令和4年12月一般質問「2 少子・超高齢社会を見据えた人材確保」
令和4年12月8日、一般質問を行いました。以下は2番目の質問の記録です。
近藤
次の質問【2 少子・超高齢社会を見据えた人材確保】では、少子化・高齢化が進む社会が直面する「労働力不足」を打破するための具体的な方法を探っていきたいと思います。
まずは「(1)介護人材確保の中期的ビジョン」について伺います。
柏崎市の高齢化率は今年10月末で34.89%です。WHO(世界保健機関)の定義では、高齢化率7%以上を高齢化社会、14%以上を高齢社会、21%以上を超高齢社会と呼ぶことから、本市は超高齢社会であり、介護人材の確保は切実な課題です。
現在、本市では、人材確保・職場定着支援事業補助金、介護職員就職支援事業、介護資格取得支援補助金、介護夜勤対応者補助金などにより、介護人材確保を図っています。
また昨年から今年にかけては、「外国人介護職員導入に関する研修会」、未経験・無資格者を対象とした「介護の仕事を知る講座」を開催し、市内介護現場の好事例を通して、多様な人材の活用を目指しています。
そして小・中学校における福祉教育や認知症サポーター養成講座の開催、新潟福祉大学の求人説明会への参加や、FMピッカラ放送に現職介護職員が出演して、仕事の魅力を発信するなど、若年層へのアプローチも行っています。
これらの成果は、第8期介護保険事業計画の令和3年度自己評価シート、及び令和4年度 第1回柏崎市介護保険運営協議会の議事要旨で確認しました。担当課の前向きな努力は評価しますが、それぞれの取組がどのように作用しあい、介護現場の人材不足解消や負担軽減に、どの程度の効果があったのか、見えにくいと感じました。
介護人材確保に特効薬はないと言われますが、だからこそ施策を体系化し、計画的に進めて行くことが必要ではないかと思います。
次回策定される「第9期介護保険事業計画」は、後期高齢者人口がピークに達する2025年が中間年度となり、介護ニーズはこれまで以上に高まると予想されます。そこで、第9期計画とあわせて、介護人材確保計画を策定し、3年間を1サイクルとして、施策の体系化と効果を検証する仕組みを作ってはどうかと考えます。具体的には新潟県の手法が参考になります。
資料投影をお願いします。(資料1,2,3参照)
*資料1では介護人材の参入促進・定着促進それぞれの施策ごとに整理しています。
*資料2では各事業を細かく検証し、新たな課題を抽出して、施策の見直しにつなげます。
*資料3では検証結果をもとに、ライフステージに応じた一貫した施策展開を示しています。
こうした資料から新潟県の本気度が伝わります。本市においても、県の介護人材確保メニューと組み合わせることで、より効果的な施策もあるのではないでしょうか。
そして、ライフステージという観点から、福祉教育を受けた小・中学生に対する継続的な働きかけも重要だと考えます。この点においては、国保医療課による看護師確保の取組が参考になると思います。資料投影を終了してください。
そこで質問です。第9期介護保険事業計画にあわせて介護人材確保計画を策定し、県の施策との連動も視野に入れ、より効果的な施策展開を図ること、子ども達の進路選択時に介護の仕事が選ばれるよう、教育と連動した継続的なアプローチを行うことについて、見解をお聞かせください。
市長
少子化の部分はこの1年皆さんとともに実感し、学校の問題も含めて議論させていただいたわけですが、高齢化の問題も、高齢化率が約35%になっているわけであります。笑えないような笑えるような話なんですけれど、私が住んでいる鵜川町の町内会には青年会があります。青年会では定年の延長・延長で60歳を定年としましたが、それでは人数が足りず青年会が成り立たないので、65歳まで定年延長するかという話になりました。ところが65歳になると敬老会があります。青年会が終るとすぐ敬老会に入るという話になるわけです。実際に夏の御神輿も担ぎ手がいません。
非常に身に迫ったところで、高齢化を実感し、特に困っているお年寄り、要介護となった方々を介護していただく、介護人材の確保は、議員ご指摘の通り喫緊の課題であると、私も考えているところであります。
人材確保は介護分野だけではなくて、全産業に及ぶ課題であるわけですが、柏崎市としては夜勤対応者の補助金をはじめとした各種補助金を独自に創設し、継続実施をしております。ご承知の通りです。
一方、介護人材の確保と職場定着にあたりましては、単に給与や勤務条件の問題だけではなくて、資格がなければできない、きつい・大変といったイメージが強いこと、また実際には離職される方が多いと聞きます。厳しいということもあるのでしょうが、職場の中においての人間関係の悩みから離職される方も多いと聞いているところでございます。また、運営方針とのミスマッチにも原因があると認識しています。介護事業所の職員全体の高齢化が進んでおり、他の職種においても中長期的な支援で計画的な人材確保が求められます。
さて、第9期計画の策定におきましては、アンケート調査やヒヤリングにより、事業所が必要とする職員数を8期と同様に把握してまいります。年齢構成や採用状況の他、離職者やその理由なども明らかにし、調査結果を各事業者のお示ししながら、介護現場が求める支援策を検討してまいります。今ほど近藤議員からご紹介いただきましたように、新潟県においても就学資金の貸し付けや、介護ロボットの導入補助、各種研修など様々な対策を講じております。市としましても、引き続き県と連携を深め、相互に補完しながら事業者支援を講じてまいります。
ご提案の介護人材確保計画でごありますが、個別に策定するよりも、今後国が示す基本指針や、制度改正などとの整合をはかりながら、第9期の重要施策の一つとして位置付けることを考えております。具体的な施策の検討にあたりましては、事業者のご意見をお聞きする場を設け、支援の充実や定量的な成果指標を検討し、人材の確保・育成・定着に資する取り組みを取りまとめてまいります。また成果指標に基づく計画の進行管理を毎年度適切に実施するとともに、介護保険運営協議会において、点検評価をいただきながら、介護人材確保の更なる推進をはかってまいります。
最後に教育現場と連携した継続的なアプローチについては、核家族化が進み、高齢者と接する機会が少なくなった現代の子ども達にとっては、重要な取組であります。今年度も8月21日に開催しましたお仕事体験塾の他、昨日には柏崎高校の職業人講演会に、介護事業所の職員の方から、介護の魅力を子ども達に伝えたところでございます。
ここ数年のコロナ禍により、社会生活を支えるエッセンシャルワーカーが注目され、もちろん介護だけではなくどの職もエッセンシャルワーカーでございますが、介護職の社会的価値が注目されております。今後も市内の小中学生や高校生に対し、教育委員会や学校と連携して、介護職の魅力発信を継続的に行いたいと考えております。
近藤
介護人材確保としての計画はつくらないけれど、第9期介護保険事業計画の中で効果的な施策を検証するとのことでした。再質問ですが、計画とはしないまでも、やはり施策同士がどのように作用しあうか、施策がどのようなターゲットに向いているかといった整理も必要になってくると思うのですが。計画というよりビジョンですね。ビジョンをある程度、可視化・見える化していくというお考えはありますでしょうか。
市長
ご指摘は大切な視点だろうと思います。ただ介護人材の不足は柏崎市だけではなく、全国的な話だろうと思いますので、国の考え方・方向性、県の取組との連携も含めて、どのように可視化・見える化を、市民の皆様や事業者の皆様にわかりやすいような計画づくりも含めて、検討してまいりたいと思っております。
近藤
それでは、そのようにお願い致します。
次の質問「(2)多様な働き方モデルとしての訪問介護員の育成」に移ります。
在宅介護は9月に一般質問した通所系サービスと並んで、訪問系サービスに支えられていますが、こちらも人材不足が進んでいます。その理由のひとつとして、柏崎市内で訪問介護員(ホームヘルパー)の資格を取得できないことが挙げられるかと思います。
訪問介護員の養成研修は、平成30年の法改正により、身体介護を行う介護職員初任者研修(130時間)と、家事や買い物などを行う生活援助従事者研修(59時間)に分けられます。
かつてはシルバー人材センターが訪問型サービスAの担い手として、生活援助従事者研修を行っていましたが、現在は実施されていません。
しかし、訪問介護員は日数や時間を調整した働き方も可能なことから、多様な人材を介護分野に呼び込むチャンスにつながる、との見方もできます。
例えば、高齢の家族の介護者となることを想定し、介護に必要な知識や技術を身に付けておきたいという人、子育てと介護の両立を迫られるダブルケア世代、家族の介護を終えた人、複数の仕事を掛け持ちする、いわゆるダブルワーカーも、訪問介護を担う潜在的な人材に成り得るのではないかと考えます。
そして、もうひとつのターゲットとしてスポーツ人材が挙げられます。全国的には現役アスリートが介護の仕事をしながら、練習や試合の機会を確保している事例や、引退したアスリートがセカンドキャリアとして介護の仕事に就く事例があります。
例えば本市の学校教育現場では、部活動の地域移行を目指して、スポーツ指導者の確保・育成を図っていますが、現役世代の方が部活動をやる時間帯を確保することには、難しさがあると思います。そこで、訪問介護員と部活動指導員を兼ねる人材の育成、といった取組もできるのではないでしょうか。
訪問介護員は今後の在宅介護ニーズの増加とともに、ますます必要とされると思います。そのためにも、資格を取得しやすい環境整備をすべきではないかと考えます。
そこで質問です。訪問介護員を多様な働き方モデルとして捉え、ターゲットの拡充を図るため、市内での養成研修開催や、近隣自治体での資格取得補助等により、潜在的な介護人材の掘り起しに取り組んではどうかと考えますが、見解をお聞かせください。
福祉保健部長
訪問介護員の育成、潜在的な人材の掘り起しについては、私の方からお答えさせていただきます。本市における訪問介護の利用状況は、令和元(2019)年度から令和3(2021)年度にかけて、それぞれ月平均で1万1246回、1万443回、1万786回と、新型コロナウイルス感染症の影響により、一時的な減少が見られるものの、後期高齢者人口の増加、地域包括ケアシステムを背景に、今後さらに需要が高まっていくものと考えております。
こうした状況の中、本市では訪問介護員に必要な資格を対象とした介護資格取得支援補助金、資格取得者の就職を支援する介護職員就職支援事業補助金により、訪問介護員の育成・確保に取り組んでおります。ただ、今年の3月、9月には先ほどの質問の中で近藤議員からご紹介いただきました「介護の仕事を知る講座」を開催し、介護サービス事業所の方々から、仕事内容や就職に至った経緯などをご紹介いただくことにより、介護職の魅力を紹介するとともに、潜在的な介護人材の掘り起しを図っております。
民間においてもシルバー人材センターでは、介護サービス事業所の業務を整理し、切り出しを行い、無資格でも対応可能な業務を担う仕組みを提案するなど、介護人材の裾野拡大に資する取組を推進していただいております。
本市といたしましても、様々な働き方を希望される方がいることを念頭に、民間事業者の協力をいただきながら、市内での研修開催について検討してまいります。
また第9期介護保険事業計画に向けた各種調査結果、介護サービスの利用状況、介護サービス事業所のご意見や取組を整理し、必要とされる研修・資格を的確に見定め、効果的な介護人材の掘り起しを進めてまいります。
近藤
市内での研修を検討されるということで、ぜひ進めていただきたいと思います。と言いますのも、勤めるか勤めないかは別として、資格を取っておこうというマインドを持つ方もいらっしゃると思いますので。現職としてお勤めになる方に限らず、潜在的な資格保持者、介護の知識や技術を持っている方を、発掘し育んでいただきたいと思います。
本項目の最後の質問は「(3)運転士確保に向けた新たな取組」です。
先般、柏崎市学区等審議会の第一次答申を受け、柏崎市立小・中学校学区再編方針の令和6(2024)年度統合分の計画が確定しました。
少子化が進行する以上は、学区再編の議論は今後も継続するわけですが、課題のひとつに「通学手段の確保」があります。今年9月の一般質問の際、「対象校全てが原案通り再編した場合には、合計6台のスクールバスを運行する」という計画が示されましたが、現実問題として、運転士の確保は大丈夫なのだろうか? というのが率直な感想でした。
運転士の確保は、スクールバスだけでなく、路線バスやタクシー業界においても厳しい状況だと聞いています。
ですが、今後の学区再編には必ずスクールバスの問題が伴いますし、高齢者が自家用車を手放せば、路線バスや地域内交通、タクシーのニーズは、これまで以上に高まると予想されます。
現在は運転士確保の為、市が事業者に補助金を出して支援していますが、将来を見据えると、もう一歩踏み込んだ施策展開が必要ではないかと考えます。
そこでご紹介したいのが、愛知県豊橋市の路線バス等運転士確保支援事業です。
豊橋市では、市内の公共交通の運転士不足を解消するため、おおむね35~55歳の就職氷河期世代の方や、適法な就労査証を持つ定住外国人の方が、路線バス・タクシーの運転士になることを支援しています。
事業開始にあたっては説明会を開催し、運転士不足の現状や事業の支援内容、今後のスケジュールを示します。その後、全8日間の日程で、運転士に向いているかの分析、運転士としての将来を考えるキャリアデザイン講習の他、模擬面接などを行うマナー講習、キャリアカウンセリング等を実施しています。
豊橋市におけるターゲットの設定には地域特性を感じますが、事業者と連携して、市を挙げて運転士の育成・確保に取り組む姿勢は学ぶべきではないかと考えます。
そこで質問です。将来のスクールバス運行や公共交通、タクシーに対するニーズを見据えて、運転士確保に対し、一歩踏み込んだ施策展開をしていくお考えがあるか伺います。
総合企画部長
運転士確保に向けた新たな取組については、私の方からお答えいたします。バスやタクシー業界においては、全国的に運転手の不足や高齢化が深刻になっています。若年層の雇用拡大につなげるため、本年5月の道路運送法改正により二種免許取得における年齢要件が緩和され、条件付きで19歳まで引き下げられたものの、依然として運転士の確保は公共交通を維持する上で大きな課題となっております。市内の交通事業者も運転士の新規採用に向けて努力していますが、なかなか採用に結び付かずにいると伺っております。
こうした状況において、本年2月に策定しました柏崎市地域公共交通計画では、利用実態に応じた運転の効率化の見直しを施策に盛り込み、限られた運転士で安定的に運行するために、交通事業者とともにバス路線の統合や、運行本数の見直しを進めているところでございます。
また運行の効率化にあたっては、公共交通とスクールバスを一体的に利用することも大変重要と捉えており、昨年8月の高柳町地域内交通の再編におきましては、高柳小学校のスクールバス運行を廃止し、児童の登下校における送迎を高柳町地域内交通に切り替える他、現在準備を進めている人工知能による配車システム、いわゆるAIオンデマンドシステムを活用しました新たな乗合交通も、運行の効率化をさらに促進させるものと考えております。
このように本市においては、運転士の確保に取り組みつつも、まずは運行の効率化をはかり、限られた人材を有効に活用することを最優先して実施しております。
近藤
いま現状と将来展望についても伺ったわけですが、ただ将来はどんどんバスのニーズ、タクシーのニーズが増えていきながら、運転士が増えていかないと、効率化しても難しい面もあるかと思いますので、ぜひ運転士の確保・育成という部分を今後、力を入れて取り組んでいただければと思います。
少子高齢社会では人材不足が厳しい状況になりますが、引き続き取り組んでいただきたいと思います。
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