川内原子力発電所・薩摩川内市 視察
7月18日、鹿児島県の薩摩川内原子力発電所及び薩摩川内市を視察させていただきました。
◆川内原子力発電所
【テーマ】
川内発電所(PWR)の安全対策について
【所感】
川内原子力発電所は、東日本大震災以降、全国で最初に再稼働したことで知られる他、運転開始後40年を超えて、20年間の運転期間延長をいち早く認められる等、日本の原子力発電所の中でもトップリーダー的な存在である。初めて視察させていただいた第一印象は「城」であり、風格ある原子力発電所だと感じた。
川内原子力発電所1、2号機とも、定期点検の時と、新規制基準に適合する安全対策工事を行った時期を除けば、継続して運転してきた。営業運転開始後しばらくは、配管の不具合等のトラブルがあったそうだが、原因を究明して修正した後は、安定的に九州地方に電力供給を続けている。
特徴的なのは、国の新規制基準に適合するだけでなく、廃棄物搬出設備の設置や受電系統の変更、自主的な訓練や非常時に対応できる体制整備など、独自の取組みを進めている点であり、安全性向上に向けた投資に注力している姿勢に感銘を受けた。
昨年末には運転期間延長に対する認可の1か月後に地元同意を得ており、令和6年能登半島地震発生後も、地元住民は事故への不安を抱いていないという。長年に渡り、通常保全に注力し、設備の更新を適宜行うなど、安全性確保のために先手を打ってきたことが、発電所の延命と地元との信頼関係構築につながっているのではないか。
安全対策においては、特定重大事故等への対処について強化している点が印象的だった。川内原子力発電所が立地する鹿児島県は、日本列島の南端に位置し、中国、台湾、韓国等との距離も近い。不穏な世界情勢の中で起こるかもしれない「有事」を見据えているのだろうか・・。
尚、立地自治体である薩摩川内市は活気があり、原子力発電所が動いている頃の柏崎市を彷彿とさせる雰囲気があった。
視察全般を通して、安全性向上と安定的な電力供給を目指す川内原子力発電所の主体的な姿勢が、国の原子力政策を牽引し、地域との共生を強固なものにしていると実感した。
◆鹿児島県薩摩川内市
【テーマ】
次世代エネルギーを活用したまちづくり
【所感】
薩摩川内市は、従来から火力発電所、原子力発電所の立地地域であり、次世代エネルギーの推進により「エネルギーのまち」を目指している点は柏崎市と共通する。
しかし、薩摩川内市においては川内原子力発電所が稼働し、基幹産業として機能していることに加え、太陽光発電などの再生可能エネルギー活用に適する気候であり、民間事業者が次世代エネルギー事業に参入しやすい。
そのため、柏崎市のように、市の施策として(三セクを通すことも含めて)電源開発をすることはなく、あくまでも民間事業者を応援する産業振興策として、次世代エネルギーの推進を後押ししている印象を受けた。
また、薩摩川内市の人口は合併当時の平成17年度は10万2370人であり、令和6年5月末の推定人口は8万9654人である。(減少率12.42%)
一方、柏崎市では、合併直後の平成17年5月1日の人口は9万4484人であり、令和6年5月末人口は7万6811人である。(減少率18.7%)
人口減少と少子高齢化の同時進行は共通の課題だが、同じ原子力発電所立地地域でありながら、薩摩川内市の人口減少率が少ないのは、これまでの間、川内原子力発電所が安定的に稼働してきたことも大きいのではないか。
エネルギーミックスの観点から、次世代エネルギーの普及促進は必要だが、あくまでも民間が主体となって、自立した経営のもとで事業化するのが望ましいと思う。
柏崎市における地域エネルギービジョン及び地域エネルギー会社の存り方についても考えさせられる機会となった。
今回の視察は遠方のため、前・後泊させていただきましたが、薩摩川内市は古い街並みながらも、賑わい・活気があり、川内原子力発電所が地元の産業として、継続・安定した経済効果を生んでいるのではないかと感じました。
視察を通して学び得たことを、次の議会活動に活かしていきたいと思います。
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