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2024年9月

2024年9月19日 (木)

【総務常任委員協議会】柏崎市内の路線バス減便等について

9月19日の総務常任委員協議会において、柏崎市内の路線バス減便等について、総合企画部企画政策課から説明を受けました。

総務常任委員会では「持続可能な地域公共交通」をテーマに調査・研究を進めている過程での減便であることから、情報共有をいただくことを目的に開催したものです。

企画政策課より

8月19日に越後交通(株)から路線バス利用状況と運転士不足の現状に伴う10月1日からの減便について説明を受けた。減便等までの期間が短いことから、減便時期を遅らせるよう話をしたが運転手不足に対応するには困難とのことであった。市としては年度途中の減便により混乱を来さないよう住民への周知をお願いした。

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*越後交通HPより引用

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質疑・意見

問1
年度途中のダイヤ改正はこれまで無かった印象だが、実際のところはどうか。

答1
通常は4月1日改正が多いと認識する。利用状況が厳しい上に、運転士不足が深刻化している。各営業所の間でやり取りしながらようやく運転士を確保しているため、この時期の見直しになったと推察する。

 

問2
市への説明から減便までの期間が短いが、住民に対しどのように周知したか把握しているか。

答2
まずは対象となっているバス停、バス車内、窓口に掲示している。越後交通HPに掲載している他、影響の大きいコミュニティセンターへの説明、通学等への影響を考慮し、柏崎市内の高校への案内は行ったと聞いている。

 

問3
事業者による減便・廃止の意向は毎回市に伝えられるのか。

答3
減便・廃止の説明は、年度始めが多いので、予算編成を行う直前の時期に話しがあるのが通常の状態と認識する。

 

問4
8月19日に打診があった後、8月26日に総務常任委員協議会があり、今後の交通網再編について説明があったが、なぜそこで話が出なかったのか。地元のコミセンでは聞いていないとの声もあるが、広報かしわざきでの告知等は考えないのか。

答4
8月26日の段階では越後交通(株)に対して減便開始日の延長を申し入れしている最中であり、説明できる段階にはなかった。コミセンに対しては平日減便影響の大きい鯨波地区、大洲地区、休日運転休止となる中通、北鯖石地区の4コミセンに説明を行ったと聞いている。今後、他の機会においても説明は求めている。
広報かしわざきでの告知は、民間の交通事業者の減便まではこれまで掲載してこなかった。今後どのような周知が必要なのかは検討したい。

 

問5
これまでは事業者がチラシを配布する等しているが、今回は緊急性が高く、平日・休日の減便は誤解を招きやすい。公共交通を守る観点から市民への周知を丁寧にすべきではないか。

答5
これまでとは異なる状況であるが、民間事業者の経営方針の中での減便であり、ひとつひとつを市民に周知できるのかは検討が必要である。特に8月19日に減便の話をいただいてからは、いかに市民の皆様への影響を少なくするかとの観点で交渉してきたが、平均乗車人数を突き付けられると、応じざるを得ない。
運転士不足についても、高齢化に加えて退職者が相次ぎ、厳しい状況を推察する中で、やむなしと判断した。
いずれにしても市民の皆様にご迷惑がかからないよう周知は必要だが、第一義的には運行事業者が周知するべきである。
真に持続可能な地域公共交通を守ることが市の責務と考える。

 

問6
柏崎市内の路線バスを維持するには最低どの程度の運転士人数が必要なのか把握しているのか。

答6
過去に営業所の運転士人数を調査した際は50人台であったが、その段階でも年齢層の高さや退職者がいることにより厳しい状況だった。利便増進計画、あいくる運行においても運転士確保が課題であり、事業者の主体的な取組みがもっとも大事だが、行政としての支援も考えていきたい。

 

問7
減便対象は不採算路線だが、もっとも不便な地域でもあるとも言える。難しい問題だが、今後も半期ごとのダイヤ見直しが行われる可能性が高いことから、節目ごとに議会に対して減便の情報を共有していただくことは可能か。

答7
運転事業者のダイヤ改正公表時期との関連もあるので、相談させていただきたい。

意見
タクシーや観光バスの運営、他地域の営業所との兼ね合いもある中で、今回の減便は苦渋の判断だと思う。
運転士が辞めていくのも、「空気しか運んでいない」状態でバスを走らせ続けることに、働き甲斐を感じられないのではないか。
市として民間事業者をどれだけ支援し、市民に対してメリット・デメリットを示せるか、議会として何ができるのかということも、あわせて考えていかなければならない。

*****

協議会の前後から、新潟県内の他市町村でも、路線バスの減便・廃止、市街地循環バスの撤退等が報じられ、交通事業者が置かれている状況の厳しさが伝わってきます。

ですが「1日1人未満しか乗らない」バスを維持すること自体が、そもそも異常だったのではないかとも感じます。

これまでやってきたことや今ある環境を当たり前と思わず、現実を直視した上で、守るべきものは何かを見極めながら、「持続可能な地域公共交通」を目指していきたいと思います。

 

2024年9月15日 (日)

令和6年9月一般質問2「日常化する災害への対応力強化に向けて」

令和6年9月10日に行った一般質問の続きです。

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令和6年9月一般質問 映像配信(近藤)

次の質問「2 日常化する災害への対応力強化に向けて 」では、まずは(1)令和6(2024)年度 水害対応総合防災訓練の検証と今後の取組 について伺います。

かつて「忘れた頃にやって来る」と言われた災害は頻発化し、全国各地で地震、大雨、台風、猛暑等の被害が発生しています。もはや日常の合間に災害があると認識しなければなりません。

今年6月9日に実施された柏崎市水害対応総合防災訓練では、能登半島地震の経験も踏まえ、マイナンバーカードを活用した避難者受付集約システムの試験的な実施、避難所でのペット同行避難受け入れや福祉避難室開設、米山SAへの徒歩避難等、新たな取組が盛り込まれました。

これらの訓練結果を検証し、実際の災害対応に反映させるとともに、訓練内容をブラッシュアップしていくことが重要だと思います。

また、市民の防災に対する意識が高まっていること、多くの住民が訓練に参加したことから、検証結果の詳細を柏崎市HP等において公表することが、自助・共助の向上にもつながると考えます。

そこで、まずは令和6(2024)年度水害対応総合防災訓練の総括的な検証と今後の取組について伺うとともに、検証結果を市民に公開することについての見解をお聞かせください。

市長

水害総合訓練は、コミュニティ単位で年度ごとに地区を変えながら、地域住民参加による訓練を実施し、水防意識の醸成を図り、地域防災力の向上を目指して行っているところでございます。また、2年前から、より実災害時に即した訓練となるよう努めてきました。

例えば、これまで車両展示などのブース出展のみを行っていただいた自衛隊には、水防避難訓練の視察と、その後の講評や指導までお願いするようにしております。また、実車両を使用しての避難住民搬送を行っていくようにあらためたところです。

消防団では、実際に避難訓練が行われている川沿いの現場で土のう積みを行いました。今年度はじめて、議員からもご参加いただきましたけれど、柏崎ファミリードッグ、新潟県動物愛護センター、新潟県獣医師会の協力を得て、ペット同行の避難訓練も実施したところです。

こうした結果、得られた貴重なご意見、改善点につきましては、整理を行った上で、訓練に参加いただく自主防災会へのフィードバックを既に始めており、今後、当該地区以外にも広く情報共有を図ってまいります。

その他、防災訓練内容や避難所環境の改善を、防災ガイドブックの改定や柏崎市地域防災計画に載せるかたちで、得られた経験も反映することを考えております。
また、検証を総括した結果の改善内容や問題点は、市のHPやSNSでも今後周知してまいります。

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近藤

総括的な検証をいただいた中で、今後は市のHPやSNSでも公表していただけるということで、ぜひお願いしたいと思います。
その訓練の中でもマイナンバーを活用した避難所受付では発展的な方向性にあると思いますので、

次に(2)マイナンバーカードを活用した避難所受付の方向性 について伺います。

6月の水害対応総合防災訓練に次いで、8月の原子力災害を想定した防災訓練においても、マイナンバーカードを活用した避難所受付訓練が行われました。会場となった松波コミュニティセンターでの様子を見学させていただき、初期設定の後はスムーズに受入れしている様子を確認しました。

災害時には避難所受付の混雑が予想され、状況によっては居住地域以外の住民が避難することもあり得ます。マイナンバーカードによる受付が実用化すれば、混雑緩和、安否確認、避難者の特定、災害対策本部での集計の円滑化などの効果が期待できると思います。

新潟県内では三条市が既にマイナンバーカードの避難所受付システムを導入し、非常に機能的にやられていると伺っております。
本市においても、マイナンバーカード取得率が8割弱であり、これまでの訓練を通して、有用性や課題を検証されていることと思います。

そこで質問です。マイナンバーカードを活用した避難所受付を本格化することへの見解及び今後の取組について伺います。

市長

今ほど近藤議員から他市におけるマイナンバーカードを使った避難所受付についてご紹介いただいたところですが、他市での避難所受付にはマイナンバーカードにアプリケーションをインストールしたものでなければ使えないということであり、ICチップの読み取りに時間がかかっていたと報告を受けております。

また、新潟県も本人認証に関して避難所受付に関しては、色々な試みを行っておりますが、例えば生体認証では、機器のトラブルにより認証ができない、アプリケーションのスマホへのインストールがうまくいかない、そもそもご高齢者が多い中で、スマホを使い慣れていないからうまくインストールできない等の問題点がございました。

しかし、柏崎市が6月に実施した水防対応総合訓練 では、マイナンバーカードにそれぞれ各人に記載されている二次元コード(QRコード)を読み取る方式で受付を実施したところでございます。

市民の皆様から見れば、マイナンバーカードさえ持参すれば、アプリのインストールや生態認証のためにあらかじめ顔写真を入力するなどの事前の準備がなくても、避難所受付できることが訓練の目的だったわけですが、1人あたりの所要時間は、平均して約8秒でございました。従前の手書きの受付表記入に比べて、27分の1の時間短縮(手書きは3分40秒弱)されたことになります。

そして、8月の県の原子力防災訓練時には、さらに改良を加えたシステムを試験的に用いて、同様以上の成果を見ております。私も両方の様子を見ましたが、8月の受付は2秒程度でした。

6月の訓練では画面が小さく、生年月日をお尋ねするんですが、どうしても元号(昭和何年等)でお答えになり、機械の方は西暦で入っておりますので、和暦への転換がなかなかうまくいきませんでした。8月の訓練では両方に対応できるようになりました。ディスプレイも大きくして、混雑時に文字の見間違いがないようにしました。非常にスムーズになりました。

柏崎市民が市内での避難で完結するのには対応しうるシステムになったと考えますが、一方で原子力災害のように避難先が市外であったり、いくつかの経由所を経て行われる場合には、全県統一のシステムが必要となってまいります。

現在、新潟県は避難所受付にかかる防災アプリの開発を進めており、本市もその検討会に参画しておりますが、私はそんな面倒なアプリをつくるのではなく、実際にマイナンバーカードを使ってもらえれば、1人2~3秒で行けるのだということで、本市の試験運用の知見をフィードバックし、全県統一システムとして採用していただけるよう、積極的な議論をリードしている最中でございます。全県下での早期のシステム導入を目指し、引き続き取り組んでまいります。

近藤

今、全県統一システムを目指すと伺ったので確認ですが、市で先行して入れるということはせず、全県統一のタイミングを待って導入していくとのお考えになるのでしょうか。

市長

私どもは実践・改良を重ねて実用に耐えうる状態にありますが、県は県でお考えがあるので、マイナンバーカードを使うシステムを期待しているところです。

近藤

承知しました。では県を急かしていただくということで、次の質問に移ります。

(3)優先開設避難所となる公共施設の展望 では、まずは【バリアフリー未整備施設における対応】について伺います。

今年6月の水害対応総合防災訓練では、第三中学校で福祉避難室の開設訓練が行われましたが、受付及び福祉避難室が設置された体育館玄関先にスロープはなく、車いすの訓練参加者を人力で移動させる場面が見受けられました。

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令和2年度、通称バリアフリー法が改正され、公立小中学校等のバリアフリー基準への適合が求められるようになりました。
文部科学省では、令和7年度末までに、スロープ、バリアフリートイレ、エレベーターにそれぞれ基準を設けながら、全校設置を目標としております。

そこで、担当課から資料をいただいて、市内小・中学校のバリアフリー化の状況を確認したところ、スロープ、バリアフリートイレは全学校で校舎・体育館両方もしくは片方に設置され、第三中学校を含む未整備校では令和7年度までに設置予定とされていました。

柏崎市立小・中学校のバリアフリー状況に関する資料【教育総務課】

また、エレベーターは30校中7校に整備され、未整備校に車いす利用の児童・生徒が在籍する場合は、先生や生徒のサポートや教室の入れ替え等により対応しているということです。

一方、各地域のコミュニティセンターも、災害時には優先開設避難所として指定されていますが、一部はスロープやバリアフリートイレが未整備となっています。

コミュニティセンターのバリアフリー状況に関する資料【市民活動支援課】

こうしたバリアフリー未整備の公共施設を優先開設避難所として開設する場合に備えて、車いす使用者の安全確保のための手段を明確にしておくことが必要だと考えます。

また、他の自治体ではHP上で、各避難所のバリアフリー状況を公開しているケースもあり、災害時はもちろんのこと、日常的な利用における判断材料になると思います。

そこで質問です。優先開設避難所となる小・中学校やコミュニティセンターのバリアフリー整備状況を踏まえた車いす使用者への対応及び整備状況の公開について、見解を伺います。

危機管理監事務取扱

ご質問にお答えします。パーフェクトなかたちで優先開設避難所全てをバリアフリー化するのは、費用面からも困難なことであります。

小・中学校であれば、現行のバリアフリー基準に適合するよう大規模改修時に整備を実施したり、東中学校や荒浜小学校のように、新築の際にエレベーターやスロープ、各階や体育館等へのバリアフリートイレの設置などを順次行っていきたいと考えております。

また、コミュニティセンターにつきましても、まずは玄関にスロープのない施設への簡易スロープの設置を、今年度に進めてまいりたいと考えております。

建物へのスロープ設置状況は、小・中学校であれば体育館か校舎のどちらかに、またコミュニティセンターにおいては、敷地から玄関までは全施設にスロープが設置されており、建物内に退避は可能となっております。

小・中学校で体育館が2階にある場合は、1階の教室等を開放する等、体育館の利用にこだわらず、施設の特性にあわせて避難者の受入れは行っているところです。

ただ、理想的には今ほど第三中学校の例をお示しいただきました通り、実際に避難される場所に直結したスロープを設置するなど、さらなる充実が望ましいわけでございます。施設によっては予算的な面ですぐに増設は難しいわけですが、こちらにつきましても状況に応じて検討してまいります。

例えば簡易型のスロープ等につきましても、予算の範囲内で整備を進めてまいりたいと考えております。車いす使用者に限らず、要配慮者への対応はハードの整備のみならず、引き続き各地区の自主防災組織や市の職員、教職員等との情報共有を行い、訓練を継続的に実施し、明らかになった課題を一つ一つクリアーにし、ソフト面もあわせて災害対応力、防災体制の強化を図ってまいります。

ご提案いただきました、法律にも基づいているわけですが、本市のHPでの各避難所における整備状況の公表につきましては、早急にバリアフリートイレやスロープ、エレベーターの設置状況をまとめたものを、見やすいかたちで追加していきたいと考えておりますので、ご理解賜りたいと思います。

近藤

前向きなご答弁ありがとうございました。次に「人口減少に伴う避難所指定の方向性」について伺います。

現在、柏崎市では、40年間で2割の公共施設の延床面積を縮減するという公共施設マネジメント基本方針に基づくコミュニティセンターの統廃合、柏崎市立小・中学校学区再編方針に基づく公立小・中学校の統廃合が進められています。

公共施設等総合管理計画

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小・中学校の再編方針をお示しします

しかし、統廃合の対象となる公共施設は、現在の防災ガイドブック<自然災害編>では、地域の優先開設避難所に指定されているケースが少なくありません。

人口減少が進んでも、その地域に住民がいる限り、安全性の高い避難所は必要だと考えますが、その一方で施設の維持管理は課題となります。

そこで質問です。人口減少に伴う公共施設の縮減と、優先開設避難所指定の方向性について見解を伺います。

危機管理監事務取扱

質問のご趣旨としては、人口減少を背景として、公共施設の施設規模の適正化を図る中で、児童数の減少により閉校した小・中学校を指定避難所として確保し続けるコストと、避難者の安全性及び利便性をどのように両立していくのかという内容として受け止めているところでございます。

昨今の状況を踏まえれば、人口が減るということは、その一方で避難者も減っていくということと同義でございます。原則としては、指定避難所を増やしていくということは必ずしも合理的ではないと認識しています。

そういった中で、その地域に住民の方がいらっしゃる限りは、身を守れる安全・安心な避難所は、一方では当然必要となってくると。こういった中で、学校であれば閉校した、その他の優先開設避難所も何らかのかたちで統廃合された場所につきまして、どういう風にそこを残していくのかということは、ご指摘の通り、コストと地区住民の安全の確保という意味合いの中で検討していかなければならないと・・

例えば高柳小学校につきましては、地域の皆様と協議をはかり、合意形成を致し、体育館部分に指定避難所の機能を残している例もございます。

安全性の高い避難所はそこに住民がいる限り必要だとの考えには、まったく賛同いたしますが、施設の維持管理にかかるコスト、避難所としての安全性及び利便性、この三点の状況を総合的に考えまして、地域の皆様とも協議しながら、個別に検討していきたいと考えております。

少なくとも言えることは、閉校や統廃合の前のフルスペックの状態で維持していくことは難しいため、高柳小学校のように規模を縮小し、避難所として必要な部分のみを残して運用していくのが、原則的な考え方です。

近藤

今ほどのお話で人口減とともに避難する人も減っていくとのことでしたが、そうなってきますと、必ずしも大きな公共施設だけが優先開設避難所でなくてもいいと、そういう考え方もあるかと思います。

そこで次に (4)町内会集会施設におけるデジタル環境の整備 について伺います。

近年はペーパーレス化が進み、本市においても柏崎市公式サイトにアクセスして情報取得することが求められます。

そのため、ある町内会役員の方から、集会施設ではインターネットを使えず会議等で不便だが、世帯数が少なく自前でのデジタル環境の整備が厳しいことから、公的な補助制度を創ってもらえないだろうか、とのご意見をいただきました。

他にもデジタル環境を自前で集会施設に導入したものの、世帯数減少により維持が困難になり、契約をやめた町内会もあると聞き及びます。

他の自治体では、町内の活動拠点である集会施設のデジタル環境の整備や、維持のための補助金を交付する事例もあります。

【松戸市】町会・自治会の活動デジタル化に対する補助

【米原市】自治会集会施設情報通信ネットワーク環境整備費補助金

町内会集会施設の利便性向上による地域住民の交流促進は、災害時の共助を高めると思います。

また、災害時は電話回線や有線によるインターネット回線が不通となる可能性が高いわけですが、無線インターネットツールは有効な情報伝達手段として知られます。町内会集会施設にデジタル環境があれば、情報集約拠点も兼ねた自主避難所として利用できると思いますし、先程の質問とも関連しますが、立地条件や耐震性等の条件が確保できれば、公共施設に代わる優先開設避難所とすることも可能かと思います。

そこで、本市でも町内会集会施設のデジタル環境整備への補助の新設、あるいは既存の町内会集会施設の建設・改修等の補助要件を拡充し、通信環境の整備や維持も含めることを検討してはどうかと考え、質問します。

日常的な利便性向上と交流促進、災害時の通信機能維持の観点から、町内会集会施設のデジタル環境整備を支援することへの見解をお聞かせください。

市民生活部長

ご紹介いただきました通り、全国的には地域活動の支援策としての制度化は、時代の要請として十分理解するところです。

一方で本市では地域コミュニティの活動拠点となるコミュニティセンターを全地域に設置し、災害対応としてもそのエリアの町内会を包括する自主防災組織の体制構築や、その拠点であるコミュニティセンターや小・中学校等に整備した公衆無線LANなど、本市の特性を生かした拠点整備を行ってきたところであります。現時点では町内会単位でのデジタル環境整備の補助制度創設は予定していないことをご理解いただければと思います。

本市の町内会集会施設建設費等補助金では、制度創設以来、耐震診断や耐震化のための大規模改修を対象事業に加えるなど、まずは施設の安全性の確保、今ほどお話のありました小さな避難所としての安全性の確保を優先して取り組んでいるところでありますが、地域活動の持続可能性を高める上では、デジタル化の推進も有効な手段であります。近藤議員のご指摘を含めまして、地域活動のデジタル化に関しては、今後も研究してまいりたいと考えております。

近藤

今回この質問の通告をしてHPに上がった段階で、ご相談を受けた方とは別の方からご連絡をいただきまして、実は町内会集会施設におけるデジタル環境の整備には関心があると言われました。そうなってくると、潜在的なニーズも、もしかしたらあるかもしれません。

ですので、例えばどこかのタイミング、町内会長さん達に何かを通知するようなタイミングとあわせて、集会施設のデジタル環境整備に対するニーズだけでも、いったん把握するといったお考えはありますでしょうか。

市民生活部長

私どももこの度ご質問いただきまして、新潟県内の他市の状況など調べさせていただきました。その中でお話しいただいたように、既設の町内会集会施設の補助に溶け込んだかたちで補助をしているところは2つありました。しかし、今のところ町内会からの申請はないということで、研究課題であると思っております。

一方で、令和3年度に町内会への文書の送達について、電子メールを活用した部分へのアンケートを取ったところ、希望する町内会は10%に満たなかったということで、様々な要因も含めて、研究させていただく状況でありますので、今後も国の動きなど注視していきたいと思います。

近藤

コロナ禍以降、デジタル化は急激に進んでおり、その時点ではニーズがなかったとしても、今後役員の入れ替えがあったりする中で、ニーズも変わってくるかと思います。その辺りも踏まえて、ぜひ前向きな研究をお願いしたいと思います。

 

最後の質問は、公助の観点から (5)自走式水洗トイレ導入の可能性 について伺います。

災害時には、断水や配管の破裂等により流せなくなった水洗トイレが排泄物で一杯になる等、劣悪な衛生状態となることが知られます。過去の災害では、避難者が不衛生なトイレを使用したがらず、水分摂取を控えた為に、心筋梗塞やエコノミークラス症候群等で亡くなる「災害関連死」の事例も報告されています。

このような事態を防ぐため、自治体が自走式水洗トイレ(トイレトレーラー、トイレカー)を導入し、災害時の対応や被災地支援につなげる動きが見受けられます。

見附市では、総務省消防庁「緊急減災・防災事業債」を活用した災害派遣トイレネットワークプロジェクト「みんな元気になるトイレ」に参加し、クラウドファンディングを利用して令和3年にトイレトレーラーを導入しています

また、今年7月末に行政視察で伺った新発田市でも、年度内にトイレトレーラーを導入するとお聞きしました。

県外におきましては、兵庫県南あわじ市愛媛県宇和島市長崎県島原市では、それぞれ自走式水洗トイレカーを導入し、相互派遣協定を結び、全国各地の被災地にも連携して派遣することを申し合わせています。

3市は総務省に対して導入支援や無償貸与、災害時相互派遣協定の全国ネットワーク構築を要望したことも報じられました。

こうした自治体が保有する自走式水洗トイレは、日常的には市内のイベントや環境美化活動に活用され、令和6年能登半島地震においては、被災地に貸与されています

尚、今回のこの質問は、今年の7月に参加した早稲田大学マニフェスト研究所等が主催する全国地方議会サミット2024で、「非常事態への備え これからの議会」をテーマに、大きな災害を経験された自治体の首長や議長等による講演・パネルディスカッションを拝聴しました。

この時に能登半島地震の被災地に派遣されたトイレカーが非常に役に立ったことが、被災地の議長さんや首長さん達から紹介され、最後のサミット出席議員による申し合わせ事項が宣言として作られるのですが、「災害時に自治体間が助け合えるよう、市区町村に1台のトイレカーを配備するよう議会から行政へ提案していくこと」を盛り込んでおります。

そうしたこともあって、今回、私も自分なりに調べ、質問させていただきます。
トイレカー、トイレトレイラーといった自走式水洗トイレは、災害時の対応、自治体間の被災地支援に有効だと考えますが、本市における導入の可能性について伺います。

危機管理監事務取扱

今ほども本当に詳しくご紹介いただきました。私どもとしても、全国地方議会サミットでの動きや、他の自治体の導入状況についても承知はしているところです。

近藤議員のご質問はトイレの質に言及されたものであり、私どもとしましても、トイレカーの有効性、有用性は理解するところではございます。

また、自治体間の互助の精神の部分も、当然、私どもも中越沖地震で全国の自治体からお世話になっていることを考えれば、十分に共感すべきところでありますが、ネガティブな言い方ですが、全国的に導入が広がらない場合に、必要器数の充足をどういう風に考えていけばいいのかという部分、また、導入している自治体が近くに存在しなければ、被災した自治体の道路状況によって、派遣先までたどり着けないこともあるかもしれないとの懸念もあります。

そして、何よりもトイレカー1台が、トイレ4器を搭載しているものが標準だそうですが、1台につき約1,800万円ほど経費を要し、さらにオスメイト対応等の機能的なものは1台3,000万円以上になると伺っております。

こういった中で導入につきましては、他の自治体の状況を注視しながら、実際の自助による対応の周知として、災害用ポータブルトイレを各自で用意していただくことや、組み立て式トイレの導入、その他、災害協定に基づく物資の調達の中で、代わることはできないのかということと併せて、検討していきたいと思います。

ご紹介いただきましたように、現在新潟県内では見附市新潟市が車両を購入しており、現在、新発田市がもう既に契約済みで納車待ち、三条市におきましては今年度中に導入を目指しているとも聞いております。ちなみに新潟県では現在、これについてはまったく考えていないということでございます。

こういったものについては、都道府県のご支援ご協力もいただきながら、備えておくことも有効ではないかと考えております。総合的に色々な部分を検討しながら、研究は続けてまいりたいと考えております。

近藤

高額だということを伺いましたし、これからの研究課題だと伺いましたけれど、例えば自治体として所有するのではなく、どこかと協定を結び、何かあった時に手配してもらう、また、間接的に被災地に手配する、そういったこともあるかと思いますので、それもあわせて研究材料としていただければと思います。

長くなりましたが、これで私の一般質問は終わりとさせていただきます。ありがとうございました。

 

令和6年9月一般質問1「エネルギーのまち柏崎における市民福祉の向上」

令和6年9月10日、一般質問を行いました。以下はその内容です。

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令和6年9月一般質問 映像配信(近藤)

近藤
「柏崎の風」の近藤由香里です。今回は櫻井市長2期目最後の一般質問であり、午前中にも課題解決と柏崎市政の前進に向けた決意を伺ったところですが、通告に従い、率直かつ簡潔に質問してまいります。宜しくお願い致します。

最初の質問 1 エネルギーのまち柏崎における市民福祉の向上 では、(1)柏崎刈羽原子力発電所の動向と本市への影響 としまして 【東京電力ホールディングス株式会社に対する7項目の評価】について伺います。

今年7月の櫻井市長の定例記者会見において、令和元(2019)年11月19日に東京電力HD(株)に対して市長が提出した公文書「柏崎刈羽原子力発電所の再稼働及び廃炉に関する基本的な考え方」の7項目に対する評価を示されました。

その時点では「1基以上の廃炉計画の明確化」、「新潟県での再生可能エネルギー確保への努力」は×、「6、7号機の使用済み燃料プールの保管量低減」、「地元エネルギー産業への協力」は△としていました。

ですが、8月22日に東京電力HD(株)社長と面談し、これまでの取り組み実績と今後の対応の方向性についての報告を受けた後、7項目のうち6つは〇、1つは△になったとして「再稼働の要請があれば容認する」と明言されました。

BSN 2024.8.22 柏崎市長「再稼働要請あれば応じる」7号機再稼働を容認する条件が整ったとの認識示す

一方、対外的には再稼働を巡り、国と新潟県、立地自治体以外の市町村との間で攻防が続いており、9月6日の原子力関係閣僚会議において、新潟県が要望する避難道路などを国負担で整備する方針を決定する等、日々刻々と状況が動いています。

こうした中、東京電力HD(株)に対する7項目の要望が進展したことを受け、櫻井市長は3期目の出馬を表明されましたが、柏崎刈羽原子力発電所には多くの市民が関わり、その動向は本市の将来や市民生活に大きく影響すると考えます。

そこで、最初の質問として、東京電力ホールディングス株式会社に対する公文書7項目に対する評価の意図をあらためて伺うとともに、7項目の進展と柏崎市の利益・市民福祉の向上との関連性についてのご見解を伺います。

市長

令和元(2019)年11月19日に私が提出した文書には伏線があります。同年8月26日に東京電力HDから、「柏崎刈羽原子力発電所に対する基本的な考え方」という文書が出され、これに関して私の方がその3か月後にあらためて文書を出したというものです。5年前のやり取りはここで終わっております。
そして5年前に私が要望した7つの項目について、今回、小早川代表執行役社長からお返事をいただいています。
1点目の廃炉計画の明確化、2点目の新潟県内の再生可能エネルギー確保に向けた努力は×であり、6点目の柏崎市地域エネルギービジョン等への協力は△、その他4項目については概ね〇であると評価していました。

そういった中で去る8月22日に東京電力HD(株)小早川社長からの回答を受けて、1点目の「6,7号機の再稼働後5年以内に1~5号機の廃炉も想定したステップを踏んでいく」という同社の方針から、今回「7号機の再稼働が見通せる状況になった段階で、廃炉を含めた最適な電源構成の検討状況について説明する」というお話をいただいたところです。

また、6、7号機の再稼働後2年以内に1~5号機に関して廃炉を含む最適な電源構成の道筋をつけたい、との考えが示され、以前から申し上げてきた廃炉計画の「道筋」は計画と道義であると解釈し、5年以内が2年以内に、また「廃炉を想定したステップ」から、「廃炉を含む最適な電源構成について」と明確にお話をいただいたことから、×を〇に変更したものです。

一方で新潟県内における再生可能エネルギー関連事業への取組に関しては、期待したほどの成果は得られませんでしたので、今後の継続的な取組の姿勢が示されたことから、×から△へと評価を変えた次第です。

具体的には、この5年間の東京電力HD(株)及び関連企業の再生可能エネルギーへの取組は、水力発電が中心ではありますが、湯沢町、津南町、南魚沼市において、合わせて1100kw/hの出力アップが確かに為されました。これは既定路線であったかもしれませんが、少なくともこれは東京電力HD(株)が新潟県内で再生可能エネルギーにも力を入れていくことを示したものと思いますが、少し物足りなさを感じたので△としました。

また、△だった柏崎市地域エネルギービジョン等への協力につきましては、国などが進める海底直流送電に関し、柏崎市内における必要な協力を最大限実施していくとの意思表明がありましたので、△から〇という評価にしたところであります。

結果として7項目の中で2つが〇、1つが△という評価に変わったわけですが、この△も積極的な価値のあるものだと認識しております。100%はないといつも申し上げていますが、こういった方向性の中で残された課題を十分吟味した上で、進めるべきことは進めるという判断に至りました。

私は柏崎市長として、東京電力HD(株)から再稼働の要請があれば、それに答えられる段階に至ったということです。繰り返しになりますが、7号機の再稼働に関し、ということです。

近藤

今ほど確認も含めてご説明いただいたわけですが、私がもっともお聞きしたいのは、こうした市長の公での言葉が、市の発展や市の利益、市民の皆様の幸福にどうつながっていくのか、という部分でございます。それも含めて質問を深めさせていただきたいと思います。

8月22日に東京電力HD(株)から示された回答では、どの号機を廃炉にするのかということは示されていません。
これに対し、具体的な廃炉計画を示していないと指摘する方々もいらっしゃるわけです。

ですが企業側からすれば、発電事業による収益がない状況下で、廃炉にする号機を明言することは、経営上できないと考えますし、市長もその点には配慮されて、評価してこられたものと推察します。

また、私自身がこれまでに視察した浜岡原子力発電所、伊方発電所、女川発電所等では、国の新規制基準に適合する設備投資を行っても、それを上回る利益が出せないと判断した原子炉は廃炉を進め、投資回収できると判断した原子炉は安全対策を施し、再稼働を進めていました。

そして、最初に東京電力HD(株)からの回答が出された令和元(2019)年から、世界情勢は大きく変わっており、国は昨年5月に成立したGX脱炭素電源法において、既存の原子力発電所をできる限り活用して、電力の安定供給と温暖化ガスの排出削減を目指すことを定めています。そこで再質問させていただきます。

午前中のご答弁で、東京電力HD(株)が櫻井市長との約束通り、1~5号機の最適な電源構成を検討した結果、どれかは廃炉にして、どれかは再稼働を目指すとしても、受け入れる旨のご答弁があったかと思います。

このことから、廃炉に関する要望については、国策や事業者の経営的な事情を鑑みた上で、評価を〇としたものであり、闇雲に廃炉を求めるというよりも、市民に対して柏崎刈羽原子力発電所の将来像を明確に示すことに、意義を見出していらっしゃると解釈してよろしいでしょうか。

市長

近藤議員からお話しいただいた通りでございます。就任させていただいて以来、何度もこの議場にてお話しさせていただいておりますが、1~5号機全ての廃炉を求めているわけではございません。6,7号機の再稼働が為された後、今度は1~5号機の部分でいくつかを再稼働させ、いくつかを廃炉にするという計画が出されるものと承知しております。

柏崎刈羽原子力発電所では今、7つの原子炉を有しています。世界の中でこれだけ集中立地しているのは柏崎刈羽原子力発電所だけです。さらに申し上げるならば、地震大国にあって原子力発電所が1か所に集中立地しているのは日本だけ、柏崎だけです。

そういったことを考えますと、いくら規制基準が世界一厳しいものであったとしても、やはり原子力発電所の使用は一定程度、制限的なものであるべきと私は考えております。地震の観点から、また、核燃料サイクルの観点からも、やはり7つ全てというのは現実的ではないと考えるところです。

同時に、今ほどご指摘がありましたように、これも私は何度も申し上げてきましたけれど、はっきり申し上げて今の段階で、全て廃炉だという話になってしまったならば、福島の復興はできません。福島1F事故処理費用は23兆4千億円になりました。こういうことを含めて、東京電力HD(株)は厚生連の赤字の比ではありません。

エネルギーセキュリティ、環境問題、福島復興の観点から、私は今、東京電力HD(株)にとっても、日本にとっても、柏崎にとっても、一定基数の原子力発電所の再稼働は必要であるとの立場は全く変わっておりません。

近藤

承知いたしました。そういった道筋を市民の皆様に示されることが、安心・安全、市民福祉の向上につながっていくかと思います。

次に、「原子力発電所関連財源の変動」についてのお考えを伺いたいと思います。

今年の秋から青森県むつ市の使用済核燃料中間貯蔵施設の事業開始により、本市の使用済核燃料税は累進課税化する見込みとなりました。

また、新潟県核燃料税の税率変更により、原子力発電施設立地市町村振興交付金の増額も期待されます。

しかし、その一方で、電源立地地域対策交付金は、柏崎刈羽原子力発電所7号機の動向に大きく左右されます。
電源立地地域対策交付金は、国または県を経由して、毎年約24億円が交付され、本市の市民生活において不可欠なものです。しかし、交付規則上、今年4月15日の柏崎刈羽原子力発電所7号機への燃料装荷に伴い、みなし稼働率に期限が発生しています。

6月21日に行った「柏崎刈羽原子力発電所に関する調査特別委員会(第二部会)」と電源エネルギー戦略室との勉強会では、令和7年1月17日までに7号機が稼働しなければ、みなし稼働率ゼロとなり、令和8年度以降、本市に入る電源立地地域対策交付金は推定2億円減額される見込みだと伺いました。

7号機の燃料装荷に伴う電源立地地域対策交付金の減額は本市だけではなく、新潟県及び県内の他の市町村の財政にも影響すると考えます。

そこで質問です。むつ市の使用済核燃料中間貯蔵施設の事業開始や、新潟県核燃料税の税率変更、柏崎刈羽原子力発電所7号機への燃料装荷に伴う電源立地地域対策交付金の変動に対する見解及び国・県に対する働きかけや次年度以降の予算編成・財政運営における対応について伺います。

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060621_交付金7号機の影響(調査特別委員会第二部会).pdf

市長

非常に痛い、言い換えれば大事なところをご質問いただきました。一言で申し上げるならば、原子力発電所が動かないことによって、私どもが従来得られていた交付金が減らされる・・減らされてきた、というのが正確なところです。みなし稼働率となったきっかけは申し述べませんけれども。

つまり、柏崎市は何ら悪いことをしているわけではありませんし、いたずらに止めているわけではありませんし、止めることに賛成の人もいるかもしれませんが、私は市長として止め続けることを良しとしていないわけですが、国の理屈で、それから柏崎市以外の自治体で、結果的に原子力発電所を動かしてもいいものが動かない。来月、10月16日に動いていないとなると、大変な影響を受けるわけです。

動かないのが私たち柏崎の不始末のせいであれば、仕方ないですね、と申し上げるわけですが、違う要因があるということは、近藤議員もご理解いただいていると思いますし、多くの議員の方々にもご理解いただきたいと思っております。これは原発賛成・反対だけではありません。

原子力発電所関連財源は、電源立地地域対策交付金や、原子力発電施設立地市町村振興交付金(いわゆる核燃交付金)など、市財政に大きく寄与しています。近藤議員がおっしゃる通り、本年4月15日7号機への燃料装荷がなされました。

ここを起点として、6か月後の10月16日以降、みなし稼働率による措置が適用除外となります。つまり動かせる状態になっているのに、6か月経っても動かさないですね、ああそうですか、ということになるわけです。

結果的に、現在68%のみなし稼働率が適用除外となり、実稼働日数によって交付金が計算されるため、10月16日以降も7号機が停止している場合には、交付金が減額となる見込みであります。尚、交付金の算定期間の関係から、その影響は令和8(2026)年度予算から出て来るものと承知しております。

電源立地地域対策交付金の算定期間は10月1日~9月30日であるため、令和7年度予算にはまだ影響しないものの、令和8年度の算定期間は今年10月1日~来年9月30日までとなるので、10月16日までに稼働しなければ令和8年度予算に影響するということになります。

また、新潟県から交付される核燃交付金は、新潟県核燃料税条例の改正を受け、今年度の交付金から増額される見込みであります。

NHK 新潟 NEWS WEB 柏崎刈羽原発「核燃料税」一部引き上げ 4億円ほど税収増へ

これは何度も申し上げていますが、私自身は5年前も今年も(条例は5年ごとに見直される)、原発の再稼働をするかしないか、3つの検証を終えるまで議論を始めないとおっしゃっていた新潟県が、核燃料税だけは税率を上げるというのはおかしいんじゃないですかと、申し上げていましたが、5年前も上がり、今年もまた上がっております。

新潟県税である核燃料税は、確か47億円だったものが51億円になるはずです。その20%を柏崎と刈羽で分けられます。

たしかに、あなたのところも交付額が上がるんだからいいじゃないか、とおっしゃる方は県にもいます。しかし私は、筋がないだろうと・・当たり前ですが、核燃料は原発を動かすためのものです。動かすか動かさないかわからない、議論も始めないとおっしゃっているのに、税額だけ上げるというのは理に反しているんじゃないですか、と私は申し上げてきました。動かすか動かさないかの議論も始められないというならば、今回は条例改定の時期だけれど、据え置こうというのが筋だろうと、私は県にも申し上げてきたところです。

こういった原発関連財源は、柏崎刈羽原子力発電所の稼働状況に左右されるものであり、予算編成・財政運営におきましては、こうした原発を取り巻く情勢も含め、社会・経済情勢の変化に対応するため、財政計画を毎年度ローリングしているところでございます。

引き続き歳入・歳出の見通しを立て、実態に即した計画的かつ効果的な予算編成と財政運営に努めてまいります。今後も立地自治体として、再稼働に向けた動向を注視するとともに、再稼働の遅れに伴う交付金の減額への対応や、原発関連財源が立地自治体に限らず、県内全域において広く恩恵を享受していることを周知するよう・・これは核燃交付金のことです。

正直申し上げて、柏崎・刈羽以外の28自治体の中で、核燃料税が県に入っていて、自分たちの自治体にいくら入り、何に使われるのか承知していない首長さん達はたくさんおられます。

そういったことで、県にもしっかりと、税額が上がったことは理不尽だと私は思いますけれど、51億円の使い道を、それぞれの自治体のどこに使われているか明確に示してもらいたいと、県に申し上げているところですし、電源立地地域対策交付金については国にもしっかりと働きかけを行っていきたいと考えております。

近藤

今のお言葉、私も共感するところでありまして。新潟県内の首長さん達の中にも、こういった原子力発電所関連財源が入っていることを認識していない方がいらっしゃるとのことですが、実際、議員にもそういった方はいらっしゃいます。「原発があったって何の恩恵も俺たちにはないじゃないか」とおっしゃる議員もいるのですが、そういうことではなく・・

そもそも、電源立地地域対策交付金等の意味合いとして、国民の皆さんの税金や電気料金が財源となるものが得られるわけですから、その意味を私自身も訴えてまいりますが、市長もあらゆる場面で訴え、ともに早期の再稼働を目指していければと思います。
 

次の質問(2)次世代エネルギー推進における官民連携の在り方 では、まずは「水素サプライチェーン構築に向けた本市の対応」を伺います。

柏崎市第五次総合計画・後期基本計画の重点戦略の一つ「大変革期を乗り越える産業イノベーション」推進のため、本市では産業構造の転換に挑戦する民間事業者を応援してきました。

その中でも、柏崎市自動車・環境エネルギー産業等新分野展開支援補助金の対象となり、水素エンジン開発に取り組む(株)リケンは、2025年に水素ステーションを建設すると報じられています

また、市内平井では、(株)INPEXによる水素・アンモニア製造・利用一貫実証試験も進められ、2025年3月から試運転開始、年度末までの期限は延長の可能性もあると聞き及びます。

水素エネルギーの先行的普及促進への道筋を立てたいとの意向は、これまでの一般質問に対する答弁等でもしめされていることから、いずれは柏崎市内での水素エネルギーを「つくる・運ぶ・使う」一連の流れ、水素サプライチェーンが構築されることを期待しています。

しかしながら、重要なのは、こうした産業イノベーションの動きを、本市のものづくり産業全体の活性化、すなわち経済成長や働きがいある雇用の場の創出に繋げていくことであると考えます。

そこで質問です。水素サプライチェーンの構築に向けた民間企業の動向に対する見解及びものづくり産業全体の活性化に向けた今後の取組について伺います。

市長

今ほどご紹介いただきました通り、(株)リケンや(株)INPEXは柏崎市内において水素分野を新たなビジネスチャンスと捉え、各社が自社の得意とする領域で積極化しています。

企業ごとに自社が置かれた経営環境は異なりますが、根底には脱炭素社会の構築・実現という世界共通の命題が新たな取組に踏み出す動機となっていると認識しております。逆にこれに取り組まなければ、世界の中で企業は生き残っていけないというのが前提です。

この大きな流れは、ヨーロッパから来ております。ヨーロッパにおいては、原子力発電所もグリーンタクソノミーということで、脱炭素電源として認められおります。そういったことも含めて、大きな流れの中で、脱炭素社会を世界ではどのような手段・方法をとっても実現させるということが、柏崎にある世界的な企業でも実践されているとご理解賜りたいと思います。

令和4(2022)年度に補助対象事業として採択した(株)リケンを例に挙げますと、本事業を通じて同社の事業構造転換の取組を後押しすることはもちろんのこと、地域のカーボンニュートラル化、つまりは市内産業の構造転換に資する事業であることも評価されての採択でありました。

近藤議員がおっしゃる柏崎市内における水素サプライチェーンの構築については、先行して取り組む事業者の活動が他の事業者の新たな展開に波及し、さらには事業者間の連携が進み、将来に向けて市内産業が発展的に構造転換することが期待されます。

本市では市内事業者の水素事業の取組に関しては、補助金による経済的な支援に留まらず、これまで以上に事業者の取組状況に関する情報の共有に努め、連携強化を図ってまいります。

つい先般、(株)INPEXの役員の方がお越しになられました。ご承知の通り柏崎市内平井地内において、水素発電所を目指し、アンモニア製造を目指すプラント建設が着々と進んでいます。来年の7月もしくは8月に水素発電・アンモニア製造が始まると承知しておりますが、先般INPEXさんからは、さらに柏崎においてという今後の事業計画について、非常に力強いお話をいただいたところです。

そしてさらに、今(株)リケンさんが取り組んでいらっしゃる水素エンジンとの連携に関しても、私の方からもあらためて、しっかりと連携していただきたいと申し伝えたところです。

既にこういった市内にある世界的な企業が水素というキーワードを通して、連携が始まっているということだけお伝えしておきます。

近藤

水素の産業化に取組む事業者同士の連携は好ましいお話でございますが、ただ市内の製造業の皆さんは中小企業が多く、体力の違いがあるわけです。最終的にはそういったところにも活性化の波が行くように、細やかな支援を願っております。

 

本項目の最後は「柏崎あい・あーるエナジー株式会社の将来像」について伺います。

第三セクターである地域エネルギー会社「柏崎あい・あーるエナジー株式会社」は、国の補助金を活用して自主電源開発を行い、社員を置かず市長が代表取締役、副市長が取締役を務める等、特殊な事業形態でスタートしました。

昨年度からは市内の公共施設に電力を販売し、黒字を達成したと発表され、今年度は販売先を広げることを目指し、企業業向けに「電力調達事前サービス」の説明会が開催されたことも報じられています。

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今後はさらなる電力調達、将来的には海底直流送電の揚陸も視野に入れた事業拡張についても言及されています。

しかしながら、不安定な世情の中で、電源開発に対する国の補助金がこの先も続く保障はなく、海底直流送電事業はかなり大規模なものになることが予想されます。

柏崎あい・あーるエナジー(株)は、採算性を念頭に置き、企業としての自立を目指す時期に来ているのではないかと思います。

そこで質問です。将来的な採算性や事業展開を踏まえ、電源開発と電力調達を今後どのように進めるのか、また、黒字化及び事業規模の拡大に伴い、組織体制を見直す考えがあるのか、との観点から、柏崎あい・あーるエナジー(株)の将来像についてお聞かせください。

市長

私が代表取締役社長を務めます柏崎あい・あーるエナジー(株)の将来像について、柏崎市長の立場でお答え申し上げます。

6月20日に行われました柏崎あい・あーるエナジ―(株)の株主総会では、昨年度の純利益が約1,900万円となり、黒字を達成したことが報告され、今年度からは民間事業者への供給を拡大するとともに、国の補助金を活用した自社電源開発も進めるという事業計画が承認されたと承知しております。

NHK 新潟 NEWS WEB 桜井柏崎市長 “地域電力の販売先拡大目指し営業活動へ”

今年度から民間事業者にも供給ということは、あい・あーるエナジーの株主になっている2社ということでございます。国の補助金につきましては、国の予算に基づくものであり、確約されたものではないというのはご指摘の通りです。

ですが逆に国ではご承知の通り、一昨年GXというキーワードを掲げて原子力発電所、再生可能エネルギーに対して、非常にお金をかける、力を入れるということは、国の方向性として明確にしています。

お金の手当はどうするんだということを国に対して聞いたところ、GX債という債権を発行してまで、ファイナンスを確保し、国として脱炭素社会をつくり上げる、そして脱炭素社会をつくり上げるに資する産業に力を入れていく、具体的には再エネ、原発、送電網、水素、蓄電池といった領域に力を入れる、お金をかけるいう方向性は出ております。

たしかに、確定的なものではないかもしれませんけれども、私どもの諸々も含めて、国の方向性は間違いないところだろうと考えております。

経営体制に関してましては、会社設立時、経営が安定し、事業が軌道に乗った場合には、経営体制の見直しを行っていく方針であり、現在もその方針に変わりはないところでございます。

市長としても社長としても、経営が安定したならば、市長が社長を兼ねるということは、解消されるべきだと思っております。

しかし、このあい・あーるエナジー(株)の蓄電池等の補助金は、市長として柏崎にぜひ、必要なんだと、強く国に要望活動をさせていただいた成果です。

西巻副市長、また担当の当時の飛田室長をはじめ、何度も何度も重ねて得てきているものです。ですから、国が途中から方向転換しないと確信はしておりますが、黒字を達成したとはいえ、今後は固定資産税、電源開発にかかる経費が見込まれます。

今は整備に関して国がほぼ面倒を見ていますが、固定資産税まではさすがに見てくれるわけではないですので、現段階においては安定した状況にあると考えていません。黒字はまだ1年目だけです。

電源開発事業はあと数年続く計画であり、財源確保のために国との調整は必要になるだろうと思っております。これは市長として、もしまた得られるならば、財源確保のため国との折衝に臨んでいきたいと考えております。

これらを踏まえ、組織体制につきましては、柏崎あい・あーるエナジー(株)において引き続き経営状況を見ながら、見極めていくべきものと認識しています。

近藤

今ほどご説明をいただきまして、基本的には居間の路線で、国の補助金を得て、国策を担うかたちで再エネの普及をやっていくというところはご答弁の通りかと思いますが、ただ、今回はじめて伺ったのが、社長と市長が同一人物というのは、いつまでもこの状態を続けるわけではないとのお言葉をいただきましたので。

櫻井市長には、この柏崎市政は様々な課題が山積していますので、できればそこに専念していただき、どなたか信頼できるパートナーをあい・あーるの社長に据えた上でやっていただくのが、色々な意味で、市民の皆様もそういう状況を望んでいるのではないかと思いますが・・一応そのように申し上げて次の質問に移りたいと思います。

 

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