7月19日、随時会議がありました。
内容は「一般会計補正予算(第8号)」を即日採決するというものです。
議案となる予算書は1週間前に配信されましたが、予算規模が大きく、各課に渡る内容でした。
議第65号 令和4(2022)年度 一般会計補正予算書(第8号)
柏崎市議会では本会議で質問や討論を行う場合は、発言通告書を前日15時までに提出することになっています。もちろん当日でも質疑できますが、発言通告書を提出することにより、優先的に質疑できます。
今回は以下のように、発言通告書を提出しました。
1,原油価格・物価高騰等緊急対策事業として福祉課で350万円、介護高齢課で970万円、ものづくり振興課で2億5936万円が計上される一方で、農政課では農業経営体支援事業に3326万3千円、畜産業緊急対策支援事業に1771万5千円としてそれぞれ計上されている。
コロナ禍における原油価格・物価高騰により大半の事業者・農業者がダメージを受けていると推察するが、これらの支援策により、どの程度網羅できるのか。
また原油価格・物価の高騰は長期化すると考えられるが、本予算は赤字補填分となるのか、あるいは事業継続に伴う企業・事業者の努力を応援するものなのか、伺いたい。
2、子育て応援券臨時交付事業 2億3303万7千円が計上されているが、国の新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金を活用していること、および繰越明許費が計上されていることから、既存の子育て応援券事業との関連性も含め、事業スキームを確認したい。
また子育て応援券の作成料+委託料で約1千万円となることも踏まえ、どのような事業効果を見込むのか(事業者支援も含むのか等)伺いたい。
発言通告書22.07.19(近藤)
当日は冒頭、故・安倍晋三元総理に対し、1分間の黙祷を行いました。
次いで副市長による議案説明となりました。
ーーーーーー
議案説明(副市長)
令和4(2022)年度一般会計補正予算(第8号)
<総括>
新型コロナウイルス感染症の影響下において、原油価格・物価高騰等に直面する市民の皆様や事業者の皆様に対して総合的に支援するための経費のほか、7号補正以後に生じたやむを得ない経費について、総額6億8,553万6千円を追加したい。
あわせて今回の補正に伴い、繰越明許費の設定及び地方債の追加をしたい。
<歳出の主な内容>
◆西山町地域内交通車両購入事業 740万2千円
車両2台を入れ替える経費。西山町地域内交通「にしやま号」は、4月から予約型に再編し、運行しており、1日当たりの利用者数はこれまでより増加。乗降時の安全性をより一層確保するため、手すりや乗降ステップなどを備えた車両に入れ替えたい。
◆原油価格・物価高騰等緊急対策事業 350万円(福祉課)
障がい福祉サービス事業を営む10事業者、35事業所を対象に、4月から9月までの間のいずれかの月の光熱費が、前年同月と比較し、一事業所当たり10万円以上高騰している場合は10万円を、20万円以上高騰している場合は20万円を、複数の事業所を運営している事業者に対しては一法人当たりの上限を50万円とし、支援金を支給するための経費。
◆物価高騰等に対応する緊急生活支援事業9,392万3千円
令和3(2021)年度及び令和4(2022)年度における住民税非課税世帯等に対する臨時特別給付金の支給世帯を対象に、県の補助制度を活用し、緊急生活支援事業給付金を市として1万円を上乗せ給付するための経費。対象世帯は、約9,100世帯。
◆原油価格・物価高騰等緊急対策事業970万円(介護高齢課)
介護サービス事業等を営む31事業者、61事業所を対象に、4月から9月までの間のいずれかの月の光熱費が、前年同月と比較し、一事業所当たり10万円以上高騰している場合は10万円を、20万円以上高騰している場合は20万円を、複数の事業所を運営している事業者に対しては一法人当たりの上限を50万円とし、支援金を支給するための経費。
◆子育て応援券臨時交付事業2億3,303万7千円
0歳から18歳で高校生相当以下の子どものいる世帯を対象に、一人当たり2万円相当の市内店舗で利用可能な臨時子育て応援券かしわ★ざ★キッズ!スターチケットプラスを配布するための経費。
対象者数は約1万800人を見込み、7月31日時点で市内に住民票を有する対象者の子どものいる世帯には、8月下旬に臨時子育て応援券を郵送し、その利用期間は8月下旬から令和5 (2023)年1月まで、発行月を含め6か月間を予定している。
8月から令和5(2023)年3月までに子どもが生まれた世帯には、生まれた月の翌月から6か月間利用できる臨時子育て応援券を順次郵送する予定。なお、この臨時子育て応援券の利用可能店舗は、今後、要件を定めた上で、募集を開始する。
◆保育園運営事業267万6千円
公立保育園における約800人の園児の給食材料費の物価高騰相当額を追加。
◆私立保育園運営経費404万2千円
◆私立認定こども園等運営経費133万1千円
◆小規模保育事業運営経費4万1千円
私立保育園、私立認定こども園、私立幼稚園及び小規模保育事業所に対し、約1,600人の園児の給食材料費の物価高騰相当額を補助するための経費。結果として、保護者の皆様に給食費の値上げをお願いすることはない。小・中学校の給食費も同様。
◆農業経営体支援事業
農業資機材等高騰緊急対策支援事業 3,349万9千円
30アール以上の農地を耕作する約950農業経営体を対象に、自家消費分に相当する10アール分を一律控除した上で、10アール当たり1,000円を支給するための経費。
◆畜産業緊急対策支援事業
物価高騰緊急対策支援事業1,772万円
乳用牛、肉用牛、採卵用の鶏及びブロイラーを飼育する11畜産事業者を対象に、牛を飼育する事業者には、頭数に応じた飼料費及び光熱費の高騰分の2分の1相当額を上限とし、鶏を飼育する事業者には、飼育数の2分の1を支援対象として、その飼料費及び光熱費の高騰分の2分の1相当額を上限とし、それぞれ補助するための経費。
◆原油価格・物価高騰等緊急対策事業2億5,936万円(ものづくり振興課)
物価高騰により、大きな影響を受けている市内約2,600の農林水産業及び医業を主たる事業とする者を含めた中小事業者に対し、省エネルギーをキーワードに支援するためのもの。
「低炭素社会をめざすエネルギーと環境のまち」の実現のための本市ECO2プロジェクト参加を要件に、各事業者に対し一律5万円を支給するもの。
また、省エネルギー設備への転換を促すため、一定の要件を定めた上で、照明器具をLED照明へ転換する場合、製造業では200万円、造業以外では100万円を上限とし、対象経費の3分の2を、空調設備を転換する場合、製造業では100万円、製造業以外では50万円を上限とし、対象経費の2分の1を補助するもの。
県の中小企業等原油・原材料価格高騰等対応設備導入緊急支援事業の補助制度を活用する場合、通常枠では20万円を上限とし、自己負担額の3分の1を、特別枠では25万円を上限とし、自己負担額の2分の1をそれぞれ本市として上乗せ補助するための経費。
◆消防団施設撤去事業60万5千円
西山町石地地内に設置しているコンクリート製の消防ホース乾燥塔が老朽化により欠損し、地域住民に危険が生じていることから、早急に撤去するための経費。
◆学校給食費1,870万円
小、中学校の児童、生徒、約5,300人の給食材料費の物価高騰相当額を追加措置。
<補足資料>
コロナ禍における原油価格・物価高騰等に対応する総合的対策
議案説明補足資料22.07.19
<歳入>
◆国庫支出金 4億8,215万7千円
◆県支出金 4,695万9千円
◆繰越金 1億4,922万円
◆市債 720万円
をそれぞれ増額し、歳出との均衡を図る。
◆繰越明許費 921万6千円
今回の補正のうち、子育て応援券臨時交付事業において、8月から令和5(2023)年3月までに子どもが生まれる世帯へ順次配布する臨時子育て応援券の利用期間を生まれた月の翌月から6か月間とすることから、10月以降に子どもが生まれる世帯は、来年度においても利用の見込みがあるため、その経費を繰越。
◆地方債補正 720万円
今回の補正に伴い、地域生活交通運営事業費について、新たに追加。
*******
通告した部分の多くが議案説明と補足資料の中で回答されたため、質疑は割愛できるところは割愛し、また分割して行いましたが、答弁は事前に提出した通告書に沿ったものでした。
<質疑>
近藤
今回の補正予算全体について、まず質問させていただきたい。原油価格・物価高騰等緊急対策事業として福祉課、介護高齢課、ものづくり振興課にて計上され、農業者に対する支援事業も計上されている。
これらの制度設計にあたり、どの程度の現場の声・要望を聞いた上で、それを反映したものであるのか。
また、コロナ禍における原油価格・物価高騰により大半の事業者・農業者がダメージを受けていると推察するが、これらの支援策により、どの程度カバーできるのか。厳しい状態にある皆さんを網羅できる内容となっているか。
市長
総括の部分で、金額の大きいものからお答えしたい。
まず、ものづくり振興課が所管している事業は、ECO2プロジェクトに登録済み、または申請時に登録した中小事業者に5万円支給することとしている。
また、照明設備や空調設備など、エネルギー設備を更新する場合は、更なる支援をすることとしている。
ものづくり振興課が所管しているものの、先ほどの副市長の説明でも申し上げたように、市内すべての中小事業者を対象としている。つまり農林水産業、医療関係者等も対象とする事業である。
ヒアリング・意見徴収は柏崎商工会議所をはじめ、市内のあらゆる団体に対して行い、物価高騰・燃料費(原油価格等)が高騰している影響を伺う中で、今ほどの施策を展開させていただきたいと考える。産業支援全体で約2億6千万円計上している。
続いて、臨時子育て応援券 かしわざキッズ約2億3千万円については、ご承知の通りチケット形式にすることで、子育て世代を支援するとともに、地元柏崎経済に確実に資することを目的としている。
続いて、福祉課では障がい福祉サービス事業所、介護高齢課では介護サービス事業所、農政課では一定規模以上の農業者・畜産事業者を対象としている。
すべての産業に渡り、事業者等にヒアリングを行い、原油価格・物価等の影響を分析し、特に支援が必要な分野と判断し、予算配分させていただいた。
そして、近藤議員からは(通告で)今回の予算が、原油価格・物価高騰等に苦しむ事業者に対する赤字補填なのか、応援なのかという質問もいただいている。ひとことで言えば、近藤議員の言葉を使うなら応援、私ども行政の言葉を使うなら支援ということになる。ご承知のように、赤字部分をすべて補填することを行政はできないし、するべきではないと考える。あくまでも部分的なところを、行政として出来る限り支援させていただきたいと考えている。
さらに原油価格・物価高騰のこの時期をひとつの契機として、市の施策であるECO2プロジェクトへの参加事業者が増えることを目指し、省エネルギーをキーワードに、今回の予算を組み立てた。省エネルギー設備への転換を促すことで、事業者の経費削減にも寄与しながら、低炭素社会を目指すエネルギーと環境のまち柏崎の取組みも、これを機にさらに進めていきたい。
近藤
答弁をお聞きして、目指すところはわかったが、原油・物価高騰はかなり長期化すると思われる。今回の支援策は4~9月までとしているが、状況によっては10月以降の支援も考えていくのか。
もう一点、子育て応援券臨時交付事業は既存の施策(子育て応援券事業)の対象者と重複するのか。また、子育て応援券の作成料+委託料で約1千万円となるが、事業者に対する支援も含むということで、委託はどのような形で行うのか、それによって市内の経済波及効果はどうなるのか。
市長
秋以降については、世界中の誰も見込みがつかない。一地方自治体である柏崎市ができることは限られているが、世界、国、県の動向を見極めながら、できる支援を考えていきたい。
子ども未来部長
既存の応援券との関連性を含めた事業スキームについては、私の方からお答えしたい。先ほど副市長が説明した通り、本事業は子育て世帯の経済的負担軽減と、経済対策として市内での消費喚起を目的としている。
補足資料をご覧いただきたきながら、ご説明したい。
子育て応援券臨時交付事業 2億3,303万7千円
ア 概要
子どものいる世帯に子ども1人当たり2万円相当の市内店舗で利用可能な臨時子育て応援券「かしわ ★ ざ ★ キッズ! スターチケットプラス」を配布する。
*既存の子育て応援券とは別に配布するため、既存の子育て応援券をお持ちの方には、今年度3万円相当が支給されることになる。
イ 対象
7月31日時点で市内に住民票を有する 0歳から18歳で高校生相当以下の子どものいる世帯及び8月から令 和5(2023)年3月までに子どもが生まれた世帯
ウ 対象者数 約10,800人 (見込み)
エ 臨時子育て応援券の郵送時期及び利用期間
(ア)7月31日時点で市内に住民票を有する0歳から18歳で高校生相当以下の子どものいる世帯
・郵送時期 8月下旬
・利用期間 8月下旬から 令和5(2023)年1月まで
(イ)8月から令和5(2023)年3月までに子どもが生まれた世帯
・郵送時期 順次
・利用期間 生まれた月の翌月から6か月間
*これにより、8月以降に生まれた子どもの利用は年度をまたぐことから、繰越明許費を計上した。
オ 臨時子育て応援券の利用可能店舗
要件を定めた上で募集する。
市内店舗で子どもに特化した利用要件を定めた上で、月下旬~8月上旬にかけて募集する。
既存の子育て応援券では、おむつ、ミルク、子供服など64事業者で利用できるが、臨時子育て応援券では、文房具、スポーツ用品、書籍の小売販売事業者など、約350事業者でご利用いただけることを見込む。
事業効果は先ほど申し上げた通り、コロナ禍における原油・物価高騰等の影響を受けている子育て世帯に支援することで、経済的負担の軽減を見込む。
また、クーポン券方式を採用することで、作成費用や換金業務費などの経費が必要になるが、現金給付と比較した場合、市内店舗での消費を確実に実施できることから、市内での経済効果も見込んでいる。
近藤
臨時子育て応援券の委託先はどういったところか、お答えいただけるか。
子ども未来部長
現在、委託先とは調整中であり、契約ができればお話しできる。一定程度の交渉は進んでいる。
飯塚議員
今回の補正はあくまでも応援、支援なのだということだが、この予算額で苦労・難儀されている皆さんにとって不足すると思う。丁寧に聞き取りしたということだが、その中身は金額だけでなく、福祉事業所や子育て関連施設の経営、特に公的サービス低下につながりかねないとの話もあったのではないか。金額はこれで足りるのか、また事業者の経営は成り立つのか。
市長
ご心配はもっともだが、足りているのかどうかといえば、補填ではなく、すべてカバーできるわけではない。ただし小規模事業者の中にはこれで足りる場合もあるかもしれない。反対にありがたいが雀の涙だという事業者もあるかもしれない。行政は経営者ではない。それぞれの事業者が経営努力する中で、エネルギー・物価の高騰といった不可抗力に対し、行政として一般財源も投入して、できる限りの支援を行う補正予算だとご理解賜りたい。
飯塚議員
関係者への意見聴取、特に公的サービスを担う事業者が今後の経営を心配する声はなかったのか。
市長
飯塚議員が特定の企業を心配しているかどうかはわからないが、また私自身がすべての事業者・経営者の声を伺っているわけではないが、やはり心配、厳しいとの声が非常にある。しかしその原因は、コロナ禍が原因というところや、ウクライナ情勢をきっかけとしたエネルギー価格が高騰したことが原因のところもあれば、コロナ禍以前、エネルギー価格高騰以前の経営状態から来る厳しさもあり、千差万別であるが、いずれにしても行政としてできるところを支援しながら、色々な情報を仕入れていきたいというところは、部長以下が心している。
飯塚議員
どうも噛み合わないところがある。提案内容の中には介護、福祉、保育関連もあるが、事業者から丁寧に話を聞いているということだが、その中で今後のサービスが維持できるのか、それぞれの法人がしっかりと経営していけるのか、人件費まで手をつけることはないのか、諸々が関連したところで、サービス低下が心配されることはないのか。そういう声を行政として把握しているのか、ということを聞きたいわけだが、おそらくそういう話を聞いていない、金額の調整だけだったということなのだろう。
これから新年度予算の編成に入るわけだが、当局として物価高対策についての予算編成の考え方は持ち合わせているのか。
議長
今回の質疑は議案(一般会計補正予算(第8号))についてのものなのだから、議案に関わる中で質疑していただきたい。
市長
先ほども答弁した通り、私自身も担当者も非常に厳しい声をお伺いした中で、このような予算を提案させていただいている。
笠原議員
今後も厳しい(原油価格・物価高騰の長期化)という話が出たが、今後も国・県予算がつかなくても市として支援していく考えはあるのか。
市長
場合・場合、場面・場面、対象事業によって判断していくが、今ご審議いただいている予算は、先ほど申し上げたように、国・世界的動向を見ながら提案させていただいている。
原案通り可決となりました。
発言通告書は当局にも情報提供され、一括で質問することになっていましたが、私が勘違いして分割で聞いてしまい反省しています。
委員会附託されれば、もう少し細かい事業スキームを確認できましたが、本会議での即日採決は限界があるとも感じました。
答弁によれば「補填ではなく支援」となるこれら予算が、厳しい状況にある事業者の皆さんに迅速に届くよう願います。
最近のコメント