市政報告会「このまちの介護を守るために」
3月20日、近藤ゆかり市政報告会「このまちの介護を守るために」を開催しました。
司会は友人でシンガーでもある久保田 彩さんにお願いしました。
ご来賓としてご出席いただいた櫻井 雅浩 柏崎市長、鷲尾 英一郎 衆議院議員代理・植木 毅 秘書様、小林 一大 参議院議員代理・向井 崇浩 秘書様から、激励のメッセージを頂戴いたしました。
また3月31日告示、4月9日投開票となる新潟県議会議員選挙を控える、与口 善之 新潟県議会議員からは、県政での介護・高齢化対策の取組みも交えて、激励のメッセージをいただきました。
そして今回は基調講演として、介護施設えみふる管理者の水口 かずみ様から、「外国人介護人材の活躍を目指して」とのタイトルで、以下のお話をいただきました。(水口様はジャズピアニストとしてもご活躍されています)
コロナ禍の3年間、介護現場は本当に疲弊してきた。
介護現場をどう守るかということは、少子化と並んで日本の大きな課題である。
ハローワーク柏崎では今日(2023.3.20)現在、137名の介護職員の求人が出されている。施設も介護事業所も増えていないのに募集が出ているのは、欠員を意味する。いつまで経っても就業者数/必要人数が1にならず、どうやって補充するかは大切な問題。
今日のテーマは「介護を守る」だが、介護人材を守ると同時に、増やさなければならない。
少子高齢化が問題視されるが、高齢者はいずれ減っていく。高齢者は増えているわけではない。年齢が上がり、高齢者と呼ばれる枠組に入るだけ。いちばんの社会課題は少子化だが、もし介護現場の人材が確保できなければ、家族間介護が主となり、疲弊して子どもをつくることも難しくなるだろう。
亡くなられた安倍総理が「介護離職ゼロ」を打ち出した際、介護現場は退職者ゼロ政策だと思って喜んだ。でも実は「介護のために仕事を辞める人をゼロにする」政策だった。
介護のために仕事を辞める人が続出すれば、働く人全体が減り、社会の労働力が低下する。
リーマンショック直後は、多くの人達が介護の仕事に就きたがり、20人の募集のところ、120人が応募するような状況だった。それが今は、ハローワークに求人を出しても、問い合わせすら無い状態が続く。そこで目を付けたのが、外国人介護人材だった。
外国人介護技能実習制度というものがある。外国人であろうと人間であることに変わりはない。望めるとしたら人柄が良いこと、それしかない。外国人も日本人も一切関係ない。自分の施設だけ人が充足されればいいということではない。柏崎市全体が潤うことが必要。
介護人材が不足し続ければ何が起こるか?介護サービスを受けられない人が増え、家で介護するために仕事を辞めなければならない人、介護離職者が出てしまう。そうしないためには、新しく介護現場に参入してくる人を増やすしかない。日本に来ていただける外国人がいるなら、そのパイプをつくった方がよいのではないか、という僕の発想から、外国人介護技能実習生の受入れが始まった。現在、10名の方がインドネシアから日本に来て、頑張って仕事をしている。
近藤さんは実際に外国人介護技能実習生たちと会って話をして、日本語が上手だと驚いていた。彼女たちは一生懸命に働く。人が見ていないところでも手を抜くことはない。先日、そのうちの一人のお父さんが病気で急変して亡くなったが、SNSで現地家族とやり取りしながらも仕事を続けてくれた。それぞれ家族の面倒を見ていて、働きたいと願っていて、現場のニーズとマッチしている。
先日、愛知県豊田市を視察した。豊田市ではインドネシアのバンドン市と連携協定を結び、介護人材の受入れを市が支援している。
豊田市に来ている介護人材は、現地(インドネシア)の日本語学校で勉強してから来日しているが、柏崎に来ている実習生も同じ日本語学校で勉強していることがわかった。
帰ってからすぐに柏崎市介護高齢課に豊田市の取組みを紹介した。柏崎市に動いてほしいというのではなく、外国人介護人材の受入れに柏崎市も関わっていることを見せてほしい。市の公共施設を使って人材交流や日本語教育をやらせていただきたいと、交渉している。このように外国人介護人材の職場定着を図っている。
弊社にはインドネシア人の社員がいる。日本に留学していたインドネシア人と結婚し、柏崎市に住んで活躍している。現在、その方に生活の問題を聞いてもらったり、日本語を教えてもらったりしている。
先日、実習生の一人が日本語検定2級に合格した。問題を見せてもらうと、かなり長文で日本人が見ても迷うような難しいものだった。それに合格したことで、管理団体から表彰されていた。外国人技能実習制度は3年間だが、本人が望めば、特定技能に移行でき、最長5年働ける。技能実習生はあくまでも「実習」で、働いている時間にお金をもらえるイメージだが、特定技能は「就労」としてカウントできる。
最初に入った6人の技能実習生が3年になるので、意向を確認したところ、全員が特定技能で残りたいと希望してくれた。どうしてかと聞くと「柏崎は良いまちです」と答えてくれた。「柏崎には海があり、この海はインドネシアにつながっています。」と・・。
そういった現状があるので、僕は柏崎にパイプをつくりたい。インドネシアを選ぶ理由は、人口が4億人で当面、来てくれる人材に枯渇はないから。
柏崎市の施策である介護夜勤対応者補助金は助かっている。ひとりが夜勤をすると1400円加算(200円/hで設定し7時間勤務する)され、その分は市から補助が出る。夜勤をする職員は1か月で約1万円加算されることになり、電気料金が高騰する現状では本当にありがたい。
高齢になっても柏崎で生活し、自分の人生を終えたいと思っている方はたくさんいる。でも介護サービスが受けられなければ、県外に住む子どものところに行くなど、柏崎を出て行かなければならなくなる。最期まで柏崎で暮らしたいという気持ちは地元愛ではないか。
僕は群馬県出身で、群馬県人は海に憧れる。8号線を車で走り続けて、坂を下りた瞬間、群馬県人は皆「海だ!」と叫ぶ。笠島には臨海学校があったから、群馬県人は海といえば笠島という印象。僕も子どもの頃、電車で鯨波海岸に来ていた。こんなに海が近くにあるなんて、まるで天国だと思った。その時の想いが残っていて、いま柏崎に住んでいる。そんなわけで、地元愛は地元で生まれたから育まれるだけではない。思い入れある柏崎に来て、たくさんの方と知り合い、音楽活動もできている。
だから、柏崎を守るという意味でも介護を守ってもらいたい。なぜなら介護離職により、仕事ができない人が増えれば、すべての産業に波及する。「介護ばかりでいいのか」と思う方もいるかもしれないが、まずは介護と少子化を絡めて考えていかないと、介護離職者が増えてしまう。
近藤さんには次期も議会で頑張って、少子化と介護の問題に取り組んでほしい。子育て支援と介護をセットにして、うまくいかないだろうか、例えば高齢者が先生になる保育施設があるといいな、と思う。近藤さんには行政と市民の窓口になってほしい。
近藤さんは介護現場出身で管理栄養士として厨房に関わっていた。厨房の仕事も大変であり、介護現場はどの部署も大変。
僕は静岡で生まれ、父の仕事の関係で群馬県水上市に移り住んだ。音楽活動も行い、人生で15回くらい引っ越しをしてきた。それぞれの土地の良さは感じるが、柏崎がいちばん好きなまち。
皆さんが人生の中で、子育てを終え、ホッとする時期がある。そうすると自分の健康問題、もしくは親の介護が始まる。それがしばらく続き、親御さんが亡くなり、少し楽になったなと思うと、次は自分自身の介護の問題が出てくる。このようなサイクルで、人は生きていかなければならない。
子育てをしている時は、保育園に子どもを預けたり、家族の協力を得て仕事を続けられる。介護現場で働く人たちの中には、お子さんが小さいと他の人よりも土日に休みを取ることが多く、肩身の狭さを感じているケースもある。土日祝日など休日保育の充実も職場定着のためには必要だと思う。
柏崎が良いまちだということを、多くの人達、特に外国人に知ってもらいたい。技能実習生たちはSNSを使いこなす。柏崎に来る前から観光名所を調べていて、「赤坂山公園の桜を観に行きたい」と言われたりする。介護の仕事とは別に楽しみを持っている。そして、インドネシアと柏崎の海がつながっていると感じている。それもまた柏崎への地元愛ではないか。
僕は柏崎市内に介護技能実習生が歩いているまちにしたい。介護施設の運営法人の中には「介護は日本人にしてもらいたい」と言う人もいる。僕だって日本人に介護してもらいたいと思う。でも日本人で介護の仕事に就く人がいない。だから介護を守る意味でも、外国人は切り離せない。来てくれる人がいるなら、介護現場で頑張ってもらいたい。そしていつかインドネシア料理店が柏崎にでき、ヒジャブをかぶっている人たちが普通に歩いているまちになるとよいと、個人的には思っている。
近藤さんは聞き上手で人の話をよく聞く。これは介護現場でも必要とされる。人は成長するとともに、交友関係も広がるが、年齢を重ねていくうちに、同年代の仲間が亡くなったり移転するなどして、だんだん周りの人がいなくなり、話し相手や何かを訴える相手もいなくなる。
だから介護現場では「話を聞く」ことがもっとも大事。ご利用者に昔の思い出や人生について聞くと、とてもよく話す。そこが介護の仕事でいちばん重要だが、人材不足ではその余裕はなくなる。職員がご利用者の話に耳を傾け、話し相手になれる環境にしていくことが、「介護を守る」ことでもある。
僕の最後の言葉は「ああ楽しかった」だと決めている。それを言える柏崎となるよう、このまちの介護を守っていきたい。
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私からの市政報告は以下のことをお話しさせていただきました。
4年前に柏崎市議会議員に初当選させていただく以前、19年間、介護施設の管理栄養士として働いてきた。仕事は楽しく、やりがいを感じていたが、人手不足が最大の悩みで、調理員の欠員補充にずっと苦労してきた。介護職員も同様だったと思う。
思うところがあり、市議会議員選挙に初挑戦する際、市民の皆様に対する第一の公約を「現場に光を当てた介護人材の確保」とした。
なぜ現場に光を当てるのか、といえば、世間の介護の仕事に対するマイナスイメージが強く、私自身も「大変だねえ、お給料安いでしょう?」と決めつけられることが多かったからだった。自分のお給料が安いか高いかなどわからない。でも、そのように言われることには不満を感じていた。
だから、介護現場で働くことには、やりがい、喜び、そして誇りがあることを、現場出身の者として公の場で示したい。その気持ちを持って、「現場に光を当てた介護人材の確保」を第一の公約とさせていただいた。
正直、私は子どもの頃から政治不信があった。政治と縁の薄い家庭(両親とも公務員)に育ったこともあるが、「政治家」に対しては、選挙の時だけ「あれをやります」、「これをやります」と多くの公約を並べても、当選すると何をしているかわからず、次の選挙になると新たな公約を並べている印象があった。
だから自分が政治に携わらせていただくからには、皆様とのお約束である公約を守りたいと思い、取り組んできた4年間だった。
とにかく、ありとあらゆる介護人材確保のための提案をさせていただいたつもりだが、形になったこともあれば、予算や人材等の関係で、形にならなかったこともある。
ただ、この3月に発行された広報かしわざきで「教えて!介護の仕事の今」との特集が組まれたことは、4年間を通していちばん嬉しかった。4年前の選挙の直前にも、介護の仕事の特集が組まれたが、今回の特集では、非常に具体的で、データを用いて、介護の仕事は他職種と比べて、決して給与が低いわけではない、残業が多くて大変なわけではない・・といったことが掲載されている。
私が言ったから広報で特集が組まれたと言うつもりはない。ただ、4年間必死で、介護現場を引き上げたい、介護現場の皆さんに注目してもらいたい、良い仕事だと思ってほしいと願いながらやってきたことが、こうして形になったことを嬉しく感じている。ただし、実際に働く人を増やすには、国や県の力も必要だと思う。
4年間、公約を中心に取り組んできたが、介護を切り口に、色々な問題が見えてくる。
たとえば電気料金の高騰には、一般家庭だけではなく、介護現場をはじめ、どの産業も苦しんでいる。
日本の電気は火力発電が中心であり、その燃料は海外に依存し、ウクライナとロシアの戦争も終わりが見えない中、燃料価格が高騰し続けている。
そこで、次期改選に向けて私が新たに取り組むこととして、「柏崎版エネルギーミックスの推進」を掲げた。賛否はあっても、安全を大前提とする原子力発電の活用は必要であり、それに加えて再生可能エネルギー、水素エネルギーを推進した上で、火力発電も活用し、電力を安定供給し、停電のない社会とし、電気料金高騰を抑えるよう取り組みたい。
介護を切り口にした別の問題に、猫の繁殖がある。私は現在、柏崎ファミリーキャットという猫の愛護団体で活動しているが、高齢者が突然の施設入所や入院によって、飼っていた猫が取り残されるケースの相談を受けることがある。不妊・去勢手術されないまま、近所の方がエサやりをするうちに繁殖し、野良猫が増えていく。また、経済的な余裕のない高齢者が、不妊・去勢手術しないまま猫を複数飼ううちに繁殖する多頭飼育崩壊も、柏崎市内には存在する。
介護に関わる問題には、ヤングケアラーのこともある。2年前の一般質問で在宅介護の現状を聞いた時に、柏崎市内でもヤングケアラーが存在するとの答弁があった。ヤングケアラーとは大人に変わって、介護や看護を担い、子どもらしい生活が送れなくなっている子ども達のことである。その後の調査で、先生方が認識するヤングケアラーは12人だと示されたが、それ以外にも潜在的なヤングケアラーの話も聞く。
少子化対策として国は妊娠・出産時に5万円ずつ給付する事業を開始し、柏崎市でも令和5年10月から1~2歳児の保育料を無料化するなど、子育て世代に対する経済的支援を進めている。
子育て施策の充実はもちろん大切だが、その一方で子ども達自身に目を向けた施策も必要だと思う(ヤングケアラー支援はその一つ)。
生まれてきた子ども達が安心して健やかに育っていけるよう、私たち大人は何をすべきか、柏崎市は何をすべきか、という視点で取り組んできた。
4月の柏崎市議会議員選挙は5人オーバーとなる大激戦であり、「2期目は鬼門」と言われ、私自身にとっても厳しい選挙となることは覚悟している。
私は不器用な人間で、上手なことも言えず、一つのことにのめり込む性分。けれど、これまで貫いてきた「市民目線」を持って、議会に臨み続けることはお約束したい。
市民の皆様と同じ目線、同じ感覚を持ちながら、市民の皆様とともに、柏崎を良くしていきたい。そして希望を持って暮らせる柏崎にしていきたい。
介護のことも、子どものことも、不安があったら人は幸せにはなれない。不安が解消されてこそ、皆様が安心して暮らせる柏崎に近付くと思う。不安を取り除くための様々な手段を考え、勉強し、提案し、ひとつでも多く実現させ、皆様が柏崎に住んで良かった、柏崎は自慢のまちだと誇れるように全力で頑張りたい。
どうぞ皆様のお力添えを、宜しくお願いいたします。
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尚、冒頭には青木理絵 後援会長、最後には西澤信英 選対本部長より、お礼とお願いをお伝えして、閉会となりました。
夜遅い時間にご出席いただいた多くの皆様、お忙しい中ご出席いただいたご来賓の皆様、会の運営をお手伝いいただいた皆様、そして、基調講演を快く引き受けてくださった水口様、本当にありがとうございました。
再び市議会に戻って働かせていただけるよう、全力で頑張ってまいります。宜しくお願い申し上げます。
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