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2022年10月

2022年10月28日 (金)

第13回 全国原子力発電所立地議会サミット

10月27~28日、第13回 全国原子力発電所立地議会サミットが開催されました。

これは全国原子力発電所立地市町村議会議長会(会長:真貝維義 柏崎市議会議長)が主催する2年に1度の会議であり、立地市町村議員約400名が参加しました。

1日目は開会式、基調講演、分科会、2日目は福島現況報告、国からのコメント、分科会報告のあと、閉会式で大会宣言を行う流れでした。

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基調講演は「カーボンニュートラルと原子力政策
日本エネルギー経済研究所 原子力グループ研究主幹 村上朋子様から、エネルギー政策における原子力の意義をお話しいただきました。

また分科会では5つのテーマごとに各会場で意見を交わしました。

分科会での意見集約をもとに、閉会式では以下の宣言がなされました。

第13回 全国原子力発電所立地議会サミット宣言

 東日本大震災に伴う東京電力福島第一原子力発電所の事故から11年7カ月が経過するも、今なお多くの方々が避難生活を余儀なくされ、故郷に戻れない状況が続いている。
 私たちは、被災された方々と心の痛みを共有し、福島の復興と再生、そして被災者の安定した生活の確保に向けた取組を、国に対し改めて強く求めるものである。

 ロシアのウクライナ侵攻により世界のエネルギー事情が一変し、グローバルなエネルギー需給構造に大きな変化が起こっている。エネルギーを巡る環境は、国際市場の混乱と価格の高騰により1973年の石油危機が思い起こされるほど極めて緊迫した状況となっており、国内における エネルギーの安定供給に向けた再構築が早急に求められている。
 このような中、岸田総理大臣は8月24日に開催されたグリーントランスフォーメーション実行会議の席上、電力需給逼迫という足元の危機克服に向け、あらゆる施策を総動員し、不測の事態にも備えて万全を期していくとの見解を示した。特に原子力発電所については、再稼働済み10基の稼働確保に加え、設置許可済みの原子力発電所再稼働に向けて国が前面に立ち、あらゆる対応を採っていくとの考えを表明した。

 国が進めるグリーントランスフォーメーションにおいて、原子力発電は再生可能エネルギーと並び、不可欠な脱炭素エネルギーに位置付けられている。また、昨年10月に策定された第6次エネルギー基本計画においても、 2050年カーボンニュートラルの実現に向け、実用段階にある脱炭素電源として原子力発電の活用が明記されている。
 そうしたことを踏まえ、第13回全国原子力発電所立地議会サミットにおいては、「2050年カーボンニュートラルと原子力~立地地域が目指すこれからの方向性~」をテーマに議論を深めた。5つの分科会では、「脱炭素社会における立地地域の在り方」「脱炭素社会における原子力の在り方」「原子力防災体制と避難計画」「核燃料サイクルと使用済核燃料の中間貯蔵・最終処分」「原子力安全対策と原子力規制」について、それぞれの地域が抱える具体的な課題について意見交換を行った。

 各分科会では、原子力規制委員会の早急な審査、エネルギーに関する子どもへの教育や人材育成の必要性、国に求める「ぶれないエネルギー方針」などについて意見の一致を見た。
・電力の安定供給のためにも、停止している既存炉の再稼働を進めるとともに、「原子力」の位置付けを、しっかりと第7次エネルギー基本計画に明記すべきである。
・屋内退避については肯定と否定の意見があり、複合施設への対応や避難計画では避難後の記載が必要なこと、さらに、情報網の確立や避難計画にかかる予算の確保については意見の一致を見た。
・核燃料サイクルについての国民への説明不足があり、青森県六ヶ所村の再処理工場の安全審査の早期完了については、全国の立地地域からも声をあげるべきである。
・規制基準と規制の在り方など、国の姿勢をしっかりと示すことが国民理解の促進と原子力行政の前進につながる。
などの意見が出された。

 本サミットの大きな意義は、原子力発電施設関係市町村の議員が、地域住民の代表として意見を対外的に発信していくことにある。今回のサミットにおいても意見の異なる議員同士が住民の安全・安心の確保、生活の安定と向上、地域振興などに関して、立場の違いを超えて積極的な議論を展開した。合意できる意見もあれば、一致を見ない意見もあり、様々であるが、まさに地域の声を代弁し、発信する貴重な機会となった。

 私たち原子力発電所や関連施設が立地する地域においては、国のエネルギー政策に理解を示しつつ、地域で湧き上がる諸課題に対して真摯に向き合い、安全。安心を大前提に住民の理解を一歩一歩着実に進めてきた。国においても第6次エネルギー基本計画の中で、東京電力福島第一原子力発電所事故の経験と反省、教訓を肝に銘じて取り組むことがエネルギー政策の原点であるとしている。

 2050年カーボンニュートラルを目指す上で、そしてグリーントランスフォーメーションを進める上で、原子力発電の位置付けはこれまで以上に重いものとなる。国においては、何よりも安全性の確保を大前提に、地域住民はもとより、国民の理解促進に向けた取組を一層強化し、エネルギー政策を進めていただきたい。

 私たち立地地域は、これまで積み重ねてきた国への貢献が報われるエネルギー社会の実現を切に願うものである。

 以上、宣言する。

2022年(令和4年)10月28日

第13回全国原子力発電所立地議会サミット参加者一同

*****

私は初参加でしたが、独特の雰囲気があり、分科会ではコーディネーターの方が大変ご苦労されていると感じました。

また参加した分科会では「原子力防災体制と避難計画」がテーマであり、柏崎市議会からの意見として「災害時の情報確保」を発言したところ、宣言に入れていただきました。

原子力発電所立地地域の議会ならではの、貴重な経験をさせていただいたと思います。

2022年10月26日 (水)

令和4年度新潟県原子力防災訓練②【日吉小学校】

10月26日は日吉小学校(PAZ圏内)での保護者引き渡し訓練を見学しました。以下はその内容です。

【時系列】
14:20訓練発令
14:25体育館に児童136人が避難・校長先生による講評
14:40保護者引き渡し訓練開始
15:00バス乗車訓練生徒は移動開始
15:05ヨウ素剤を担任が受け渡し
15:10バス2台に乗車開始

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【引き渡し方法】
・玄関は一か所であり、保護者は特に名簿チェックはなく、所定の位置に靴を置き、用意されたスリッパを履いて体育館へ移動。児童を連れて帰る時も同じルートだった。
・体育館で担任が名簿チェックを行っていた。
・学校の構造上、玄関から体育館までの距離が長いと感じた。

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【バス避難】
・児童は学年ごとに2台に分かれて乗車。
・ヨウ素剤は担任が管理し、服用タイミングにバス内で配布することになる。

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【その他】
・体育館への避難完了後、校長先生による講評で、当日が今年度3回目の避難訓練であり、原子力防災訓練なので屋内の窓を閉め、カーテンを閉めていることが伝えられた。
・あらかじめ迎えに来る保護者を把握し、保護者を待つ間に児童クラブに行く児童、バス避難訓練に参加する児童は、別に整列し直して待機していた。
・体育館への避難後や保護者を待つ間、児童は賑やかだった。またバス避難の傍ら、校庭でブランコに乗る児童も見られた。
・昨年見学した荒浜小学校(PAZ)では、保護者は玄関から入り(この時に名簿チェックしてルートを説明)、児童とともに体育館から退出していた。導線は一方向とし、ポイントごとに名簿チェックした方が、円滑に漏れなく避難できるのではないかと感じた。

*****

今回2か所の小学校(PAZ、UPZ)での避難・保護者引き渡し訓練を通して、学校による違いを見ることができました。
保護者への児童引き渡しは、他の自然災害時にも実施するため、安全・円滑・確実に行うにはどうすればよいか、学校の構造や立地条件、地域性なども考慮してブラッシュアップすることが大切だと思います。

また、原子力災害がもし発生するとすれば、地震による複合災害となる可能性がもっとも高いと考えられます。その場合、校舎内でもっとも安全な場所はどこか、余震の影響による危険性はないか、といった観点から導線を検討することも必要だと感じました。

今回の訓練対象校はどちらも児童数が多くはなく、先生方が全校児童・保護者の顔と名前を把握しているのが見受けられました。日頃からの関係構築が災害時には大きな強みとなることを実感したところです。

 

2022年10月25日 (火)

令和4年度新潟県原子力防災訓練①【北条小学校】

10月25日、北条小学校(UPZ圏内)での保護者引き渡し訓練を見学しました。以下はその報告内容です。

<時系列>
13:45訓練発令
13:50体育館に児童86人が避難
14:00保護者引き渡し訓練開始
14:30残りの児童22人
14:45ヨウ素剤を担任が預かる
15:00バス2台に乗車開始
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<引き渡し方法>
・職員用玄関で保護者はシューズカバーを着用し、持参した登録カードを提出し、保護者用ネームプレート(〇〇さん保護者と記載)と交換。
・登録カードは年度当初に保護者に渡してあり、引き渡しが必要となった場合に使用するとのこと。
・保護者は体育館で担任による受付でプレートを渡し、児童を連れて反対側の出入り口から退出し、児童用玄関でシューズカバーを外して帰宅。
・学校の構造を生かして導線を一方向とし、円滑な入退室と避難行動がとれるようになっていた。

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<バス避難>
・児童は学年ごとに2台に分かれて乗車。
・ヨウ素剤は担任が管理し、服用タイミングにバス内で配布することになる。
・事故発生時はバスには住民も乗り込み、湯沢町に避難する。

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<その他>
・児童、保護者の確認方法、避難ルートの示し方、指示出しの表示など、細部に工夫が凝らされていた。
・シューズカバーを履くのに時間がかかっていた。玄関出入り口で履く人が多く、状況によっては混雑する恐れがあると感じた。
・体育館への避難小屋保護者を待つ間、児童は静かで落ち着いた態度であり、先生方も緊迫感を持って指導していた。

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導線がわかりやすく、指示も明確で、非常によく考えて防災訓練を行っていると感じました。

 

2022年10月 6日 (木)

多職種合同研修会「身寄りのない人への支援を考える」

10月6日、在宅医療・介護連携支援センターの令和4年度多職種合同研修会 「身寄りのない人への支援を考える」~明日から私たちにできること~に出席しました。(新潟県栄養士会柏崎支部 地域活動事業部)

以下はその内容です。

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開会挨拶 小川センター長
令和3年度までセンターではACP を取組み課題としてきたが、令和4年度からはひとり暮らしの高齢者の見守り・看取りを課題として進めていきたい。

*アドバンス・ケア・プランニング(ACP)=人生会議
将来の変化に備え、将来の医療及びケアについて、患者を主体に、そのご家族や近しい人、医療・ケアチームが、繰り返し話し合いを行い、患者の意思決定を支援するプロセスのこと。 患者の人生観や価値観、希望に沿った、将来の医療及びケアを具体化することを目標にしている。(引用:東京都医師会)

情報提供
・魚沼市社会福祉協議会地域福祉課長 佐藤直樹 先生 

【プロフィール】
1975年魚沼市ご出身の社会福祉士、精神保健福祉士。元海上自衛官。2004年~社会福祉協議会に入職し、生活困窮者自立支援事業や貸付事業、日常生活自立支援事業、法人後見事業などを担当。
貢献業務で直面した『身寄りなし』の問題に、行政や地域の関係機関と取り組み、「魚沼市における身寄りのない人への支援に関するガイドライン」作成に関わる。

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◆魚沼市の紹介
・平成16年11月1日に6町村が合併して誕生。
・人口34,364人(R4.1)‐13,164世帯
・高齢化率37.7% 
・障害者手帳所持者(生涯未婚率)
 →身体1,413人(35%)、知的373人(97%)、精神400人(64%)
*生涯未婚率が高い=身寄りがない
・自殺死亡率34.4%(R1)

ガイドライン策定の背景と経緯

◆身寄りがないことで困った事例①
「病院で延命治療を迫られた」
<トラブル発生!>
認知症だが福祉サービスを利用して一人暮らしをしていたAさん(認知症・知的障害の疑い・息子がいるらしいが所在不明)が、肺炎を起こして病院に救急搬送された。成年後見人により入院手続きは済んだが、翌日、看護師から人工呼吸器設置の判断を成年後見人に迫られた。

<とりあえずの対応>
看護師には、後見人には判断できないと伝えた後、包括支援センターと市福祉課から集まってもらい、対応について協議した。また、これまでAさんに関わった関係者に、「Aさんだったらどう答えると思うか」を聞いて回り、Aさんの意思(推定)=「自由に生きてきたAさんは延命治療を望まないのではないか」を病院に伝えた。

<事例①の問題点>
・成年後見人等に対する過剰な役割期待
・延命治療等に対する本人の意向がわからない(伝える人がいない)
*「親族の同意がなければ治療ができない」とは異なる問題。
→「身寄りがない人の入院及び医療に関わる意思決定が困難な人への支援に関するガイドライン」で、身元保証人・身元引受人等がいないことを前提とした医療機関の対応方法を示している。

「人生の最終段階における医療・ケアの決定プロセスに関するガイドライン」
(1)本人の意思が確認できる場合:本人による意思決定を基本とする
(2)本人の意思が確認できない場合:家族等による本人の推定意思を尊重する
*家族等とは、法的な意味での親族関係のみを意味せず、親しい友人等を含む

「身寄りがない人の入院及び医療にかかる意思決定が困難な人への支援に関するガイドライン」
【身元保証・身元引受等】も機能や役割について整理を行い、既存の制度やサービスの利用など、【身元保証・身元引受人等】がいないことを前提とした医療機関の対応方法を示す

◆身寄りがないことで困った事例②
「親族の拒否があり亡くなった後の手続きが心配」
<トラブル発生!>
酒癖が悪く、酔っては妻子に暴力をふるっていたBさん(認知症で特養入所・県外に長男夫婦がいるが関係拒否)は、長男が中3の時に離婚し、それ以来家族との連絡はない。3年前に施設入所にあたり成年後見制度を申立てるが、長男に申立の意向確認文書を郵送したところ、受け取りを拒否された。成年後見人が就いたことで施設入所はできたが、亡くなった後の手続きをしてくれる人がいない。

<とりあえずの対応>
死後の意向を成年後見人が本人に確認。先祖代々の墓や檀家寺は確認できたが、火葬などの死後手続きは誰が行うのか、解決されない課題が残された。

<事例②の問題点>
・墓地埋葬法9条による対応が市(職員)によって異なる?
「墓地埋葬法9条」
 死体の埋葬又は火葬を行う者がないとき又は判明しないときは、死亡地の市町村長が、これを行わなければならない。
2 前項の規定により埋葬又は火葬を行ったときは、その費用に関しては、行旅病人及び行旅死亡人取扱法(明治32年法律第93号)の規定を運用する。
この中で、死亡人においては死体の埋葬または火葬をするよう定めている。また、死亡人の取扱いに要した費用については、遺留の金銭や有価証券をこれに充てること、それでも足りない場合で、相続人や扶養義務者がいない時や明らかでない時は、遺留物品を売却してその費用に充てるものとしている。

◆身元保証の問題
「高齢者の身元保証に関する調査」を総務省関東管区行政評価局が実施。
身寄りのない高齢者の入院・入所に当たっての身元保証人の取扱いや実態を把握するとともに、その際の取組み事例や課題を収集・整理し、関係行政の改善に資することを目的として実施している。
第2集「支援の取り組み事例集」、第3集「意見要望集」が発行されている。

◆身寄りなし問題を考える勉強会(魚沼市社協)
平成30年度に、成年後見制度の普及啓発を目的に「身寄りなし問題を考える」と題して研修会を開催。
参加者から“もっと深く勉強したい”との声を受け、連続勉強会を開催。

令和元年
6月20日【成年後見制度】
 日常生活自立支援事業と成年後見制度の概要を学ぶ(42人)
7月18日【身元保証・身元引受】
 「新潟県における身元保証人等に関する実態調査結果報告書」解説(39人)
8月22日【医療同意】
 「身寄りがない人の入院及び医療に係る意思決定が困難な人への支援に関するガイドライン」読み合わせ(43人)
9月19日【死亡事務】
 横須賀市の就活支援について学ぶ(73人)
10月17日【振り返り】
 これまでの勉強会を振り返り、今後の展望を考える(30人)
★学んでも学んでも不安・・⇒ガイドライン策定を望む声

◆経過の外観
H27年
・法人後見開始
・市から普及啓発等受託
H28年
・講談で学ぶ成年後見制度
H29年
・成年後見笑百科(NAMARAに依頼)
H30年
・親なき後問題を考える
・身寄りなし問題を考える
「議員にも案内を!」との声を受け、市議会にも案内を出す
R元年
・連続勉強会(市議会議員20人のうち10人が参加:延べ24人)
*市議会一般質問で2名の議員が質問
・第1回編集部会(1/20)
・策定委員委嘱
・第1回策定委員会(2/21)
*新型ウイルス流行
R2年度
・第2回編集部会(7/7)
・第2回策定委員会(8/21)
・第3回策定委員会(9/1)
・ガイドライン策定(11/1)

ガイドラインの概要

魚沼市における身寄りのない人への 支援に関するガイドライン

◆ガイドライン策定構成員
<策定委員(当時の役職)>
・一般社団法人 小千谷市魚沼市医師会 理事
・公益社団法人 新潟県看護協会うおぬま支部 支部長
・社会福祉法人 魚沼更生福祉会 六花園 園長
・社会福祉法人 魚沼福祉会 特別養護老人ホーム美雪園 園長
・新潟県介護支援専門員協会 会員
・新潟県魚沼地域振興局健康福祉部 部長
・魚沼市消防本部 消防長
・魚沼市市民福祉部 副部長
・社会福祉法人 魚沼市社会福祉協議会 事務局長

<編集部員>
・在宅医療推進センター コーディネーター
・魚沼市立小出病院 地域医療連携室 地域医療連携科長
・社会福祉法人 魚沼福祉会 特別養護老人ホームうかじ園 生活相談員
・魚沼市社会福祉協議会 介護福祉課 課長
・うおぬま相談支援センター センター長
・行政書士
・魚沼市消防本部 警防課 救急係長
・魚沼市市民福祉部市民課 課長
・魚沼市市民福祉部福祉支援課生活支援係 係長
・魚沼市地域包括支援センター 社会福祉士

<アドバイザー>
・弁護士
・身寄りなし問題研究会 代表
*社協と市だけではなく各分野の「顔役」によって構成。
*社協は医師会との関係が薄いため、市に仲介を依頼した。
 
◆ガイドラインの目的
1,本人の権利擁護支援
身寄りのない人がスムーズに医療・介護・福祉・その他サービスを受けられるようになること
2、支援者の支援
 身寄りのない人に関わる支援者の不安や負担を軽減すること
3,成年後見制度の普及啓発
 成年後見制度の正しい知識の普及によって、医療・介護関係者と成年後見人との連携強化
(成年後見人がどこまでできて何をする人か、まだ十分知られていない)

◆ガイドラインの基本的な考え方
1,対象者
ガイドラインの支援の対象である「身寄りのない人」とは
①家族や親族が全くいない人
②家族や親族がいても様々な理由で支援を受けられない人
・疎遠、関係を拒絶されている
・遠方に居住

2,自己決定の尊重・意思決定支援
・すべての支援は本人の意思(希望)に基づき提供されることが基本。
・支援が困難になるほど、支援者の価値観で決めてしまっていないか?
・意思疎通が困難でも、本人には意思があり、意思決定能力を有することを前提に、意思決定を支援する。
・一人の支援者の独断ではなく、チームにおいて本人の情報を収集・記録・共有することが大切。
*チームは専門職に限らず、本人が信頼している人、本人のことを親身に考えてくれる人を指す。

◆身寄りのない人への具体的な対応
<判断能力の状態>
①本人の判断力が十分な場合
②本人の判断能力が不十分で成年後見制度を利用している場合
③本人の判断能力が不十分で成年後見制度を利用していない場合

A:自宅で起こる問題
(1)災害時及び緊急搬送時の緊急連絡先
事前の備えが大切!
・自宅に救急通報装置を設置する(介護高齢課)
・災害時に避難が難しいことを登録しておく(防災安全課)
・緊急連絡先や持病などを登録しておく(うおぬま米ねっと事務局*クラウド)

(2)福祉サービスの利用契約やケアプラン等の同意
①相談機関員が分かりやすく説明し、本人が契約する。
②成年後見人等が本人の意向を確認した上で、代理で契約する。
③必要に応じて、成年後見制度または日常生活自立支援事業の利用を検討する。(福祉支援課/魚沼市地域包括支援センター/魚沼市社会福祉協議会)

(3)預貯金の払戻しや公共料金等の支払いなど金銭管理
①本人が自ら管理する。必要に応じて日常生活自立支援事業や任意後見制度の利用を検討する。(魚沼市社会福祉協議会)
②成年後見人等が本人に確認した上で、代理で支払う。
③必要に応じて、成年後見制度または日常生活自立支援事業の利用を検討する。(福祉支援課/魚沼市地域包括支援センター/魚沼市社会福祉協議会)

(4)葬儀や遺品の処分などの死後事務
①あらかじめ遺言及び死後事務委任契約を結んでおく。(長岡公証人合同役場)
②後見類型の場合、成年後見人が一部の死後事務を行うことができる。火葬などを行う者がいない時は、市町村が行う。(福祉支援課)

(5)賃貸住宅への入居
大家や民間不動産などに、保証人不用を求めることは困難であり、今後、新たな住宅セーフティネット制度の促進を検討する。

(6)空き家の問題
事前に空き家対策を検討する。
・空き家バンクに登録する。(地域創生課)
・あらかじめ遺言及び死因贈与契約を結んでおく。(新潟県弁護士会/新潟県司法書士会/新潟県行政書士会)

B:病院・施設で起こる問題
(1)緊急連絡先
①友人・知人がいない場合は、支援シートを活用して関係者間で役割等を確認しておく。
②成年後見人に緊急連絡先として求める役割を説明して、連絡先となることを依頼する。
③関係機関と支援シートを活用して、緊急時の役割等を確認しておく。
また民生委員・児童委員が把握している場合もあるので、本人と相談の上で連絡を取る。(民生委員児童委員協議会事務局)

(2)入院費及び施設利用料の支払い
①原則本人が支払う。本人が経済的に困窮している場合は、生活保護の申請を検討する。(福祉事務所/生活困窮者自立支援窓口)
②成年後見人等が本人に説明した上で、代理で支払う。
③必要に応じて、成年後見制度または日常生活自立支援事業の利用を検討する。(福祉支援課/魚沼市地域包括支援センター/魚沼市社会福祉協議会)

(3)日用品等の準備・購入
①本人及び緊急連絡先の方が準備できない場合は、有償ボランティアや介護保険外サービスで対応。
②成年後見人等が、有償ボランティア及び介護保険外のサービスを調整する。
③本人の意思が確認できずサービスの契約ができない場合は、成年後見制度の申立てを検討する。

(4)入院計画書やケアプラン等の同意
①本人が行う。
②本人と成年後見人等に説明し、成年後見人等が本人の代理で署名する。
③支援を尽くしても本人の意思を確認できない場合は、その旨をカルテ等に記載する。

(5)医療行為(手術、延命治療など)の同意
①医師等から十分な説明を受けた上で、本人が最終的な治療方法を選択肢同意する。 ②「人生の最終段階における医療・ケアの決定プロセスに関するガイドライン」の考え方を踏まえ、慎重な判断を行う。

(6)退院・退所の際の居室の明け渡し及び退院・退所先の確保
①入院・入所に関わった支援者と、本人の意向を確認する。
②上記に成年後見人等を加え相談する。
③成年後見制度の利用を検討する。

(7)亡くなった際の遺体の引き取り及び居室の明渡し
①あらかじめ遺言及び死後事務委任契約を結んでおく。(長岡公証人合同役場)
②後見類型の場合、成年後見人が一部の死後事務を行うことができる。
③火葬などを行う者がいない時は、市町村が行う。(福祉支援課)

◆ガイドラインのまとめ
・チームによる支援・・チーム作りのツールにしてほしい
・権利擁護、意思決定支援・・単なるマニュアル本でなく、意思決定支援のきっかけにしたい
・関係者でつくり上げていくもの・・より現場に即したものに改良していきたい

<おわりに>
 身寄りのないことで起こる問題は多岐に渡り、それぞれの背景や事情で対応は異なる。本ガイドラインでそれらすべてが解決できるわけではない。
 最終体には、その人に関わる関係機関が、力を合わせて知恵を出し合い、個別に対応することになる。
 そこで大事になるのはチームによる支援であり、本ガイドラインは本人を支えるチーム作りのツールとして活用していただきたい。
 また、チームによる支援を進める上では、本人の意思決定を支援するとの視点を忘れてはならない。
その支援が真に本人の意思(希望)に基づき、身寄りのない人の権利擁護というガイドラインの目的にかなうためには、常に本人を中心に置き、本人の自己決定を尊重する姿勢が大切。
今後は、本ガイドラインを活用した支援の事例を検証し、より現場に即したものになるよう見直していきたい。ガイドライン活用により、身寄りがなくても安心して暮らせる地域づくりを推進することを期待している。

支援シートの概要

◆支援シート
「身寄りなし問題」の本質は、これまでの日本の医療・介護・福祉が家族による支援を前提としてきたことと、本人の希望や“本人ならこう言うだろう”といった推定意思を伝える仕組み(これも家族の機能)がないことである。そうした、これまで家族に求められてきた機能・役割を、本人で支えるチームで代替えすることぬ寄り、身寄りがないことにより起こる問題の解決を目指すシート。

<意思決定支援>
・重度の認知症や知的障害があっても、本人には意思があり、意思決定能力を有することを前提として関わる。
・本人が判断するために必要な情報を、本人が理解できる分かりやすい言葉や文字、図や絵などで説明する。その際、支援者側の価値判断を挟まず、本人にとっての利益・不利益を一緒に考えていく姿勢が大切。
・本人が安心して意思を表明できるよう、支援者の態度や人的・物的環境の整備に配慮する。
・支援を尽くしても本人の意思を確認できない場合は、家族等(法的な意味での家族関係のみでなく、本人が信頼を寄せ、本人の利益を考え支える人)から本人の意思を推定できる情報を収集し、それを基本として本人にとっての最善の方策を検討する。ただし、これは代理代行決定で、意思決定支援とは区別して理解すべき。

<Assumptionとは?>
・感情、意見、行為の根っこにある前提、価値観、信念
・「こうあるべき」「こういうもの」
・自分にとっては「当たり前」で気づきにくい
  ↓
コミュニケーション不全の原因に!
相手と自分の中にあるAssumptionの違いを知り、双方の長所と短所を認めること
*同意・共感はしなくてOK

<Talking Mat>
 トーキングマット(Talking Mat)は、1998年に、スコットランドのスターリング大学研究者が開発した意思決定支援(コミュニケーション支援)ツール。主にソーシャルワーカーやSLT(言語聴覚士)などの専門職が、認知症高齢者、学習障害・知的障害のある人、その他輝北保持やコミュニケーション等に支障がある方に対する支援策として活用されている。
 自宅での過ごし方、外出先の過ごし方、セルフケア、仕事、お金の使い方、医療に関することなど様々なテーマが設けられている。
【基本的な使い方】
1、獲得目標に沿ったテーマとスケールの内容を決め、本人に説明。
2、テーマに合わせたオプションカードを対象者に1枚ずつ渡し、任意の場所に置いてもらう。
  カードに関連する質問も適宜行う。
3、置かれたカードの意味と置いた場所の変更の有無を確認する。
4,同意を得て写真撮影。ケア記録等に綴じておく。

<役割分担シート(様式1)>
 福祉サービスの利用や入院・入所の際に、本来なら家族等に依頼する役割を、本人を支える支援チームで分担することで、身元保証人等がいなくてもスムーズにサービスを利用できるようにするもの。
 本人の意思に基づく支援であることが重要なので、会議は原則本人参加で行う。
 聞き取った内容をまとめ、本人と支援チームに配布し共有する。

【役割項目】
・緊急連絡先に関すること
・サービス方針に関すること
・利用料の支払い等、金銭管理に関すること
・入院・入所の準備に関すること
・退院・退所に関すること

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<“もしもの時”の意思確認シート①(様式2-1)>
自分が望む医療やケアについて、前もって考え、繰り返し話し合い、共有する取り組みを「人生会議(ACP:アドバンス・ケア・プランニング)」と呼ぶ。そうした話し合いのきっかけにするためのシート。

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<“もしもの時”の意思確認シート②(様式2-2)>
 本人が亡くなった後の、葬儀や遺品の整理などについて、前もって本人の希望を聞き取り、もしもの時に葬儀を行う人(喪主等)に伝えるためのシート。

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<死亡事務確認シート(様式3)>
本人が亡くなった後の諸手続きについて、事前に支援チームで役割を決めておくためのもの。
*これら話し合った内容を支援シートにまとめ、【うおぬま米ねっと】に保存することで、本人の意思を伝えるという家族の役割をカバーできるかもしれない。

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【うおぬま・米(マイ)ねっと】
 魚沼地域(十日町市・魚沼市・南魚沼市・湯沢町・津南町)の病院や診療所、調剤薬局、介護施設、訪問看護などをネットワークで結び、患者及び利用者の診療情報や介護情報等を共有する仕組み。
 この仕組みを利用することで、効果的に安全・安心な医療を提供すること及び、救急搬送時の迅速な治療につなげられるという効果も期待される。

★ちょこっと裏話
【もしもの時の意思確認シート(当初の案)】
病気が治る見込みがなくても、以下のような延命治療を希望しますか?
●心臓や呼吸が停止した時
□人工呼吸や心臓マッサージ等、生命維持のための最大限の治療を希望する
□人工呼吸や心臓マッサージは希望しない
●食事を口から食べられなくなった時
□高カロリー輸液や胃ろうなどによる継続的な栄養補給を希望する
□継続的な栄養補給は希望しないが、点滴などによる水分補給は希望する
□点滴などによる水分補給も行わず、自然に最期を迎えたい
  ↓
却下(小出病院院長より相応しくないとのご意見)
  ↓
【“もしもの時”の意思確認シート①(様式2-1)*修正後】
①希望する治療やケアについて相談している人はいますか
②“もしもの時”に治療やケアの判断を任せても良いと思える方はいますか
③回復が難しい状態になった時、どのような治療を望みますか

*あなたの考えに沿った治療やケアを受けるために、あなたが大切にしていることや望んでいることを、まずは自分自身で考え、周囲の信頼する人たちと話し合い、共有することが重要です。そうした取り組みを「人生会議(ACP:アドバンス・ケア・プランニング)」と呼びます。

<わたしの想いノート(ACPのきっかけに・・)>
1,もしも、生きることができる時間が限られているとしたら、あなたが大切にしたいことは何ですか?
2,もしも、治らない病気などになり、自分の想いを伝えられなくなったら、どんな治療やケアを受けて過ごしたいですか?
3,もしも、治らない病気などになったら、どこで過ごしたいですか?
4,もしも、治療や生活について自分の想いを伝えられなくなったら、あなたの代わりにあなたの想いを伝えて話し合ってほしい人はだれですか?

<支援シート活用のタイミング>
●役割分担シート(様式1)
・救急搬送されて入院になったけど身元保証人がいない(病棟看護師)

●“もしもの時”の意思確認シート①(様式2-1)
・高齢だし、またいつ体調を崩して延命治療の判断が必要になるか心配だわ(ケアマネージャー)
・本人が望む医療や介護を提供してあげたいから元気なうちに話を聞いておこう(MSW)

●“もしもの時”の意思確認シート②(様式2-2)
・本人から自分が亡くなった後の相談を受けた(民生委員)

●死後事務確認シート(様式③)
・身寄りがないから、ある程度のことは自分でやらなきゃだよな。でも一人じゃ不安だな(成年後見人)
・近所の人から、この人が亡くなったら、市が総指揮してくれるの?という相談があった(市役所職員)

ガイドラインの活用状況・今後の展望

「魚沼市における身寄りのない人への支援に関するガイドライン」活用状況調査結果報告書

<調査の概要>
■調査の目的
 本調査は、令和2年11月に策定した「魚沼市における身寄りのない人への支援に関するガイドライン」活用状況について、市内関係機関に対して行ったアンケート調査の結果をまとめたものであり、ガイドラインの評価検討の一助とすることを目的としています。
■調査対象
 市内関係機関100事業所にて相談業務に関わる方(行政含む)
■調査方法
 郵送による配布、FAXとGoogleフォームによる回答
■調査機関
 令和3年11月16日配布、12月31日を期限として回収

<配布・回収状況>
・行政(3課・保健所)配布4/回答4(回収率100%)回答数20
・医療機関 配布18/回答7(回収率38.9%) 回答数19
・介護保険関係 配布62/回答42(回収率67.7%)回答数86
・障害福祉関係 配布15/回答9(回収率60%)回答数16
・社協 配布1/回答1(回収率100%)回答数7
・合計 配布100/回答63(回収率63%)回答数148

<調査結果>
問1 支援の中で身寄りがないことで困難を感じたことがありますか?
・ある(87)59% 
・ない(61)41%
*約6割が困難を感じたことがあると回答。医療機関(相談員)と障害福祉(相談員)が高い割合で困難を感じている。

問2 問1で「ある」と答えた方へ。どのようなことで困難を感じましたか?(複数回答)
・連帯保証28% 
・医療同意27%
・金銭管理21%
・死後対応13%
・その他11%(入院・受信時の対応、申請等の手続、今後のケアの方向性、病状説明できない、ACPが困難、身の回りの世話、空家の管理、経済的困窮)
*行政と高齢者福祉(包括・居宅・小多機)において死後対応で困難を感じた割合が高い。その他の回答では「入院・受診時の対応」が多かった。

問3 本ガイドラインをご存知でしたか?
・知っているし活用したことがある(12)8%
・知っているが活用していない(96)65%
・知らなかった(40)27%
*活用事例自体少ないが、医療機関(相談員)での活用の割合が高い。知らなかったと回答した人が3割近くおり、周知不足が明らかになった。

問4 問3で「知っているし活用したことがある」と答えた方へ。具体的な活用事例をお聞かせください。
【事例① 残される妻が心配】
・90代夫婦、持ち家あり、妻認知症、子どもなし
・ガイドラインを参照しながら今後起こり得る問題とその対応策を話し合った。
・今後の支援の方向性が整理できた。また利用者の不安を解消できた。

【事例② 身寄りのない入院患者】
・80代男性、入院中、大腿骨骨折、離婚・子どもあり
・繰り返しACPを行い、支援シート(様式2-1、2-2)を記載。米ねっとに登録した。
・ACPのなかで本人の思いを確認でき、その意思に配慮した関りができた。
・相続人に様式2-2の本人の意向を確認できた。

【事例③ GH入居を進めているが身元保証人がいない】
・50代女性、精神科病院入院中、統合失調症、兄がいるが関係拒否
・役割分担シート(様式1)を用いて、病院、グループホーム、社協(日自)でチームを結成。
・多くの関係機関が関わっていることで安心した兄が身元保証人になってくれた。

問5 問3で「知っているが活用していない」と答えた方へ。活用できない理由をお聞かせください。
・身寄り問題の事例がない(50)56%
・支援する立場にない・ケアマネ等が対応する(10)11%
・知らなかった・使い方が分からない(10)11%
・使わないで何とかなった(10)11%
・活用のタイミングがわからない・難しい(5)6%
・本人の了承が得られない(3)3%
・ガイドラインを使っても解決できない(1)
・使いにくい(1)
*事例がないという回答が半数以上だった。続いて、使い方が分からない、タイミングが難しいという回答が多かった。使い方の研修も含めて周知していく必要がある。

問6 自由記載(意見・提案)
・今回のアンケートで確認した。今後活用する。
・好事例集や出前講座をやってほしい。
・支援シートは身寄りのあるなしに関わらず、家族間で話し合うために活用できそう。
・ガイドラインができても病院や施設の認識が薄い。行政からの働きかけが必要。
・ガイドラインをいつもカバンに入れて持ち歩いている。元気なうちに話し合っておくことが重要。

◆ガイドライン策定を通して感じたこと
・医療決定:本人ならこう言うだろうという推定意思を伝える人がいない
・死後対応:お墓がどこにある、お寺はどこ、といった情報を伝える人がいない
★身寄り問題⇔孤立⇔意思決定の問題(ACP)
*いかに本人の意思・希望を、本人の真意を代弁できる程度に、関係者で共有できるか

◆今後の展望
①意思決定支援の推進
●意思決定支援者(仮称)養成研修
 ・意思決定支援員(トーキングマット)
 ・法人後見支援員
 ・生活支援員
 ・有償ボランティア(身体介護)

②身寄り問題解決プロジェクト
●身寄りなし相談会・・R4年7月~月2回
●身寄り問題情報交換会~必要な受け皿(身元保証、死後事務、見守り)を検討
●社協まき(互助会)~本家・分家の「まき」制度から身寄りなし同士の新たな互助関係へ
 ・イベントの開催
 ・安否確認
 ・互助会葬

グループワークと発表「私たちが明日からできることは何か」

<グループ内での話し合い>
・本人の意思確認を行う中心的な人は誰か。キーパーソン?
・支援機関につながっていれば、本人の意思確認は可能だが、ひきこもりは課題。
・ひきこもり→不登校から継続するケースも。早期に「つながる」ことが大切。
・孤立する人=血縁者がいても関りを持ちにくい。
・チームを取りまとめるのは誰?→高齢者なら包括が主体
・身寄りなし同士のネットワークづくり→オンラインが有効な場合も
・色々なツールを用いて「つながる」ことが重要
★ガイドラインは柏崎市でも必要?
→策定までのプロセスで様々な立場の人達が関り、問題意識を共有することが重要。
 課題はすでに地域ケア会議で挙げているが、個別対応になり、全体の問題として認識されていない。

<発表>
・ケアマネ同士の連携
・ケアマネが交代しても情報共有できるシステム
・医療‐ケアマネの連携
・多職種会議
・役割分担シート活用
・地域連携ネットワーク
・ACPシートの活用
・マイナンバーカードにシートを組み込めないか
・市民にも啓発(くらしのサポートセンター、コツコツ貯筋体操会場など)
・ICTも大切だが、顔の見える関係での話し合いが重要
・支援者の価値観を押し付けないようにする
・人はひとりでは死ねないことを早期に教育
・ガイドラインは身寄りのない人が生きがいを持って幸せに生きるために活用

★佐藤先生より
 ・今日のように顔の見える関係で相談することに意義がある。
 ・ガイドラインをつくることが目的ではなく、顔の見える関係づくりが大切。

******

非常に充実した勉強会であり、身寄りのない人の具体的な支援方法を考えるよい機会となりました。

また多職種の方々のご意見を聞くことができ、本市の福祉の現状を垣間見ることもできたと思います。

貴重な機会をありがとうございました。

 

2022年10月 1日 (土)

「北地域包括支援センターにしやま」について

9月5日の本会議で質問、8日の一般質問でも言及した「北地域包括支援センターにしやま」について、所属の文教厚生分科会では以下の質疑を行いました。

介護保険特別会計
001包括的支援事業 001包括的支援事業 195万7千万円

9/5本会議での説明は
〇北地域包括支援センターにしやまの委託事業者変更に伴う費用
〇また195万7千万円のうち人件費その他95万7千円、事務所費100万円
ということだった。これを踏まえて伺いたい。

公募のスケジュールはどうなっているのか。

(介護高齢課長)
スケジュールとしては、予算可決後すみやかにHPで周知し、市内事業者に案内する。
9月末~10月下旬を公募期間とする。
介護保険の運営協議会部会・サービス選定委員会から選定していただき、最終的に事業者を決定する。
選定委員会が11月中旬~12月となり、その後業務の打ち合わせを行う。
3月に法人から引継ぎの期間とし、令和5年4月1日から新法人に委託する

事務所費用が計上されているが、いきいき館内に入るのか。
今の北包括がある場所を引き継ぐのか、新たな場所の選定も視野に入れているのか。

(介護高齢課長)
本来はいきいきデイサービスセンターに入ってもらう予定だったが、令和5年度に工事予定なので開設は翌年度(令和6年度)以降となる。
来年度5年4月時点では、いきいきデイサービスには入れない。
西山地域に拠点がある法人であればその事務所内となるが、西山町事務所の活用も念頭に置いている。
相手方もあることだが、今の法人が借りている事務所とは別の場所に置きたい。
利用者のことも考えると、いったん事務所を開設してから、その後いきいきデイに移転するのは難しいと考える。

現在の委託先法人の辞退の理由が、人員配置の難しさと費用面の課題だと説明(9/5)を受けた。
また地域包括支援センターには、市が委託する包括的支援事業を担当する職員と、要支援の方のケアプラン作成を行い、その報酬から人件費を賄う職員が配置されており、委託事業に係る職員については、市が国の基準に従って配置人員を定める、としている(一般質問答弁)。
しかしケアプランを作成しても件数がとれず、人件費を満たせない状況もあるのではないか。
公募の内容は、そういった課題も踏まえたものとなっているのか。

(介護高齢課長)
包括の運営にはキャパが必要な面がある。
地域包括の運営には保健師、主任ケアマネ、社会福祉士が3職種必要だが、市の委託分としては2職種分の人件費しか出ていないケースは他にもある。
各包括はそれぞれ医療、介護の強みを生かして運営している。運営面でもヒアリングを行い、改善できるところは改善したい。
包括にしやまの事例は、市の改善策の先行事例として委託する。

キャパが少なくても1件あたりが困難なケースも多く、移動距離が長く時間がかかることもある。
新年度の見直しには、そうしたことも配慮されるのか。

(介護高齢課長)
今の包括にしやま委託先法人に対しては、長きに渡り受託していただいたことに感謝申し上げる。
7か所の地域包括では、困難事例にどこも素早く対応していただいている。
地域支援事業はいくつかの項目の関連性があり、サービス調整を行う上でも地域包括支援センターの役割は重要である。
委託といいながらも任せっぱなしではなく、困難ケースには職員も出向いて対応している。
新しい法人のバックアップを十分行いながら、今後の地域包括支援センターの在り方を考えていきたい。

★意見として
今後、高齢者はさらに増えていく。
地域包括支援センターの必要性、重要性を踏まえて、今後もしっかりと支援していただきたい。

**************

本来、地域包括支援センターには3職種(保健師、主任介護支援専門員=主任ケアマネ、社会福祉士)の配置が必要です。

ですが条例で定めた人員配置基準上、人口の少ない西山地域では、2名分の人件費しか委託料に含まれません。

残り1職種分については、「ケアプラン作成料で人件費を捻出」というのが従来の考え方ですが、人口が少ないとそこまで「稼ぐ」ことはできないため、法人が超過負担することになります。

市からの委託事業でありながら、受託者が超過負担する実状がある場合は、原因分析をきちんと行い、財政措置も含めた支援を検討すべきだと思います。

また今回の質疑を通して、「いきいきデイサービスへの事務所移転」が事実上、白紙に戻ったことも確認しました。

人口が少ない地域の公共施設を縮減していくことの理由として、現市長は「人口が少ない地域ほど一人あたりの税金が高い」と説明することが多々あります。(中央地区はひとり3万円だが、郊外の過疎地域は7~10万円・・等)

ですが、もし住民ひとりあたりにかける税金を均等にするのであれば、国が地方に配分するお金(地方交付税)も減らされなければなりません。

それに、人口減少地域にかける税金の大半は、必要不可欠な住民サービスであり、「住民ひとりあたりが享受できる公的サービス」が中心部より多いとは思えません。

西山地区ではコミセンの統廃合、地域交通にしやま号の地域負担により、「切り捨てられている」との想いを持つ方が少なくないと感じます。

その上、地域包括支援センターまでなくなれば、住民の心理的・物理的ダメージは計り知れないものとなるでしょう。

今回、一連の質疑・質問を通して「北地域包括支援センターにしやま」を残すことは確認できました。

少子高齢化・人口減少が進んでも、住民の皆さんが安心して、希望を持って暮らせるような柏崎にしたい、という視点と想いを持って、残り任期も活動していきたいと思います。

 

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