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2024年7月

2024年7月23日 (火)

川内原子力発電所・薩摩川内市 視察

7月18日、鹿児島県の薩摩川内原子力発電所及び薩摩川内市を視察させていただきました。

川内原子力発電所・薩摩川内市 視察報告書

◆川内原子力発電所

【テーマ】
川内発電所(PWR)の安全対策について

【所感】
川内原子力発電所は、東日本大震災以降、全国で最初に再稼働したことで知られる他、運転開始後40年を超えて、20年間の運転期間延長をいち早く認められる等、日本の原子力発電所の中でもトップリーダー的な存在である。初めて視察させていただいた第一印象は「城」であり、風格ある原子力発電所だと感じた。
川内原子力発電所1、2号機とも、定期点検の時と、新規制基準に適合する安全対策工事を行った時期を除けば、継続して運転してきた。営業運転開始後しばらくは、配管の不具合等のトラブルがあったそうだが、原因を究明して修正した後は、安定的に九州地方に電力供給を続けている。
特徴的なのは、国の新規制基準に適合するだけでなく、廃棄物搬出設備の設置や受電系統の変更、自主的な訓練や非常時に対応できる体制整備など、独自の取組みを進めている点であり、安全性向上に向けた投資に注力している姿勢に感銘を受けた。
昨年末には運転期間延長に対する認可の1か月後に地元同意を得ており、令和6年能登半島地震発生後も、地元住民は事故への不安を抱いていないという。長年に渡り、通常保全に注力し、設備の更新を適宜行うなど、安全性確保のために先手を打ってきたことが、発電所の延命と地元との信頼関係構築につながっているのではないか。
安全対策においては、特定重大事故等への対処について強化している点が印象的だった。川内原子力発電所が立地する鹿児島県は、日本列島の南端に位置し、中国、台湾、韓国等との距離も近い。不穏な世界情勢の中で起こるかもしれない「有事」を見据えているのだろうか・・。
尚、立地自治体である薩摩川内市は活気があり、原子力発電所が動いている頃の柏崎市を彷彿とさせる雰囲気があった。
視察全般を通して、安全性向上と安定的な電力供給を目指す川内原子力発電所の主体的な姿勢が、国の原子力政策を牽引し、地域との共生を強固なものにしていると実感した。

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◆鹿児島県薩摩川内市

【テーマ】
次世代エネルギーを活用したまちづくり

【所感】
薩摩川内市は、従来から火力発電所、原子力発電所の立地地域であり、次世代エネルギーの推進により「エネルギーのまち」を目指している点は柏崎市と共通する。
しかし、薩摩川内市においては川内原子力発電所が稼働し、基幹産業として機能していることに加え、太陽光発電などの再生可能エネルギー活用に適する気候であり、民間事業者が次世代エネルギー事業に参入しやすい。
そのため、柏崎市のように、市の施策として(三セクを通すことも含めて)電源開発をすることはなく、あくまでも民間事業者を応援する産業振興策として、次世代エネルギーの推進を後押ししている印象を受けた。
また、薩摩川内市の人口は合併当時の平成17年度は10万2370人であり、令和6年5月末の推定人口は8万9654人である。(減少率12.42%)
一方、柏崎市では、合併直後の平成17年5月1日の人口は9万4484人であり、令和6年5月末人口は7万6811人である。(減少率18.7%)
人口減少と少子高齢化の同時進行は共通の課題だが、同じ原子力発電所立地地域でありながら、薩摩川内市の人口減少率が少ないのは、これまでの間、川内原子力発電所が安定的に稼働してきたことも大きいのではないか。
エネルギーミックスの観点から、次世代エネルギーの普及促進は必要だが、あくまでも民間が主体となって、自立した経営のもとで事業化するのが望ましいと思う。
柏崎市における地域エネルギービジョン及び地域エネルギー会社の存り方についても考えさせられる機会となった。

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今回の視察は遠方のため、前・後泊させていただきましたが、薩摩川内市は古い街並みながらも、賑わい・活気があり、川内原子力発電所が地元の産業として、継続・安定した経済効果を生んでいるのではないかと感じました。

視察を通して学び得たことを、次の議会活動に活かしていきたいと思います。

2024年7月12日 (金)

全国地方議会サミット2024

7月10~11日に行われた 全国地方議会サミット2024 に、同じ会派の春川敏浩議員、三嶋崇史議員と参加しました。

2024

「非常事態への備え これからの議会」というテーマで、被災経験のある自治体議会の首長、議長経験者の方々から、災害時の対応について伺いました。

■1日目:7月10日(水)

1基調講演 「生活を支える強い地域を議会がつくる」

2能登半島地震被災地の議会からの報告
・輪島市議会議員・元議長 椿原 正洋 氏
・珠洲市議会 議長 番匠 雅典 氏
・能登町議会 議長 金七 祐太郎 氏

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3熊本地震の経験と自治体間支援の現場から
・ 熊本市長 大西 一史 氏

4能登半島地震と珠洲市の状況と対応
・珠洲市長 泉谷 満寿裕 氏

5 対談
・大西 一史 氏 × 泉谷 満寿裕 氏

6 防災DXの最前線と今後の展開

7 災害時におけるドローン・人工衛星など最新テクノロジー活⽤の可能性

8東日本大震災の経験から

■2日目:7月11日(木)

1 非常事態への備えと議会の対応・役割

2 パネルディスカッション
「東日本大震災の経験をふまえた災害対応」
 久慈市議会 議長 濱欠 明宏 氏 

「大規模復興と議会のあり方」
 陸前高田市議会議員・元議長 福田 利喜 氏

「住民避難・離散と自治体・議会の活動」
 双葉町長 伊澤 史朗 氏

3 デジタル・生成AIを活かす

4 議会改革の最新トレンドとトピックス

(1)議会改革の軌跡と展望−マニフェスト選挙から20年、その先に!−

(2)パネルディスカッション

①議選監査委員の活性化と議会・監査委員事務局の連携

②委員会代表質問を活かす

5 早稲田大学マニフェスト研究所 議会改革度調査から

【宣言文】
・今後、高い確率で予測されている南海東南海地震、首都直下型地震、富士山噴火等々をはじめ、あらゆる災害に対して実行性の高い「議会BCP」の確立と訓練を実施する。
・災害時に活用できるデジタル技術を議会に積極的に取り入れる。
・災害への備えは議会が主導し、住民自治や災害対応への政策を研究し、提言する。
・災害時への備えとして、市区町村に1台の「トイレカー」を配備するよう議会から行政へ提案する。
・リアルな対話に加え、ICTやSNS等様々な手法を用いて住民意見を集約する。
・合議体として議論を尽くし、最善の意思決定を行う仕組みを議会内に構築する。
・住民の多様な価値観や少数意見を排除せず、議論を尽くし、新しい価値観を創造する。
・あらゆるハラスメントに対して厳正に対処する。
・持続可能な地域を創出するため地域課題の本質を探究し課題解決の政策立案に取組む。
・地方議会間の交流や意見交換を活発に行い、議会(議員)が互いに研鑽を重ね、善政競争を促して、地方議会から地域を変え地域から日本を変える志を持って活動する。

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【所感】
今回の全国地方議会サミットは「非常事態への備え これからの議会」をテーマに、議会における災害対応を中心に学んだ。
1日目は能登半島地震の被災自治体である輪島市、珠洲市、能登町の発災当時の各議長より、現在進行形での議会対応について伺った。特に発災初期においては、行政が混乱を招かないよう、議会内で情報・意見を集約し、首長をトップとする災害対策本部を支えていくスタンスは、柏崎市議会と共通している。その一方で、災害後の復旧・復興に関わる予算は専決処分となることが多いが、その使い道や優先度が本当に適切なのか、議会がチェック機能を働かせることの必要性も感じた。災害時のフェーズと専決処分の範囲については、柏崎市議会においても細分化して整理した方がよいのではないかと思う。
また、熊本市と珠洲市の関係性を通して、自治体間の互助が大切であることを実感した。被災地支援を通して自らの自治体の課題に気付くこともあれば、かつての被災経験が役立つこともあると思う。被災地支援を目的に、職員だけではなく議員を派遣することも、検討の余地があるのではないか。
2日目は東日本大震災で被災した自治体の議長・元議長・首長(当時は議員)から、災害時の議会機能の維持・業務継続について学んだ。それぞれが被災者でもあり、ご家族や住居を失うなど辛い経験をされながらも、ふるさとのためにご尽力されている姿に感銘を受けた。復興に向けた計画に議会の意思を以下に反映させられるか等、非常に考えさせられるご提言を数多くいただいた。
尚、両日ともに登壇された自治体はいまだ復興途上にある。被災地に関心を寄せ続けながら応援していきたい。
後半は議会選出監査委員の活用事例や、常任委員会として代表質問(一般質問)を行う事例が紹介された。特に常任委員会の意思を本会議で質問する事例は、調査・研究を進める柏崎市議会においても研究してみてはどうかと思う。
尚、両日ともにDXの進化を自治体業務や防災にどのように役立てることができるか、具体的に示していただいた。できるところから取り組んでいきたい。
全体を通して充実した内容であり、地方議会から政策の実現を図り、善政競争と好事例を全国に広げることで、国をも変えていこうというローカルマニフェスト運動の強い意思を、あらためて実感した二日間であった。学んだこと、感じたことを、今後の議会活動に反映させられるよう精進したい。

政務活動報告書

 

2024年7月 5日 (金)

総務常任委員会 行政視察「持続可能な地域公共交通」

7月1日~3日、総務常任委員会の行政視察で富山県の4自治体に伺いました。
委員会では「持続可能な地域公共交通」をテーマに調査・研究を行っています。
以下はその内容です。

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◆富山県氷見市(7/1)

【テーマ】
〇鉄道路線の利便性向上・活性化について
〇氷見市NPO交通空白地路線支援事業について
〇地域公共交通全般について

富山県氷見市 視察報告書

【所感】
氷見市では、鉄道活性化におけるマイレール意識の向上や、交通空白地域におけるNPOバスの運行など、市民力を活用した交通政策を進めている。
また、忍者ハットリくん列車や怪物くんバスなど、藤子不二雄Ⓐ先生の生誕地であることを最大限生かして、観光と連動した利用促進を図っている。
NPOバスは小型車両であり、経費削減や運転手確保には有効だと思う。
公的支援はあるにせよ、住民自ら担い手となっていることは素晴らしい。
ただし、運行を担うNPO法人では高齢化が進み、次の世代の担い手確保をどうするかが課題である。
地域公共交通の維持には、住民自らが「地域の生活の足を守る」意識を持って協力することが必要であり、柏崎市においても、マイレール・マイバス意識を醸成する施策展開が望ましいと感じた。

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◆富山県射水市

【テーマ】
〇鉄道路線の利便性向上・活性化について
〇AI新交通「のるーと射水」について
〇地域公共交通全般について

富山県射水市 視察報告書

【所感】
射水市は、多様な地域公共交通を有し、それぞれを維持するために努力を重ねている。
市民の主たる生活の足は市内全域を運行するコミュニティバスであるが、利便性向上のためにAI予約・配車システムによるオンデマンドバスのるーと射水を導入している。
のるーと射水はコミュニティバスの運行エリアを崩さず、実証運行を経てコミュニティバスと「置換」しているのが特徴的だと思う。
また、のるーと射水の導入によって、いわゆる交通弱者の外出促進効果もあり、障がい者(児)の付き添い1名は無料とするなど、福祉面での配慮も高いと感じた。
料金設定をコミュニティバスと同等にしている点にも驚いたが、全てのエリアがのるーと射水に置換された段階で、見直しは必要になると思われる。
AI新交通を持続可能なものとするためのランニングコストや、結節点での乗り継ぎを円滑に行う仕組みづくり等、柏崎市のあいくるや地域内交通の次の展開とも共通する課題があり、非常に参考になった。

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◆富山県小矢部市(7/2)

【テーマ】
〇小矢部市地域公共交通計画について
〇AIデマンド交通「チョイソコおやべ」について
〇市営バス(メルバス)について
〇鉄道及び駅活性化の取組について
〇地域公共交通全般について

富山県小矢部市 視察報告書

【所感】
小矢部市では、今年度からスタートした地域公共交通計画において、地域ニーズに対応した公共交通ネットワークの再構築、交通DXの推進による誰もが利用しやすい公共交通環境の整備、多様な共創による公共交通の利用促進を基本方針・目標として様々な施策を講じている。
特に「多様な共創」を具体化したメルバススポンサー制度は印象的だった。
同制度はAIオンデマンド交通チョイソコおやべの支援として、市内企業から協賛金を募り、スポンサー企業は乗降ポイントとして登録することで、利用者の増加が期待される。
単なる支援ではなく、Win‐Winの仕組みを構築することが協力を得るためのポイントだと思う。
また、スポンサー募集には担当課職員が自ら各企業に出向き、着実に協力企業を増やしており、その熱意にも感銘を受けた。
柏崎市においても同様の制度を導入し、官民が協力して「地域の生活の足を守る」気運の醸成を図ることが必要ではないかと感じた。

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◆富山県砺波市(7/3)

砺波市シティプロモーション映像

【テーマ】
〇散居村型モビリティ「チョイソコとなみ」運行について
〇地域公共交通全般について

富山県砺波市 行政視察

【所感】
砺波市は、広大な平野に民家が点在する集落携帯「散居村」を大切なものとして捉え、そこでの暮らしを守る観点から「チョイソコとなみ」を導入している。
散居村型モビリティと銘打っている時点で、政策的スタンスが明確に示されている思う。
都市部への人口集中を誘導するコンパクトシティとは真逆の発想であるが、散居村を守るまちづくりを、砺波市の魅力と強みとして打ち出していることに感銘を受けた。
「チョイソコとなみ」は会員登録制・ドアtoドアで運行しており、受付は電話予約だけである。
スマートフォンアプリやLINEでの予約を可能とした場合、経費が高くなるとの説明を受けたが、散居村で暮らす高齢者をターゲットにしているので、電話予約のみでも不都合はないのだろうと思われる。
3日間の視察全体を通して「持続可能な地域公共交通」は、住民のふるさとでの暮らしを守ることにつながることを再認識した。
その観点から、本委員会における調査・研究をまとめていきたい。

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今回の視察には、柏崎市の交通政策を担当される職員さんにも随行いただき、AI新交通あいくる をはじめとする「生活の足」を守る取組=努力についても、理解を深めることができ、非常に実りある視察となりました。

調査・研究は12月には完了する予定なので、学んだことを踏まえて取りまとめていきたいと思います。

お世話になった皆様、ありがとうございました。

 

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