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2024年5月 1日 (水)

【視察報告】上越火力発電所(東北電力株式会社)について

4月25日、会派で東北電力株式会社の上越火力発電所を視察しました。

東北電力株式会社 上越火力発電所(リーフレット)

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発電設備の概要

立地:約21万㎡(東京ドーム約4.5個分)、JERA、INPEXに隣接
使用燃料: LNG気化ガス
発電方式 :コンバインドサイクル発電システム
(三菱重工業と共同開発)
発電出力:57.2万kW
発電効率 :63.6%(低位発熱量基準)
営業運転開始日 :2022年12月1日
所員数:47人

*発電所建屋の壁面上部と煙突の先端部には「上越市の木」である桜をイメージした「桜色」、上杉謙信公の天賜の御旗をイメージした「紺色」の2色であしらっている。

設立の経緯

1995年に中部電力(株)との共同出資による上越共同火力(株)を設立し、直江津港荒浜埠頭地区の埋立地に火力発電所を建設・運営する計画だったが、電力需要の伸び悩みなどから2003年に開発計画を変更し、上越共同火力(株)は解散した。
1,2号系列を中部電力が、3号系列(現・東北電力1号系列)を東北電力が直接運営する計画に変更となったほか、着工時期や営業運転開始時期も変更された。

中部電力(株)は2012年7月から上越火力発電所の営業運転を開始して長野県に電力供給を行い、2016年にはJERA(中部電力と東京電力フュエル&パワーの合弁会社)に設備が承継された。
東北電力(株)では老朽化が進む他の火力発電所の代わりに、東北管内に安定的に電力供給を行うため、環境性・経済性を高めた上越火力発電所を建設した。
2022年12月から上越火力発電所の営業運転を開始し、東新潟火力発電所等の他の発電所とともに東北エリア一帯に電力供給している。

上越火力発電所の役割

上越火力発電所ではガスコンバインドサイクル発電方式を採用し、ガスタービンと蒸気タービンの二つの力で効率よく発電機を回している。
さらに新開発の「強制空冷燃焼器システム」を導入し、発電効率を63.6%まで高めている。燃料を節約することができ、CO2などの環境負荷を低減し、脱炭素社会の実現に貢献している。
また、従来型の火力発電所よりも起動・停止時間が短く、1日の電力需要の変動や天候により急激に変動する自然エネルギーの発電量に対し、電力の需要に合わせた発電量になるようスピーディーに対応することができ、自然エネルギーの導入拡大における調整力としても重要な役割を担っている。

ギネス認定について

発電効率63.62%を達成し、2023年1月24日、ギネス世界記録「Most efficient combined cycle power plant/最も効率の高いコンバインドサイクル発電設備」の認定を受けた。

環境性能

上越火力発電所は、大気・水質・廃棄物・騒音・振動・緑化など環境保全に配慮し建設している。燃料となる液化天然ガス(LNG)は,ばいじんや硫黄酸化物の排出がない。また、最新鋭のガスタービンを導入し発電効率を高めたことで、燃料の使用量を抑え、窒素酸化物や二酸化炭素(CO2)の排出を抑制し、資源の効率的利用と環境負荷低減を両立している。

ガスコンバインドサイクル発電のしくみ

ガスタービンと蒸気タービンを組み合わせた二重の発電方式。最初に圧縮空気の中で燃料を燃やしてガスを発生させ、その圧力でガスタービンを回して発電する。
ガスタービンを回し終えた排ガスは、まだ十分な余熱があるため、この余熱を使って水を沸騰させ、蒸気タービンによる発電を行う。同量の燃料で、通常の火力発電より多くの電力をつくることができ、CO2の排出量が少ない。

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災害対応

<地震対策>
中央制御室があるサービスビル(事務本館)には、制振装置を設置し地震による建物の振動を最小限に抑える。
<津波対策>
想定最大津波の高さよりも高い位置に、電気盤・制御盤・非常用設備を配置し津波被害を抑える。

地域との共生

地域住民とともに周辺道路のごみ拾いや海岸清掃等を行う他、、子ども達を対象とした環境学習のサポートを行なっている。上越火力発電所本館の梁に使う鉄骨部材には地元小学生によるイラストが描かれている。

電力供給先
特定の地域というより、東北電力管内全体が供給先となる。

調整力について
上越火力発電所が調整のために発電を抑制・停止することにより、太陽光発電の出力制御をせずに済んでいる。
本来は老朽化した火力発電所に代わり、安定的かつ効率的に電力供給を行うための設備であり、不安定な自然エネルギーによる電力との調整のために運転を停止することによる起動損失(発電効率・売電量の低下、設備への負担)は少なくない。

以前はボランティアで調整していたが、近年ようやく調整に対する補助が出るようになった。

自然エネルギー発電の安定化には蓄電池が有効だが、高コストであるため普及には課題がある。また火力発電は同期発電であり、一部が停電しても全体でカバーできるが、蓄電池はインバータ電源であり、比率が大きくなれば停電リスクが高くなる。

燃料の調達および脱炭素化の取組
燃料であるLNGは隣接するJERAを通して調達している。理由としては敷地にガスタンクを置くスペースがないことや、低圧蒸気タービン冷却水が地下管を通ってJERA上越火力発電所側に放水されていること等による。
東北電力(株)では世界各国からLNGを調達しており、長期売買契約を締結して変動を抑制している。脱炭素化の取組として、燃焼してもCO2を排出しない水素を混焼した試験運転(燃料転換)を新潟火力発電所にて実施している。

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視察時は定期検査中であるため運転は停止していましたが、全ての部品を分解して細かく点検している様子を見せていただきました。

また、中央制御室や作業現場では、モニターを使わずプロジェクターを用いてスクリーンに画像を投影していました。経費削減のためだそうです。2021年の福島沖地震により、東北電力(株)管内の火力発電が大きなダメージを受けたこともあり、厳しい経営状況だと伺ったことがありますが、こうしたところでも経営努力をされているのだと知りました。

電気には同時同量の原則があり、使われる量と発電する量を常に一致させなければ周波数が乱れ、大停電を引き起こすリスクが高くなります。

微調整ができる火力発電は同時同量を維持するため、もともと調整役を担ってきましたが、近年の自然エネルギー(再生可能エネルギー)の導入拡大によって、調整幅が大きくなっているそうです。

本来は「稼ぐ」ための上越火力発電所が、高性能であるがゆえに調整役を担い、出力抑制や運転停止を余儀なくされている現状には心が痛みました。

そうした中でも、所員・社員の皆様のモチベーションは高く、ライフラインを守ることへの使命感と矜持を持って、地域に根差した電力会社・発電所として役割を果たされている姿には、非常に感銘を受けました。

電力の安定供給には、様々な発電手段を組み合わせるエネルギーミックスが必要であり、ベースロード電源となる原子力発電所を安全に活用し、火力発電の負担を減らすことが、持続可能なエネルギーの確保につながると感じました。

火力発電の重要性、必要性についても周知を図りたいと思います。

ご対応いただいた関係者の皆様、ありがとうございました。

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