「柏崎刈羽原子力発電所の再稼働に関する請願」採択へ
令和6年3月21日、柏崎市議会2月定例会議の最終日は、令和6(2024)年度の当初予算、新年度から2人体制となる副市長の人事案件など、多くの議案の採決が行われ、提出された議案はすべて可決しました。
最後の議案「請第1号 柏崎刈羽原子力発電所の再稼働に関する請願」は、12時過ぎから始まり、賛成5人、反対3人が討論し、採決まで約2時間かかりました。
私は会派を代表して、以下の賛成討論を行いました。
「請第1号 柏崎刈羽原子力発電所の再稼働に関する請願」について、会派「柏崎の風」を代表し、賛成の立場で討論いたします。
平成27(2015)年6月に「柏崎刈羽原子力発電所の早期運転再開に関する請願」が提出・採択されてから8年8か月を経て、今回の請願が提出されました。
前回の提出者は柏崎商工会議所単独でしたが、今回は6団体が名を連ねているところから、市内事業者が置かれている状況の切実さ、願意の強さが伺えます。
柏崎刈羽原子力発電所は、昭和44(1969)年3月に、柏崎市議会自らが誘致したものであり、55年前に出された決議文には、このように記されています。
【将来のエネルギー需要に備え、原子力発電所を誘致し、建設の実現をはかることは柏崎市の産業振興に寄与し、ひいては豊かな郷土建設をめざす地域開発の促進に貢献するところ絶大なるものがあることを確信する。】
背景には人口流出が続く本市の情勢に対する強い危機感があり、若者の流出に歯止めをかける就職先を確保し、人流の増加や関連企業の進出を図るため、「ふるさと柏崎を陸の孤島にしてはならない」との想いを込めて、誘致決議に踏み切ったものと推察します。
その後、建設工事期間を経て、昭和60(1985)年9月に1号機が営業運転を開始して以来、柏崎刈羽原子力発電所は、長年に渡って日本のエネルギー政策に貢献し、安定的な電力供給によって首都圏の経済発展を支えてきました。
柏崎市においては、新たな産業の創出による経済活性化はもとより、市民生活や行政運営の面でも、豊かさを享受してきた歴史があり、その一端を示すのが、原子力発電所関連財源です。
今ほど可決された令和6(2024)年度一般会計予算において、電源三法交付金、新潟県核燃料税、柏崎市使用済核燃料税の総額は、約40億7千万円、歳入全体の8.5%を占め、固定資産税も加え、本市の財政を支える安定的な財源となっています。
これらは、ライフラインの維持、市民福祉の増進、産業振興、地域活性化の重要な資金源となっていますが、電源立地地域対策交付金や核燃料税は、新潟県の歳入として、県民生活を支える各事業に充当されている、ということも申し添えておきます。
東日本大震災の翌年となる平成24(2012)年3月以降、全号機が運転停止している今も尚、柏崎刈羽原子力発電所は、本市の基幹産業として5千~6千人の雇用を維持しています。
そして、福島第一原子力発電所のような過酷事故を二度と起こさないために、国の厳しい新規制基準に応え、更なる安全性向上に努めている方々の多くは、私たちと同じ柏崎市民でもあります。
「安全性」について触れさせていただけば、本請願は「国の新規制基準に適合すると判断された号機」を対象としています。
判断の根拠や具体的な安全対策については、柏崎市議会全員協議会において、1/22には原子力規制庁、1/26には東京電力HD(株)から説明を受け、質疑を通して、その妥当性を確認しました。
また、2/14には内閣府防災原子力担当から、令和6年能登半島地震を経ても、国の原子力防災の方針や支援体制は変わらないことを伺いました。
そして3/2に開催された初代原子力規制委員長の田中俊一先生による、複合災害時の避難の在り方に関する講演会の内容を通して、避難によるリスクにも目を向け、正しい知識を持って冷静に行動することが、安全の確保につながると再認識したところです。
尚、2/14の全員協議会では、資源エネルギー庁からも、我が国のエネルギーを取り巻く現状と、国策における原子力発電の重要性について伺いました。
日本の電源構成はいまだに火力発電が70%以上を占め、その燃料となる原油、LNG、石炭の約98%を海外から輸入しています。
昨今の不穏な世界情勢による燃料輸入価格の高騰が、電気料金をはじめ様々な価格の上昇につながり、暮らしや産業を圧迫し、この1~2年は、原油価格・物価・電気・ガス料金等の高騰に対応する補正予算が何度も組まれてきました。
本来であれば、経済循環につながる消費活動、各企業の成長に向けた投資、従業員の賃金改善等に使われるべき公費を、日々の生活や経営の維持への一時的な支援に充てなければならない状況が続いてきたことになります。
エネルギー価格、物価等の高騰を抑え、景気を回復し、各産業を持続可能なものとするためにも、燃料調達を海外に頼る火力発電への依存度を下げ、ベースロード電源となり得る原子力発電所の安全な活用が必要だと思います。
本請願を審査した2/27の「柏崎刈羽原子力発電所に関する調査特別委員会」においては様々な議論がなされ、中には再稼働による経済効果を疑問視する声もありました。
しかしながら、令和8年から東京電力HD株式会社の社員300人が新たに柏崎で働くこと、また、再稼働に伴い人流が増えることによる経済効果は大きいと考えます。
そして、経済効果を高めるために、知恵を絞り、行動し、市民や行政・産業界の皆さんと力を合わせて柏崎を前進させることこそ、私たち柏崎市議会議員に課せられた使命ではないでしょうか。
請願の一文一文にこめられた願意は、心から賛同できるものであります。
「ふるさと柏崎を陸の孤島にしてはならない」との先輩方の想いを受け継ぎ、国策を担う基幹産業である柏崎刈羽原子力発電所との共生、共に生きる意思を、市民の代表である柏崎市議会において、明確に示したいことから、本請願に賛成いたします。以上です。
採決は賛成16人、反対5人となり、請願は採択されました。
数日後には柏崎市議会HPにて映像配信されます。
今後は柄澤 均 議長が刈羽の廣嶋 一俊 議長とご一緒に、3月25日には国に、3月26日には新潟県に対し、柏崎刈羽原子力発電所の再稼働を要望します。
また、柏崎市では櫻井市長が柏崎刈羽原子力発電所の再稼働に関する懇談会を行います。
私自身も請願に賛成した説明責任を果たせるよう、行動したいと思います。
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