【令和5年6月一般質問2】 希望につながる「ふるさと納税」の活用
令和5年6月一般質問の後半です。
2 希望につながる「ふるさと納税」の活用
(1)市民の意思を反映したふるさと納税の活用 について伺います。
令和4(2022)年度は、本市のふるさと納税「柏崎ふるさと応縁基金」が、寄付件数・寄付金額ともに過去最高であることが公表されました。ご寄付いただいた方々への感謝とともに、市長や職員の皆様、返礼品提供事業者の皆様のご尽力に、敬意を表します。
ふるさと納税の躍進は、市民の皆様にとっても明るいニュースであり、その活用の仕方も注目されていると思います。
昨年9月の一般質問においては、「ふるさと納税の充当事業は寄付者の意向を尊重する」との答弁でしたが、その後、市民の方々から「ふるさと納税の使い道に、市民の意思を反映させてほしい」、「市民満足度の高い使い方をしてほしい」とのお声もいただくようになりました。
そこで、他の自治体の取組を調べたところ、福井県坂井市が、全国で唯一、寄附金の使い道を市民から募り、その決定にも市民の意思を取り入れていることを知りました。
坂井市では平成20年3月に制定された「寄附による市民参画条例」に基づき、規定された施策メニューに対し、市民から具体的な事業を公募します。その中から寄附市民参画基金 検討委員会が事業を決定し、寄附を募り、基金として積み立て、目標額に達したところから事業化しています。
現在寄付を募集している事業は、リゾート型音楽フェスティバル開催、若者が集うまちの拠点整備、AIオンデマンド交通、無電線化による観光地の景観向上と環境改善などがあります。
また、過去に事業化したものとして、空き家リノベーションによる新規起業者育成事業、地元高校生による、規格外農産物を利用した6次産業化推進事業、認知症の早期発見・予防プロジェクト、スマート農業を支援する補助金の新設など、多岐に渡ります。
坂井市の「心豊かに安心して暮らせる社会を築くための事業を、このまちが好きな人と行政がともに考えていく」手法は、市民の活力を育み、寄付者にとっても喜ばしいものだと感じます。
さて、本市においては、過去に市役所内部でふるさと納税に対する職員提案を受け、柏崎市の木材を活用した製品を保育園などに配布する「かしわざき“木”の力発信事業」を創設したことは承知しています。
ですが、庁内の意見聴取から更に広げて、ふるさと納税の充当事業に市民の意思を反映させる機会を設けてはどうかと考えます。
例えば現在の使い道の中でも柔軟度の高い「市長におまかせ枠」において市民のアイディアを募り、市長を審査委員長として庁内で審査し、一つでも事業化できれば、市民の希望と活力につながり、寄付者の意向にも沿うのではないかと思います。
また、過去には市内小学生の総合学習の成果発表を受け、駅前公園へのキッチンカー招致等を実現した実績も踏まえ、子ども達の提案をふるさと納税の活用事業に取り入れることも検討してはいかがでしょう。
そして、市民や子ども達の提案をすぐに実現できないとしても、ふるさと納税型クラウドファンディングの対象とし、事業化を目指すことも、資金調達とシティセールス効果が見込めるのではないかと思います。
そこで質問です。
柏崎ふるさと応縁基金を活用した充当事業に、市民の意思を反映させる機会の創出について、見解を伺います。
市長
ふるさと納税の活用についてお答え申し上げます。令和4(2022)年度の本市のふるさと納税は、件数にして1万6332件、金額は3億9821万230円であり、過去最高となりました。これは全国から本市を応援してくださった寄付者の皆様、そして本市の魅力ある地場産業を返礼品としてご提供いただいた市内事業者の皆様のご協力の賜物と考え、心より感謝申し上げるところであります。
さて、このふるさと納税の活用方法について、近藤議員からは市民の皆様からの意思を反映させる機会を創出してはどうか、とのご提案をいただきました。本市では4つから使い道を選んでいただいております。
ちなみに令和4(2022)年度では、「人と自然にやさしいエネルギーのまちづくりのために」が約29%、「こどもたちのために」がいちばん多く約37%、「若者と女性のために」が6%、そして「市長におまかせ」が約28%でございます。それぞれご寄付いただいた方の選択、ご希望に沿ったジャンル・事業に充当しています。
近藤議員からご指摘いただいた、「市長におまかせ」部分の活用方法でございますが、定住人口・関係人口の確保に資する施策展開をより一層進めてまいります。また花をテーマにした絵画の購入、そして市長である私の意思を明確に掲げているところでございます。このことは柏崎ふるさと応援基金のリーフレットにも記載してあります。
結果、昨年度は絵画の購入、そしてこの部分はぜひお聞きしたいところですが、市民の皆さんのまさにご要望を得て、例えば花火の尺玉一斉打ち上げを今年もやってもらいたいというお声で、ここにも使わせていただいております。
それから、潮風マラソン、柏崎マラソン、これも関係人口に資するものだから、これにも少しお手伝いいただきたいとの市民の皆さんのお声をいただいて、「市長におまかせ」部分から使わせていただきました。
またユネスコの登録を得た綾子舞の保存振興事業などにも、「市長におまかせ」の部分を充当させていただいたところです。
「市長におまかせ」部分は約1.1億円ございますが、その中の半分ほど、5,000万円余りを今ほど申し上げた部分で使わせていただき、残り5,000万円ほどは基金に積み立てています。
もし市民の皆様から、今もこのように使わせていただいていますけれども、こうした事業を応援してほしいというお声が寄せられた場合、考慮させていただきます。近藤議員からもご提案がありましたら、お聞かせいただきたいと思います。
近藤
今のご答弁の中で、すでに市民の皆様のお声を(充当事業に)反映させているということですが、具体的にそのお声とは、どのように寄せられたものなのでしょうか。
市長
あらゆる場面です。個人的な場面でも、市長への手紙も含めて、花火の件も、またマラソンの件も、こういう形で使わせてもらいたいと、もしくは応援してもらいたいというお声を得て、私の判断で、これは関係人口の増に資するものであるというところで使わせていただいているところです。
近藤
色々な市民の方がいらっしゃると思います。直接、または間接的にご自分の意見を発信できる方もいれば、中々、そういったことをやってはいけないのではないか、という方もいらっしゃると思いますので、公募の方式があれば、公平に市民の皆さんに対してアプローチできると考えての提案でした。やらないということですが、またご検討いただければと思います。
次の質問
(2)未来に向けた学びの応援 に移ります。
柏崎市では「子どもを取り巻く環境の充実」を重点戦略とし、ふるさと納税の使い道に「こどもたちのために」を設定し、教育や子育て支援事業に充当しています。
特に教育においては、学習用タブレット等の情報機器の管理や、指導補助員の増員など、本市が取り組む学力向上プロジェクトの関連事業にも使われていると承知しています。
学力向上プロジェクトは、将来、いろいろな可能性を秘めた子供たちが、より多くの職業の選択肢の中から自分の夢をつかめるようにすることが目的だと、教育長が議会の様々な場面で答弁されていますし、人材育成や移住・定住の推進も視野に入れた取組だと認識しています。
ですが、子ども達が一定の学力を身に付けられなければ、進路・職業の選択肢が狭いものとなり、将来にも影響する可能性があります。
そういった観点から、家庭の経済的状況による子ども達の学力・教育格差、不登校やヤングケアラーに該当する子ども達の学習遅れも危惧するところです。
内閣府をはじめ、様々な機関で子どもの学力と世帯収入の相関関係に対する調査研究がなされていますが、それぞれの結果において、世帯収入が多いほど、子どもの教育費、特に塾などの学校外教育にかける支出が多く、学校外教育支出と子どもの学力が比例する傾向にあるそうです。
本市では昨年度、「子どもの生活状況調査」が実施され、もうすぐ議会にも報告されます。
その結果を踏まえて、これまで行ってきた就学援助や学習支援、奨学金制度等が十分なのか検証するとともに、子ども達の学力格差・学習遅れがあるならば、それを是正する取組も必要ではないかと思います。
昨年8月、当時所属していた文教厚生常任委員会では、子育て支援と子どもの貧困対策の先進自治体である埼玉県富士見市を視察しましたが、担当職員による「貧困の連鎖を断つのは教育」との言葉が印象的でした。
富士見市では、子ども達の学習機会や学習意欲を維持できるよう、教育支援を行うNPO法人や塾経営者等に委託して、無料塾や学び直し相談などの事業を行っています。学び直し相談とは、高校や大学を中退した若者や、不登校の生徒・学生を対象に、学ぶことの大切さを伝え、再度の進学、学校復帰や、卒業認定資格の取得をサポートする事業だそうです。
このように、子ども達の学力および学習意欲の維持・向上をはかる取組を、学校外教育支援という形で予算化していくことの必要性を、本市においても検討すべきと考えます。
そして、必要だと判断したならば、そこにふるさと納税を活用すること、あるいは、ふるさと納税型クラウドファンディングにより、財源確保を目指してはいかがでしょう。
他の自治体においては、ふるさと納税型クラウドファンディングにより、学習塾の利用や奨学金返還補助の他、実質的な給付型奨学金となる入学応援給付金の財源を募る事例もあります。
子どもの年齢が上がるにつれて、教育費がかかることも踏まえ、柏崎の子ども達の成長を長い目で見守り、未来に向けた学びの応援に、ふるさと納税を活用してはどうかと考え、質問します。
本市の子ども達の学力・教育格差や学習遅れの実態と新たな取組の必要性、そのためのふるさと納税活用について、見解を伺います。
教育部長
子どもの貧困対策を進めるため、本市におきましても令和4(2022)年11月に「柏崎市子どもの生活状況調査」を実施しました。この詳細な集計結果につきましては、6/14の文教厚生常任委員協議会において、報告させていただきます。
この調査を行ったことによって、子育てや子どもに関する悩みとして、一番に子どもの進学や受験、次いで子どもの教育費が挙げられ、子どもの学力や将来についての関心が高いとともに、経済的な悩みを抱えている子育て世帯が多いことがわかりました。
一方、令和4(2022)年度において、年間30日以上、小学校を欠席した児童が44人、中学生が84人と増加傾向があり、不登校児童・生徒への学習保障の必要性も高まっております。
現在、教育委員会では、自分の夢をつかみ幸福な人生を送れるよう、学力向上プロジェクトを3か年計画で実施しております。各学校では柏崎ステップアップ学びプランの下に、すべての子どもの学習保障を実現するために、一人ひとりの学力実態を的確に捉え、個別最適な学び・協働的な学びの一層の充実に取り組んでいます。国のGIGAスクール構想に伴い導入した学習用タブレット端末の活用では、総合学力調査の結果分析をもとに、個の課題に対応するAI機能を搭載したドリル学習にも、家庭でも学校でも取り組んでおります。
このような取り組みを推進するにあたり、近藤議員からご紹介いただきました通り、個に応じた支援・指導のための指導補助員46名、特別指導介助員36名の配置、外国籍の児童・生徒のための日本語指導員の派遣、オンラインでの学習保障にも対応できる学習用タブレット端末の維持管理費、授業支援や環境整備を行うICT支援員の配置など、これらに今年度はふるさと応援基金より総額8,900万円充当し、子ども達の学びを応援しているところでございます。
今後も学力向上プロジェクトの充実、就学援助事業や奨学金事業などによる経済的支援を継続するとともに、子育て世代家庭の実態や細やかなニーズを把握しながら、すべての子どもが幸福な人生を送れるための教育や子育て支援を進めてまいります。
近藤
今、公的な教育支援という部分でお聞かせいただきました。今後、学校外での教育活動支援においても視点を置きながら、検討していただきたいと思います。
最後、(3)ふるさと納税を活用した文化振興 に移ります。
今年度もソフィアセンターを会場に企画展「柏崎の花ーSpring Collectionー」開催が予定されます。文化振興事業費として2,561万8千円が計上され、このうち2,300万円はふるさと納税を活用し、昨年度に引き続き、花の絵を購入することになっています。
絵画購入のプロセスや管理体制、既存の収蔵品との棲み分けについて等は、過去の一般質問や委員会審査でも議論され、今年2月定例会議においては、絵画を活用して市外から人を呼ぶこと、すなわち観光誘客を図るとの答弁もなされました。
絵画購入に約2,000万円を費やすことについては、市民の間でも賛否が分かれると思います。
しかしながら、文化・芸術活動にふるさと納税を活用する事例は他でも見られ、音楽イベントや映画祭の財源として活用している自治体もあります。
昨年度に購入および今年度に購入する絵画を、どのように市外からの誘客につなげていくのか、また今後、絵画以外の文化・芸術活動にふるさと納税を活用する考えはあるか、確認させていただきたいと思います。
また、購入した絵画をソフィアセンターの企画展だけではなく、他の地域でも鑑賞できるようコミセン等のイベントに貸し出すことや、ふるさと納税を活用して、花を活用した地域づくりを応援していく、といったことも検討してはどうかと考えます。
そして、今後も絵画を購入するのであれば、収蔵品も含めて、適切な環境で絵画を鑑賞できるよう、ギャラリーの設置・運営にふるさと納税を充てていくという考え方もあるのではないでしょうか。
そこで質問します。
ふるさと納税を活用した文化振興について
購入した絵画の今後の活用、
文化・芸術活動や地域づくりへの展開、
収蔵品を生かせるギャラリー設置・運営について、見解を伺います。
市長
ふるさと納税を活用した文化振興についてお答え申し上げます。昨年度に購入した絵画を、市外からの誘客にどのようのつなげるかについてでございます。まず前提でございます。昨年来からの絵画の購入は、長年に渡る高額な寄付者のご意向を尊重させていただき行っています。
一昨年度の「柏崎の花ーSpring Collectionー」も、昨年度のものも、寄付者に対しご報告を申し上げ、またそのことを「ふるさと応援基金」のリーフレットにも記載しています。
市外からの誘客に関しましては、冬場のトピックスのひとつとして、柏崎観光協会とも連携してまいりたいと考えているところです。
いずれにしましても、今後も寄付者のご意向を確認させていただきながら、「花の作品を見るなら冬の柏崎で」という流れを作り出してまいりたいと考えております。
次に絵画以外の文化振興事業へのふるさと納税の活用は、先ほど(1)で答弁申し上げた通りでございます。
続きまして購入した絵画の活用方法でございます。現状においても財務規則に基づいた作品の貸出は可能でありますが、維持管理への最新の注意を払うことが必要であり、今のところ貸出は考えておりません。
最後にギャラリーの設置・活用についてお答え申し上げます。現在、旧市役所跡地に建設予定の(仮)柏崎セントラルガーデンにおいて、一定の規格を有するギャラリースペースを設置する予定でありますが、常設展示を踏まえた設計ではございません。既存スペースの有効活用を含め、今後の検討課題と認識しております。
近藤
絵画の活用として、花をテーマに、また冬の観光と結びつけるとの答弁をいただきました。
またコロナ禍が終わった中で、今年の冬を期待したいところですが、ただ市内の方々が全員見られるわけではございませんので、そのあたりも配慮し、季節も冬だけに限らず、そういった鑑賞の機会をつくる、ということに関してはいかがでしょうか。
市長
貸出等に関しましては、先ほども申し上げたように、非常に高額で価値あるものですので、今のところ貸出、もしくは色々な場所での展示というものは考えておりません。また春・夏・秋は市外から色々なお客様に訪れていただけますが、冬場はどうしても人の足が滞ってしまいますので、私はこの花の展示に関しましては、冬のトピックスとして、冬にぜひ柏崎の花を見にお越しいただきたいということで、冬に限定して活用・運用してまいりたいと考えております。
近藤
寄付者の方のご意向も大切ではありますが、柏崎の財産、市民の皆さんの財産でもありますので、できるだけ多くの市民の皆さんが、その財産に触れる機会をつくっていただきたいと申し述べ、今回の一般質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
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今回は3秒残して質問を終えました。2期目も変わらぬ姿勢を貫いて精進したいと思います。
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