総務常任委員会 行政視察「持続可能な地域公共交通」
7月1日~3日、総務常任委員会の行政視察で富山県の4自治体に伺いました。
委員会では「持続可能な地域公共交通」をテーマに調査・研究を行っています。
以下はその内容です。
◆富山県氷見市(7/1)
【テーマ】
〇鉄道路線の利便性向上・活性化について
〇氷見市NPO交通空白地路線支援事業について
〇地域公共交通全般について
【所感】
氷見市では、鉄道活性化におけるマイレール意識の向上や、交通空白地域におけるNPOバスの運行など、市民力を活用した交通政策を進めている。
また、忍者ハットリくん列車や怪物くんバスなど、藤子不二雄Ⓐ先生の生誕地であることを最大限生かして、観光と連動した利用促進を図っている。
NPOバスは小型車両であり、経費削減や運転手確保には有効だと思う。
公的支援はあるにせよ、住民自ら担い手となっていることは素晴らしい。
ただし、運行を担うNPO法人では高齢化が進み、次の世代の担い手確保をどうするかが課題である。
地域公共交通の維持には、住民自らが「地域の生活の足を守る」意識を持って協力することが必要であり、柏崎市においても、マイレール・マイバス意識を醸成する施策展開が望ましいと感じた。
◆富山県射水市
【テーマ】
〇鉄道路線の利便性向上・活性化について
〇AI新交通「のるーと射水」について
〇地域公共交通全般について
【所感】
射水市は、多様な地域公共交通を有し、それぞれを維持するために努力を重ねている。
市民の主たる生活の足は市内全域を運行するコミュニティバスであるが、利便性向上のためにAI予約・配車システムによるオンデマンドバスのるーと射水を導入している。
のるーと射水はコミュニティバスの運行エリアを崩さず、実証運行を経てコミュニティバスと「置換」しているのが特徴的だと思う。
また、のるーと射水の導入によって、いわゆる交通弱者の外出促進効果もあり、障がい者(児)の付き添い1名は無料とするなど、福祉面での配慮も高いと感じた。
料金設定をコミュニティバスと同等にしている点にも驚いたが、全てのエリアがのるーと射水に置換された段階で、見直しは必要になると思われる。
AI新交通を持続可能なものとするためのランニングコストや、結節点での乗り継ぎを円滑に行う仕組みづくり等、柏崎市のあいくるや地域内交通の次の展開とも共通する課題があり、非常に参考になった。
◆富山県小矢部市(7/2)
【テーマ】
〇小矢部市地域公共交通計画について
〇AIデマンド交通「チョイソコおやべ」について
〇市営バス(メルバス)について
〇鉄道及び駅活性化の取組について
〇地域公共交通全般について
【所感】
小矢部市では、今年度からスタートした地域公共交通計画において、地域ニーズに対応した公共交通ネットワークの再構築、交通DXの推進による誰もが利用しやすい公共交通環境の整備、多様な共創による公共交通の利用促進を基本方針・目標として様々な施策を講じている。
特に「多様な共創」を具体化したメルバススポンサー制度は印象的だった。
同制度はAIオンデマンド交通チョイソコおやべの支援として、市内企業から協賛金を募り、スポンサー企業は乗降ポイントとして登録することで、利用者の増加が期待される。
単なる支援ではなく、Win‐Winの仕組みを構築することが協力を得るためのポイントだと思う。
また、スポンサー募集には担当課職員が自ら各企業に出向き、着実に協力企業を増やしており、その熱意にも感銘を受けた。
柏崎市においても同様の制度を導入し、官民が協力して「地域の生活の足を守る」気運の醸成を図ることが必要ではないかと感じた。
◆富山県砺波市(7/3)
【テーマ】
〇散居村型モビリティ「チョイソコとなみ」運行について
〇地域公共交通全般について
【所感】
砺波市は、広大な平野に民家が点在する集落携帯「散居村」を大切なものとして捉え、そこでの暮らしを守る観点から「チョイソコとなみ」を導入している。
散居村型モビリティと銘打っている時点で、政策的スタンスが明確に示されている思う。
都市部への人口集中を誘導するコンパクトシティとは真逆の発想であるが、散居村を守るまちづくりを、砺波市の魅力と強みとして打ち出していることに感銘を受けた。
「チョイソコとなみ」は会員登録制・ドアtoドアで運行しており、受付は電話予約だけである。
スマートフォンアプリやLINEでの予約を可能とした場合、経費が高くなるとの説明を受けたが、散居村で暮らす高齢者をターゲットにしているので、電話予約のみでも不都合はないのだろうと思われる。
3日間の視察全体を通して「持続可能な地域公共交通」は、住民のふるさとでの暮らしを守ることにつながることを再認識した。
その観点から、本委員会における調査・研究をまとめていきたい。
今回の視察には、柏崎市の交通政策を担当される職員さんにも随行いただき、AI新交通あいくる をはじめとする「生活の足」を守る取組=努力についても、理解を深めることができ、非常に実りある視察となりました。
調査・研究は12月には完了する予定なので、学んだことを踏まえて取りまとめていきたいと思います。
お世話になった皆様、ありがとうございました。
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