令和6年12月一般質問2「地域公共交通ネットワーク再構築の方向性」
令和6年12月定例会議において一般質問を行いました。以下はその内容です。
近藤
次の質問 2 地域公共交通ネットワーク再構築の方向性 では、まず(1)AI交通網の拡大に伴う課題への対応 について伺います。
昨年11月24日から運行を開始したAI新交通「あいくる」は好調であり、櫻井市長の約束9では「『あいくる』の全市域での運行を目指す」としています。
今年10月15日に開催された柏崎市地域公共交通活性化協議会では、今後、地域公共交通ネットワークの再構築に向けて、地域公共交通利便増進実施計画を策定することが示されました。
具体的には、郊外の地域交通をそれぞれ再編した上で「あいくる」ブランドとして統一し、各エリアとも中央エリアの一部を乗降ポイントに含めるというものです。
また、市街地循環バス「かざぐるま」「ひまわり」を、利用実態に応じて減便・運賃値上げしつつも、高校生が利用しやすい運行時間・運賃を設定する方針も示されています。
交通事業者の深刻な運転士不足により、年度途中でも利用率の低い路線バスが減便・休止となる中、市民の生活の足を守るために、市としてご尽力いただいていることには、感謝しています。
しかしながら、郊外の地域交通を再編するにあたり、従来の交通網と比べた場合、地域住民にとって、何かしらメリット・デメリットが生じます。
例えば、にしやま地区内を運行している「にしやま号」は、来年の秋を予定する再編によって、「あいくる北エリア」となり、運行範囲には高浜地区も加える他、柏崎総合医療センターまで乗継なく利用できるようになります。その一方で、西山地区においては従来のドアtoドア方式(玄関先から玄関先へ)ではなくなり、利用時間が短縮されますし、高浜地区においては、路線バス椎谷線が減便されるといった側面もあります。
また、市民の中には、現状の「あいくる」が市全体に拡大し、市内どこでも乗って行けるとのイメージを持つ方々もいらっしゃることから、過剰な期待や誤解を生まないよう、丁寧な説明が必要だと思います。
そして、「あいくる全域化」の実現には運転士の確保、運行事業者との調整が欠かせないと考えます。
そこで質問です。AI交通網の拡大に伴う地域公共交通ネットワーク再構築において、住民への理解促進、運転士確保等の課題解決に向けて、今後どのように取り組むか、見解をお聞かせください。
市長
今回の市長選挙における公約の一つ、AI交通網の拡大の実現に向けて、現在本市の公共交通のアクションプランとなる「柏崎市地域公共交通利便増進実施計画」の策定を進めています。
この計画におきましては、地域公共交通ネットワークの再構築に向けて、現行のあいくると異なる郊外型あいくるを4つのエリアに分けて、新規運行することを盛り込むこととしています。
これらの郊外型あいくるは、いずれも既存の地域交通を再編して運行するものであり、利用方法や運行日時が変更となることから、対象地域の皆様には、これまでのものとの変更点や、現行のあいくると異なる点等を含め、周知する必要があると考えております。
今後、利用ガイドブックを作成・配布する他、説明会をきめ細かく開催する等、対象地域の皆様にしっかりと対応するよう努めてまいります。
また、運転士不足に関しましては、あいくるの運行地域のみならず、路線バスやタクシーの運行維持にあたっても大きな課題となっております。
このような状況において、運転士の確保に向けた運行事業者への支援の必要性は高まっていると捉えており、本年10月に創設いたしました「あいくるサポーター制度」もその一環としての側面もあり、企業等からの協賛金を必要な経費に充てていくこととしています。
この他にも効果的な取組を検討しており、持続可能な地域公共交通の再構築に向けて、交通事業者と連携しながら、必要な運転士を確保していきたいと考えております。
確かに近藤議員のご指摘のように、良くなる部分もあれば、今ほど「にしやま号」のご指摘をいただきましたけれど、不便になる部分もあるわけでございます。
しかし、全体的にその地域の方々にとって、まあちょっとここの部分はマイナスだけれども、全体を考えれば、ああ良かったなと思えるような、「あいくる」運行にしていきたいと考えております。
そして何よりも、ご指摘いただきましたように、運転士さんをどのように確保していくか、もしくは限定された運転士さんを、どのように有効に働いていただくかということが、市民の皆さんの利便性向上にもつながる一番大きな要因でございますので、そういった運転士確保という部分も、今まで以上に意を用いてまいりたいと考えております。
近藤
おそらく今後の最大の課題とも言えるのが、運転士確保かと思います。その資金調達という意味合いも込めて、「あいくるサポーター制度」を開始したわけですが、再質問としまして、まだ始まったばかりではありますけれど、各事業者等の受け止めがどうであったか、現場の反応をお聞かせいただければありがたいと思います。お願い致します。
総合企画部長
「あいくるサポーター制度」につきましては、私どもの方では、特に市内の医療機関、買い物ができる場所に、非常に多くの皆様から乗っていただいているという事実がございますので、そういったところをまず回りながら、ご協力を求めております。
すでに複数の事業所・医療機関から、大変あいくるがご好評ということで、参画いただくことになっておりまして、これからもまだまだ伸ばしていきたいと思いますが、滑り出しとしては非常に順調に協力をいただいている状況でございます。
近藤
承知いたしました。他の先進自治体においても、こういった協賛制度をやっているところはございますけれど、その枠を地域公共交通全体に広げて、また市民の方にも、というところも今後検討していただければと思います。引き続き宜しくお願いします。
次の質問では、夜間の移動手段についての研究課題として、(2)「夜の足」確保に向けた新たな取組 について伺います。
コロナ禍が明け、飲酒を伴う夜の外食が再開しているものの、タクシー不足が深刻化し、特に週末において、夜間移動が困難な状況が生じています。全国的にタクシー運転士は、コロナ前と比べて約6万人、20%減少しているそうで、住民生活はもとより地域経済へのダメージも危惧されます。
こうした課題を解決するため、他の自治体では、夜デマンド交通の実証実験を行うケースが見受けられます。
広島県庄原市では、庄原商工会議所、庄原MaaS検討協議会が主体となり、国土交通省の「共創・MaaS実証プロジェクト」を活用し、9月19日~12月13日の木・金曜日にオンデマンドバス「よるくる」を5便運行しています。
乗降ポイントを定め予約制とし、運転手に一般ドライバーを活用する自家用自動車有償運送の形態を取り、料金は地域に応じて500円~3,000円、利用は好調であり、飲酒客だけでなく学生の利用もあるそうです。
また、新潟県見附市では、地域公共交通活性化協議会が主体となり、庄原市と同じく「共創・MaaS実証プロジェクト」を活用して、10月4日~令和7年2月15日の金・土曜日に夜間オンデマンド乗合タクシー「ナイトコミタク2」を運行しています。
昨年度にも行った実証事業を改良して、飲食店付近から乗車し、自宅で降車でき、料金は乗降ポイントに応じて、1,000円、1,500円、2,000円で設定しています。検証結果を踏まえ、代行業者や一般ドライバーの活用も視野に入れて持続可能性を検討するとのことです。
埼玉県行田市では、夜間のタクシーが不足する時間帯に、タクシー事業者の管理下で、地域の自家用車や第一種運転免許を保有する一般ドライバーを活用して有償で運送サービスを提供する「自家用車活用事業」、いわゆる「日本版ライドシェア」を、12月12日から開始します。火~土曜日の午後8時30分~午前1時30分まで、タクシーアプリGOを活用して車両2台を運行するそうです。
さて、柏崎市では夜間よりもまず日中の高齢者や学生の「生活の足」を確保することを優先し、「あいくる」全域化を目指しているのは承知しています。
しかしながら、日中とは異なるニーズが存在する実態を踏まえ、民間活力を主体とする「夜の足」の確保を検討してはどうかと考えます。
そこで質問です。昨今のタクシー不足に伴う地域経済への影響を鑑み、民間活力を主体とする夜間移動手段の確保に向けた研究・検討を進めることについて、見解を伺います。
市長
市内の夜間におけるタクシーは運転士の確保が困難なことから、曜日や時間帯によっては不足している状況であると認識しています。この問題の解決策としては、まずは先ほどの答弁において申し上げた運転士の確保における交通事業者への支援を検討しているところでございます。その上でまだ不十分な場合は、タクシー不足を保管する場合の新たな移動手段の導入が必要であると考えております。
その候補として一つに「あいくる」が挙げられるわけですが、夜間における運転士確保は極めて厳しい状況であり、また、現在は15:30までとなっている運行時間を夜間の時間帯まで拡大することは、市の費用負担の大幅な増加につながることから、判断には慎重さが必要だと考えております。
ただ、ご紹介いただいた事例は、夜間は高い利用料金を設定しているようでございますので、「あいくる」の場合は1,000円以上の高い運賃設定にすることも一つの案かとは思いますが、いずれにせよ運転士を確保することは中々難しいというのが現段階でございます。
一方、ご紹介いただいた日本版ライドシェアは各地において行われているところもあるわけですが、民間事業者が主体的に実施するケースが多く、「あいくる」の運行時間の拡大よりも実現性が高いと捉えていることから、既に当市においてもその研究を始めているところでございます。
タクシー不足の状況を改善するため、今後は市内タクシー事業者との意見交換を重ねていくとともに、日本版ライドシェアの先進地域における利用状況や課題などをしっかりと把握し、引き続き研究してまいります。
近藤
私も正直「あいくる」を夜に持っていくのは無理だと思っております。ですので、今回は違った事業主体ということで今回提案させていただきましたが、また日本版ライドシェアの研究も始められたということですので、他市の状況も見ながら検討・研究を続けていただきたいと思います。
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