令和5年9月一般質問 2 地域課題の解決と高校生の活躍
令和5年9月8日の一般質問内容の続きです。
質問2 地域課題の解決と高校生の活躍 では(1)高校生の進学状況と地元回帰に向けた取組 について伺います。
今年7月初旬、令和6~8年度 新潟県立高校等再編整備計画において、柏崎翔洋中等教育学校が令和8年度に募集停止し、同年より柏崎高校に県立中学校を併設する方針が示されました。
この件に端を発し、柏崎市内中学生の市内外高校等への進学状況について担当課に問い合わせ、その内容をグラフ化してみました。
まずは柏崎市内中学校を卒業した後の高校等への進学状況です。ただし県立特別支援学校への進学者や進学しない方々の人数は含まれていないことを、ご承知おきください。
次は柏崎市内小学校卒業後、柏崎翔洋中等教育学校の前期課程に入学した生徒数であり、毎年50人台は進学しています。
この度の県の再編整備計画によって、もっとも衝撃を受けたのは、柏崎翔洋の在校生や卒業生、進学を希望するお子さん達、そして保護者の皆様だと思います。
関係者の方々からは、「柏崎翔洋の良さ・独自性に魅力を感じたからこそ、この学校を選び、誇りと愛校心を育んできただけに、県の方針を受け止めきれない」とのお声もいただきました。
そのため、柏崎翔洋に対するニーズが、柏崎高校に併設される県立中学校へのニーズと合致するとは限らない、と感じるところです。
次は進学先の市内外動向です。少子化が進んでも市外に進学する生徒は減っていません。この傾向から、一定の学力を持つ生徒や、スポーツ等やりたいことが明確な子ども達は、公立高校が再編され進学校が集約されたとしても、柏崎市内に進学しないのではないかと推測します。
このデータをお示ししたのは、柏崎市の現状、高校生の段階で市外を選択する生徒も少なくない状況を、本市の行政機関ではどう認識しているのか、また若者の定住促進の観点から、高校生に対する戦略的なアプローチを強化する考えがあるのか、確認したいためです。
15~18歳という多感な年代における経験は、その後の人生に大きく影響します。学校生活と並行して、社会に目を向け、自らの将来像を思い描くのもこの時期だと思います。そして、彼らは、社会や地域の課題解決に向けた活躍が期待される貴重な人材でもあります。
人口減少対策の観点から、本市に居住する高校生はもちろん、市外から本市に通う高校生も視野に入れ、将来、柏崎に残る・戻る選択につながるアプローチ、地元回帰に向けて取り組むことが重要だと考えます。
そこで質問です。柏崎市内の県立高校・中等教育学校に対する新潟県の再編整備方針と、柏崎市内中学卒業後の進学先実態に対する認識、および高校生が柏崎市に残る・戻ることにつながる施策の現状と展望について伺います。
市長
近藤議員が言われるように、柏崎市の中学校卒業生のうち、約2割強の生徒が市外の高校に進学している実態がございます。大学を見据えた進学校への進学、柏崎市にはない専門学科への進学、部活動を理由にした進学、通信制高校への進学など、その理由は様々だと認識しております。
中学校3年間におきましては、まず調べ学習や見学・体験を踏まえた各高校の特色について学びます。そして将来を見据えた中で、自分が本当に行きたい高校はどこなのかを真剣に考え、自己実現に結び付ける進路学習に取り組んでいると聞いております。
できることならば、小・中・高と柏崎市内の学校で学べることが理想ではありますが、生徒一人一人の希望に沿った自己実現のための進路は多岐に渡っており、市内にその全ての選択肢がないのも現実であります。
尚、今般、新潟県が方針を示しました令和8(2026)年度の柏崎翔洋中等教育学校の募集停止ならびに県立中学校新設と、中学校卒業生の市外への進学の関連については、大きな影響がないものと考えております。
次に、ふるさと柏崎の魅力とそれを語る人々の生き方を学び、柏崎の未来を担う人材育成についてご説明いたします。中学校を中心にキャリア教育推進事業を予算化し、キャリア教育講演会の実施や、各種体験学習への支援、中学校での企業学習に取り組んでおります。
また、柏崎市移住・定住パートナーチームが立ち上げた施策の一つであります、子ども達の柏崎愛を育むための総合学習とアンケート調査の実施に向けた準備を進めているところでございます。その結果を今後の施策に反映させていきたいと考えております。
最後に、将来柏崎市に残る・戻る選択につながる高校生へのアプローチにつきまして、令和元(2019)年度に、中学生・高校生・大学生を対象に、「柏崎市住みたい度調査」を実施し、柏崎市定住に対する意識を把握して、その結果を総合計画などに反映させてきたところでございます。
また柏崎職安管内・雇用促進協議会では、毎年高校生を対象に、企業説明会を開催しております。市内企業の魅力を発信し、一人でも多くの高校生の地元定着につながるよう、民間と行政が一体となって取り組んでまいります。
さらに今年3月には、柏崎市主催で、高校生と柏崎で働く大人との座談会を開催したところでございます。この会は多様な業種で働く大人達の経験や、キャリア紹介を聞くとともに、高校生が進路選択をする上で抱える悩みや問題などを相談できる機会となったと認識しております。
これからも柏崎の未来の担い手である子ども達が、ふるさと柏崎への愛着と誇りを持ち、柏崎の地で夢や希望に向かって、可能性を切り開いていくことができるよう努めてまいります。
近藤
市としてもこれまでも取り組んできたと思いますが、こういった進学実態も踏まえた上で、地元回帰、柏崎に残る・戻る、最終的には柏崎を選ぶように働きかけていただきたいと思います。
次の質問(2)介護・福祉分野と連動した高校生支援 では、キャリア教育と地域課題解決を結び付けることについて、民間での取組を参考に伺いたいと思います。
介護・福祉人材の育成・確保は本市のみならず全国的な課題ですが、高校生が介護の資格取得と現場での実務経験を通して、未来を切り開くことを応援する取組が注目されています。
昨年、愛知県のキャリア教育団体と介護・福祉団体が、若者と介護・福祉業界をつなぐための新しい制度づくりを目指して実行委員会を発足し、高校生のための「介拓奨学生プログラム」をスタートしました。
本プログラムは、高校生が研修費・交通費無料で介護職員初任者研修を受け、資格取得後は奨学生として、介護施設等にて通常より高い時給でアルバイトをしながら経験を積み、卒業時には活動に応じた奨学金が受けられる仕組みだそうです。
学業との両立を前提とし、介護・福祉施設での実務経験を通して、進学や就職のための費用を貯め、将来に役立つ資格とスキルを獲得できる取組みであり、「新聞奨学生」に近い仕組みかと思います。
初年度となる昨年は、高校生17名がプログラムに参加し、それぞれ介護・福祉の現場で実務経験を積みながら、充実した日々を送っているそうです。
本市においても、「介拓奨学生プログラム」を参考に、高校生のキャリア形成支援と同時に、介護・福祉の現場に対する理解促進、人材不足の解消を図る取組を検討してはどうかと考えます。
つまり高校生に早いうちに本格的に関わっていただくことで、介護・福祉の現場に入るということ、また仮に将来的に介護・福祉の道に進まないとしても、スキルを身に付け、社会人としてのキャリア形成に役立てていくことができるかと思います。
更には、既存の奨学金返還補助制度や、介護職員就職支援事業補助金等を組み合わせることによって、若者の定住支援、Uターン促進にもつながると思います。
そこで質問です。「介拓奨学生プログラム」を参考に、介護・福祉分野における高校生の活躍とキャリア形成を推進する取組を行ってはどうかと考えますが、見解をお聞かせください。
福祉保健部長
近藤議員がご指摘のように、高校生のキャリア形成は本格的な少子高齢化・人口減少社会を迎えている本市においても非常に重要な取組であり、課題であると認識しております。市内の高校に伺いますと、介護・福祉分野に進学する生徒は毎年数名程度とのことです。また県内の介護・福祉系専門学校は、入学者が減少していると伺っており、残念ながら介護・福祉学科の募集を停止する事態も生じております。
こうした状況から介護・福祉分野の人材不足は一層懸念されるため、総合学習やキャリア教育の機会を捉えて、介護・福祉の必要性や、やりがいを伝える出前講座に、主体的に取り組んでいるところでございます。
さて、民間事業者の間で実行委員会を立ち上げ、愛知県内で実施されている「介拓奨学生プログラム」を参考とした取組みについてのご質問であります。介護職員初任者研修を実施するにあたって最大の課題は、講師を揃え、カリキュラムを編成し、継続的に研修を実施し、適切な修了評価を行うことができる養成研修の実施事業者の確保であります。
この実施事業者は都道府県知事の指定を受ける必要があり、確認しましたところ、ご紹介の団体には構成員の中に実施事業者が確保されておりますが、現時点で柏崎市内に養成研修の実施事業者はございません。従って来年度から本市で同じ取組を実施するのは難しい状況であります。
しかし若い世代への働きかけは、第五次総合計画や現在策定中の第9期介護保険事業計画においても重要な取組と位置付け、既存事業の見直しを含めた検討を進めております。
具体的に申し上げますと、市内事業者の協力を得ながら、高校生にとって比較的年代の近い、若手職員による介護・福祉の技術講座の実施を新たに検討しております。
そしてこの講座の終了後には、新潟県福祉人材センターが実施しております介護施設の職場体験会につなげていくとともに、就職の際には就職支援補助金を交付する等、一連の事業をパッケージにすることにより、介護・福祉分野の理解促進や、人材不足の解消を図る取組を、一体的に進めてまいりたいと考えております。
近藤
今ほど「介拓奨学生プログラム」と同じではないにせよ、また新たな取組を行うとのことでしたので、ぜひ高校生の活躍を支援する形で、課題解決につなげていただきたいと思います。
本項目の最後は、(3)防災分野における高校生の活躍 について伺います。
災害が頻発する昨今、市民ひとり一人の自助、地域における互助・共助の向上が求められます。
高校においては、防災を含む安全に関する教育が、現代的な諸課題に関する教科等横断的な教育内容として位置付けられ、各教科や、総合的な探究の時間、特別活動の中で扱われています。
このことから、高校生は災害発生時において、自分や家族、友人の安全確保、避難所での協力や支援、地域社会への貢献等が期待されます。
本市では地域の自主防災におけるリーダー役として、毎年、防災士を養成し、フォローアップ研修によってスキルアップを図っています。
そこで今後は市が主催する防災士フォローアップ研修等において、高校生と連携した模擬訓練や意見交換会を行うことや、市の防災士養成講座に高校生枠を設けるなどすれば、地域の防災力を強化できると考えます。
また、防災を通して高校生が地域と関わる機会をつくることで、地元への理解と愛着を醸成する効果も期待できるのではないでしょうか。
そこで質問です。地域防災力の向上と若い世代の地元理解・愛着の醸成を図るため、防災士研修における高校生との連携、あるいは防災士養成の対象範囲に高校生を加えることについて、見解を伺います。
市民生活部長
本市が取り組む防災士養成では、地域の防災力を高める目的から、資格取得後に地域の防災活動をけん引し、活躍していただくことを期待しており、申込に当たっては地域推薦をお願いしています。受講資格に年齢制限は設けておらず、市内の高校にも募集案内をしており、昨年度は30名が資格を取得し、うち1名は高校生で、今後の地域での活躍が期待されるところです。
地域防災においては、大人だけが取り組むのでなく、児童・生徒も防災教育を通じて、自分の命や安全を守ることを学び、地域との関係を築きながら、普段からの自助・互助・共助の心を育むことが、地域全体の防災力の向上につながっていくものだと考えております。
現在のところ高校生に特化した防災事業はありませんが、今ほどいただきました高校生に対する具体的なご提案のことも含め、地域防災力の向上に向け、あらゆる世代が防災の知識や技術を身に付け、地域を知り防災活動に関わる仕組みづくりや、人材育成について研究してまいります。
近藤
今ほど伺いまして、地域推薦の防災士の中にも高校生が含まれていたこともお聞きしました。そういったことも呼びかけながら、高校生を貴重な人材として捉え、地域課題の解決をともに目指す存在として、そのような取組みを進めていただきたいと思います。
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