障がい者雇用率算定方法の見直しに伴う今後の対応について
7月8日、総務常任委員協議会が開かれ、傍聴しました。
概要は「これまで障がい者雇用率の算定に非常勤職員を加えていなかった。非常勤職員を加えて算定し直したところ、大幅に雇用率が下がったので、今後は法定雇用率を目指して全庁的に障がい者雇用に取り組む。」というものでした・・。
<説明資料>
障がい者雇用率算定方法の見直しに伴う今後の対応について
1、障がい者雇用率の算定方法の見直しについて
これまで障がい者雇用率の算定基礎に用いる「常時勤務する職員」に正職員及び再任用職員のみをカウントしておりました。
当市の非常勤職員は、1年以下の期間を定めて雇用されているため「常時勤務する職員」に含まれないと解釈をしておりました。
今回改めて国の手引を確認したところ、算定基礎とする職員は、1年を超えて雇用されている又は引き続き雇用されると見込まれる職員とされておりました。
この件について、ハローワーク柏崎に、引き続き雇用されると見込まれる職員に当市の非常勤職員が該当するか確認をしたところ、
新潟労働局に確認をした上で、1年以下の期間を定めて雇用される場合であっても更新の可能性があれば含めて算定すべき と指導があったものです。
2,算定方法の見直しに伴う新潟労働局からの指導内容について
(1) 令和3(2021)年6月1日現在の障がい者任免状況通報書の再提
修正内容は次のとおり
法定雇用障がい者数の算定の基礎となる職員の数
(正) 1,240人 (誤)770人
障がい者計
(正) 23人 (誤)18人
実雇用率(法定雇用率2.60%)
(正) 1.85% (誤)2.34%
法定雇用障がい者数を達成するために採用しなければならない身体障がい者、知的障がい者又は精神障がい者の数
(正)9人 (誤)2人
(2)障がい者採用計画通報書の再提出
不足する2人の障がい者を採用する計画を9人の障がい者を採用する計画に修正すること
(3)ホームページ等での修正内容の公表
令和3(2021)年6月1日現在の状況を公表するとともに、正誤表により変更箇所を明らかにすること
(4)令和4(2022)年6月1日現在の障がい者雇用率(参考)
法定雇用障がい者数の算定の基礎となる職員の数
R4(2022) 1,195人 R3(2021)1,240人
障がい者計
R4(2022) 21人 R3(2021) 23人
実雇用率(法定雇用率2.60%)
R4(2022) 1.76% R3(2021)1.85%
法定雇用障がい者数を達成するために採用しなければならない身体障がい者、知的障がい者又は精神障がい者の数
R4(2022) 10人 R3(2021)9人
3, 今後の障がい者雇用の進め方について
(1)雇用についての考え方
ア 正職員については、従来どおり職員採用計画に基づき雇用を継続する。
イ 非常勤職員については、短時間勤務の障がい者雇用を進める。
(2) 具体的なスケジュール
①業務の切り出し R4.7~8月
②切り出し結果集約 R4.8~9月
③マニュアル等作成 R4.9月
④職場体験実施 R4.10~11月
⑤予算確保(プレ雇用及び指導担当者確保)R4.10~12月
⑥プレ雇用募集 R4.12~R5.1月
⑦プレ雇用実施 R4.1~3月
⑧本格雇用開始 R4.4月
(3)(2)の進め方
① 各課に調査を依頼する。
② ①の調査結果に基づき、業務を選別、集約する。
③ 障がい者が業務を行うためのマニュアルや指示書等を作成する。
④ 指導担当者を確保(委託を含めて検討)する。
⑤~⑦ 雇用する障がい者と雇用のミスマッチを防ぎ職場定着を図るため、令和5(2023)年度からの本格雇用を目指し、令和4(2022)年度に職場体験、プレ雇用を実施する。
※ プレ雇用から人件費が発生するため、12月補正(作業の進捗状況によっては9月補正)により指導担当者確保費用とあわせて、3人程度の雇用を見込んだ予算を確保する。
⑧ 令和5(2023)年4月から本格雇用を目指す。
※ 必要な経費を令和5(2023)年度当初予算に計上する。
<補足説明>
★定着のための業務切り出しを行う
★理解ある職場の雰囲気・環境づくり
★障がい者事業所、ハローワークとの連携
★庁内会議で共有、市長からはスピーディーに
★焦らず定着を目指す
<質疑・意見> ◆は委員の発言
◆誤りを正すことは大事ではあるが、気付きに至った経過は。他の自治体も同様の算定誤りがあったのか。
人事課長
誤りに至った経緯は星野委員の一般質問を受けて、再度雇用について確認した結果、判明。各市町村では非常勤も含めて採用していた。
◆労基への報告は遡って修正をかけるのか。
人事課長
新潟労働局との調整により、令和3年度まで遡る。
◆指導的立場の行政としてもっと重く受け止めるべき。総合計画、障がい者活躍推進計画、職員定員管理計画の見直しは。
人事課長
まずは障がい者活躍推進計画の見直しに着手したい。
総合企画部長
重く受け止める。各種計画は関係するものは検討していきたい。
◆これまでも市職員となるために努力してきた人いるはず。重く受け止める意識は。
人事課長
重く受け止め、今後努力していきたい。
◆計画修正含めて障がい者支援機関等にも謝罪と丁寧な説明が必要ではないか。
人事課長
お詫びと丁寧な説明をし、一緒に進めて行きたい。
◆業務の切り出しを各課に・・というが、これまで意識が薄かったのではないか。3月の予算審査時の質疑では、「仕事に合わないなら採用しない(職員採用試験に障がい者雇用の区分はない)」というスタンスが示されたが、とんでもないことであり、障害者雇用は障がい者の能力を職場でどう生かすか、という視点を持つべき。仕事に合わないから採用しないのではなく、能力に応じた仕事を創出することが必要。支援事業所の指導を受けるというが、まずは課長から業務の切り出しにおいてどうすれば障がい者の能力を生かすことができるか、考えるべきであり民間はそうしている。市はトップリーダーとして外部の視点を入れた業務切り出しを行うべき。
人事課長
4月に人事課に来て気付いたことも多々あるが、まだそれがない職員もいる。
人事課を中心として、全庁的に意識を変えていきたい。
障害の特性を生かした業務の切り出しも、しっかりと取り組んでいきたい。
福祉課、福祉作業所、ハローワークと連携して進めて行きたい。
◆業務の切り出しは時間をかけて行うべき。途中で頓挫することがあってはいけない。福祉課の障害担当と連携して、市が率先して進めてほしい。切り出しについて、しっかりと理解した上で、丁寧に進めてほしい。
◆業務の切り出しについて、仕事が先にあってそこに人を合わせるのか、採用される人の能力を引き出すために仕事を切り出すのか。これまでのように、簡易な仕事だけ切り出してやってもらえばいい、という考え方では何も変わらないのではないか。
◆切り出しにおいて専門的な視点がないと難しいのではないか。それが無いから途中で辞めていただいたケースも過去にあったのではないか。
◆チャレンジを失敗すると深く傷つく。切り出し方、接し方について庁内での学習をしっかりやってもらいたい。
総合企画部長
これまで意識の中で簡易な作業という意識はあった。
今後は障がいのある方にいかに活躍していただけるか、という視点を持って進めて行きたい。
ハローワークの専門指導員等の意見をきいて、しっかりと進めていきたい。
◆仕事の切り出しについて、これまでは身体障がい者の採用が多かったが、知的・精神障がい者もバランスよく雇用しなければならない。個々によって対応が違う。切り出しというよりも、その人のためにお金をかけても新しい仕事を用意する時代に移ってきたのではないか。受入れる側、個人の仕事・やりがいある仕事を与えたと思っても、100%できるとは限らない。50%しか仕事ができないとしても周囲の理解でカバーすることが必要。今ある仕事だけで考えても無理。新たな仕事をやっていただくという発想が必要ではないか。
人事課長
おっしゃる通りに進めたいとは思うが、直営だけでなく委託業務も多々ある。
それらも含めて考えていくことになるが、いちばんの問題はチームワーク、受け入れる体制が問題になる。
研修をしっかりやって前向きにやっていきたい。
◆法定雇用率まで達成するのを目指すというが、非常勤もあわせて目標値が変わる。法定雇用率を守るだけでいいのか、どこまで引き上げるのか。
人事課長
まずは法定雇用率を達成することが目標となるが、時間をかけてもしっかりと採用・定着していきたい。
◆最終的にどこまで数値を持って行くのか。
人事課長
法定雇用率2.6%を目指す。
◆色々な障害があるが、すべてを対象とするのか。
人事課長
その通り
◆以前は通勤が難しいために採用されなかったケースもある。通勤も含めて合理的配慮はあるのか。
人事課長
検討は必要。今ここで決定はできないものの前向きに検討したい。
◆採用後のフォローとして、ジョブコーチの活用は。
人事課長
まさにその通りのことを資料にも掲載している。
◆現在の採用案内・試験は障がい者にとって配慮されていない。一から見直しを図ってもらいたい。福祉課との連携が必要。採用試験や事前の案内についても見直しかけてほしい。
人事課長
来年度からとなるが見直していきたい。
***************
障害者の雇用の促進等に関する法律 に基づき、他の自治体では市職員の採用試験に「障がい者枠」を設けている事例も多々あります。
【渋川市】令和4年度渋川市職員採用試験(障害者対象)について
【岡山市】令和3年度障害者を対象とした岡山市任期付短時間勤務職員採用選考試験について
非常勤職員であれば、個々の特性に応じた「柔軟な働き方」を進めやすいのではないでしょうか。
多様な人材がそれぞれ持てる力を生かして活躍できる社会に向けて、まずは行政=市役所が規範となるよう願いつつ、今後の動きを注視したいと思います。
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