令和4年12月一般質問「1 DX推進の次なる一歩」
令和4年12月8日、一般質問を行いました。以下は1番目の質問の記録です。
近藤
通告に従い、最初の質問【1,DX推進の次なる一歩】に入ります。
本市では「柏崎市デジタルトランスフォーメーション推進計画 一歩踏み出すDX」に基づき、暮らし・行政・産業のDX化を進めています。
DXの本質は「変革」であり、発想を転換し、デジタル技術やビックデータを活用して、これまでの仕事のやり方や組織の在り方を再構築して、新たな価値を生み出そうとする気運が、DXマインドだと認識しています。
また、DXマインドは自然発生的なものではなく、意識改革が必要な新しいチャレンジによって育まれていくものであり、行政が変われば地域も変わるという側面もあると思います。
そこでDXマインドを育み、実践につなげるためのツールとして、「(1)電子契約の導入と地域のDX推進」について伺います。
電子契約とは、電子文書に電子署名をして取り交わされる契約のことです。
地方自治法の施行規則改正と、デジタル改革関連法の施行により、電子署名の要件緩和、押印義務の廃止、書面化義務の緩和が行われ、自治体においても電子契約が可能となりました。
電子契約では契約書の製本や印刷、郵送・持参が不要となるため、コストや作業時間、契約締結までの時間が削減され、業務が効率化できます。また、自治体と契約を交わす事業者は収入印紙が不要となり、負担が軽減されます。そして、契約書本体の保管スペースの省略、廃棄の手間削減といったメリットもあります。
「柏崎市DX推進計画」において、電子契約は「その他の検討課題」とされ、スケジュール等は示されていません。ですが、令和4年度進行管理報告書には、「令和3年度には電子契約システムの実証実験を実施し、課題整理を行いました。令和4年度には、別事業者が提供する電子契約システムの実証実験を予定しており、電子契約の効果や安全性を検証し、今後の導入可否を見極めます。」と記載されているので、検討は進んでいるものと推察します。
全国的には約4割の自治体が電子契約を導入・検討中であり、新潟県内では三条市が令和3年4月から導入していることから、問い合わせを行いました。
三条市の電子契約件数は、令和3年度‐120件、令和4年度9月末‐221件で、今後も増加が見込まれます。導入により、市及び契約事業者の負担は軽減しているそうです。
一方、紙契約から電子契約に変更するための業務フロー見直しの煩わしさや、数クリックで契約が完了することへの抵抗感から、導入をためらう事業者もいるようです。
こうした点は、自治体が電子契約を導入するにあたっての共通課題だと思いますが、まずは行政側がDXマインドを持って率先してチャレンジし、ためらう事業者には、丁寧な説明や適切なサポートを行うことで、解消できると考えます。
そこで質問です。DX推進の次なる一歩として、柏崎市においても電子契約を早期に導入し、市および事業者の業務効率化、コスト削減、負担軽減を図ってはどうかと考えますが、検討状況や今後の見通しについてお聞かせください。
市長
本市におきましては昨年の地方自治法改正を受け、昨年6月から電子契約提供サービス事業者と電子契約について実証実験を行い、導入の準備を進めているところです。電子契約はご指摘の通り、従来の紙ベースによる印刷・製本にかかるコストや、契約する事業者においても、契約書を市役所への提出および郵送にかかるコストの削減に効果があるだけに限らず、契約書の管理・保管に要するスペースの削減などの効果があります。
私も電子化・DX化を進めている方ですが、私の市長室の机の上は紙媒体の山となっています。電子化して送られてくるものも、そのままパソコン上の画面で見ればいいわけですけれども、どうしてもやはり紙ベースで文字を見たいと、そちらの方がしっかりと確認できるという、私の性格なのかもしれませんけれども、そういった意味でなかなか自分自身のDXも進んでいるようですけれど、アナログの部分も大切なんだなと実感しているところであります。
さて、本市の電子契約の導入計画ですが、システムの運用については現在、カシックスと締結しております包括アウトソーシングの中での運用といたします。契約検査課で電子入札を行っている建設工事、建設コンサルタントにおいて、令和5(2023)年度の夏頃までに条例改正等の整備と、対象となる事業者向けの説明会を行い、秋頃にはシステムを導入した上で、一部の契約について試験的な運用を開始いたします。令和6(2024)年度に運用開始となる予定でございます。
ちなみに今ほど三条市の事例をご紹介いただきましたが(新潟県内では他に粟島浦村で整備はしたけど実態はないとのことですので)、令和6年度に私どもが本格運用すると、何件くらいが対象事業者となるか担当課に調べてもらったところ、令和3年度ベースで令和6年度の分を考えますと、260件程度が電子契約の対象になることが見込まれるということです。三条市より若干多いくらいです。
本市の契約には建設工事の請負契約をはじめ、様々な内容の契約を締結しておりますが、まずは建設工事、建設コンサルタントの請負契約から導入し、どのような契約が電子契約に適しているかを見極めながら、順次電子契約を導入する範囲を広げていきたいと考えております。
近藤
2024年度からの運用ということで安心しました。今、エネルギー価格の高騰でガソリン代や紙代、印刷代なども上がっているので、事業者の方々にとって契約書をつくり市役所に持参するということは、かなり手間がかかりますし費用も負担になります。予定通り進めていただきたいと思います。
次に「(2)デジタル地域通貨の将来構想」について伺います。
デジタル地域通貨とは、特定の地域内で使用できる電子通貨で、スマホ用アプリによるQRコード決済方式が主流です。導入している自治体では、プレミアムポイントの付与など、チャージ金額に応じた優遇や特典を設けており、近年ではマイナンバーカードの普及促進に活用する事例も見られます。
長岡市では、国の「デジタル田園都市国家構想推進交付金」の採択事業として、今年11月から独自の電子地域通貨「ながおかペイ」の実証実験を開始し、来年度以降の本格稼働を目指しています。
新潟県内では他に、佐渡市の「だっちゃコイン」、新潟市の「食の陣ペイ」が、観光産業や飲食業の振興に寄与しており、県外でも様々なデジタル地域通貨が存在します。
一方、デジタル地域通貨の運用には、デジタルサービス供給元との関係構築やサーバーの管理、維持、セキュリティ対策などで、労力・費用を要します。また利用者が減れば通貨価値が下がり、発行元の負担が増加するので、大手キャッシュレス決済サービスと異なる付加価値やメリットを提示し、取扱店舗と利用者の拡大に努める必要があります。
こうした課題はあるものの、デジタル地域通貨決済の手数料を地域金融機関に残し、地域内で融資・投資する好循環を生み出す事業モデル等もあり、各自治体は重要視する施策や地域特性に応じて、デジタル地域通貨プラットフォームを選択しているようです。
さて、本市では令和2年度、櫻井市長の所信表明の中で、子育て応援券事業とデジタル地域通貨構想の連結について言及されました。また「柏崎市DX推進計画」では、地域通貨プラットフォーム導入により、子育て応援券の電子化とプレミアム商品券事業等への利用を検討するとしています。
しかし、今年3月14日の文教厚生分科会では、子育て応援券の電子化はコスト面から現時点では難しく、利用者の電子化ニーズも3割程度との答弁がなされています。
とはいえ、長い目で見れば、子育て応援券やプレミアム商品券の電子化は、印刷費や郵送費等のコスト削減、キャッシュレス決済推進の機会として有効であり、利便性を実感できればユーザーも増えると思います。
また地域通貨プラットフォームは多種多様であり、その中でどれを選択し、どのように運営していくかということも重要です。既に庁内で研究・検討されているのであれば、そろそろ明確なビジョンを示していただくことで、市民や事業者のDXマインドにも好影響を及ぼすのではないかと考えます。
そこで質問です。柏崎市におけるデジタル地域通貨構想の検討状況、及び今後の見通しについてお聞かせください。
市長
今ほど文教厚生分科会の中で、電子化がコスト面から難しく、というのはこの通りですけれども、利用者の電子化ニーズが3割程度というのは、私もはじめて聞いたんですけれども、ちょっとびっくりする数字です。
皆さんもそうだと思いますが、私自身、色々な買い物をするときに、ほとんどこの頃は現金を使いません。電子マネーを使っています。60歳を過ぎた私でさえもそうなので、若い子育て世代の方々が電子化ニーズ3割というのはどう考えても違うかなと思うんですけれども。いずれにせよ、それがそうだったとしても、私どもの方は、電子化は必ず実現したいと考えております。
令和2(2020)年12月定例会議での所信表明で、デジタル地域通貨実現への取組みをはじめ、かしわざキッズ★スターチケットの電子化の実現を目指し、デジタル地域通貨への連結を公約として掲げ、取り組んできたところでございます。
今ほど近藤議員からもご指摘いただきましたように、去る3月の文教厚生分科会において、導入コストが高く難しいとご答弁させていただきましたが、電子化することのメリットは非常に多いと私も考えておりますので、あらためて担当課に令和5(2023)年度中の導入を目指して、関係課で具体的な調整を進めるよう指示を出したところです。
導入にあたっては、国のメニューなどを活用しつつ、様々な地域通貨プラットフォームを比較し、当市の取組みに最適なプラットフォームを導入してまいります。
あわせてプレミアム付商品券の電子化をはじめとした地域通貨や、独自のサービスの導入に向けた検討を始めていきたいと思います。
そしてまた、国から連絡があり、デジタル田園都市国家構想の交付金について、今までマイナンバーカードの交付率が全国の交付率よりも自治体の交付率が下回っていると、デジ田交付金は支給しないという話でしたが、少し緩和されているようで、マイナンバー申請率が全国の交付率を下回る場合は補助金申請できないということです。申請率の方は、柏崎市は69.95%ですので、今のところ全国の交付率53.93%を上回っているとことであります。
いずれにしても、私どものマイナンバー交付率は今のところ県内20市中2位のポジションでございます。しかし残念ながら新潟県全体が交付率が非常に低いということであります。私どもは更に、議員さん達もぜひお力添えいただきたいと思うんですけれども、マイナンバーカード、もちろんこれは義務ではないですけれど、より多くの方々、市民の皆様にお持ちいただいて、デジタル田園都市国家構想の補助金をいただき、そしてまた交付金を利活用させていただいて、近藤議員や私どもが求めているデジタル地域通貨という部分につなげてまいりたいと考えているところでございます。
近藤
今、大変前向きなご回答をいただき嬉しく感じているところです。(電子化の希望者)3割というのは、おそらく聞き方もあって、できれば電子化がいいけれども、紙のチケットでもいいよという方が、もしかしたらカウントされていない可能性もあり、どのみちこのご時世ですから、若い世代の方は電子化を望んでいらっしゃると思います。それ以外の面でも、デジタル地域通貨は、けっこう「全国旅行支援」のポイント付与等でも使われているようですので、ぜひマイナンバーカードの取得率向上とあわせて、進めていただきたいと思います。
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