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2022年8月10日 (水)

【委員会視察3】長野県須坂市「いじめ・不登校対策」

8月8~10日、文教厚生常任委員会による行政視察を行いました。
委員会では「子どもを取り巻く環境の充実」をテーマに
●子どもの貧困対策
●いじめ・不登校対策
について、調査・研究を行っています。

8月10日は長野県須坂市のいじめ・不登校対策について学びました。

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◆いじめ対策の背景
・須坂市のいじめ対策はマイナスからのスタート。平成9年に市内中学生が自殺した。遺書には「いじめ」により死を選んだことが記され、遺族が市を相手に訴訟を起こし、長期の裁判の結果、平成17年に和解した。
・遺族の強い意向もあり、須坂市では毎年4月の校長会にて、事件について周知し、いじめの未然防止と根絶に向けて市を挙げて取り組む姿勢を示している。

◆いじめの未然防止、早期発見
・小中学校の前学級を対象にQ-U検査「楽しい学校生活を送るためのアンケート」を年2回実施。
・アンケート結果を学級経営に活かし、児童生徒指導や個別相談に活用している。
・以前は紙ベースだったが、GIGAスクール構想により端末が整備されてからはGoogleフォームを使用。
・Q-U検査手数料 324万3900円(2022年度当初予算)

◆いじめ等の初期対応
・いじめ等が重大事態に発展するケースは、共通して初期対応がうまくいっていない。
・個々の職員が独断で統一を欠いた指導をすることのないよう、各学校で組織的に対応する。
① 迅速に複数名の職員で加害生徒・被害生徒の双方から情報収集する
② 被害生徒に安全は必ず守ることを伝える
・事実確認と指導を同時に行わない。事実に基づく指導方針を協議する。
・児童生徒から話を聞いて終わりにするのではなく、加害児童生徒には自分の行動を振り返らせ、しっかり考えさせる。
・被害者が教室に入れなくなったら直ちに学習保障をどうするか対策を講じる。

◆須坂市学校問題解決支援チーム
・いじめ等の重大事態に対応するための第三者委員会。弁護士、医師、臨床心理士、福祉関係者、教育関係者、学識経験者で構成。
・重大事態が起こらなくても年2回、情報・意見交換を行っている。
・各学校では解決できない問題が発生した場合に機能する。
・平成26年に設置して以降、重大事案は1件(平成30年)。いじめが原因と疑われる不登校重大事案が発生し、チームが発動して、聞き取り調査、対応の協議を行った。いじめ行為は認定されたが、不登校については複数の要因が見られた。報告書は公表しないものの校長会で共有、加害生徒には内容を伝えた。

◆不登校に対する学習保障
・多様な学びを進めている。私立フリースクールとも連携(出席扱い)している。
・GIGAスクール構想推進委員会では不登校・不適応児童への対応を検討し、「オンラインでつながる」ことを目指す。多くの子が教室とオンラインでつながっている。

◆中間教室フレンドリールーム
・家庭から中々出られない子が外に出るきっかけとなるよう開設。学校への登校に抵抗感を持つ児童・生徒が安心して過ごしながら、再登校・復学を目指すことができるような指導・支援を行う。
・毎週月~金、8:15~16:45開室。個別対応を行う(復帰プログラム)。
・在籍校に籍を置いた上での通室、出席扱いとする。
・インスタグラムを開設し、気安い雰囲気づくりに心掛けている。

◆家庭への支援
・不登校児童生徒支援員等の配置
・スクールカウンセラーによる相談
・スクールソーシャルワーカーによる相談
・心の教室相談員(司書兼務・各中学に1名)による相談

【質疑応答】

質問1
須坂市学校問題解決支援チーム発足後、重大事案が1件のみとのことだが、学校内での対応が迅速であること、いじめを未然に防ぐ取組みの効果と考えてよいか。
回答1
学校内での初期対応により重大化を防いでいる面はある。職員間でいじめの定義を共有し、各学校が年度当初に保護者に対して確認、子ども達にも伝える。1日のうちに何度もいじめ事案は起きていると捉え、繰り返し子ども達自身が考える機会をつくる。いじめ事案の認知件数は年間に400件を超えるが、できるだけ認知することが重要と考える。

質問2 
不登校はいじめ以外に生活の乱れ(ゲーム依存等)や人間関係など、様々な原因があると思うが、どのように対応しているのか。
回答2 
友人関係や家庭生活の問題など、原因がはっきりすれば見通しが立つが、家庭での状況は見えにくく、その子自身も何が原因で学校に行けないのかわかっていないケースが多々ある。スクリーニング会議を行い、各課で確認し、スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーの介入・要因分析も行い、個別に対応している。

質問3
Q-U検査が学校生活全般に及ぼす効果は。
回答3
結果は各学校で分析し、前回と比較しながら考察する。教育相談のきっかけとなるケースもある。クラス全体に居心地が良くないと感じる子が多い場合は、道徳の授業等を通じて対応する。

質問4
LINEグループでのいじめなど、SNS上でのいじめにはどう対応しているか。
回答4
SNS上のいじめは見えにくいが、児童生徒からの情報提供により発覚したケースもある。
「いじめは決して見逃さない」という姿勢を貫くことで、子ども達自身が声を挙げるようになってきた。

質問5 
いじめ加害者側への対応は。出席停止措置はあるのか。
回答5 
加害者対応は個々によって異なるが、保護者に事実を伝えて反省を促す。児童生徒自身に何がいけなかったのか、なぜそうなったのか状況を把握・理解できるようにする。出席停止措置はない。

質問6 
フレンドリールームの利用状況は。
回答6 
現在は中学生10名が利用している。

質問7 
市単費で補助員を配置しているか。
回答7 
45名採用し、各小中学校や特別支援学校に配置している。

質問8 
教育機会確保法に基づく対応を行っているか。
回答8 
明確に法に基づくものではないが、これまでの説明の通り学習保障に努めている。

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【所感】
須坂市では過去に発生した、いじめに起因した中学生の自死を教訓とし、強い意思を持って「いじめを絶対に見逃さない」仕組みを構築しています。
学校において、いじめの定義、すなわち「どういったことがいじめに該当するか」を、教職員、児童・生徒、保護者が共有することで、重大事態の発生を防いでいると感じました。
いじめ事案は一日のうち何度も起きているとのことですが、それを見過ごさず認知していくことで、重度化の防止や早期対応ができるのだと思いました。
 不登校児童・生徒に対しては、「学びから逃げることなく、学びにつなげたい」についてはオンライン、ICTを活用した「学びの保障」を実践し、わずかであっても学校とのつながりを築いていることに深く感銘を受けました。
中間支援教室も社会参画のきっかけとしての役割が強く、社会性と学習の両面でサポートする体制になっています。
 柏崎市においても「学びの保障」を推進できるよう、参考にしたいと思います。

ご対応いただいた須坂市議会事務局および担当の皆様、ありがとうございました。

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