払拭し、持続可能なまちづくりを共に進めていくための取組みや見解について伺います。

まずは(1)原子力防災への包括的な理解促進に向けて 質問してまいります。

柏崎刈羽原子力発電所の再稼働に不安を抱く方々の多くは、「大地震等が発生すれば、原子力発電所ですぐに放射性物質や放射線が漏れ出す事故が発生する」との認識を持つようです。

背景には福島第一原子力発電所(1F)事故の強いイメージがあり、その後に確立した「原子力災害対策指針に基づく住民が取るべき行動」や、「新規制基準による原子力発電所の安全対策」について、理解が進んでいないのではないかと思います。

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原子力発電所で事故やトラブルが起きたとき、住民が取るべき行動は、国の「原子力災害対策指針」であらかじめ決められています。事故の深刻さは、緊急時活動レベル:EALによって判定され、警戒事態:AL、施設敷地緊急事態:SE、全面緊急事態:GEとして区分されています。

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柏崎市防災ガイドブック<原子力災害編>では、EALの区分に応じて、取るべき行動が示されています。ですが、AL、SE、GEとは具体的にどんな状況なのか、人によって認識がバラバラでは、どうしてもⅠF事故のイメージが拭えず、冷静な判断や行動に結び付かないと思います。

そもそも新規制基準は、「あらゆる科学技術はリスクとベネフィット(恩恵)の両面を有し、ゼロリスクはあり得ない」という考えのもと、原子力発電所で起こりうる事故のリスクを除去・低減し、安全性を高めるものです。そのため、新規制基準に適合する原子力発電所は、運転中に事故やトラブルが発生したとしても、被害を最小限に抑えるための多層的な防護措置がとられています。もし、大地震等が起こっても、きちんと原子炉を止めて燃料を冷やすことができれば、全面緊急事態:GEには達しないはずです。

これまで、原子力災害時に住民が取るべき行動については行政が、原子力発電所の安全対策については電力事業者が、別々に周知啓発を行ってきました。ですが、再稼働への不安の原点ともいえるⅠF事故のイメージを払拭するには、「新規制基準に適合する原子力発電所を稼働した場合に起こりうる事故」について市民が共通認識を持ち、EALの各区分に応じた行動について包括的に理解できる取組みを、行政と電力事業者が連携して進めていくべきだと考えます。

そこで質問いたします。「新規制基準に適合する原子力発電所を稼働した場合に起こり得る事故」について櫻井市長はどのように認識されているか、また、EALに対する具体的なイメージを市民と共有するため、行政と電力事業者が連携して、原子力防災への包括的な理解促進を図ってはどうかと考えますが、見解を伺います。

市長

おはようございます。、今回、近藤議員を含む4名の議員が、原子力発電所の問題についてご質問されます。正直な私の心境を申し上げますけれども、私ども柏崎市議会においてのみ、ずっと同じような議論をしているわけですが、、事態は全く進んでいない状況がございます。

県会議員さん、県知事、 国会議員さん、経済産業大臣、内閣総理大臣による議論が本当に真剣に国のエネルギー政策を考えて行われているのか、どうなのかと。いうことに関して。 思いをいたしたときに本当に虚しい思いをします。

私も市長にならせていただいて今9年目になっていますけれども、担当の国の役人も変わる、もちろん県の役人も変わる、何人経済産業大臣が変わったか、今回、総理大臣もかという問題も含めて、県においても三つの検証を五年あまりかけて行い、出るまでは議論をしないというようなお話でした。

終わって議論が始まるかと思いきや、次いで能登半島地震が起こったら、屋内退避できないじゃないかと。 石川県における状況と、新潟県における状況と比べて、全く違う状況がありながら、その能登半島地震における検証も始まった。

経済効果、前に柏崎市が行った、加えて新潟県も行った放射性物質の放出具合、県も重ねて様々なことが行われ、そして今年に至っては全県下の市町村長との意見交換、また、公聴会と呼ばれるもの、そして今度は県民意識調査。そして今、近藤議員さんがお話しされているように、その中にも原子力防災に関する問題、 問いかけもいくつかあるわけでございます。

しかし、私たちが、柏崎市議会がもう56年間やってきた議論、そして市民の皆さんが共有してきた知識と同じほどの関心や知識をいろいろな地域の方々が、県内いろいろな地域の方々がお持ちかと言われれば、残念ながら、そんなことはないわけです。

同時に前回の記者会見でも私、申し上げましたけれども。 私自身が沖縄の基地の問題に対して政治に身を置く私ですので、関心はあります。しかし、沖縄の方ほど知識はない。具体的なことは、細かいことは分からないというのが正直なところであります。

そういったことを含めて今、近藤議員さんからも、市民の皆さんに原子力防災の理解促進というふうな観点でご質問いただいているわけでございますけれども、この議場で私の今の頭、あの感情を披露しても、どうしようもないことなんですけど、これは、議員さんたちにも、ぜひご理解いただきたい。そして、県内の方々にもぜひご理解いただきたいということを思い、あえて冒頭申し上げるところでございます。

原子力発電施設の新規制基準は、福島第一原子力発電所事故の反省や国内外からの指摘を踏まえ策定された世界で最も厳しい基準であります。

しかしながら、この基準の基準に適合したからといって、原子力発電所事故が絶対に起こらないとは考えておりません。

一方で、新規制基準に沿った則った安全対策の実施により、大規模な原子力災害に結びつく可能性は大幅に低減をされ、万が一放射性物質が放出された場合でも、その影響は限定的になると認識しております。

次に、議員さんからもご指摘をいただきました、原子力発電所で異常事態が発生した際の緊急事態判断基準で、基準であるEALは放射性物質が放出前のレベルでございます。放出後はOILという形になるわけですが、EALはAL:警戒時代、SE:施設敷地緊急事態、G:全面緊急事態の三段階に区分され。 市民の皆様の安全確保において、極めて重要な判断基準であります。

しかし、EALが設定される事象は原子力発電所の状況や周辺住民への影響に応じて多岐にわたり専門的知識を要するため、市民の皆様にとって理解が難しい面もございます。

近藤議員のご指摘の通り、行政と事業者が連携してオンサイトとオフサイトの対策を市民の皆様にご説明し、理解を深めていただくことは大変有効であり、原子力発電所の安全対策など最新の情報をより正確に直接提供できることに加え、行政と事業者が包括的に説明することで、行政と事業者が連携して安全性を確保しているという安心感 を持っていただけると思っております。

一方当たり前のことですけれども、行政は行政、事業者は事業者であります。 行政と事業者があまりにも近くなりすぎることで、行政は事業者よりの立場というようなイメージを与えてしまう可能性もございます。当然のことながら、行政は公平中立な立場でなければなりません。市民の皆様に無用なご心配をおかけすることのないよう、事業者とのさらなる連携を図りつつも、引き続き市民と事業者の調整役に徹し、東京電力ホールディングス株式会社が前面に立って市民への説明や理解促進に取り組んでいただくことが市民の皆様への、市民の皆様の信頼と安心につながると考えております。

近藤

冒頭の市長の言葉、この原子力発電所を取り巻くこの状況についてのお考え、非常に共感するところでありますし、理解するところではあります。ですが、そうであっても、この立地自治体においては、少なくとも他の地域をリードして、正しい知識を共有していくという必要があるかと思い、今回の質問をさせていただいております。

今のお話の中で、なかなかこの行政と電力事業者が一緒に、例えば説明したりというのを、行政側からプロデュースしていくことは難しいというお考えかと思います。

なんですけれど、例えばです。こちらは再質問としてお聞きいただきたいんですが、例えば第三者的な、例えば地域ですとか、職場、学校、あるいは有志の団体、そういったところが電力事業者と行政とともに出席を依頼し、そこで住民の疑問に答えるというそういうやり方であったら、可能ではないかと考えるんですが。 結局、双方の説明会に行くと、必ず行政側の説明では、オンサイト側の、電力事業者側の説明では、避難計画について疑問を持った方が声を上げられますが、回答はできないという状況が続きますと、結局のところを疑問や不安感が解消されません。

それもありまして、再質問としましては、行政主導でないにしても第三者的な説明の場面に行政と電力事業者が共に出ていくという、その可能性はいかがでしょうか。

市長

近藤議員のおっしゃるところの、第三者的なということの意味がちょっとはっきりしませんので、お答えはできません。

 

近藤

それでは第三者的なという言い方を訂正いたします。地域や職場、学校、有志団体、要は市民の側からそういった要望があった場合はいかがでしょうか。お願いいたします。

市長

従来、住民の方々からの代表として、「地域の会」がございます。ここには行政も、電力事業者も、同時に参加をさせていただいているわけでございますので、こういった機会を通して、そういった課題問題に関して触れていただければありがたいと思っております。

ちなみに私ども行政としては、市民の皆様の安全を、そしてまた命を守るという観点からええ防災計画を作るということは、行政が課せられた責任でございます。そしてプラントの安全性に関しては、これは事業者の説明でございますので、あくまでもそういった役割分担を行いながらというふうに思っております。重なる部分に関しましては、今ほど申し上げましたように、地域の会といったような会の中で、またいろいろな議論がされることを期待するところでございます。

 

近藤

地域の会がそういった場であることは承知しているところです。ですが、地域の会だけではなく、より多くの市民の方々への理解促進に必要かと思います。今回、前向きな回答ではなかったとは思いますが、引き続きの理解促進お願いしていきたいと思い、次の質問に入ります。

政府は8月29日の原子力関係閣僚会議で、「原子力発電施設等立地地域の振興に関する特別措置法」の財政支援対象を、発電所の半径10キロメートルから30キロメートル圏内に拡大する方針を決定しました。また、東京電力HDの小早川社長は、地域経済の活性化に向けて脱炭素とデジタル分野への投資を行う方針を示しています。

原子力発電所の恩恵を、立地自治体に留まらず、周辺自治体にも波及させていく動きがある中で、発電所との共生の歴史を持つ柏崎市においては、さらにその関係性を進化させるべきだと思います。

 

そこで次の質問では、(2)地域課題解決に向けた電力事業者との共創 について伺います。

今年7月29日、柏崎刈羽原子力発電所に関する調査特別委員会の行政視察で、青森県下北郡東通村を訪れました。
東通村では、東北電力1号機の再稼働、東北電力2号機と東京電力HDの1、2号機の建設を目指していますが、近年、2つの電力会社とそれぞれ一般社団法人を共同設置して、共創による地方創生を目指して、地域振興や住民福祉の向上に取り組んでいます。

令和3年に設置された東京電力ホールディングス株式会社との共同体は、同社が策定した「青森行動計画」に基づき設置され、自然災害時における応援協定の締結、ギフトカタログの制作・販売による地域振興、地域づくりや基盤整備に市する村事業への支援といった実績があります。一方、今年4月に設置された東北電力との共同体は、国が主導した青森県の共創会議がベースとなり、ここから派生したタスクフォースとして、地域課題の解決を目指すとのことです。

東通村が、原子力発電所の再稼働や建設時期が見通せない状況でも、電力事業者を村のパートナーとして捉え、「持続可能な地域の共創」を目指す姿勢に、感銘を受けました。

さて、柏崎刈羽原子力発電所の設置者・所有者である東京電力ホールディングス株式会社と柏崎市は、安全確保、地域防災、地域経済など、多岐にわたる分野で協定や協議に基づいた関係を築いてきました。
ですが、今後は本市が抱える地域課題の解決を共に目指すパートナーとして同社を捉え、「持続可能な地域の共創」を目指すことが建設的ではないかと思います。

令和8(2026)年には、東京電力HD本社原子力部門の一部移転により、駅前事務所に約200人、発電所構内に約100人が勤務する予定です。この機会も見据え、例えば柏崎駅前活性化に向けたタスクフォース(課題解決チーム)を設置するなど、東京電力HDと「共創」に向けた関係構築を図ってはどうかと考えます。

そこで質問です。柏崎刈羽原子力発電所の設置者・所有者である東京電力ホールディングス株式会社を地域課題解決のパートナーとして捉え、「共に地域の将来を創る」との発想で、新たな関係構築を目指してはどうかと考えますが、見解及び今後の取組について伺います。

市長

地域課題解決に向けた電力事業者との共創についてお答えを申し上げます。これまでも東京電力ホールディングス株式会社は、新潟県との原子力防災に関する協力協定に基づく原子力災害への備えの強化はもとより、地域の一員として地域行事へのボランティア参加など取り組みを進めていただいております。

また、令和2年(2020)年4月の柏崎市使用済核燃料税の経年累進課税化への合意は、原子力災害を想定した非難、防災体制の強化などにつながる本市の財政需要の高まりに答え、ひいては市民の安全安心の向上へ繋がるものでありました。

さらには、地域経済への貢献の観点から、いちいち申し上げませんけれども、今ほど近藤議員からご紹介いただいた駅前の本社に留まらず、たくさんの地元への貢献、そしてまた地元企業との取引拡大に最大限取り組んでいただいているところでございます。このような取り組みは、将来に向けての地域活性化への一歩であると捉えております。

さらに去る9月4日に行われました東京電力ホールディングス株式会社小早川社長と私との面談の際、私が掲げた各年確認事項の中でも、いわゆる海底直流送電計画の実現に関して、当社グループとして本事業が実現に向かって進むよう、引き続き柏崎市内における必要な協力を最大限実施してまいります、というお言葉、また地域経済への貢献、柏崎市地域エネルギービジョンに関しては、「当社は地域に根ざした事業者として地域経済へ貢献する観点から、地元企業との取引拡大に最大限取り組んでおり、当社としても原子力とともに柏崎市における次世代エネルギーの開発は重要であると考えており、現在、案件の具現化に向けて検討を進めているところです。」というお答えをいただいておるところでございます。

近藤議員からご説明がございました国が主導する共創会議は私ももちろん承知をしております。近藤議員もご承知だろうと思いますけれども、青森県の事例をご紹介いただきましたけれども、すでに一番先行しているのは福井県でございます。福井県で行われ、その後、青森県でも実施されているものであります。

本市においても、今現在、中心になっているのは、柏崎商工会議所を中心に地域の将来像などの検討を進めていただいている段階であり、検討事項が成立された段階で、次のステップに進んでいくものと考えております。

近藤

今ほどのご答弁の中で東京電力ホールディングス株式会社とは、原子力発電所の立地という部分はもちろんですが、当市が進めるこの再生可能エネルギー、次世代エネルギーの推進においても、協力関係を取っていきたいという、そのようなお答えだったかと思います。商工会議所との共創の関係もつくられるということで、そこはそことして理解しました。

ですが、今後、先ほど申し上げたように柏崎市には様々な課題があるわけです。その一つとして紹介させていただいたのが、駅前の活性化の問題などもあります。こういった一つの地域課題に対して、やっていただくということだけではなく、共に何とかしていこうという共同体を今後つくっていくといったお考えはあるものでしょうか。再質問としてお聞きします。

市長

駅前の再開発等に関してお金をお願いするというようなことであれば、そのつもりはありません。そして、地域の振興を東京電力とともに柏崎市が行っていくということであるならば、中心になっているのは今、柏崎商工会議所さんがそれぞれ経済的な領域も含めて共創会議、商工会議所と柏崎市版の共創会議を順次進めていただいているところで、ご議論をいただければありがたいというふうに考えております。

近藤

私も後段の地域振興の部分でどうかというお話させていただきました。今のお答えだと、行政というより商工会議所が中心にやられるということなので、その動向も見守りたいと思います。
いずれにしても、柏崎は原子力発電所とこの先も長くお付き合いしていくことを踏まえ、未来につながる関係構築を願い、次の質問に移ります。

 

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