原発調査特別委員会 福島視察
11月7~8日は柏崎刈羽原子力発電所にかかわる調査特別委員会(通称「原発調査特別委員会」)による福島視察でした。
11月7日には福島第一原子力発電所、8日には水素エネルギー研究フィールド、福島第二原子力発電所を視察しました。
【福島第一原子力発電所】
令和元年から毎年、福島第一原子力発電所を視察する機会を得ています。
この間に技術革新と放射性物質濃度の低減を追い風としつつ、廃炉作業は着実に進んでいます。
特にALPS処理水処分に向けた動きは大きな進展があり、今回の視察では、ALPS処理水の海洋放出に向けた放水設備建設準備を確認できました。
また、ALPS処理水を用いたヒラメの飼育も始まっていました。
ALPS処理水は「事故を起こした原子力発電所から発生した汚染水」とのイメージが先行し、漁業関係者への影響・風評被害が危惧されています。
しかし実際には重層的に浄化され、トリチウム(自然界に広く存在し、人体への影響は低い)を除く大部分の放射性物質は除去されています。
そして、福島第一原子力発電所内の建屋近傍から汲み上げた地下水は、環境基準を満たすよう浄化し、2015年から海洋放出されているという事実もあります。
ALPS処理水の処分は、廃炉作業の進展に大きく影響することから、科学的知識に基づく正しい情報を周知していきたいと思います。
(写真は移動中に撮影した富岡町の様子です)
【水素エネルギー研究フィールド】
水素エネルギー研究フィールドは、世界最大級の水素製造システムを備える施設であり、再生可能エネルギー(太陽光発電)を使用して水素を大量に製造する実証プロジェクトを進めています。
館内での説明や表示を通して、水素発電や水素エネルギーの製造過程や利活用について知ることができました。
施設が有するソーラーパネルは68,000枚であり、生み出されるのは再エネ由来の「グリーン水素」です。
浪江町は、水素エネルギーの地産地消により、ゼロカーボンシティを目指している。5年前に帰還困難指示が解除されましたが、避難前の人口約2.1万人のうち、現在の帰還者は1900人、その多くはシニア層とのことです。
高齢者の買い物環境向上を目指して、水素車を使って10か所で訪問販売が行われているそうです。
また町内の温浴施設の沸かし湯にも水素エネルギーが使われています。
本施設は福島復興とともに「脱炭素の推進による社会課題の解決」を目指していると感じました。
技術革新による今後の汎用を期待しています。
【福島第二原子力発電所】
福島第二原子力発電所は、2011年東日本大震災の際、地震・津波の影響を受けながらも、外部電源等の喪失を免れ、事故を起こさずに全号炉を冷温停止させたことで知られています。
2019年に全号機廃炉が決定し、2021年から廃止措置(廃炉作業)が開始しています。
作業は10年を1段階として、4段階44年の期間を予定しており、第1段階は解体工事準備期間として位置付けられています。
廃止措置の課題は、いかに地元の産業振興に結び付けていくかという点にあると思います。
「廃炉と復興の両立」を目指す東京電力(株)は、今年10月、デブリ保管容器製造の事業体「東双みらい製造」を日立造船とともに設立しました。
使用済み核燃料の輸送や貯蔵兼用の容器の製造のほか、福島第1原発事故で溶け落ちた核燃料(デブリ)を保管する容器の製造と販売を行い、地元雇用・地元発注を目指すとのことです。
廃炉作業を担える人材・事業者をいかに育成し、産業振興につなげていくか、今後も注視していきたいと思います。
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