柏崎刈羽原子力発電所に関する調査特別委員会 青森視察
7月28~30日は、柏崎市議会の「柏崎刈羽原子力発電所に関する調査特別委員会」による青森視察でした。
むつ市のリサイクル燃料貯蔵株式会社(RFS)は、柏崎刈羽原子力発電所の使用済核燃料と密接に関係し、核燃料サイクル推進において重要な意味を持ちます。
昨年9月26日に柏崎刈羽原子力発電所の使用済核燃料の搬入を開始したことは、国のエネルギー政策及び柏崎市にとって大きな節目であったと思います。
視察では、使用済燃料に対する責任は電力事業者にあり、RFSは「貯蔵・管理に特化した、いわばトランクルームである」との説明を受け、中間貯蔵施設の役割・立ち位置を再認識しました。
また、使用済核燃料の輸送・貯蔵に使う金属キャスクは、使用済リサイクル燃料備蓄センター建屋にて電源不要の環境で空冷保管され、原子力災害対策指針においてはPAZ、UPZの設定を要しない等、安全性の高い施設であることが確認できました。
しかしながら、RFSでの使用済核燃料の貯蔵期間は最長50年、2棟目を建設したとしても貯蔵できるのは最大5,000トンであり、無限・永久的に保管できるわけではありません。
六ヶ所村の再処理工場の竣工、高レベル性放射性廃棄物の最終処分地選定が、核燃料サイクル推進のカギとなることも踏まえて、引き続き使用済核燃料を巡る動向を注視していきたいと思います。
東通村は人口5,470人(今年6月末)、一般会計当初予算89億7,600万円(令和7年度)の原子力発電所立地自治体であり、東北電力(株)1号機の再稼働、東北電力(株)2号機、東京電力HD(株)の1,2号機の建設を目指しています。
再稼働・建設時期が見通せない中で、各電力会社と一般社団法人を共同設立し、「共創による地方創生」を目指して、地域振興や住民福祉の向上に取り組んでいます。
東通みらい共創協議会は東京電力HD(株)の「青森行動計画」を、ひがしどおり共生パートナーズは国主導・県主体の「青森共創会議」をベースにしているとはいえ、それぞれの電力会社を村のパートナーとして捉え、「持続可能な地域の共創」を共に目指す姿勢に感銘を受けました。
視察を通して、国の方針が「お金から共創へ」シフトチェンジし、国のエネルギー政策に理解を示し、協力的な県や自治体をモデル地域として実装を目指す流れがあることを理解しました。
いまだに柏崎刈羽原子力発電所の恩恵云々の議論から抜け出せない新潟は、大きく後れをとっていると感じます。
まずは立地自治体である柏崎市での「共創」に向けて働きかけたいと思います。
六ヶ所村の日本原燃(株)再処理事業所は、核燃料サイクルの拠点とも言える重要な施設を有しています。
既に操業しているウラン濃縮工場、低レベル放射性廃棄物処理センター、高レベル放射性廃棄物貯蔵管理センター(現在は新規制基準に係る設計・工事計画の許認可申請中)、使用済燃料受入貯蔵施設、2026年度中の竣工を目指す再処理工場、建設中のMOX燃料工場の役割を学ぶとともに、敷地一帯を視察し、規模感や構内の様子を知ることができました。
再処理工場は1993年に着工以来、27回竣工を延期しています。
27回目の延期理由は、日本発となる商業用再処理工場の安全対策であることから、日本原燃㈱側にも、規制委員会側にも手探りの部分があり、申請後に対策強化が求められてきたことも一因であると理解しました。
しかしながら、現場では着実に対応を進めており、「今度こそ必ず」との手応えも感じられました。
資源の乏しい日本において、原子力発電は核燃料サイクルを機能させてこそ意味があります。
再処理工場及びMOX燃料工場の稼働は、日本のエネルギー政策における大きな前進であり、高レベル放射性廃棄物の最終処分地選定にも影響すると考えます。
予定通り竣工・稼働できるよう期待を寄せながら、今後の動向を見守りたいと思います。
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それぞれ半日を費やし、充実した視察となりました。ご対応いただいた皆様、ありがとうございました。
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