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2024年12月

2024年12月21日 (土)

12月定例会議最終日 政策提言

12月20日は柏崎市議会12月定例会議の最終日でした。

提出された議案が全て可決した他、人事案件では、西巻康之副市長が再任されました。

また、3常任委員会がテーマを決めて1年半かけて調査・研究を行ったことを、政策提言として上程しました。

テーマに沿った調査研究と政策提言(令和6(2024)年12月)

 

所属する総務常任委員会では、「持続可能な地域公共交通」をテーマに、以下の提言を行いました。

総務常任委員会 政策提言書「持続可能な地域公共交通」pdf

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【提言1】市民のマイバス・マイレール意識の醸成を図り、地域公共交通の積極的な利用に繋がる環境づくりを強化すること

(1) 提言の背景

 路線バスや鉄道等の公共交通網は、人口減少に加えて未だコロナ禍の影響が回復せず、利用者が減少し、交通事業者の経営状況は厳しさを増している。路線バスにおいては、行政からの補填なしでは維持することが難しい状況にある。鉄道においても、不採算路線の圧縮に努めており、特に越後線については、柏崎駅~吉田駅間が将来的に廃線になる可能性を否定できない。

 このような状況を市民に率直に示しながらも、「乗らなければ生活の足を守れない」との意識を醸成することや、路線・ダイヤ改正等の際には行政などを通じて市民の意向を確認し、協力体制を構築することが必要と考える。

 また、日頃の通勤・通学だけではなく観光やイベントと絡めた利用促進や、「あいくる」サポーター制度の導入を踏まえ、地域公共交通の応援団を増やす取組も重要である。

(2)具体的施策の提案

・地域公共交通の現状及び柏崎市の取組についての周知の強化
・信越本線及び越後線沿線の各駅周辺への公共施設、商業施設などの立地誘導
・企業及び観光施設や中心市街地の施設などとの協力体制を構築し、移動手段と目的がセットとなる利用促進策の検討
・学校、PTA、地域協議会や町内会などの自治組織、シニア・女性団体などと連携した地域公共交通に対するニーズの把握や利用促進活動(イベント)の実施
・免許返納者に対する優遇措置の普及促進
・地域公共交通の運行時間に合わせた各事業所の就業時間設定やイベント企画等、広義での公共交通サポーターを増やす取組の推進

 

【提言2】運転士の確保・育成に向けた支援策を講じるとともに、民間活力を生かした移動手段の確保について研究すること

(1) 提言の背景

 運転士不足は、公共交通関係のみならず、運輸事業関係、社会福祉関係を含め全般にわたる大きな課題であり、市民生活に多大な影響を及ぼしている。

 これまで、市は直接的な運転士確保の取組は行って来なかったと認識するが、交通事業者だけでは確保・育成が困難な状況にある。今後は市と交通事業者が連携して、免許取得における負担軽減、人材発掘・育成に向けた研修の充実等を支援することが必要だと考える。

 また、国では地域交通の「担い手」「移動の足」不足解消のため、令和6(2024)年3月、タクシー事業者の管理の下で、自家用車・一般ドライバーを活用した運送サービスの提供を可能とする自家用車活用事業「日本版ライドシェア」を創設した。タクシー配車アプリデータ等を活用して、タクシーが不足する地域・時期・時間帯を特定し、地域の自家用車・一般ドライバーを活用して不足分を供給することとしている。

 同年3月末には、外国人の中長期的な在留資格「特定技能」に自動車運送業を加えることが閣議決定された。現在、全国の警察で、バスやタクシー運転士に必要な2種免許の学科試験を20言語で受験することが可能となっている。

 このような国の先進施策を研究するとともに、移住・定住推進や市民活動支援施策と連動し、多様な人材を活用して移動手段の確保を図るべきと考える。

(2) 具体的施策の提案

・2種免許取得への支援
・運転士の採用・育成に向けた説明会や研修等の開催
・シニア世代や女性も視野に入れた短時間正社員制度導入や、兼業を可能とする多様な働き方の推進を支援
・外国人タクシー・バス運転士採用に向けた支援
・ライドシェア、自動運転バス等の導入に向けた研究・検討
・地域公共交通推進員として地域おこし協力隊を募集
・移住・定住施策と連動した運転士の募集

 

【提言3】交通政策を担う組織の強化を図ること

(1) 提言の背景

 地域公共交通は、市民生活や福祉、経済活動等を支える社会的基盤である。それだけに、利便性・持続可能性・生産性の高い地域公共交通ネットワークへの「リ・デザイン」(再構築)への挑戦と実現が求められている。

 同時に交通政策には、暮らしやすいまちづくり、地域の魅力と品格の向上、移住・定住の促進といった政策も内包されていると考える。

 現在は総合企画部企画政策課において、本市の交通政策を担っているが、課題の大きさや制度の複雑さを鑑み、交通政策に特化した部署を設けることを検討すべきではないか。

(2) 具体的施策の提案

・交通政策課(仮称)の創設または企画政策課内に交通政策係(仮称)を設置

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提言が施策に反映されるかを注視しながら、引き続き「持続可能な地域公共交通」の実現を目指して、調査・研究を続けたいと思います。

 

2024年12月17日 (火)

蕨野地内 廃タイヤ処理の状況

12月17日の総務常任委員協議会で蕨野地内での廃タイヤ処理の状況について報告を受けました。

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主な報告内容は

〇当初の見込みの倍以上の古タイヤが見つかり、処理を進めないと総量がわからない。

〇掘れば掘るほど増えていく状況であり、古タイヤ搬出の難易度が上がっている。

〇令和6(2024)年度の処理費は1億2千万円、今後は同等以上の費用がかかる見込みである。

〇現状の処分費用は207,000円/tだが、事業の難易度が上がるにつれて単価が上がる可能性はある。

〇現時点で環境への影響はないと考える。

〇全撤去を目指して作業を進めているが、状況によってはある程度のところで止めるかどうか、全庁的な判断となる。

〇現地では約2m掘削し土留め処理もした穴の中に古タイヤが埋まっていた(想定外の人為的な掘削だった)。

というものでした。

 

この件は、令和5(2023)年2月に市議会の委員協議会で報告され、5月には市長の定例記者会見やニュースでも取り上げられました。

2023年2月 9日 (木) 旧米山牧場跡地廃タイヤ処理の事業化について

令和5(2023)年5月10日 柏崎市長定例記者会見

2023.5.25 BSNニュース「20年前に2000万円で購入した土地で今 1億円以上かけて無数の廃タイヤ処理 新潟県柏崎市」

令和6(2024)年9月25日、予算決算常任委員会・総務分科会(総務常任委員会と同メンバー)では、決算審査の現地視察先に廃タイヤ処理現場を選びました。

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これだけの膨大な量なので、今年度内の搬出は厳しいだろうと感じてはいましたが、掘削して埋めてあったとは・・。

今後の推移を見守りたいと思います。

 

2024年12月12日 (木)

令和6年12月一般質問3「市民の安心・安全につながる事前防災の推進」

令和6年12月定例会議において一般質問を行いました。以下はその内容です。

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令和6年12月一般質問 映像配信

近藤

最後の質問では、3 市民の安心・安全につながる事前防災の推進 をテーマに、まずは(1)災害関連死を防ぐ取組の強化 について伺います。

石破政権では、災害対応のエキスパートを揃え、政府の災害対応の司令塔となる「防災庁」設立に向けた準備を進める他、災害が起きる前に被害軽減のための対策を講じる「事前防災」を推進する方針を示しています。

事前防災の具体的事例として、ハード面では、砂防ダムや堤防の整備、河川改修、住宅耐震化等があり、ソフト面では、ハザードマップ等によるリスクの徹底的周知、避難体制の整備、タイムラインの策定、平時からの訓練・ワークショップ・防災情報の発信等が挙げられます。

また、国の方針として、能登半島地震等を踏まえ、避難所運営に関する自治体向け指針を本年度内に改定し、国際的なスフィア基準をもとに、トイレ数や被災者1人当たりの専有面積など避難環境を改善させる方向で検討していることも報じられています。

【防災ニッポン】「避難所ガチャ」解消へ国際指標!「スフィア基準」を知っていますか?

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こうした動きからは、「災害関連死」を防ぎたい、との意思が感じられます。

災害関連死とは、災害発災後に健康を害し命を失うことであり、避難中の車内での疲労による心疾患、避難所生活での肺炎や栄養障害及び持病の悪化、疲労が原因と思われる交通事故、地震や余震のショックによる急性心筋梗塞などの事例が報告されています。

能登半島地震では、災害関連死として認定された方が247人となり、直接死の人数を超えたことが12/6のNHKニュースで報じられていました。

中越沖地震等を経験した柏崎市においては、事前防災対策は進んでおり、今般の大雨・土砂災害に備えた早期の避難所開設などにも、その一端を見ることができます。
しかしながら、頻発する災害から市民の命と健康を守るため、災害関連死を防ぐための備えを厚くすることが重要だと考えます。
 
そこで質問します。頻発する災害や国の方針を鑑み、災害関連死を防ぐ観点から、フェーズフリーの概念や専門家の知見を入れた避難所の資機材・備品の再検討、被災後の健康維持のための防災教育や体制整備の強化、他の自治体や民間団体等との更なる連携といった取組を進めていくことについて、見解を伺います。

危機管理監事務取扱

今ほどご紹介いただきましたように、災害関連死の方が直接死よりも、能登半島地震においても増えており、昨年5月に報告されている内閣府の災害関連死事例集によれば、避難生活の肉体的・精神的負担、被災のショック等によるものも含めて、52.7%ということで、災害関連死をどのように防いでいくのか、ということが防災において極めて重要な課題と認識しております。

柏崎市においても、ご指摘にもありましたように、中越沖地震以降、種々の災害に見舞われている中で、心して対応してきたつもりです。備蓄品の選定におきましては、本市の栄養士の意見を反映し、低たんぱくフードやアレルギー対応ミルク等の備蓄はしております。

また、避難所開設時には、保健師等による巡回訪問を行って、被災者の心と体のケアを行う体制を構築しており、これはもうどこの自治体でも当たり前にやらなければいけないことになっていると認識しております。

また、民間との連携においては、本年2月定例会議で近藤議員からご質問いただきました畳の活用という点については、以前から協定はあったものの、あらためて新潟県とも対応について、どのくらいの枚数が市内ですぐに用立てできるのか、といったことも確認しております。

先般の11月29日の石破首相の所信表明でも言及されているように、年度内に国から示されるというスフィア基準についても考えていきたいと思います。

私どもとして重要視するのは、スフィア基準の数値に関しては柏崎市では概ね満たしつつあると考えておりますが、本来的な意味として、避難所における人間としての尊厳を持って生活が送れるように、いわゆる質的向上において、小さなところからやっていく必要があるということです。

特別な予算をかけるとか、民間のコンサルタントを入れる前に、防災担当職員の気付き、例えば毎年一定額で予算を認めていただいている備蓄品において、冷たい食料ではなく温かい食事が出せるようなものを取り入れてみるなど、まずは既決の予算の中でどのような工夫ができるのか。例えば、トイレは準備できても、その消臭剤は用意できているのか等、こういった部分は特別に大きな予算を措置しなくても、従来の予算の中で十分に質のアップはできるものと考えております。

常に避難者の方の肉体的・精神的負担を軽減するためにはどうしたらいいのか、市が普段から保有している人的・物的資源を、災害時に特別な予算を増額することなく有意義に活用できるのかということは、常に検討を繰り返してまいりたいと考えております。

近藤

ご答弁の中で避難所における尊厳、そして質の向上というところを伺いました。既に色々とご検討いただいているとのことですが、せっかく命を守ることができたのに、その先に命を健康を害して失うといったことがないように、命をつなぐ方向性で強化していただきたいと思います。

次の質問は、(2)原子力防災対策への更なる理解促進に向けて です。

原子力発電所の再稼働に不安を抱く方々の中には、UPZ住民がまずは屋内退避することに疑問を抱く方や、福島1F事故を連想し、「原発は事故を起こし、住民はふるさとを追われて帰れなくなる」とのイメージを抱いている方々が少なくないと感じます。

このような疑問や不安を払拭するような理解促進に向けて、現在行っている柏崎市による啓発事業の効果をはかるため、質問してまいります。

まずは「ア 啓発事業の検証と今後の対応」について伺います。

現在、本市では原子力防災出前講座を実施し、様々な地域や団体に出向くともに、小・中学校においても原子力防災対策について説明していますが、時間は各地域や学校の判断によって異なり、わずか10~15分しか時間を割かないケースもあると承知しています。

原子力災害時の行動は、1度の講座や説明で理解できるものではないため、短時間の開催で、断片的な情報により不安が印象に残り、誤解を招くこともあるのではないかと危惧するところです。

また、柏崎市防災ガイドブック<原子力災害編>では「指示があるまで避難先で避難継続」と記載されているものの、避難指示の解除(帰宅可能)時期については明記されていません。

新規制基準に適合した原子力発電所においては、福島1Fのような事故を起こさないための安全対策が講じられ、仮に避難指示が出されるとしても、フィルタベント設備によって放出される放射線量はかなり抑えられます。

そして、放射線濃度が低減すれば、避難指示が解除され、帰宅できるようになります。それがいつなのかは言えないとは思いますが、こうしたことも、防災教育や啓発の機会に含めるよう工夫や配慮をしていただきたいと感じるところです。

そこで質問ですが、令和6年度上半期の原子力防災啓発の取組の検証及び市民の理解促進・不安払拭に向けた今後の対応について、見解を伺います。

 

危機管理監事務取扱

誤解なきよう一点申し上げますが、議員からもご理解いただいております通り、15分で全ての出前講座を終わらせているわけではございません。要請のあった学校や団体のスケジュールに合わせてやっているということで、1時間でも2時間でも必要であれば対応させていただきますので、そういった点についてはご理解いただきたいと思います。

昨年から実態に即した内容に変えようということで、それに対して必ず統一したアンケートを講座開催後に取っております。

令和6(2024)年11月末までに実施した原子力防災講座・研修の実施状況としては、小・中学校、各種団体、企業、消防団、市職員等に対して、83回・4273人の方に対して実施しているわけですが、アンケート結果における理解度については、「大変よくわかった」が18%、「大体わかった」が68%ということで、足しますと86%ということです。もちろんこれをもって十分に理解していただいていると解釈するわけにはいかないわけですが、それなりに効果は上がってきていると思います。

また、自由回答の部分で、「実際に訓練に参加してみたい」、「定期的に講座を受講してみたい」といった理解促進につながるようなご感想をいただいており、今後どのようなことを講座としてお聴きになりたいかについては、「安定ヨウ素剤の服用」、まだご指摘にあった「避難のタイミング」、こういったことをもっと知りたいと列挙される方が多くなっております。

色々な意味で原子力災害についてご不安を抱えている市民の方が、多くいらっしゃることは間違いのない事実でございます。講座に1回だけ受講して終わりではなく、繰り返し学び、自分事として捉えることは重要だと思います。ただそうは言っても毎月1回必ず参加してくれ、というのは難しいものがございます。講座を今後どのように体系化していくのかというのは、今後も課題として検討してまいりたいと思います。

また、現在は発電所の新規制基準において、それに基づきどのようなタイミングで避難をし、避難所における生活を続け、どのようなタイミングでそれが解除されるのかというのは、ご承知のように現在、原子力規制委員会をはじめ、国で能登の地震を受けて、具体的な運用に関してマニュアルを作っており、年度内にまとまるものと考えております。

こういった国から出された種々のガイドラインについて、あらためて確認した上で、実際に自分事として捉えられるようにしたいと思います。いつも言っているように、市民の皆さんに「特定重大施設対処施設」といった説明をしてもピンとこないわけでして、こういった点も含めてご不安の軽減につながるような研修の仕方を今後も工夫したいと思います。

近藤

検証の結果、8割以上が理解し、前向きにとらえていることには安心しました。引き続き、お願いします。

次に、「イ 普及・啓発に向けた人材育成」について伺います。

柏崎市では平時からの防災啓発や防災訓練、地域活動に積極的に携わり、地域の防災力向上のために尽力できる人材として、防災士を養成してきました。

しかし、防災士の養成カリキュラムには原子力防災は含まれていないことから、防災士のスキルアップ研修等において、原子力防災についての理解を深める機会を設けてはどうかと思います。

また、防災士の中には、自分の得意分野を生かして、あるいは関心のあることを極めて、更に活動の幅を広げたいという方々もいらっしゃいます。

一例を挙げれば、子ども達への防災教育にもっと関わりたいという防災士が、中越沖地震メモリアルまちからが行う学校での防災学習をお手伝いする「防災学習サポーター」養成講座を受講するケースもあります。
そのため、当初は、原子力防災出前講座のサポーターを市が養成し、認定したらどうかとも考えましたが、現実的にはそぐわないようです。

しかしながら、原子力災害時の対応について詳しく理解し、普及・啓発に努める人材を育てていくことが、誤解や不安を払拭し、原子力発電所があるまちで市民が安心して暮らしていくことにつながるのではないかと考えます。

そこで質問ですが、防災士へのスキルアップ研修や、学びを深める環境の整備等、原子力防災の正しい知識・行動を普及・啓発できる人材を育成する取組について、見解を伺います。

危機管理監事務取扱

防災士の資格につきましては、議員ご承知のように、あくまでも防災全般の基礎的な知識を習得し、資格として認定されているものです。従いまして、その中には原子力防災が特殊化されたレベルの中で含まれていないのは事実であります。

一方で原子力発電所の立地点である本市を含めて、原子力発電所の立地点においては、原子力防災は重要な分野であります。近年では資格取得後のスキルアップを目的に、毎年行っておりますフォローアップ研修の方で、令和3(2021)年度に原子力災害広域避難計画をテーマとして、実施したところではあります。

昨今は災害が頻発していることもあり、研修テーマが知識習得型の内容から、防災士の知識やスキルを地域に還元するための、より実践的な内容となるよう取り組んできているところでございます。

そういった観点からも、まさに実践的に、柏崎地域ということを考えた場合には、原子力防災の内容が日々変わってきている状況もございますので、防災士の方々の意向も踏まえながら、原子力防災を取り上げることも含めて、より効果的なスキルアップにつながるよう、今後内容を検討してまいりたいと考えております。

更に、防災士の方々につきましては、市主催のイベント、県主催のセミナー等に現在も参加していただいていますが、防災関係の情報をメール等で市からもお伝えし、参加を一層促していきたいと考えております。

原子力防災を含めて、知識の習得の様々な場を提供し、引き続き普及啓発、人材の育成、ご指摘のあった得意分野を生かした活躍をしていただきやすい環境整備に努めたいと考えるところです。

近藤

柏崎の防災士だからこそ、本市特有のある意味で課題でもある原子力災害について詳しくなっていただきたいとの想いもあります。フォローアップでの見直しも考えるとのことですので、そのようにお願いいたします。

最後に(3)ペット同行避難の体制整備に向けて 質問いたします。

今年の10月末、新潟県獣医師会から柏崎市に「ペット同行避難支援キット」が寄付されたことが報じられました。

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キットは一般的に、優先開設避難所の開設時(特に初期)に繁忙な担当職員の手を煩わせることなく、ペットを連れて避難してきた人が自ら「ペット専用避難スペース」を設営するための手順書や資材がセットになっています。

キットについては、9月末に実施された柏崎ファミリードッグ主催・柏崎刈羽動物愛護協会・後援のペット防災研修会において、講師に迎えたNPO法人アナイス代表の平井潤子先生から紹介されていました。

同研修には、防災・原子力課の職員さんにもご参加いただきましたが、ペット同行避難の具体的な事例を学んだり、ペット同行避難の受入れを想定した避難所運営の机上訓練を行ったりしており、本市の防災訓練や防災教育等において共有したい内容だったと思うところです。

また、現在は柏崎市の優先開設避難所ではペット同行避難を可能としているものの、3月の一般質問では「ペットを連れて来た場合は軒下に置いてもらう」といった答弁がありました。

ですが、炎天下や極寒、風雪時を想定すれば屋根付きのペットが入れるスペース確保は必要であり、各優先開設避難所で「ペットを入れてよいスペース」を想定しておくことが望ましいと考えます。

そこで質問します。ペット同行避難支援キットの寄付を一つのきっかけとして、本市におけるペット同行避難の体制整備を進めることについて見解を伺います。

危機管理監事務取扱

今ほどご紹介いただいたように、新潟県獣医師会からご寄付いただいたペット同行避難用キットは大変ありがたく考えており、市内のペット愛好家・愛護団体の皆様からご協力いただいたことについて、御礼申し上げます。

市民課のデータでは今年10月末現在、犬だけでも市内に3053頭、全国的な状況では、一般社団法人ペットフード協会の昨年の全国犬猫飼育実態調査によると、飼育頭数推計は犬で6,844,000頭、猫で9,069,000頭、合計で約1591万頭ということで、この数は我が国における15歳未満の子どもの数よりも多い調査結果であり、災害時にペットと同行避難をされる方も多いことは容易に想像できます。

多くの方を受け入れるペット同行避難の体制整備には、必要物品の備え、ペットの避難スペース、同行避難の運営ができる人材育成、飼い主の理解、それぞれが必要となってまいりますが、新潟県獣医師会からご寄付いただいたキットの活用、関係団体からのご助言などをいただきながら、今後、物品の整備や、円滑にペット受入れを行いながらの避難所運営といったものについてのマニュアル作成を、現在少しずつですが検討を進めております。

ペットの避難スペースにつきましては、避難者と隔離され、風雨がしのげる倉庫や自転車小屋をまずは指定させていただいているところでございます。一方でもっと良い環境をというペット愛好家の方々からのお声があることも認識はしております。

このような中で現在の避難所の環境を見ながら、それができる場所・できない場所について、あらためて市の職員の方で環境調査を行ってまいりたいと考えております。

場合によっては、発災直後はご勘弁いただくとしても、落ち着いてきた中で、よりペットにとって、また飼い主にとって良い環境にご移動いただくということも、全ての避難所で雨風しのげて、四方囲まれた環境を作っていくのは中々難しいことですので、そういった手法も含めて、今後の体制ということで、適切な場所の選定・確保も検討に加えてまいりたいということで考えてございます。

ペット同行避難の受付・運営ということに関して、避難所の職員、行政側の対応ももちろんでございますが、飼い主の皆様のご理解も何より重要と考えております。今後、防災訓練を行っていく中で、飼い主の方々へのご理解・ご協力の促進につながるような訓練・研修もやっていく必要があると考えているところでございます。

近藤

前向きなご答弁をありがとうございました。ペット同行避難は、ペットとともに避難しないことにより、飼い主の方が命を落とすことがないように、ということで推奨されている面もあります。それも含めて進めていただきたいと思います。

事前防災については、様々な切り口がございますので、私の方でも調査・研究を進めながら、質問につなげていきたいと思います。
これで私の一般質問は終わりとさせていただきます。ありがとうございました。

2024年12月11日 (水)

令和6年12月一般質問2「地域公共交通ネットワーク再構築の方向性」

令和6年12月定例会議において一般質問を行いました。以下はその内容です。

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令和6年12月一般質問 映像配信

近藤

次の質問 2 地域公共交通ネットワーク再構築の方向性 では、まず(1)AI交通網の拡大に伴う課題への対応  について伺います。

昨年11月24日から運行を開始したAI新交通「あいくる」は好調であり、櫻井市長の約束9では「『あいくる』の全市域での運行を目指す」としています。

今年10月15日に開催された柏崎市地域公共交通活性化協議会では、今後、地域公共交通ネットワークの再構築に向けて、地域公共交通利便増進実施計画を策定することが示されました。

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具体的には、郊外の地域交通をそれぞれ再編した上で「あいくる」ブランドとして統一し、各エリアとも中央エリアの一部を乗降ポイントに含めるというものです。

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また、市街地循環バス「かざぐるま」「ひまわり」を、利用実態に応じて減便・運賃値上げしつつも、高校生が利用しやすい運行時間・運賃を設定する方針も示されています。

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交通事業者の深刻な運転士不足により、年度途中でも利用率の低い路線バスが減便・休止となる中、市民の生活の足を守るために、市としてご尽力いただいていることには、感謝しています。

しかしながら、郊外の地域交通を再編するにあたり、従来の交通網と比べた場合、地域住民にとって、何かしらメリット・デメリットが生じます。

例えば、にしやま地区内を運行している「にしやま号」は、来年の秋を予定する再編によって、「あいくる北エリア」となり、運行範囲には高浜地区も加える他、柏崎総合医療センターまで乗継なく利用できるようになります。その一方で、西山地区においては従来のドアtoドア方式(玄関先から玄関先へ)ではなくなり、利用時間が短縮されますし、高浜地区においては、路線バス椎谷線が減便されるといった側面もあります。

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また、市民の中には、現状の「あいくる」が市全体に拡大し、市内どこでも乗って行けるとのイメージを持つ方々もいらっしゃることから、過剰な期待や誤解を生まないよう、丁寧な説明が必要だと思います。

そして、「あいくる全域化」の実現には運転士の確保、運行事業者との調整が欠かせないと考えます。

そこで質問です。AI交通網の拡大に伴う地域公共交通ネットワーク再構築において、住民への理解促進、運転士確保等の課題解決に向けて、今後どのように取り組むか、見解をお聞かせください。

市長

今回の市長選挙における公約の一つ、AI交通網の拡大の実現に向けて、現在本市の公共交通のアクションプランとなる「柏崎市地域公共交通利便増進実施計画」の策定を進めています。

この計画におきましては、地域公共交通ネットワークの再構築に向けて、現行のあいくると異なる郊外型あいくるを4つのエリアに分けて、新規運行することを盛り込むこととしています。

これらの郊外型あいくるは、いずれも既存の地域交通を再編して運行するものであり、利用方法や運行日時が変更となることから、対象地域の皆様には、これまでのものとの変更点や、現行のあいくると異なる点等を含め、周知する必要があると考えております。

今後、利用ガイドブックを作成・配布する他、説明会をきめ細かく開催する等、対象地域の皆様にしっかりと対応するよう努めてまいります。

また、運転士不足に関しましては、あいくるの運行地域のみならず、路線バスやタクシーの運行維持にあたっても大きな課題となっております。

このような状況において、運転士の確保に向けた運行事業者への支援の必要性は高まっていると捉えており、本年10月に創設いたしました「あいくるサポーター制度」もその一環としての側面もあり、企業等からの協賛金を必要な経費に充てていくこととしています。

この他にも効果的な取組を検討しており、持続可能な地域公共交通の再構築に向けて、交通事業者と連携しながら、必要な運転士を確保していきたいと考えております。

確かに近藤議員のご指摘のように、良くなる部分もあれば、今ほど「にしやま号」のご指摘をいただきましたけれど、不便になる部分もあるわけでございます。

しかし、全体的にその地域の方々にとって、まあちょっとここの部分はマイナスだけれども、全体を考えれば、ああ良かったなと思えるような、「あいくる」運行にしていきたいと考えております。

そして何よりも、ご指摘いただきましたように、運転士さんをどのように確保していくか、もしくは限定された運転士さんを、どのように有効に働いていただくかということが、市民の皆さんの利便性向上にもつながる一番大きな要因でございますので、そういった運転士確保という部分も、今まで以上に意を用いてまいりたいと考えております。

近藤

おそらく今後の最大の課題とも言えるのが、運転士確保かと思います。その資金調達という意味合いも込めて、「あいくるサポーター制度」を開始したわけですが、再質問としまして、まだ始まったばかりではありますけれど、各事業者等の受け止めがどうであったか、現場の反応をお聞かせいただければありがたいと思います。お願い致します。

総合企画部長

「あいくるサポーター制度」につきましては、私どもの方では、特に市内の医療機関、買い物ができる場所に、非常に多くの皆様から乗っていただいているという事実がございますので、そういったところをまず回りながら、ご協力を求めております。

すでに複数の事業所・医療機関から、大変あいくるがご好評ということで、参画いただくことになっておりまして、これからもまだまだ伸ばしていきたいと思いますが、滑り出しとしては非常に順調に協力をいただいている状況でございます。

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近藤

承知いたしました。他の先進自治体においても、こういった協賛制度をやっているところはございますけれど、その枠を地域公共交通全体に広げて、また市民の方にも、というところも今後検討していただければと思います。引き続き宜しくお願いします。

 

次の質問では、夜間の移動手段についての研究課題として、(2)「夜の足」確保に向けた新たな取組 について伺います。

コロナ禍が明け、飲酒を伴う夜の外食が再開しているものの、タクシー不足が深刻化し、特に週末において、夜間移動が困難な状況が生じています。全国的にタクシー運転士は、コロナ前と比べて約6万人、20%減少しているそうで、住民生活はもとより地域経済へのダメージも危惧されます。

こうした課題を解決するため、他の自治体では、夜デマンド交通の実証実験を行うケースが見受けられます。

広島県庄原市では、庄原商工会議所、庄原MaaS検討協議会が主体となり、国土交通省の「共創・MaaS実証プロジェクト」を活用し、9月19日~12月13日の木・金曜日にオンデマンドバス「よるくる」を5便運行しています。

乗降ポイントを定め予約制とし、運転手に一般ドライバーを活用する自家用自動車有償運送の形態を取り、料金は地域に応じて500円~3,000円、利用は好調であり、飲酒客だけでなく学生の利用もあるそうです。

また、新潟県見附市では、地域公共交通活性化協議会が主体となり、庄原市と同じく「共創・MaaS実証プロジェクト」を活用して、10月4日~令和7年2月15日の金・土曜日に夜間オンデマンド乗合タクシー「ナイトコミタク2」を運行しています。
昨年度にも行った実証事業を改良して、飲食店付近から乗車し、自宅で降車でき、料金は乗降ポイントに応じて、1,000円、1,500円、2,000円で設定しています。検証結果を踏まえ、代行業者や一般ドライバーの活用も視野に入れて持続可能性を検討するとのことです。

埼玉県行田市では、夜間のタクシーが不足する時間帯に、タクシー事業者の管理下で、地域の自家用車や第一種運転免許を保有する一般ドライバーを活用して有償で運送サービスを提供する「自家用車活用事業」、いわゆる「日本版ライドシェア」を、12月12日から開始します。火~土曜日の午後8時30分~午前1時30分まで、タクシーアプリGOを活用して車両2台を運行するそうです。

さて、柏崎市では夜間よりもまず日中の高齢者や学生の「生活の足」を確保することを優先し、「あいくる」全域化を目指しているのは承知しています。
しかしながら、日中とは異なるニーズが存在する実態を踏まえ、民間活力を主体とする「夜の足」の確保を検討してはどうかと考えます。

そこで質問です。昨今のタクシー不足に伴う地域経済への影響を鑑み、民間活力を主体とする夜間移動手段の確保に向けた研究・検討を進めることについて、見解を伺います。

市長

市内の夜間におけるタクシーは運転士の確保が困難なことから、曜日や時間帯によっては不足している状況であると認識しています。この問題の解決策としては、まずは先ほどの答弁において申し上げた運転士の確保における交通事業者への支援を検討しているところでございます。その上でまだ不十分な場合は、タクシー不足を保管する場合の新たな移動手段の導入が必要であると考えております。

その候補として一つに「あいくる」が挙げられるわけですが、夜間における運転士確保は極めて厳しい状況であり、また、現在は15:30までとなっている運行時間を夜間の時間帯まで拡大することは、市の費用負担の大幅な増加につながることから、判断には慎重さが必要だと考えております。

ただ、ご紹介いただいた事例は、夜間は高い利用料金を設定しているようでございますので、「あいくる」の場合は1,000円以上の高い運賃設定にすることも一つの案かとは思いますが、いずれにせよ運転士を確保することは中々難しいというのが現段階でございます。

一方、ご紹介いただいた日本版ライドシェアは各地において行われているところもあるわけですが、民間事業者が主体的に実施するケースが多く、「あいくる」の運行時間の拡大よりも実現性が高いと捉えていることから、既に当市においてもその研究を始めているところでございます。

タクシー不足の状況を改善するため、今後は市内タクシー事業者との意見交換を重ねていくとともに、日本版ライドシェアの先進地域における利用状況や課題などをしっかりと把握し、引き続き研究してまいります。

近藤

私も正直「あいくる」を夜に持っていくのは無理だと思っております。ですので、今回は違った事業主体ということで今回提案させていただきましたが、また日本版ライドシェアの研究も始められたということですので、他市の状況も見ながら検討・研究を続けていただきたいと思います。

 

2024年12月10日 (火)

令和6年12月一般質問1「持続可能な医療・介護の実現に向けて」

令和6年12月定例会議において一般質問を行いました。以下はその内容です。

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令和6年12月一般質問 映像配信

近藤

今回は、櫻井市長の3期目最初の一般質問であります。12/5の所信表明においては、柏崎市政を三度(みたび)担う覚悟と決意、そして、本市を取り巻く課題解決に向けた、新たな「約束11」について伺いました。櫻井市長が目指される「強く優しい柏崎」とは、市民の皆様が誇りを持って、この先も安心して、幸せに暮らしていける柏崎であると受け止め、その実現に向けて、率直に議論させていただければと思います。宜しくお願い致します。

最初の質問 1 持続可能な医療・介護の実現に向けて(1)は櫻井市長が「約束1」、本市の最重要課題として位置付ける 柏崎総合医療センター存続に向けた支援の在り方 について伺います。

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柏崎総合医療センターHP

この件は、経営母体であるJA新潟厚生連の自助努力と新潟県の支援を前提に、他の厚生連病院立地自治体とのバランスを考慮しながら、市としての支援を模索している渦中にあると認識しています。

同病院は柏崎・刈羽地域住民の救急医療・急性期医療の中枢を担うとともに、市内で唯一、赤ちゃんが産める環境、すなわち周産期医療、そして、透析治療を行う本市の基幹病院です。

柏崎市は毎年2億円以上の支援を行ってきた経緯があり、その成果の一端として、近年は多くの研修医を確保したことは、明るいニュースとして報じられてきました。

しかし、債務超過に対する厚生連の自助努力として、給与費や賞与削減に踏み切られたことにより、職員のモチベーション低下や離職が危惧されます。

新潟県は、厚生連と県内13の県立病院の経営改革を進めた上で、両者の間で機能統合など医療再編を進める方針を示しており、厚生連が12月中に策定予定の経営改善計画が県内医療に与える影響を分析・検証するための経費として2千万円を含む補正予算を、県議会12月定例会にて計上しています。ですが、本来ならば、県は、厚生連以外の公的病院も含めて、「誰も取り残さない地域医療圏」に向けた協議の旗振り役になるべきではないかと感じます。

また、他の厚生連病院 立地自治体では、糸魚川市での離職防止に向けた支援などの動きもあるわけですが、柏崎市が独自に支援するとすれば、市内で柏崎総合医療センターにしかない機能、救急および急性期医療、周産期医療、透析治療を守る目的で行うのが、理に適うのではないかと思います。

そして、その財源においては、本市の医療が直面する危機的状況を鑑み、財政調整基金の取り崩しや、今後発生する使用済核燃料税の累進課税分、新潟県核燃料税の税率変更に伴う増額分を充当することも、やむを得ないのではないかと考えます。

そこで、最初の質問として、柏崎総合医療センター存続に向けた今後の県への働きかけ及び市単独での支援の在り方とその財源について、見解を伺います。

市長

まずは3期目を担わせていただくにあたり、近藤議員をはじめ皆様からたくさんの一般質問をいただきました。順次、誠実に、できるだけ施策の考えているところをお伝えしたいと思いますので、率直な意見交換をお願いしたいと思います。

まずは、私の公約「約束11」の最初に掲げた課題、柏崎総合医療センターを必ず守るという約束1に関するご質問でございました。

新潟県厚生農業組合連合会、以下JA新潟厚生連が地域の基幹病院として医療を担っている本市、糸魚川市、小千谷市、佐渡市、妙高市、村上市の6市では、JA新潟厚生連の経営悪化により、病院存続が危ぶまれる状況を懸念し、平成31(2019)年2月に地域医療連携推進協議会を発足させました。

つまり今から6年ほど前から、この6市で厚生連病院が地域で基幹的な医療を担っているものの、非常に厳しい経営状態にあり、もちろんこの経営状態は、JA新潟厚生連が本来的にご自分達だけで解決しなければならない問題であります。

しかし、同時に厚生連病院は、医療法31条の中で、公的医療機関として法的に位置付けられている病院であるということ、そして、条文の中では公立病院、新潟県であれば県立病院、市立病院も公的病院として同じように位置付けられており、県立病院が上で、厚生連病院が下ということではありません。

同じように公的医療機関として位置付けられている厚生連であるにも関わらず、残念ながら新潟県からの支援の在り方、私たち(地域医療連携推進協議会)が申し上げてきたのは、病院を支援するというかたちではありますが、県立病院がない柏崎のように、県民の命と健康を守るために、新潟県が果たす役割をしっかり果たしてもらいたいと、6年も前から新潟県に伝えてきたところでございます。

JA新潟厚生連に対しては、まず自らが経営を改善してもらいたい、経営改革をしてもらいたいと、6年も前から申し上げてきました。また、新潟県に対しても、5年前からしっかりと厚生連病院の位置付けを考えて財政的な支援を含めて要望してきたところです。

しかし、厚生連病院のみならず、赤字基調であった病院も、コロナ禍での3年間、国からの手厚い支援のおかげで、一時的にほとんどの病院で黒字経営となったところでございます。これは厚生連病院のみならずでございます。

ところが、コロナ禍明けに患者が戻らず、国からの支援も途絶えたところで、経営危機に至ったわけでございます。実は新型コロナウィルス感染症が始まる以前から、私は6市の協議会において、このまま行くと経営は非常に厳しくなると、厚生連にも県にも伝えていたところでございます。

しかし残念ながら、厚生連自身も、「いや、大丈夫です」というようなお返事でした。新潟県に至っては、何の反応もいただけませんでした。ノーアンサーです。

今回の経営危機を受け、新潟県に対しましては、本協議会として各市長とともに、11月8日と19日に新潟県福祉保健部長とお会いし、緊急的な財政支援と医療再編の早期実現を要望してまいりました。

私も市長の一人として地域医療を守るため、来春の資金ショートを何としてでも回避しなければならないとの想いから、相当規模の財源を強く要望した他、賞与削減による職員の離職も懸念されるため、11月中の支援策の提示を求めてきたところです。

それに対して、新潟県からは、JA新潟厚生連に対して、事業継続可能な今後3か年の経営計画の提出を求めており、その計画を見極めた上で、12月中旬までに具体的な支援策を示すとの回答があったところです。

本市としても、今ほど近藤議員からいくつかの具体的な財源策をいただいたところでございますが、まずは新潟県の具体的な支援内容をしっかりと明示してもらいたい、その上で柏崎市がどこの部分を担うのか、どれくらい担うのかという部分を考えていかなければならないと思っております。

9月に柏崎総合医療センターから財政支援の要望をいただいている、救急医療や周産期医療、透析医療の地域になくてはならない機能を維持するための支援を、実際に協議しているところでございます。

県内には6市だけではなく、新潟市や長岡市や上越市などにもJA厚生連病院がございます。こういった他市も含めて新潟県全体の医療に係る問題でございます。新潟県立病院とJA厚生連病院は、新潟県における大きな二つの柱でございますが、二本の大黒柱がどちらも厳しい状況にあり、再編・統合は避けられないと思っております。

そういった再編・統合の中期的な見通し、来春の、目の前の経営危機に対して、6市だけではなく他市を含めて、しっかりとした新潟県の医療体制を確保するため、新潟県のリーダーシップのもと、他自治体とともに対応を考えてまいります。

財源に関しては支援の規模、具体的な内容が決まっているわけではございませんけれども、何としてでも本市の地域医療を堅持するべく、あらゆる財源を視野に、検討を重ねてまいりますが、前提はまず新潟県からどのような財政支援が得られるのか、得られないのかということを、しっかりと見極めてまいります。

近藤

今ほど、これまでの経緯、そして現段階でのお考えを伺いました。結局のところ、県の動きがはっきりと定まらないと、市としての判断・決定ができないということかと思います。 流動的な状況でありますので、引き続き注視したいと思います。

 

次に(2)地元医師の確保に向けた中長期的な対策 について伺います。

地域医療を持続可能なものとするには、地元医師の確保が重要だと考えます。

本市では柏崎総合医療センターの研修医確保や開業医に対する支援の他、小学5~6年生・中学生を対象に、柏崎総合医療センター医師による職業講話の出前授業を行い、地域医療の現状や病院の業務、魅力、やりがい等を伝えてきました。

一方、小・中学校では学力向上プロジェクトを進めていますが、子ども達の学習意欲を高めるには、「学力向上の先にある、将来の選択肢・可能性の広がり」を可視化することが重要であり、そのモデルケースになり得るのが「お医者さん」=医師ではないかと思います。

そこで、既存の施策と連動して、「柏崎で学んだ子どもが将来、医師となってふるさとの医療を担う」ことを支援してはどうかと考えます。

新潟県では地元医師定着に向けた様々な支援策を講じており、令和7年度には全国13の大学の医学部に地域枠を設けて修学資金を貸与し、卒業後に新潟県内で9年間勤務すれば全額返還免除されます。

また、市外出身者であっても、柏崎総合医療センターを選択した研修医から、研修期間を終えた後も柏崎の地域医療を担っていただくことが理想的です。県は研修医に対しても、新潟県内で臨床研修を受けた後に一定期間、県内医療機関に勤務することを条件とする奨学金制度を設けており、産科や救急科を含む特定診療科専門医を目指す医学生に対しては、更に高い奨学金を支給します。

こうした県の事業に、医学部に進学する柏崎出身の学生や、研修期間を過ぎても柏崎市内での勤務を選択する若手医師に対する支援を盛り込み、移住・定住施策とも連動して、「柏崎で働く医師を育てる」ことが、中長期的な医師確保になるのではないかと考えます。

そこで質問します。地域医療の存続に向けた中長期的な対策として、県事業への上乗せも視野に入れ、学力向上の先にあるキャリア形成支援も絡めた地元医師の育成、移住・定住施策と連動して研修医の地元定着を推進することについて、見解を伺います。

市長

柏崎総合医療センター、新潟県との協調した取組として、令和4(2022)年度に6年ぶりに2名の研修医が柏崎総合医療センターに着任しました。それ以降、令和5(2023)年度に3名、今年令和6(2024)年度に7名と、着実に研修医が増え、救急医療において大きな戦力となっているところでございます。この研修医の中には、柏崎出身の方もいらっしゃいます。

つまり私どもの研修医制度への補助創設により、当初は柏崎に戻るのが難しいと考えていた柏崎出身の方も、やはり柏崎に戻って医師になろうということで研修医制度に応募されたということになります。

2年の研修期間を修了した後は、専門医になるための研修を3年間受け、その後、専門医や指導医として、大学や県内中核病院に派遣されることになります。

柏崎総合医療センターが研修派遣先病院となり、引き続き柏崎で勤務していただければよいのですが、実際は地域偏在や診療科偏在を考慮し、県内全体で医師の配置が調整されるため、県内全体の医師数を増やすことが重要となりますので、引き続き新潟県主導のもと、医師確保の取組みを進めていただきたいと考えております。

本市としましては、臨床研修の後、2年間の勤務か50回の宿日直を条件に、海外留学に係る経費を補助する等、県内や市内に勤務するきっかけともなる研修医の確保に努めているところです。

また、小・中学生を対象とした医師講話を継続し、将来医師になる子どもを増やしてまいりたいと考えております。

近藤

既に色々と取り組まれていることは承知しているのですが、今回この質問で訴えたかったこととしまして、学力向上プロジェクトとの関係性があります。尚、職業講話につきましては、国保医療課が管轄している医師確保事業の一環ということで承知していますが、この事業目的が、「小・中学生を対象に医療系職種を紹介し、地元出身の医療従事者の確保につなげます」となっています。となりますと、様々な施策を連動しながら、最終的な目標につなげていくことが重要だと思います。

学力向上プロジェクトをやっていく中で、将来の選択肢の中でも「お医者さん」は実際のところ、非常に高い学力と資質を必要とするものでありますが、そういった方を学力向上プロジェクトの先にある一つのモデルケースとして捉えることが、柏崎における医師の確保、そして、勉強している子ども達の将来のビジョンにつながっていくことと思います。その点も含めて、もし少しコメントをいただけるようでしたらお願いいたします。

市長

ご指摘の点は非常に重要かと思います。もちろん学力向上プロジェクトは、児童・生徒みんながお医者さんになることを目的にしているものではございません。しかし、やはり医師になるためには、一定以上の学力が必要となるところでございますので、将来お医者さんになりたいという児童・生徒を少しでもその可能性に近付けるためにも、基礎学力の充実は非常に重要だと考えております。

小学校のレベルは全国平均より上回っておりますけれど、中学校レベルが今、停滞しているところでございますので、今ほどご指摘いただきましたように、医師という夢・可能性といったものも子ども達に提示しながら、そのためには何が必要なのかということで、無理なく、また児童・生徒のやる気・意欲を引き出すような指導を、教育委員会にもお願いしたいと考えております。

近藤

中長期的な視点で質問させていただきました。ぜひこの先の子ども達の動向を見守りながら、できることなら進学、そして医師として柏崎で働くことを応援していただきたいと思います。

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次に、(3)超高齢社会に対応する介護サービスの維持 について伺います。

柏崎市は11月末の65歳以上人口が35.9%、75歳以上人口が20.2%の超高齢社会です。柏崎市地域包括ケア計画と一体化した第9期介護保険事業計画では、要支援・要介護認定者数は5,200人台が続くと推計し、新たに介護施設をつくらない方針を示しています。

その一方で、介護人材の確保・定着を重要課題と捉え、夜勤対応者への補助金や、有資格者の介護施設への就職に対する補助金の交付、介護技術講座や職業人講演会の実施等を行ってきました。

しかしながら、最低賃金引上げが求められる時代において、介護サービス事業の財源となる介護報酬は国によって固定される公定価格であり、サービス価格に人件費分を転嫁できる他の産業との格差解消が課題となります。

介護報酬は基本報酬と加算・減算により算定され、介護職員の賃金アップのためには、処遇改善加算を取得する必要があります。今年6月定例会議での五位野和夫議員の一般質問に対し、ほとんどの事業所で既に取得しているとの答弁がありましたが、加算取得への対応が負担となり、職員の疲弊を招いている側面もあるかと思います。

また、コロナ禍の影響による稼働率の低下に加え、エネルギー・物価価格高騰、施設の経年劣化による建物や設備の改修費の増大などにより、ランニングコストが上昇しており、各介護施設の経営環境は厳しいと認識します。今年1~8月の介護サービス事業者の倒産は全国で114件報告され、柏崎市でもグループホームを運営していた法人が破産申告し、施設は他社に譲渡されています。

本市の計画では、特別養護老人ホームが該当する第一種社会福祉事業と、訪問介護やデイサービス、ショートステイなどの第二種社会福祉事業を担う事業者の役割を明確にして、サービスの競合を防ぎ、限りある人的資源と既存施設の有効活用を図る、としています。

近年はショートステイを特別養護老人ホームに転換する動きも見られますが、在宅生活を送る要介護者及び介護する家族にとっては、介護サービスの選択肢が減ることになり、不都合が生じる方々もいるのではないでしょうか。

櫻井市長の約束7では「高齢者福祉における人材確保に施策を講じる」としていますが、人材確保と介護施設の安定的な経営を一体化したものとして捉え、市民が必要な介護サービスを受けられるよう、時代に即した支援策を講じることが必要だと考えます。

そこで質問です。超高齢社会への対応として、各介護施設の処遇改善に向けた更なる支援や、ランニングコスト上昇に伴う負担軽減、市民ニーズにマッチングさせる形での存続に向けた調整について、見解及び今後の取組を伺います。

 

福祉保健部長

物価高騰の影響が長引く中、公的価格で経営する介護事業にあっては、コスト増を価格に転嫁することが難しく、また、他の産業との賃金格差、人材不足等の課題もあり、介護事業を取り巻く状況はかなり厳しいとのお声をいただいております。

介護職員の賃金改善として取り組む処遇改善加算につきましては、市内の介護事業所では9割以上が算定しており、市も加算算定のための体制構築につながるよう、就職支援、資格取得支援及び介護支援専門員定着支援の補助金を交付する等、県内他市と比べましても、手厚い支援に努めているところであります。また、国に対しては介護報酬改定について要望活動を行ってきたところです。

物価高騰に対する支援につきましては、介護に限らず全産業の問題と認識しております。本市では令和4(2022)年度及び令和5(2023)年度に国の地方創生臨時交付金を活用し、介護サービス事業所に支援を行ってきたところであり、今後も国の交付金等を活用した支援を検討してまいります。

介護保険事業につきましては、ニーズや地域特性、サービス業の見込みを踏まえ、適切なサービスの確保に努めております。第9期介護保険事業計画では、新規整備は見込んでおりませんが、今後も限りある人的資源と、既存施設の有効活用を図るべく、事業の再構築を進めていく必要があると考えております。

本市としましては、今後も国の動向を注視しながら、国に要望を届けるとともに、国が今後示す経済対策メニューの積極的な活用も視野に、介護事業者に必要な支援が届けられるよう、検討を進めてまいります。

近藤

今ほど支援の在り方についてご説明いただきました。要は介護人材確保に注力するということ、ランニングコストの分では国の交付金を使うということで、2024年度の国の補正予算も今国会に出ていますので、またそれをうまく反映していただきたいと思います。

ランニングコストの面で再質問させていただきたいと思います。柏崎市地域包括ケア計画の用語解説では、第一種社会福祉事業について、「利用者への影響が大きいため、経営安定を通じた利用者の保護の必要性が高い事業」としています。

これに該当する市内の特別養護老人ホームの経営者の方々からは、修繕費用の捻出が経営安定化のネックになっているとお聞きしました。国や県では新たな基盤整備や、防災・減災に対する補助金はあるものの、そこに該当しない場合は、自己資金で対応しなければなりません。

そこで、国や県の補助金を使えない大規模修繕に対する支援等についてのお考えを、もう一度お聞かせいただければと思います。

福祉保健部長

各施設においてそれぞれ経営状況に差があるわけですけれども、大規模修繕への要望の声は伺っているところであります。市としまして、ただちに支援するというのではなく、まずは事業者の経営において、おそらくまだ改善の余地はあるかと思いますので、それを前提にしていただきながら、その上で必要な支援につきましては、事業者と対話を重ねながら、検討を進めてまいりたいと考えております。

近藤

まず事業者の経営改善が前提というのは、柏崎総合医療センターに対するスタンスと一致するとは思いますが、特別養護老人ホームの役割、第一種社会福祉事業としての位置付けについて考えていただくと、やはり必要な支援というものもあるかと思います。

そういったこともお考えになった上で、きちんと協議しながら、もちろん相手先の経営改善のことも必要かと思いますが、協議をしながら、要は今ある介護サービスを無くさないでいただきたいと・・。

私の家族も介護(サービス)のお世話になっており、本当にありがたいと思っています。介護サービス基盤の経営の安定にも目を向けていただきたいと申し上げて、次の質問に移らせていただきます。

 

2024年12月 5日 (木)

令和6年12月定例会議スタート

令和6年12月定例会議が始まりました。

冒頭に11月17日の柏崎市長選挙で再選された櫻井雅浩市長による3期目の所信表明演説がありました。

所信表明

柏崎市長 櫻井雅浩

はじめに

改めまして、今般、第10代柏崎市長として3期目を担うこととなりました櫻井雅浩であります。
「強く やさしい柏崎」をつくり上げるために、渾身の力を注ぐ覚悟でございます。市民の皆様、議員の皆様におかれましては、何とぞよろしくお願いいたします。

8年前の所信表明

 イギリスのEUからの離脱、トランプ氏の大統領就任。私は驚きとともに不安をも記しました。英語 deregulation という言葉を「規制撤廃」ではなく、「規制緩和」と訳したこと、また「公益企業」という言葉が日本を象徴する、と紹介いたしました。

 既にこの時、「東電の体質」という言葉を使いました。福島事故は東京電力ホールディングス株式会社の責任であり、同時に国、その国、政府を認めてきた、私を含む国民一人一人があの事故の責任を負うべきだ、と申し上げました。規制撤廃ではなく規制緩和、公益企業という名のもとにその存在を許し、安住してきた私たち国民一人一人の意識に原因があるように思える、と申し上げました。

 実質的なもの、量から質の時代に、物質的な豊かさを求める時代から、精神的な豊かさを求める時代に変わってきていること、人材の育成、教育に特に注力する、と申し上げました。人口減に関しても厳しい認識を申し上げ、U・Iターン、個別に直接呼びかけ、泥臭く働きかけ、二世帯住宅を促進し、若い世代の定住、子育て支援施策でアピールしていく、と申し上げました。

 市政を支えるのは財政であり、経済であり、人口減時代を見据えた財政運営を目指し、新たな財源の確保に努め、歳出においては身の丈を意識し、しかし、時に集中的な投資も必要だと考え、「お金をかけて一点突破、全面展開」と申し上げました。ふるさと納税においては当時の約2倍、1億円を目指すと申し上げました。

 原子力発電については廃炉の時代がやってくること、廃炉産業を「安心創出産業」と位置付けることを申し上げました。首都圏につながる送電線を今後も有効に使い、原子力発電にこだわらない新たな電力の創出、移出基地として機能させ得る方策を東京電力ホールディングス株式会社とともに見出してまいります、と申し上げました。

 東京電力ホールディングス株式会社柏崎刈羽原子力発電所6号機、7号機の再稼働に関しましては国の原子力規制委員会の審査を経て、私自身が国及び東京電力ホールディングス株式会社に対し、条件を付し、それに対する答えと一定の方向性が見出されたとき、再稼働を認めるつもりである、と申し上げました。

 再稼働論議とは離れて、新潟県に対しては、当時できていなかった避難計画の早期策定を求めると申しました。避難計画の実効性を高めるために、道路の改良、新設、除雪体制の整備においても、国が前面に立つ姿勢が求められることを指摘し、また、使用済核燃料の保管が続く中、より一層の安全・安心を求め、使用済核燃料税の経年累進課税化を目指す、と申し上げたのであります。

 実現したものもあり、いまだその方向性さえ見えないものもあります。何が作用し、物事が動き、何がとどまらせ、なぜ理不尽、不合理な理由で物事が停滞するのか。

 

8年後、そしてエネルギー

 柏崎市長職を担わせていただいたこの8年間、世界は大きく動いております。戦争、新型コロナウイルス感染症によるパンデミック、ますます気候変動、地球温暖化は進展し、世界中、日本中で災害が起こり、尊い多くの人命が奪われました。拉致問題の完全解決は全く進展していません。自分の非力を含めもどかしさ、いたたまれなさ、むなしさ、憤りさえ感じるところであります。

 私が今、柏崎市長の座におりますが、原子力発電所を誘致された第5代市長小林治助市長、当時の助役今井哲夫第6代市長、当時の議長飯塚正第7代市長以降、55年にわたって柏崎市は賛成、反対、真剣に文字どおり身を削りながら議論してきたわけであります。この誘致以来の歴史、議事録、資料を今、柏崎市議会の皆様がデジタルアーカイブスにしたいという動きを承知しております。私ども柏崎市の国、東京電力に対する要望は、思い出したように始まったここ一年、二年の議論とは全く別物なのです。

 そして、賛成する立場の方々も反対する立場の方々も自分の地域、柏崎のことだけを考え、豊かになること、安心を求めて議論を展開してきたわけではありません。国の経済の成り立ち、環境問題、エネルギーセキュリティなども含め議論してきたのです。

 脱炭素時代。今年夏、新潟産業大学附属高等学校野球部が夏の甲子園に初出場し、初勝利、私たち柏崎市民に大きな感動を与えてくれました。その甲子園球場は、先月11月、施設運営に当たり、全ての電源を再生可能エネルギーによるものとすると発表いたしました。柏崎にあるリチウムイオン電池工場も水力発電による電源を使っていることは周知の事実であります。世界のキーワードは、脱炭素であります。

 柏崎のみならず、新潟県のみならず、日本のみならず、世界中で異常気象、気候変動、地球温暖化、激甚災害、豪雨災害、土砂災害、スーパー台風、ハリケーンが多くの人命を奪っています。

 脱炭素時代。太陽光、風力、水力、地熱、水素、蓄電池の利活用に加え、原子力発電の利活用は当面の間必要なものであると考え、市政に当たってまいりました。

 昨年、38度の夏、35度の今年を経て、今、なおさらにいわゆる再生可能エネルギーと原子力発電の両立が必然的なものであると確信しております。

 再生可能エネルギーにも原子力発電にもそれぞれプラスマイナスがあります。私が長年申し上げてまいりましたのは現実と理想のバランスであります。言い換えれば、「強さとやさしさ」であります。

 以前より「細い道を行く」、と申し上げてまいりました。市民の皆様へのアンケートでも、また今回の市長選挙においても明らかなように原子力発電絶対反対、即時廃炉という選択をされる方々は約20%いらっしゃいます。それ以外、つまり制限的な原子力発電利活用と再生可能エネルギーの利活用のバランスは現実的であり、理想に近づく確実な道筋であると考える方、約60%~80%の皆様が選択された道であります。細い道ではなく、広い道でありました。

 科学的、技術的な安全を国に確保してもらい、事業者には安心を醸成してもらわなければなりません。私は基礎自治体の長として、国に対しても、事業者に対しても率直な意見を申し上げる中で、市民の安全や安心をより高いレベルに導くよう心掛けてまいりました。今年春の「原子力発電所再稼働」をめぐる「地域懇談会」でも御理解いただけたと思いますが、私は今後も意見が異なる方々との対話を厭いません。

 

約束11イレブン

少子化、人口減少の中にあって、今回の選挙にあたって掲げた公約、「約束11イレブン」を確実に実行し、市民の皆様の安全、安心、豊かさをより大きなものとしてまいります。

1 医療体制を守ります・さらに充実させます。

柏崎の救急医療、地域医療の多くを担う柏崎総合医療センターを必ず守ります。柏崎で唯一赤ちゃんを産むことができる環境を守ります。

2 国の法律に基づき、厳しい安全規制をクリアした原子力発電所の再稼働を認め、同時に再生可能エネルギ―の利活用をさらに進めます。脱炭素エネルギー供給地として誇りを持ち、まちづくりを力強く進めてまいります。

3 「モノづくりにおける脱炭素」日本のトップランナーになります。柏崎の基幹産業を全面的に支援いたします。

 エネルギー分野においては、石油、原子力の時代の重要性を再認識し、そこにとどまりません。柏崎あい・あーるエナジー株式会社は柏崎市所有分を合わせ、太陽光、蓄電池で安定的な発電、供給を目指します。その能力は今後3年で、7,280kw、37,500kwhとなり、基礎自治体が関連するものの中では日本一になります。

 2030年代までに北海道、青森、秋田、村上市、胎内市沖などの日本海側洋上風力にて発電された電力200万キロワットを海底直流送電するという計画が動いております。最終的には800万キロワットも視野に入れた国家プロジェクトであります。5年前に手を挙げた柏崎での揚陸も既に調査が行われ、歩みを進めています。

 来年、令和7(2025)年夏には株式会社INPEXが市内平井の地において水素発電を始め、アンモニア製造を始めます。さらなる事業の拡大が期待されるところであります。

 また、高浜地区及び西山町地区で民間事業者により予定されている陸上風力発電も全国でも指折りの規模となると聞き及んでおります。
重要な脱炭素電力として世界的にも認定されている原子力発電所の電力も直接の供給、権利としての供給などを含め、私たち地元立地点も使えるような仕組みづくりを構築してまいります。

 太陽光、風力、水力、水素、蓄電池、原子力。それぞれ他地域よりも安価に、安定的な供給がなされるよう知恵を絞り、全力で取り組んでまいります。

 結果、今後、脱炭素電力の奪い合いさえ予見される中、モノづくりにおいて、その性能や独自性とともに「脱炭素電力による製造」は付加価値を高めるものとなります。100年近く柏崎の製造業を牽引して頂いてきた株式会社リケンの水素エンジンへの取り組みにも期待するところであります。柏崎の基幹産業であるモノづくり産業、製造業において「脱炭素電力によるモノづくり」「環境にやさしいモノづくり」、柏崎は日本のトップランナーになってまいります。

4 子どもの産みやすい、育てやすい柏崎をさらに進めます。

 妊娠、出産、保育、教育、保護者とともに地域で子どもたちを育んでまいります。

5 農業、漁業、林業、その営みは私たちの命を支える基本です。

 柏崎の美味しいお米、魚、野菜などをPRし、ブランド力、収益率のアップを目指し、観光業とも連携いたします。「美味しい柏崎」を実現させます。JAえちご中越、新潟漁業協同組合柏崎支所、柏崎地域森林組合、柏崎木材協会のさらなる挑戦を応援いたします。

 一次産業が頑張っています。農業においては、新米の香りをいち早く消費者へお届けできる超早場米の「葉月みのり」、コシヒカリのトップブランド「米山プリンセス」は食味値85点以上という数値化されたおいしさを多くの皆様から信頼されるようになってまいりました。お米のみならず、枝豆は「まだ足りない」というお声をいただくまでに成長し、ますます収益性の高い園芸産物として栽培を支援してまいります。玉ねぎ、カリフラワー、ブロッコリーなども同様です。JAえちご中越との連携をますます進めてまいります。

 漁業においては、新潟漁業協同組合柏崎支所が積極的です。柏崎のお魚のおいしさを市内外にお届けしようと、アラのブランド化などに取り組んでおり、これまで以上に観光事業者、飲食事業者と連携し、「美味しい柏崎」を実践してまいります。

 林業においては、今般、柏崎港開港以来初めて柏崎産材を輸出できることとなりました。柏崎地域森林組合の皆様の活躍は多くのメディアに取り上げられ、女性を含む若手人材の確保と育成は森林環境譲与税の使い道として高く評価されておるところであります。また、柏崎木材協会とも連携し、柏崎ショッピングモール フォンジェ内のキッズマジックのリニューアルにも柏崎産材を使わせていただき、多くの子どもたちに木のぬくもりを感じてもらいたいと考えております。

 紅葉シーズンのみならず、グリーンシーズン、お茶、料理、芸術展示などとの組合せで、松雲山荘、新道・秋幸苑(飯塚邸)、高柳町岡野町・貞観園の3つのお庭めぐりが好調であります。さらなるバリエーションの展開が期待されます。

 観光は文字どおり、「光を観る」ことであります。柏崎各所の「光」をこれまで以上に発信し、市外、県外からのお客様に「美しい柏崎」「美味しい柏崎」をお楽しみいただけるよう、支援し、一般社団法人柏崎観光協会とも連携してまいります。

6 建設業は地元の安心を創り、災害時には私たちを守る重要な災害対応産業です。人材の育成、確保を力強く応援いたします。

7 元気なお年寄りを導き、高齢者福祉における人材確保に施策を講じます。男性の健康づくりに挑戦します。

8 「挑戦」を応援いたします。チャレンジド(障がいがある方)、若い方々、一般財団法人柏崎市スポーツ協会、柏崎文化協会などの新しい取り組みを応援いたします。

9 AI新交通「あいくる」の全市域での運行を目指します。

10 商工会議所、商工会と連携し、身近な買い物環境を守ります。

 商圏の小さな柏崎において、柏崎から「打って出る」御商売も必要であると考えております。県内外での販売、またインターネットを使った御商売にも支援してまいりたいと考えております。

11 柏崎へ帰ろう!柏崎に行こう!U・Iターン者の就業、定着をさらに支援します。

といたしました。

 約束11イレブンには入れませんでしたが、拉致問題の完全解決に向けた取り組みは関係者御家族の高齢化が進む中、国に対し確固たる姿勢を求め、基礎自治体としてできうる限りの支援をしてまいります。

 また、新潟県による上越地域と県都新潟市を結ぶ高速鉄道網の整備構想に関して、信越本線をスキップして、ほくほく線を経由するような案も出されております。過日、県知事に対し、「理解しがたい」と直接申し上げたところであります。まずは、糸魚川、直江津、柿崎、柏崎、長岡、新潟を結ぶ新規特急電車又は現行「しらゆき」の柔軟な運用で利便性、速達性を向上させるべきであると申し上げているところであります。

結び

 私は、今から20年前、初めての市長選挙で「少し変わる勇気」という言葉をつくり、キャッチフレーズとして掲げました。

 近年、「保守、そして進取」と申し上げてまいりました。歴史、伝統を大切なものとし、新しいものに挑戦します。

 ますます世の中は、世界は混沌とし、不確実性を極めています。

 いよいよ困難な時代です。動きは早く、決定に猶予はありません。

 私は率直な物言いをもって旨としてまいりました。不徳故相手方に不愉快な思いを与える場面も多かったと承知しております。私自身が一番よく理解しております。しかし、あえて申し上げます。私の不安や厳しい見通しを含め、ほとんど全て的を射るものであったとも考えております。

 私は傲岸なピエロと呼ばれようとも、裸の王様と呼ばれようとも構いません。柏崎の現実を見つめ、理想を求めてまいります。どんな方とでも率直な意見交換をする、そして誰よりも柏崎を自らの足で歩く市長であったと言われ、この任を全うしたいと考えております。私が持つ全ての力と時間を我が柏崎に注ぎます。必ずや「強くやさしい柏崎」をつくってまいります。

 市民の皆様、市民の皆様を代表する柏崎市議会の皆様の御指導と御理解、御協力を心よりお願い申し上げ、所信表明とさせていただきます。

************

12月定例会議には以下の議案が提出されました。

令和6(2024)年12月定例会議 市長提出議案

このうち、柏崎駅前ホテルの解体・撤去工事の契約(公費解体)は

令和8(2026)年3月末を期限(契約書では令和7年度末を工事完了期限としているが、国の予算繰越が決定したら令和8年度末を期限とするよう契約変更する)とし、周辺への影響を抑え、安全対策を施した上で工事を実施する

ことを確認した上で、即日採決で可決されました。

尚、本契約は電子契約であり、柏崎市のDX推進の一端を示すかたちとなりました。

柏崎市の DX 推進度が人口同規模以下の自治体で全国 1 位に

本会議終了後は、総務常任委員協議会・作業部会があり、1年半かけて調査・研究に取り組んできた「持続可能な地域公共交通について」の政策提言案を協議しました。今後は議長、市長に提出することとなります。

午後からは議会運営委員会、広報広聴常任委員会でした。

本日は「市議会だより「ギカイのとびら」198号」の発行日でもありました。

色々とやることが山積していますが、体調を整えて頑張りたいと思います。

Hyoshi198

 

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