9月定例会議 最終日
10月8日は柏崎市議会9月定例会の最終日であり、令和5(2023)年度決算の認定について、以下の賛成討論を行いました。
承第3号 令和5(2023)年度一般会計決算の認定について、会派「柏崎の風」を代表して、賛成の立場で討論いたします。
令和5(2023)年度は、新型コロナウイルス感染症が2類から5類に移行し、数年に渡って縮小・中断してきた様々な事業を従来の規模・内容に戻し、ようやくコロナ禍前の日常に回帰した一年でした。
その一方で、エネルギー価格や資材等の物価高騰や人件費の上昇、夏の猛暑や記録的少雨などの異常気象、そして、元日に発生した能登半島地震は、市民生活や各産業に多大な影響を及ぼし、一般会計においては22回の補正予算を組んで、様々な事態に対応してきたと承知しています。
このような状況を鑑みながら、私たちの会派では、
〇施策の推進と将来への備えのバランスを考慮した、持続可能な財政運営であったか。
〇柏崎市第五次総合計画・後期基本計画の重点戦略「子どもを取り巻く環境の充実」と「大変革期を乗り越える産業イノベーション」の実現に向けて前進したか。
〇人口減少・少子高齢化の同時進行に対応する各施策によって、市民の安心・安全が守られ、市民福祉の向上が図られたか。
との観点から審査に臨みました。これより、評価した点を述べさせていただきます。
財政運営においては、令和5(2023)年度の決算時における予算現額551億9,990万4千円に対し、歳入決算額は512億4,741万7千円、歳出決算額は479億867万4千円であり、差引き額から翌年度繰越分を除いた実質収支額は
27億4,804万6千円の黒字となりました。
ここから、前年度実質収支額29億2,119万7千円を差し引いた単年度収支額は、1億7,315万2千円の赤字となっているものの、財政力指数、経常収支比率、実質公債比率それぞれが良好な範囲内にあり、健全な財政運営が為されたものと理解いたします。
歳入においては、6億9,888万2千円の減額、前年度比1.3%減でしたが、主な要因は新型コロナウイルス感染症対策に係わる国・県支出金の大幅な減額であり、自主財源である市税を維持し、ふるさと応援寄付金を増額するなど、堅実な財源確保に努めています。
特に市税の確保においては、前年度以上に滞納者へのアプローチを強化するとともに、DXを活用した納税環境の充実化を図り、収納率の更なる改善につなげたことを、高く評価いたします。
また、当初予算段階で16億4千万円を取り崩す予定であった財政調整基金は、結果的に約7億円の積み増しとなりましたが、新ごみ処理場や新産業団地の建設、公共施設の維持管理といった将来的な財政需要や、突発的に起こる大きな災害等への対応を鑑み、妥当な措置だと判断いたしました。
次に、各事業の執行状況を通して評価した点を述べさせていただきます。
財務部関係では、前述した手堅い財政運営、収納率向上に向けた地道な努力に加え、電子契約の導入により、庁内におけるDX活用をさらに前進させたこと。
総合企画部関係では、AI新交通あいくるの導入やマイナンバーカード取得・活用促進の取組により、市民生活の利便性向上を図ったこと、柏崎あい・あーるエナジーと共に施工した太陽光発電設備による電力供給を開始し、脱炭素のまちづくりと産業イノベーションに貢献したこと、男女共同参画の意識啓発により、ハッピーパートナー企業を増やし、仕事と育児・介護を両立できる職場づくりを進めたこと。
市民生活部関係では、新ごみ処理場建設に向けた具体的な検討や、不法投棄防止対策として、長年の懸念事項であった蕨野地内・旧米山牧場跡地の廃タイヤ処理を開始し、持続可能な環境衛生への道筋をつけたこと。
消防本部関係では、ソフト・ハード両面の備えを厚くし、市民の生命・安全を守るために、もっとも危険な現場の最前線で迅速に対応されたこと。
危機管理部関係では、令和6年能登半島地震をはじめとする自然災害や、広範囲かつ長時間の停電発生時に適切な判断・対応を行ったこと、原子力防災における課題解決に率先して取り組まれたこと。
福祉保健部関係では、障がい者の自立に向けた主体的な取組を支援したこと、介護人材確保の支援策の成果として、各介護サービス事業所の配置基準を満たせたこと。
子ども未来部関係では、10月から開始した1~2歳児への保育料無料化や保護者への相談支援体制の強化、子どもの遊び場整備の拡充を進め、子どもを取り巻く環境の更なる充実を図ったこと。
教育委員会関係では、特別支援教育介助員やスクールサポートスタッフの配置により、児童・生徒ひとりひとりに目を向けた学校教育の推進や、教員の負担軽減を図ったこと、綾子舞保存振興事業では、ユネスコ登録の意義を市民と共有し、伝承活動への支援を通して、ふるさとへの誇りと愛着を醸成したこと。
都市整備部関係では、人口減少、高齢化に伴う労働者の不足、自然環境の変化や円高、物価高の影響など、厳しい状況の中、市民の生活に直結する道路、河川、住宅、除雪等の諸課題について、計画に基づく事業の実施や迅速な災害対応をしていただいたこと、管理不全の空き家対策を根気強く続けてきた成果が徐々に表れてきたこと。
産業振興部関係では、農林水産業や商業、観光、ものづくり産業などの生業(なりわい)において、雇用、働き方への支援及び各業種に対し、事業継続のための後押しを行ってきたこと。
これらの取組によって、重点戦略を推進し、課題解決を図ってきたものと受け止めています。
しかしながら、審査を通して見えてきた課題もあることから、その改善策について意見を述べさせていただきます。
総務関係では、人口減少の進行に歯止めをかけるには、市民が柏崎での仕事と暮らしに満足感を覚え、自らがセールスパーソンとなって、「人」を呼び込み、留める動きにつなげることが必要と考えます。
令和5(2023)年度の取組を発展させるとともに、全庁的な連携を更に深めて、各施策・事業の相乗効果を上げられるよう努めていただきたいと思います。
文教厚生関係では、市民の健康増進や介護予防の観点から、定期健診の受診率向上につながる啓発や、軽・中等度難聴者補聴器購入費助成事業そのものに対する周知を強化することが必要だと考えます。
また、1,2歳児の保育園無料化や小・中学校の給食費を公会計化した後(のち)も、保育料給食費相当分や学校給食費の滞納があることは見過ごせない課題であり、「子どもを取り巻く環境の充実」の観点から、適切な支援により早期解決を図っていただきたいと思います。
産業建設関係では、各生業(なりわい)に対して、継続して行っている補助、支援事業の効果の確認や分析、及び支援対象の後追い作業が弱いと感じられる為、今後はその点を強化していただきたいと思います。
また、部門間の連携や協力が課題であると感じられる為、連携、協力を言葉だけで終わらせることなく、しっかりと実行していただくようお願いいたします。
最後に、令和5(2023)年度は、柏崎刈羽原子力発電所3号機が運転開始から30年経過したことに伴い、電源立地地域対策交付金は、1億14万2千円、前年度比5.5%増額し、総額で19億2,547万円となりました。
原子力発電所関連財源があるからこそ、本市は様々な行政課題に対応しながら市民の暮らしを守り、持続可能な柏崎に向けて新たな挑戦ができるのだと思います。
柏崎刈羽原子力発電所と長年に渡り共生してきた矜持を持って、新規制基準に適合する号機の早期再稼働、その先にある柏崎市政の発展と市民福祉の向上を、今後も櫻井市長と共に目指したいと申し添え、承第3号 令和5(2023)年度一般会計決算の認定に賛成いたします。 以上です。
*****
他に反対1名、賛成1名の討論があり、賛成多数で決算の認定が可決されました。
その他の特別会計決算の認定もすべて可決されました。
最近のコメント