令和5年9月一般質問 1 持続可能な「脱炭素のまち柏崎」を目指して②(3)ALPS処理水を巡る側面支援
本項目最後の質問では、福島の復興、そして日本の水産業への応援を込めて、(3)ALPS処理水を巡る側面支援 について伺います。
令和3(2021)年6月一般質問「福島復興を進めるために」において、私は福島第一原子力発電所のALPS処理水の海洋放出に対する本市の見解を伺い、市長からは、廃炉作業の安全で着実な進展のために、海洋放出の処分方針を評価する、とのご答弁をいただきました。
それから2年を経て、ALPS処理水の海洋放出が正式に決定しました。処分方法は国際安全基準に合致し、人及び環境に対する放射線の影響は無視できるほどであると、国際原子力機関IAEAは包括報告書で結論付けています。
岸田首相は風評被害を危惧する漁業関係者との対話を重ね、一定の理解を得たとして、8月24日から海洋放出を開始しました。
これに対し、中国は日本の水産物を全面的に輸入禁止、次いで販売禁止とする措置を打ち出し、香港も新潟県を含む10都道府県の水産物を輸入禁止措置としました。また、中国からとみられる迷惑電話も全国で相次いでいます。
その一方で、処理水放出後、福島県沖のトリチウムは全観測地点で検出下限の濃度を下回り、周辺海域の魚からトリチウムは「不検出」であったことも発表されています。
政府は水産支援対策として1千億円規模の風評被害対策、漁業継続支援を打ち出し、日本産水産物の国内消費拡大や輸出先の転換を図っています。
加えて9/6のASEAN=東南アジア諸国連合との首脳会議の場で、岸田首相は海洋放出の安全性を説明し、加盟国からは冷静に受け止められたことも報じられています。
また、海洋放出の開始日が決定して以降、福島県沿岸部のいわき市へのふるさと納税が急増し、寄付者の約9割は返礼品に海産物関連を希望している他、漁業者に対する応援メッセージも寄せられているそうです。
国際的な緊張関係が続くからこそ、私達は日本人として、科学的根拠に基づく風評被害の払拭、苦境に立たされている水産業者の応援に注力すべきであり、柏崎市は、福島と同じ電力会社の原子力発電所が立地する自治体だからこそ、より強いメッセージを打ち出すべきだと思います。
原子力発電所から出されるトリチウムを含む水は、これまでずっと世界中で海洋放出されてきました。そして、柏崎刈羽原子力発電所からトリチウムを含む水が放出される海で、私達は泳ぎ、地元で獲れる魚介類を口にしてきた歴史があります。
この事実を踏まえ、「海の柏崎」、そして原子力発電所立地自治体ならではの側面支援として、「福島近海の水産物を柏崎で買う・食べる」イベントを実施し、市内外に海洋放出の妥当性、水産物の安全性をPRしてはどうかと考えます。
また、本市ではここ数年でキッチンカーを招致したイベントを開催してきましたが、近年では小型EVキッチンカーを利用して、飲食営業を行う事例も見られます。そこで、水産物応援イベントを行うのにあたり、EVキッチンカーを手配すれば、脱炭素の推進を印象付ける相乗効果も生まれるのではないでしょうか。
以上を踏まえて質問します。原子力発電所立地自治体でもある「海の柏崎」として、福島のALPS処理水の海洋放出および周辺海域の水産物の安全性に対する理解促進と、脱炭素の推進に資する取組を行うことについて、見解をお聞かせください。
市長
まったく、近藤議員が熱弁を奮われた通りであり、そのまま答弁として繰り返してもいいくらいです。まったく私の考えとピッタリであります。
先月8/24にALPS処理水の海洋放出が行われてから、残念ながら日本産水産物につきましては、中国・香港での輸入禁止や検疫強化が始まっており、今後は国内でも買い控えによる水産物の消費低迷が危惧されております。しかし日本国民は、困った時は・・というところで、今のところ水産物の消費低迷はないと考えておりますけれども、外国向け・輸入ものに関しましては、いまだ危惧が残るところでございます。
国はトリチウムおよびセシウムの成分分析を毎日行い、公表しているところです。市内で消費する水産物に関しましては、東北・太平洋沿岸で水揚げされたものも含まれますが、国のモニタリング分析が機能し、科学的根拠に基づいた安全な水産物が流通しているものと認識しております。
同じように原子力発電所を有している柏崎市といたしましては、広い意味で地産地消という観点から、日本産水産物の消費拡大につながる周知等を検討してまいります。
また国および東京電力HDにおいては、風評被害への対応も含めて、適時適切な対応を継続するよう強く求めるところであります。
ちなみに小型EVキッチンカーのご提案もありましたが、残念ながら今EVに供給されている電気は日本においては石炭由来ですので、ちょっとこれは私としてはクエスチョンマークであります。
また私自身も先頭に立ってということで、ささやかではありますけれども、先月の処理水放流後、福島産のしらす干しを、これは柏崎では獲れませんので、注文し、美味しくいただいていることをご報告申し上げます。
近藤
2年前と変わらぬスタンスでご答弁いただき、大変嬉しく思います。「物事の前進や解決のためには、風評被害を判断材料にしてはならないと思います。だからこそ、公の立場にある私達は、風評被害をなくすための行動、努力を続けなければならないと考えております。」こちら、2年前にもこの議場で申し上げましたけれど、私も今もこの気持ち、変わっておりません。
将来の食糧危機、食糧安全保障も視野に入れ、情勢を注視しながら、ブレることなく、福島の復興、脱炭素社会の実現を応援していきたいと思います。
ぜひ福島産の水産物を柏崎で買う・食べるというイベントのご検討もお願いしたいと思います。
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