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2022年6月

2022年6月28日 (火)

さ、ひっくり返そう~柏崎市の放射線教育~

6月28日、新道小学校5年生に対する公開授業「放射線教育」を見学させていただきました。
柏崎市議会・原発特別委員会第2部会の調査・研究の一環であり、原子力広報センターから講師を迎えての教育センター研修講座の前半部分を受講したということになります。

冒頭は数年前に話題になった、西武そごうのCM「さ、ひっくり返そう」からスタート。

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子ども達が引き込まれたところで、今日の趣旨は
●物事は見方によって解釈が異なる
●全てのことに良い面と悪い面がある
だと説明してから、放射線についての基礎知識を伝えていきました。

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中盤では放射線測定器を使って、子ども達の好奇心と集中力をキープ。

最後には、福島原子力事故で避難していた子ども達が受けた差別体験の話をして、

「正しい知識を身に付けた君たちは、非科学的な差別をひっくり返す側になれるよね。」

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エアコンのない理科室での暑い授業でしたが、子ども達は最後まで興味・関心を持って、主体的に参加していたと思います。

電子黒板の活用により、視覚的・効率的な授業運営が進んでいることも確認できました。

また、学校における放射線教育は

令和3年6月一般質問「4,福島復興を進めるために」

でも触れましたが、福島復興のための風評被害払拭につなげることが大きな目的であり、本授業ではそれが実践されたものと受け止めました。

授業を通して柏崎の子ども達が、科学的な根拠に基づく思考法と、他者を思いやる心、そして、困難をひっくり返す強さを身に付けて成長していくことを切に願います。

貴重な機会をありがとうございました。

2022年6月16日 (木)

柏崎あい・あーるエナジー株式会社に係る役員選任の経緯について

6月16日、総務常任委員協議会では、9日の一般質問を受けて、以下の説明と質疑がありました。

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柏崎あい・あーるエナジー株式会社に係る役員選任の経緯について (電源エネルギー戦略室)

1 役員選任の経緯

 柏崎あい・あーるエナジー株式会社は、市の再エネ政策を市とともに実現する会社であるため、会社の方向性の舵取りを行う適任者として櫻井市長が代表取締役に承認された。一方で、市長は電力取引等の事業運営に関する知見に乏しいため、電力取引の事業に関する代表者として、パシフィックパワー株式会社の取締役である大野氏が代表取締役に承認された。
 また、出資者のうち、会社に対して市の政策意向を実務的に反映させる目的で西巻副市長が承認され、さらに市とパシフィックパワー株式会社以外の考えを経営に反映させるため、事業参画に強い意向を持つ株式会社 INPEX から戸出氏(後に社内人事異動による選任者変更の申出を受
け山本氏を承認)が取締役に承認された。あわせて監査役については、地域事業者の視点で事業内容を俯瞰できる北陸ガス株式会社柏崎支社の唐橋氏が適任であるとして承認された。
 この役員体制決定を受け、電力取引の事業に係る契約等の行為は、代表取締役の大野氏を代表者に行い、他の契約行為等は代表取締役社長の櫻井氏を代表者として行うと整理した。

2 兼業禁止について

 地方自治法第142条及び地方自治法施行令第122条により、市長が市の事業を請け負う法人の取締役等になることを禁じているが、市が資本金、基本金その他これらに準ずるものの二分の一以上を出資している法人は適用を除外するとされている。また、特別職である副市長においては、地方自治法第166条第2項により市長における兼業禁止の規定及び適用除外の規定を準用するとされ、市職員は地方公務員法第38条で兼業を制限されている。これらを受け、以下のとおり整理している。

①柏崎あい・あーるエナジー株式会社は市が 67.66%を出資する会社であるため、市長の取締役就任は問題がないと考えている。
②市長と同様の事由により副市長の取締役就任は問題がないと考えている。
③市職員は地方公務員として営利企業の従事を禁止されているため、会社の任に就かない。

3 利益相反について

 利益相反行為については、民法第108条により自己契約及び双方代理、代理人と本人との利益に相反する行為は無権代理とみなすとされている。このうち双方代理については、地方公共団体や株式会社が行う契約行為でも起こり得るため、市は、市長の権限に属する事務の一部を副市長に委任する規則第2条第2項第3号において、双方代理に抵触する契約行為に関する市長権限を副市長に委任すると定め、双方代理による契約を行わないこととしている。
 一方、柏崎あい・あーるエナジー株式会社では、共同代表であることや市の権限委任により、双方代理による契約を行うことはないが、市やパシフィックパワー株式会社から取締役を受け入れているため、取締役との利益相反行為を制限する会社法第356条の規定に抵触する。このため、同法に定める株主総会における承認を得ることで、問題なく契約を締結することとしている。
 市の再エネ政策を市とともに実現する柏崎あい・あーるエナジー株式会社においては、市や株主事業者との取引において利益相反と解される場合が想定されるが、法に基づく契約や対応を行うこととしており、顧問弁護士にも問題のない行為との見解を確認している。

<質疑応答>

Q1
以前、総務協議会の報告と一般質問答弁が異なると感じた。当時は櫻井社長と西巻副市長の契約だと説明。
契約者の変更は重い。市長は当時は会社、実際は市の側として契約する。説明する考えがあったのか。
A1
3月協議会は設立手前で全貌を報告できなかった。今回、6月下旬に株主総会で決定後に報告を考えていた。

Q2
6月下旬に説明ということは承知した。一般質問の答弁がフライングという認識でいいのか。
A2
一般質問では「予定」と回答。正式には株主総会で決定後となる。

Q3
今後、変更点が生じた場合は、速やかに変更点の説明・報告を求めたい。
A3
できる限り報告したい。

Q4
法的には問題ないということだが、政策を実務的に反映させる副市長、市長が社長、両方に市側がいるのは公正さの面で市民感覚として疑問。
A4
地域エネルギー会社として議論。市の再エネ利活用、カーボンニュートラルの実効的な力は電力での売買。
電気事業法に入っていかないと実行は難しいことで、あい・あーるエナジーが設立。
政策的な実働部隊としてやっていくにあたり、会社のかじ取り・政策と離れた方向に行くのは良くない。
市長、副市長が入り込み、経営者としてもかじ取りを行うのが必要と考えたことが役員改選の経緯である。

Q5
公正な取引ということで、市のトップ、ナンバー2がいることで、匙加減での経営判断が生まれるのではないか。
A5
法的な対応として、市長の権限を副市長に委任する契約もある。その際は市長の契約権限そのものを副市長に委任することになる。その契約に関して市長は口出しできない。副市長は突っぱねることができる。公平・公正は担保されると説明。

Q6
市長、副市長ともに無報酬・無給与なら利益相反に該当しない。その説明が必要ではないか。
A6
設立において会社役員は全員無報酬・無配当。会社の利益から役員・株主がいくことはない。

Q7
チェック機能がどう働くのか。きちんと経営状態など、地方自治法上の調査権を発揮できるのか。社会通念上、市長の会社に対するチェックできるのか。新電力のまずい状況が報道されている。今までなら市長がチェックしてきたところ、この会社については心配。
A7
副市長の権限委任でチェック機能は働くが、心配を払拭できるのかとの観点は理解できる。
これからの会社運営において疑義をもたれないよう説明・情報できるだけ出す姿勢が必要。

Q8
総合企画部長に聞きたい。
このエネルギー会社に関する予算や説明、なんとか議会に可決してもらいたい、との市の意向は感じた。
市への信頼を担保に可決を求められてきたが、内容が変わってきている。
総合企画部では、説明不足がありながら、可決を求めることが多い。
「言えないものもありますが」との言葉を聞きながら審査するのは不本意。そういう傾向あるのではないか。
A8
これまで出せる資料は出し、説明してきた。これからもその都度、資料提供し、説明責任は果たしていきたい。
総合企画部関係は、と言われたが、会社設立の関係で言えないこともあったが、説明責任は果たしてきたと思っている。

意見
契約についての疑問点は残る。西巻副市長が役員に入る説明もなかった。今後の丁寧な説明を求めたい。

 

以上、法的には問題ないという説明でしたが、質疑は「議会に対する説明」がポイントとなっていました。

利益相反とは、取引の当事者同士が共に利益を得られるのではなく、どちらかが不利益を被ることになる取引のことです。

こちらのサイトがわかりやすいと思います。

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尚、同日は2年ぶりとなる「えんま市」最終日でした。

消防団の警備活動に参加しましたが、ものすごい人出でした。

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2022年6月 9日 (木)

令和4年6月一般質問「3,ウィズコロナ時代の防災行政無線の在り方」

令和4年6月9日、一般質問を行いました。以下は最後の質問です。

令和4年6月一般質問インターネット中継(近藤)

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最後の質問は「3,ウィズコロナ時代の防災行政無線の在り方」です。

 はじめに、この質問を通告したのは5月23日であり、その当時の状況を踏まえてお聞きいただきたいと申し上げておきます。

 新型コロナウイルス感染拡大が始まってから2年が経過しました。この間ワクチン接種が進み、オミクロン株による感染事例は比較的、軽症者が多く、療養期間や濃厚接触者の自宅待機期間も短縮化されました。
停滞していた経済活動や社会活動を再開し、市民生活に活気を戻すことは、ウィズコロナ時代の課題だと考えます。

 本市では、昨年度まで中止していた各種イベントを、感染防止対策を講じた上で再開しており、6月にはえんま市が、7月にはぎおん柏崎まつり海の大花火大会が開催されます。
 また、市内の飲食店を応援する「GOTO!イートチケット」が5月末まで延長され、5月中旬からは市内の宿泊事業者・旅行事業者の事業継続支援を目的に、閑散期の旅行需要喚起策として「楽宿(らくやど)かしわざきキャンペーン」を実施しています。

 このように、市は経済・社会活動活性化のために各種施策を講じていますが、連日放送される防災行政無線では、新型コロナウイルス感染者数の発表と、人権への配慮や感染防止のための注意喚起がなされてきました。

 これに対し、市民の方々からは「防災行政無線が流れることにより、行動を自粛しなければならないという心理状態になる。その一方で、市では各種イベントや飲食・宿泊の利用を促す事業を展開していることに、矛盾を感じる。」とのご意見をいただきました。

また、飲食業関係の方々からは、「防災行政無線が流れる度に、店の予約をキャンセルしたいとの連絡が入る。」とも伺ってきました。

 総務省によれば、【防災行政無線は、県及び市町村が「地域防災計画」に基づき、それぞれの地域における防災、応急救助、災害復旧に関する業務に使用することを主な目的として、併せて、平常時には一般行政事務に使用できる無線局】としています。

 新型コロナウイルス感染拡大前は、本市の防災行政無線は災害や応急救助等の非常連絡が主であったと記憶していますが、感染拡大後は、連日放送され、定時放送と化していました。

 新型コロナウイルス感染拡大初期から、重症化しやすいデルタ株の流行期には、国や県の方針に合わせて、本市においても行動自粛を促しており、防災行政無線にその効果はあったものと考えます。

 しかし、感染拡大初期とフェーズが変わった今、防災行政無線の内容や構成、運用について見直す時期に来ているのではないかということが、本質問の趣旨です。

 例えば、平日の18時50分、土日祝日の17時から放送されていた防災行政無線には市政情報を盛り込み、市民が感染防止に配慮しつつも、明るい気持ちで経済・社会活動に参画できるような内容を放送してはどうか・・とのご意見を市民の方からいただきました。

 あるいは、新型コロナウイルス感染症に関する定時放送自体の見直しを検討してはどうかとも考え、以下の質問を5月23日に通告しました。そのまま読み上げます。

「ウィズコロナ時代において、市民の行動が、感染防止対策と経済・社会活動の両立につながるよう、防災行政無線の内容や運用について、見直す考えがあるか伺います。」

 しかしながら、5月27日をもって、防災行政無線の定時放送は突然終了となり、肩透かしを食らわされたような気持ちになったわけですが、ただ、それについての明確な理由は、現時点では明らかにされていないことから、あらためて伺います。

 5月27日を最後に、防災行政無線の定時放送を止めた理由と、そこに至るまでの考え方、協議内容等についてお聞かせください。

 

市長

 防災行政無線についてであります。非常に悩ましい問題でありました。ご想像いただけるだろうとは思いますが、相矛盾するものです。経済活動もやはり一定程度、確保しなければならない、しかし何よりも市民の皆様の安全や安心、生命を守らなければいけないといったところがあり、相反するところを防災行政無線を通じてということは、非常に難しいところでありました。

 皆さんも思い出していただきたいと思うんですけれど、2年半あまり経っているのであります。確認したところ、議会で新型コロナウイルス感染症に関して私が初めて発言したのは2年前、令和2年2月19日、議会の冒頭に議長よりお時間を頂戴して発言したことから始まっております。
 その当時、当初段階においては、新型コロナウイルスの蔓延については、非常に重症化率が高く、医療の崩壊を引き起こしかねない危機的な状況であり、まさに災害であったと考えております。当然のことながら、ワクチン接種も始まっておりませんし、ワクチンそのものをどうするのかという議論さえ始まっていませんでした。そういった状況の中で、防災行政無線を通じて呼びかけを行ってきた次第です。

 しかし、現在のフェーズは近藤議員がご認識・ご指摘いただいているように、感染者数・重傷者数ともに低下し、まさにウィズコロナ、コロナと共にというフェーズであり、平常時の営みに戻していくために、私達ひとりひとりが努力していかなければならない時代に入った状況にあると考えております。

 突然止めたといいますが、止めるのはいつだって突然です。そして最後の防災無線でその理由を説明しました。国は先月5月20日に今後のマスク着用についての使い方を示し、その3日後の23日には新型コロナウイルス感染症対策の基本的対処方針を変更し、更に26日には首相が外国人観光客の受け入れについて、6月10日から再開することを表明したというような、国の方向性を踏まえ、当初災害にも等しい新型コロナウイルス感染症の蔓延を防ぐために続けてきた防災行政無線を停止すると、お伝えしたところでございます。

  5月27日の放送を持ちまして、感染者数や皆様への注意喚起の呼びかけを停止する報告をさせていただいたところでございます。ご理解賜りたいと思います。

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近藤
 では5月27日止めたのは、たまたま(通告とのタイミングが合った)であり、(市長より「たまたまではありません!」)はい、承知しました。では5月27日に止めたのはそれなりの根拠があったということですが、一点心配しているのは、毎日の定時放送と化していたことであり、定時放送を止めたことが日常に戻すステップであると理解はしますが、市民の皆さんの中には戸惑う方もいらっしゃると思いますし、防災行政無線そのものが(一般的な)定時放送と混在している面もあると思うんですが。
 あらためて防災行政無線を聞き逃さないように啓発していただきたい、という思いがあるのですが、それについてお答えいただけるようでしたらお願いします。

市長

 今のところ市民の皆様から今回のことを含めて、防災行政無線の在り方を見直すべきだとのお声は聴いておりませんので、見直しは考えておりません。

近藤

 見直しという意味ではなく「防災行政無線をしっかり聴いてください」というアナウンスを何かのタイミングでしていただないか、という意味でしたが、わかりました。
 市民の皆さんも粛々と受け入れていらっしゃると思いますし、今はLINE等で防災行政無線の内容が流れて受け取りやすくなっていますので、しっかりと聴いていただけるよう、私の方でも周知してまいります。

 以上、大変早口になりましたが、これで一般質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。

 

令和4年6月一般質問「2,子どもを取り巻く環境の充実と多機関・多職種の連携」

6月9日、一般質問を行いました。以下は2項目目の質問です。

令和4年6月一般質問インターネット中継(近藤)

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次の質問は「2,子どもを取り巻く環境の充実と多機関・多職種の連携」です。

 柏崎市第五次総合計画・後期基本計画では「子どもを取り巻く環境の充実」を重点戦略とし、「子どもをまんなかに置いたまちづくりを進める」としています。
 「子どもはみんなの宝物」であり、どのような境遇で生まれても、子ども達が皆、健やかに育ち、学べるよう、環境を整える一方で、子ども達を取り巻く諸課題については、多機関・多職種が連携して、解決を図ることが必要だと考えます。
 そこで本質問では3つの課題の解決に向けた、本市の取組みや考えを伺います。

まずは「(1)ヤングケアラー支援を進めるために

昨年6月一般質問でも取り上げましたが、その後の状況を確認するため再度質問いたします。

 ヤングケアラーとは、家族やきょうだいの世話を担う18歳未満の子どもとされています。

 新潟県では昨年、実態調査を行い、先日その確定値が公表されましたが、中学2年生の5.9%、高校2年生の2.8%が「世話をしている家族がいる」と回答したそうです。
 また、世話をする対象は「きょうだい」「祖父母」が多く、「自分のみ」で世話をしている子どもが約15%ということです。

 ヤングケアラー支援は、ヤングケアラーの存在に「気付く」こと、支援機関に「つなぐ」こと、当事者である子どもと世話をされる対象となる家族を「支える」ことが必要です。

 本市においては子育て支援課がヤングケアラーの相談窓口として、新潟県HPに掲載されおり、要保護児童地域対策協議会(以下、要体協)の事務局であるためと推察します。

 しかし、実際に当事者である子ども達に気付き、最初に相談を受ける場は、学校が主体となるのではないかと思います。また、世話をされている家族の相談支援を通して、ヤングケアラーに気付く可能性も高いと考えます。

 そして、本市では柏崎市社会福祉協議会(以下、柏崎社協)に委託して、重層的支援体制移行準備事業を進めていますが、ヤングケアラーへの対応には、重層的支援が必要ではないかと思います。

 厚生労働省が今年発表した「多機関・多職種連携によるヤングケアラー支援マニュアル」では、相談窓口を明確化することが望ましいとしており、「窓口を一本化」する方法と「多様な相談窓口を用意する」方法が紹介され、後者においては重層的相談窓口の活用も推奨されています。

そこで以下3点質問します。

1点目は、本市の小・中学校でのヤングケアラー実態把握の状況と、昨年度~現在までのヤングケアラーに関連する相談支援の状況について。

2点目は、現在、本市のヤングケアラー支援は要体協の枠組みで行われているのか、また、相談窓口となる子育て支援課では、第三者による「気付き」も受け付けているのか。

3点目は、重層的支援体制の構築に当たり、ヤングケアラーとその家族への対応も想定するのか。また、重層的支援体制構築後のヤングケアラーに関する相談窓口をどのように考えるか。 

以上についてお聞かせください。

教育長

 ヤングケアラーの問題の受け止めに関しては、昨年の6月議会でも近藤議員の質問にお答えさせていただきました。ここではあらためてヤングケアラーの実態把握、及び学校における相談支援の状況についてお答えします。

 児童生徒がヤングケアラーであるかどうかの判断は、非常に難しいのが現状です。昨年度、学校教育課では教員を対象に、ヤングケアラーに関する実態調査を2回行いました。児童生徒の学校生活アンケートの記述や、教育相談の内容だけではなく、県派遣のスクールカウンセラーや、関係課あるいは関係機関と連携しながら、児童生徒を多面的に見た結果です。

 ちょうど1年前の昨年6月の調査では、小学校4人、中学校7人でした。今年1月の再調査では、小学校3人、中学校9人でした。小学校では1名減、中学校で2名増になっている理由は、教員のヤングケアラーに関する認識・理解が1年前は途上であり、その後、理解が進んだことから、精査した結果、1月の人数になったという報告を受けています。

 昨年度の相談状況については、児童生徒が学校に相談した事例が、小学校で2件、中学校で6件、スクールカウンセラーに相談した事例が、小学校で2件、中学校で1件、学校に相談していない事例が、小学校で1件、中学校で2件でした。

 相談内容としては、例えばひとり親家庭で小さい子の面倒を見ているというもの、母親が忙しいのに父親が全く家庭のことをしないので家事をやることが非常に多いというものです。

 今後も教職員研修を充実させ、これらの調査や相談を適切に実施するとともに、把握した実態をもとに、子育て支援課や福祉課などの関係課の他、要保護児童対策地域協議会(要体協)等の関係機関とも連携し、児童生徒支援のための策を講じてまいりたいと考えております。

子ども未来部長

 ヤングケアラーへの相談支援体制と、重層的支援体制の構築についてお答えします。

 まずヤングケアラーの支援については、近藤議員がおっしゃる通り、児童虐待防止の支援を行う要保護児童地域対策協議会の関係機関が連携して支援をしております。また、柏崎市要保護児童対策地域協議会の中心的役割を担う子育て支援課では、関係機関以外からの相談も受け付けておりますので、お気付きのケースがございましたら、ご相談いただきたいと考えております。

 続きまして相談窓口の啓発についてお答えします。国は令和4(2022)年度から令和6(2024)年度までの3年間を、ヤングケアラーの認知度向上の集中取組期間としまして、社会的認知度の向上を目指しております。

 本市におけるヤングケアラーの啓発については、相談窓口である子育て支援課を明記したヤングケアラーの啓発ポスターやチラシを、今年3月に公共施設の他、医師会・歯科医師会などに配布し、周知をいたしました。更に今年度は関係機関への研修会の開催を予定しております。

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 次にヤングケアラー本人からの、相談から支援までの実績状況についてお答えします。令和3(2021)年度は、多機関の調整を必要とする支援の実績はありませんが、令和2(2020)年度は4件の支援実績がありました。

 いずれも学校から子育て支援課に連絡をいただいた事例であり、1例としましては高齢者の介護をしている児童から学校に相談があり、ケアマネージャーやスクールソーシャルワーカーなどと連携し、高齢者が施設入所に至ったというケースなどがございます。

今後もヤングケアラーの周知啓発、関係機関及び地域の見守り意識の醸成に努め、安心して相談できる体制づくりと支援に努めてまいります。

 続きまして、重層的支援の体制でありますが、複雑化・複合化するケースに対応するために設けられた制度であります。本市における重層的支援体制は、既存の相談機関をそのまま活用し、各機関の連携をはかることを想定しており、窓口を一本化するものではありません

 近藤議員がおっしゃるように、別の相談からヤングケアラーの問題が把握されることもあり、子育て支援課や学校だけでなく、多様な相談窓口が必要だと考えております。

今後も多機関及び地域からいただいた子どもを取り巻く相談については、柏崎市要保護対策地域協議会の関係機関が連携し、支援につなげてまいりたいと考えております。

近藤
 1年前に比べて認知度も上がっており、相談支援体制の構築もされているということで、安心したところです。
 ただヤングケアラーは非常に難しい問題で、ご本人が自分はヤングケアラーであり、切ないというSOSを出していかないと、なかなか周りが介入しづらいというのもあると思いますので、また引き続きの啓発をお願いします。子育て支援課が相談を受け付けていることを、私も周知していきたいと思います。

次に、子どもを取り巻く環境に関する諸課題を整理し、適切な支援につなげるためには専門職の活用が有効ではないか、との観点から、

(2)スクールソーシャルワーカーの活用及び配置について」 伺います。

 学校教育現場においては、いじめ、不登校、暴力行為、家庭での児童虐待など、様々な憂慮すべき状況が教育上の課題となっています。
これらの背景には、児童生徒の心や発達の問題とともに、家庭や学校、友人、地域社会など様々な要因が複雑に絡み合い、特に養育環境が及ぼす影響は大きいと思いますが、学校・教職員が家庭・家族の問題に介入することには限界があると考えます。

 また、児童生徒が医療機関に受診・通院している場合、主治医と学校側との連携が難しいとの話も学校関係者から伺っています。
このように学校だけでは解決困難な事例において、関係機関等と連携した対応を支援する専門職として、スクールソーシャルワーカー(SSW)があります。

 主な役割として、●問題を抱える児童生徒が置かれた家庭環境等への働きかけ ● 関係機関等のネットワークの構築、連携・調整 ● 当該保護者、教職員等に対する支援・相談・情報提供など ●校内体制への支援及び教職員等への研修活動などが挙げられます。

 新潟県では、上越・下越教育事務所に各2名、中越教育事務所に3名のスクールソーシャルワーカーを配置し、市町村の学校から派遣要請を受けて、訪問支援を行い、問題の早期解決や未然防止の取組を行っています。中越教育事務所では、柏崎市を含む中越管内16市町村に対し、令和3年度は「延べ1600回以上」の相談・訪問を行った実績があるそうです。

 また新潟県内の12市町村が自治体単独でスクールソーシャルワーカーを配置しており、このうち新発田市、南魚沼市、燕市に問い合わせ、それぞれ社会福祉士等の専門資格と経験を持つスクールソーシャルワーカーが、学校、福祉、保健、医療機関等と日常的に連携し、子ども達を取り巻く問題解決に取り組み、切れ目ない支援を行っているとの回答をいただきました。

 スクールソーシャルワーカー問い合わせ結果

 このように、スクールソーシャルワーカーを活用して教育上の課題解決に取り組む自治体もあることから、本市の状況や考えについて、以下2点質問します。

1点目は、市内小・中学校における県スクールソーシャルワーカーの活用状況、及びスクールソーシャルワーカーの必要性・有効性に対する見解について。

2点目は、今後、市単独でスクールソーシャルワーカーを配置する考えがあるか。

以上についてお聞かせください。

教育長

 新潟県スクールソーシャルワーカーSSWの活用状況と配置の必要性についてお答えします。

 まず活用状況については、令和3(2021)年度における小中学校での新潟県SSWの活用状況は、保護者との面談、校内対応委員会参加等、小学校1校が年3回活用しております。令和4年度に入り、生徒・教職員の相談で、中学校1校が1回活用しております。また今後、中学校1校が活用する予定です。

 議員ご指摘のように、学校単独で対応することが困難な事例が多々ございます。市では主に虐待、養育環境の心配に係る相談は子育て支援課、いじめ、不登校、発達障害に係る相談は子どもの発達支援課、自殺・ほのめかしに係る相談は健康推進課が担当し、関係課や学校、教育委員会と連携して、担当課の専門性を生かしながら組織的に対応している現状がございます。

 この組織的な対応は、他市町村が単独で配置しているSSWと同等、またはそれ以上の役割を果たしているといえます。学校としては、組織的な対応をしていただいている、というのが現状でございます。

 年度当初、各学校の担当者が参加する教職員の研修において、過去の対応事例を挙げながら、各機関の専門機能について学校に周知し、組織的に対応できるよう努めております。しかし、この事例・事案はどこに相談したらよいか、という教育現場での悩みがあるのも事実でございます。
学校の要望や必要性を教育委員会が素早く察知し、各機関の情報をつなぎながら、役割を明確にし、対応するよう今後も務めてまいりたいと考えております。

 あわせて配置についても申し述べさせていただきます。先ほど述べましたように、市長部局にはなりますが、各担当課には保健師、精神保健相談員、家庭児童相談員、女性相談員、臨床心理士、カウンセラー等、専門的な資格を持つ職員がおります。

 昨年度、学校単独での対応が困難な事例については、各担当課と早急に情報共有の機会を持ち、迅速に対応を行った事例も多々ございます。また長期的に家庭支援を含めて対応を行う事例もありました。今年度もすでに動き出しておりますし、学校と連携しながら様々な事例に対応しております。

 繰り返しになりますが、SSWと同様の組織力があり、この点につきましては、県内の他市町村からも評価いただいている現状があります。最終的に医療・福祉までつながっているのは、他市町村では中々ない事例でございます。従って、あらためてSSWの配置は現時点では考えておりません。

 ただ、こうした機能が全学校に周知されていないことが課題だと考えております。教育委員会がそれぞれと迅速なつなぎができるように、現在努めているところです。

 今後も子ども達が入学する前から、そして卒業してからも、切れ目のない連携をはかり、子どもを取り巻く環境の充実に取り組んでまいりたいと考えております。

 また、必要に応じて、県のSSWを活用しながら、対応困難な事例についても、学校ができること、そして関係機関・関係課にお願いすること等、役割を明確にしながら、対応に努めてまいりたいと考えております。

 

 本市においては専門的な知見を持つ職員を有し、多機関・多職種の連携がなされているということで安心しました。

 本項目の最後は、「(3)児童クラブの人材確保と多様な子どもたちへの対応」です。

 児童クラブは保護者の就労などにより、昼間、保護者が家庭にいない小学校の児童を預かる子育て支援サービスです。本市には23か所の児童クラブがあり、かつては市の直営でしたが、現在はすべて外部に運営委託しています。

 そのうち22か所の児童クラブ運営を受託する柏崎社協では、支援員・補助員の確保に苦慮しており、常に募集をかけているものの、応募が非常に少ない状況だそうです。

 その背景には、児童クラブ支援員は、採用の身分が非常勤職員であること、また、勤務時間が午後6時半までであることから、フルタイムでしっかり働きたい人や、ワークライフバランスを重視する子育て世代から選ばれにくい、という実状があると考えられます。

 市の児童クラブ委託料における人件費の予算措置は、正職員を一定程度見込むものの、非常勤職員雇用分の割合が高くなっているそうです。しかし、柏崎社協では、人材確保のためにフルタイムの正職員を市の委託料算定以上雇用しており、差額の人件費を超過負担しています。

 そのため、柏崎社協における児童クラブの赤字は年々増しており、令和2年度の赤字額は約3600万円、令和3年度の赤字額は約4千万円と伺いました。
 市の施設運営委託料も年々増額されているにも関わらず、これだけの赤字を出していることは尋常ではなく、児童クラブ運営が市の委託事業であることからしても、原因分析や改善策の検討など、受託者である柏崎社協との協議が必要ではないかと考えます。

 また、児童クラブでは、特別支援学級に通級する児童の他に、グレーゾーンと呼ばれる発達障害の傾向がある児童も利用しており、職員は対応に苦慮しています。

 児童クラブ職員の配置基準は、児童約40名=1単位に対し支援員2名(うち1名は補助員でも可)であるものの、目が離せない少人数の児童に支援員一人が対応すると、残りの支援員が他の多数の児童に対応しなければならず、利用児童全般に目が行き届きません。

 国では障害のある児童を3名以上受け入れる場合は加配補助金対象となるものの、グレーゾーン児童はその対象とならず、加配する場合は運営者負担となりますし、加配したくても人材が集まらない状況が、現場の負担を生んでいると思います。

 私自身、ある児童クラブの支援員業務を体験させていただきましたが、現場は想像以上に過酷でした。支援員・補助員さんは、休む間もなく、体を張って子ども達の安全確保に努めているものの、いつ誰がケガをしてもおかしくない状況が生まれることも多々あり、子ども達との関わり方、児童クラブの在り方がこれでいいのか自問自答している・・とのお話も伺いました。

 ただしその一方で、児童クラブは子ども達が本来の自分を出せる場所であり、学校や家庭とは違う形でのびのびと過ごす中で、子ども達が自ら考え、行動する力が育まれていることもよくわかりました。
 子ども達にとって児童クラブとは、【社会性や主体性を育み、家庭に戻るまでの安心・安全を確保する場所】であり、成長過程において重要な役割を果たしていると思います。

 さて、本市においては、早期療育事業に始まり、発達に応じた各段階で児童や保護者に対する支援策を講じています。また、小中学校においても、特別支援学級介助員の増員に加え、令和3年度からは特別支援教育相談員を配置し、きめ細やかな対応に努めています。

 多様な子どもたちが、発達の速度や特性に応じた支援を受けながら、安全かつ健やかに育つには、その子に合った対応が児童クラブにおいても継続されるべきだと考えます。

 そのためには、児童クラブの職員が充足され、資質向上のための取組を重ねること、また、小学校や子どもの発達支援課等との連携や情報共有、そして、専門職による巡回指導など現場に対する支援・助言が必要ではないでしょうか。 

そこで以下3点質問します。

1点目は、児童クラブにおける人材確保の課題に対し、市は今後どのように対応していくか。

2点目は、児童クラブを利用する多様な子どもたちへの対応について、多機関との連携や情報共有の現状と課題について。

3点目は、多様な子どもたちへの現場での対応スキル醸成のために、特別支援教育相談員、あるいは別の専門性の高い外部人材による巡回指導など、新たな取組を行う考えはあるか。

以上についてお聞かせください。

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子ども未来部長

 市の児童クラブは現在23か所あり、22か所は柏崎市社会福祉協議会に業務を委託しています。現在、少子化が進んでいますが、共働き家庭の増加などにより、児童クラブの利用者数は横ばい、または増加傾向にあり、事業を継続して運営するには、放課後児童支援員の確保が重要であると認識しております。

 しかしながら、児童クラブは平日5時間、土曜日や夏休みなど長期の休みには1日11時間開設することから、ローテーションによる不定期な勤務シフトや、非常勤職員という身分から、受託者は正職員を採用しなければならない実態があることも承知しているところです。

 このことから、児童クラブに配置する職員の賃金改善などを含め、運営委託料は平成31(2019)年度は1億4800万円だったところを、令和4(2022)年度では1億9700万円、この間4900万円増加させていただいているところであります。

 しかしながら、今後も事業の継続が必要であるため、受託者と人材の確保や有資格者の人材育成を含め、中長期的な経営計画を協議し、課題解決に向けて取り組んでまいりたいと思います。

 続きまして、児童クラブを利用する多様な子ども達に対してお答えします。

 児童クラブでは、集団行動の苦手な児童や、集中力の持続が困難な特性があり支援が必要な児童も利用していることから、職員が対応に苦慮している場合があることは承知しております。また、早期療育事業では多くの就学前の児童が利用するなど、支援を利用する児童の数はほぼ横ばいという状況です。

 児童クラブの対応につきましては、利用申請の際に障害等の既往症を把握するとともに、保護者との面談を実施し、集団生活を送る上で留意する具体的な行動など、職員間で情報共有し、配慮しているところでありますが、今後、職員の負担を軽減するために、一層の職員の適正配置や児童の受け入れ方法について、受託者と協議してまいりたいと考えております。

 最後に職員のスキルアップにつきましてお答えします。

 子どもの発達に応じた援助方法などの研修は実施してきたところでありますが、このコロナ禍により昨年度と一昨年度は実施できませんでした。今年度は療育の専門職員による巡回指導までは実施できませんが、職員のスキルアップ研修を実施するとともに、専門的な助言が受けられる体制を務めてまいりたいと考えております。

近藤

 柏崎社協との協議は、ぜひ原因分析等も含めてやっていただきたいと思います。
 一点、巡回指導はなかなか行えないということですが、国では児童クラブの障害児受入推進事業の一環として、障害児を受け入れるために必要な専門知識等を有する支援員等を1名配置した場合の補助、また放課後児童クラブ巡回アドバイザーの配置に対しても、令和4年度の予算措置がされています。
 私自身、児童クラブの現場に足を運んでみて、非常に流動的な状況下での対応の難しさを感じたからこそ、巡回指導の有効性を強く感じたところです。
 国の動きや予算措置も踏まえた上で、本市の児童クラブにおいても巡回指導を行うことを検討してはどうかと考えますが、もう一度見解をお聞かいただけますでしょうか。

子ども未来部長

 療育の専門職は現状のところ、子どもの発達支援課職員を想定しております。子どもの発達支援課も、早期療育事業をはじめ、プレー教室、ことばの教室などの開催もあります。そういった中で、児童クラブの体制の中に入れていきたいとは思うのですが、巡回までとなるとなかなか難しいと、今のところは考えております。

近藤

 国の方でも予算付けしているということで、今すぐは無理でも、長期的には考えていただきたいと思います。

 部長さんもおっしゃる通り、児童クラブはなくせないサービスです。子ども達にとっても、保護者の皆さんにとっても、そして現場で働く皆さんにとっても、より良い状態となるよう、協議・検討を重ねていただきたいと思います。

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令和4年6月一般質問「1,地域エネルギー会社がもたらす市民福祉の向上」

6月9日、一般質問を行いました。以下はその記録です。1項目ずつUPしてまいります。

令和4年6月一般質問インターネット中継(近藤)

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近藤
柏崎の風・近藤由香里です。通告に従い、早速質問に入ります。

1番目の質問は、「地域エネルギー会社がもたらす市民福祉の向上 」です。

 今年3月30日、本市では資本金2,030万円、出資比率67.66%を投じて「柏崎あい・あーるエナジー株式会社」を設立し、櫻井市長が代表取締役社長に就任されました。
柏崎市地域エネルギービジョン実現のための大きな一歩を踏み出したわけですが、税金を投じて設立し、運営していく以上、経営リスクを下げ、市民の皆様の幸せに貢献する地域エネルギー会社となってほしいと思います。そうした観点から、まずは

1)公共施設への電力供給に伴う経営課題」について伺います。

 電力市場価格の高騰により、全国各地で新電力の経営破綻が続いています。宮城県仙台市では公共施設に電力供給していた新電力が経営破綻し、料金が割高となる「最終保障供給」制度を利用して、新たな電力調達先確保のため再入札することが報じられています。

 最終保障供給制度とは、電力小売事業者との契約を結べなくなった場合、次の契約先が見つかるまで、送配電事業者が標準電気料金の2割増で電力供給するセーフティネットですが、申込が激増し、送配電事業者の負担が大きくなっています。

 また、発電コスト上昇により、新規契約より最終保障料金が安くなる現象も起こり、経済産業省は料金設定ルールの是正を発表しました。

 本市においても、小・中学校等と新電力との契約が入札不調となり、大手電力会社との契約によって見込まれる電気料金の不足分が、今6月定例会議で追加措置されています

 こうした状況下で設立された「柏崎あい・あーるエナジー株式会社」では、今年9月までに電力販売事業を開始する予定としていますが、新電力会社にとって厳しい環境下での船出に対し、今後の会社経営を心配する市民の声は少なくありません。

 静岡県掛川市では公共施設の契約を官民出資の地域新電力会社に切り替えた結果、令和3年度の電気料金が前年度に比べて5,000万円増加したそうで、こうした事例も不安材料の一つです。

 柏崎市議会に示されている事業計画では、設立初期の電力供給先は公共施設に絞り、電源開発と並行して、段階的に規模を拡大する方針が示されています。また、全ての公共施設をまとめてマネジメントし、市は電気料金削減と低炭素化のメリットを、会社は経営基盤安定のメリットをそれぞれ訴求する、としていました。

 しかし、自前の発電が可能となるまでの売電は、卸電力市場からの電力調達が主となります。世界情勢を鑑みれば電力市場価格の高止まりが予想され、会社経営への影響が危惧されます。

 一方、自前の発電手段として、本市では市内2か所でのオフサイト型太陽光発電と蓄電池設置工事の公募型プロポーザルを進めていますが、事業計画では、屋根置き型やカーポート型など需給一体型太陽光発電の導入も進めるとしています。 
 そこで、2点質問します。

1点目は、公共施設が契約する電力会社のうち、新電力から大手電力に切り替えた事例における最終保障供給制度の利用状況、及び今年度の公共施設の電気料金の見通しについて、今回の追加補正以外にも不足が生じる可能性があるのか。

2点目は、柏崎あい・あーるエナジー(株)の経営課題として、電力市場価格高騰が続く中で、電力販売事業の開始時期等、事業計画の見直しがあるのか。また、自前の発電手段となる屋根置き型・カーポート型等、需給一体型太陽光発電の導入をどのように進めるのか。

以上についてお聞かせください。

市長
 非常に直近の課題をもとにした質問だと考えます。

 今般の電力卸価格の高騰により、市場調達比率の高い新電力会社の経営破綻が相次ぎ、本市においてもその影響を受けたところです。市内の小中学校など32施設に電力を供給していた新電力会社が経営破綻し、3/22~3/31までの10日間、東北電力ネットワーク(株)の最終保障供給制度により、電力供給を受けたところです。

 32施設の3月の電気料金は、前年同月比で50.1%、約308万円の増となりました。内訳は、50.1%のうち28.9%相当にあたる約178万円は、燃料調整費と再エネ賦課金の増によるものです。これらは新電力会社のみならず大手電力会社と契約を結んでいたとしてもかけられた金額ですので、直接、新電力会社が経営破綻したことによる電気料金高騰にはつながっていないところです。

 では直接的な新電力会社破綻による影響がいくらかといえば、308万円から178万円を差し引いた金額であり、32施設あわせて130万円程度となります。

 平成28(2016)年度から続けてきた新電力会社との契約による電気料金の削減額は、6年間で約5700万円となります。今申し上げた新電力会社の破綻の影響が130万円だったことに対し、この6年間で新電力会社と契約を結んでいたことで、電気料金を約5700万円削減したことから、リスクもあるものの恩恵も十分受けてきたものと考えます。

 そして、この4月1日からは東北電力(株)と通常契約を締結し、現在32施設はここから電力提供を受けています

 4月の電気料金は、破綻した新電力会社との前年同月比67.4%増になります。つまり破綻した新電力会社に支払っていた金額と、4月からの料金を比べると、67.4%増になるわけです。先ほど近藤議員からご心配いただきました最終保障供給は利用せず、通常契約を結んでおります。ご指摘いただいたように、最終保障供給料金は通常料金の更に2割増しとなりますので、それを避けて通常契約を結んできたことになります。

 昨年来、公共施設の電気料金は値上がりを続けています。これは柏崎市のみならず、日本中、世界中がそうであろうと思います。契約内容を変更していない施設であっても、総じて昨年同月比で20~25%の値上げとなっています。先ほど少し申し上げた燃料調整費の増が要因のほとんどですので、新電力会社を含むどの電力会社でも同様の状況となっており、電力契約の入札が不調になることを考えれば、かつてのように安価な料金だけをうたい文句にする電力会社にとって、非常に厳しい事業環境になったものと考えます。

 つまり私たちは世界中で電気料金の値上がりを受け入れざるを得ない状況になっていると認識するところであります。この原因は言うまでもなく、世界的な燃料の高騰であり、エネルギーのナショナル・セキュリティーの不安定さが顕在化したと言えると思います。

 このような状況ですので、そもそも脱炭素性や持続可能性で必要とされている再生可能エネルギーは、燃料が不要な自然エネルギー発電を中心に、価格安定面でもニーズが高まる見込みとされています。そういった意味で、私どもが目指す、提携電力も含む自前・再エネ電源から市内に電力供給しようとしている柏崎あい・あーるエナジー(株)は、国際的に先の読めない燃料高騰の状況だからこそ、存在価値が高まっているとご理解賜りたいと思います。

 会社設立の際には、この認識は株主間でも共有・確認しておりますので、再エネ電力の供給に向けて事業を進めて行く考えに変わりありません。しかしながら、この会社を取り巻く事業環境は刻々と変化しております。電力供給時期の見直しや市場調達比率を下げる事業展開の再検討など、柔軟な経営判断も同時に行うとしたところです。

 社長を拝命しております私自身は、公共施設はもとより、市内の事業者へ再生可能エネルギー・カーボンニュートラル電源を早く送りたいと考えておりますけれど、事業認可が下りるのが9月以降になると申し上げたわけで、9月から電力供給を始めると申し上げているわけではありません

 電気小売り事業ライセンスを取得すれば事業を開始できるようになる中で、電源のない段階においては、供給事業を開始できる市場状況か、卸電力市場の値段が高いか安いか、9~10月になって落ち着いているか、まだ落ち着いていないか、ということをしっかりと見極める必要があるだろうと思っております。

 当然のことながら、今のように電力卸売市場価格が高いところで始めたとすれば、逆ざやになってしまいますので、そういった段階で無理をして事業を開始することはしないとするところであります。

 経営安定化に向けた事業方針としましては、事業安定化に向けた市場状況を確認し、供給事業の開始時期を来年度とすることも選択肢に含めて検討し、他の取締役、また出資者と協議して決定したいと考えております。

 尚、6月下旬に行う株主総会で、新たな事業方針として承認を受けた後、9月の議会の協議会において、地方自治法第243条第2項の規定による経営状況の報告として、方針をご説明いたしますので、ご理解賜りたいと考えております。

近藤
 今のご答弁で大変詳しく教えていただき、卸電力市場への依存度を下げながら、経営リスクを下げ、逆ざやを避けるとのお言葉を聞いて安心したところです。
 一点、答弁漏れかと思いますので、確認したいのは、需給一体型太陽光発電の導入です。
 今回の定例会議では、環境省の進める「脱炭素先行地域」選定を目指して計画提案書を作成するために1000万円の追加補正が出されました。環境省では2030年度までに公共施設の屋根等の約50%に太陽光発電導入を目指し、各種補助メニューも用意していますが、今後それらを活用する考えがあるかということも含めて、現在の具体的な動きやお考えを伺いたいと思います。

市長
 電源の確保ということについては、自前電源・提携電源など色々な可能性をかけながら、なるべく自前電源、そして提携電源の確保に努めてまいりたいと、そして、なるべく卸電力市場からの調達を少なくしたいということで、環境省の事業等を含めて・・今回の環境省の脱炭素先行地域への申請は、電源確保とはちょっと違いますけれど、いずれにしましても、自前電源・提携電源の確保に向けて、あらゆる省庁との連携を含めて、考えてまいりたいと思います。

近藤
 それでは次の質問です。令和4年3月15日の総務常任委員協議会では、第3回柏崎市地域エネルギー会社設立準備会の概要について、報告と質疑があり、私も傍聴させていただきました。この時点では会社設立前で、詳しい情報は出せないという状況でしたが、「市長が代表取締役社長の会社が、市と契約する場合はどうするのか」との質疑に対して、「副市長名義で契約することができる」との答弁がありました。
 しかし、会社設立後の役員一覧では、「代表取締役社長 櫻井雅浩(柏崎市長)」と並んで、「取締役 西巻康之(柏崎市副市長)」となっております。
 今後、会社が市に電力販売等を行う場合、副市長名義での売買契約で大丈夫なのか、利益相反等の問題は生じないのかと心配しているのは、おそらく私だけではないと思います。
 他の自治体新電力では、首長以外が代表取締役社長に就任しているケースも少なくありませんが、これは、自治体との契約や、自治体に対する寄付等をスムーズに行うという目的もあるのかなと推察するところです。

 そこで質問です。柏崎あい・あーるエナジー(株)が、今後、公共施設への電力販売事業を行う場合の契約について、どのような名義で行うのか、櫻井市長が代表取締役社長に、また西巻副市長が取締役に就任された意味も含めて、あらためてお聞かせください。

市長
 柏崎市と柏崎あい・あーるエナジー(株)が電力供給契約を結ぶ際についての名義についてお答えします。
柏崎あい・あーるエナジー(株)には、会社の全体的な方針決定を担う、代表取締役である社長・私と、事業運営を担う代表取締役である大野氏の2名に代表権があるところでございます。
 そういった意味で、電力供給契約は事業運営そのものであるため、柏崎市と柏崎あい・あーるエナジー(株)が契約を交わす際には、柏崎市長・櫻井雅浩と、柏崎あい・あーるエナジー代表取締役・大野晃司氏との間で契約を締結する予定であります。

【柏崎市HP】地域エネルギー会社「柏崎あい・あーるエナジー株式会社」を設立(令和4(2022)年3月30日)

近藤
 そうしますと、3月15日に説明された内容と異なり、あの当時は会社の全貌は出せないということでしたが、あらためて今お聞きした通りで、市長と大野氏との契約になるとしたら、前回(3/15協議会)説明と内容が変わったということでしょうか。
 それと、こういうことも含めて、市長が代表取締役社長、副市長が取締役になられているわけですが、この意味合いは、聞きづらいけれどお聞きしますが、充て職ということなんでしょうか。
 この職に就く方が、市長である方が代表取締役社長、副市長である方が取締役というポジションに就くという、そういう設定の会社なのでしょうか。その辺りのお考えもお聞かせいただけますでしょうか。

市長
 後ほど確認させていただきますけれど、議会の協議会で説明させていただいたことと齟齬があるとするならば、お詫び申し上げます。ただ、その当時はまだ会社設立前で、会社設立が3月30日ですので、設立されてない段階であります。設立前となりますと、代表権を誰が持つのかということも、正式にまだ決まっていないという段階ですので、そのようにご説明申し上げたのかもしれません。ご理解いただきたいと思います。

近藤
 後段、再度の答弁漏れかと思いますが、市長が代表取締役社長、副市長が取締役に就任されたのは充て職的な考えによるものでしょうか。それとも個人として適任かどうかとの判断をされたのでしょうか。

市長
 副市長だから自動的に取締役になったというわけではございませんが、ご承知のようにこの柏崎あい・あーるエナジー(株)は、市が組み立てました地域エネルギービジョンに基づいて、市の政策を実現するために、そして、柏崎市、特に産業界の方々に対して、環境エネルギー産業を構築するための大事な要素として、再生可能エネルギーを供給するということを目標に、設立した会社でありますので、市の政策を実現するために、つくらせていただいた会社でありますので、そこに代表権を持つ市長、取締役に副市長に入らせていただいたと、ご理解賜りたいところでございます。

近藤
 ということは、市長が代表取締役社長、副市長が取締役なのは、市の政策を実現していくためのひとつのポジションであると理解すればよいんですかね。では一応、そういうことで次の質問に移らせていただきます。

 

(2)内発的発展を促す今後の取組」では、柏崎あい・あーるエナジー(株)が持続可能な新電力となるために、どのように市民の皆様の理解と協力を得るか、という点を伺います。

 全国の地域新電力を支援する一般社団法人ローカルグッド創成支援機構・事務局長の稲垣憲治氏は、このように述べています。
自治体新電力の設立目的・利点は「公共施設の電気代削減」「エネルギーの地産地消」「地域経済循環」「地域脱炭素化」といった行政課題の解決に、同時に貢献できる点である。ただし、行政課題解決に取り組むにあたっては、外部に全てを任せるのではなく、地域主体で取り組む「内発的発展」が重要である。

 この内発的発展とは、外部のノウハウを活用しながら、地域主体で持続的発展を目指すという概念であり、本市においては柏崎あい・あーるエナジー(株)の事業を通して、市民の皆様とともに持続可能な「脱炭素のまち・柏崎」を目指す、ということになると思います。

 広報かしわざき令和4年1月号の特集記事でも、地域エネルギー会社が柏崎にもたらすメリットとして、「暮らし―便利さはそのまま」、「仕事-ビジネスチャンスが広がる」、「まち―選ばれるまちになる」とし、最後には「地域エネルギー会社を応援してください」と結んでいます。
 しかし、市民の皆様から真に応援していただくためには、もう少し生活実感を伴うメリットを、具体的に示した方がいいのではないかと思います。

 例えば、三重県松阪市の「松阪新電力(株)」では、松阪市クリーンセンターのごみ焼却熱によるバイオマス発電や、民間事業者の太陽光発電を利用して公共施設に電力供給を行っており、削減した電気料金の差額を事業利益とし、その大半を松阪市に4年連続で寄付しています。
寄付金は市内スポーツイベントの運営や、市が取り組む林福連携事業等に充当されるとのことです。

 また、奈良県生駒市の新電力「いこま市民パワー」では、事業収益を活用し、市内全小学校に登下校見守りサービスを導入。ICタグを携帯する児童が学校の校門を通過すると、保護者宛に通知メールが送信されるようにしています。なお、同社は事業収益を株主に配当せず、地域課題を解決するためのコミュニティサービスの提供という形で、市民に還元する方針だそうです。

 柏崎あい・あーるエナジー(株)では、将来的には事業利益の一部を公共・公益に還元し、地域の会社だからこそできる事業を展開したい、としています。
 この部分をもう少し具体化し、市民サービスの向上につなげていくことが、「会社を応援し、ともに地域課題の解決に取り組もう」という気運の醸成、内発的発展につながるのではないでしょうか。

 そこで、質問します。柏崎あい・あーるエナジー(株)が、柏崎にもたらすメリットを市民の皆様と共有し、応援につなげていくために、今後どのように取り組むか伺います。

市長
 地域エネルギー会社がもたらす市民の皆様へのメリット、という質問でございます。先ほどから申し上げているように、この会社の狙いは脱炭素エネルギーを供給することにより、既存産業の競争力の強化、首都圏への送電線活用を視野に入れた環境エネルギー産業の発展であると、再三申し上げているところでございます。

 昨日も今日も、地域の企業、もしくは日本を代表する企業、もしくは世界を代表する企業、世界の中でも名だたる企業が、再生可能エネルギーの利用を求めております。そういった再生可能エネルギーを使っている企業でなければ、ESG(持続可能な世界の実現のために、企業の長期的成長に重要な環境(E)・社会(S)・カバナンス(G)の3つの観点)という観点から、もしくはSDGsという観点から、評価されない、モノを買ってもらえない、というような評価が強まっているのであります。そういった中で、私たちは柏崎あい・あーるエナジー(株)がもたらすメリットが出てきたとするならば、まずは産業界に再生可能エネルギーを供給したいと考えてきたところでございます。

 ただ、最初からそのようなかたちで収益を生み出せるはずもなく、まずは確実に収益を稼ぎだせるというところから、公共施設への供給から始めさせていただくということです。
 そういった上で、もちろんご紹介いただいた「いこま市民パワー」にしろ、「松阪新電力(株)」にしろ、儲かって儲かってしょうがないと、だから市民の皆さんに、儲かった部分を還元しようということになればいいかもしれませんけれど、今、残念ながらそういった段階にはありません。

 先ほどご質問いただいたように、非常に厳しい電力環境が世界中にあるわけであります。その中での船出でありますので、まずは公共施設の電力料金を下げることができたとするならば、その差額をプールして、地域へ分配する事例は、いま松阪や生駒の事例をご紹介いただきました。それくらい承知しておりますけれども、私ども柏崎あい・あーるエナジー(株)の場合は公共施設の電気料金をあまり下げずに、会社の利益として、その部分を地域の事業者への電気料金の引き下げや、新たな再エネ電源の開発にまわしたいと考えております。

 さらに今後、会社の利益を十分に出すことができましたならば、その利益の一部を公共・公益事業に還元したいというのが会社の方針であります。まだこの柏崎あい・あーるエナジー(株)は、設立はされましたけれども、事業はまだ始めておりませんし、始まったとしてもまずスロースタートから、というところでございますので、ご理解賜りたいと思っております。

近藤
 スモールスタートからということで、お考えを伺いました。ただ事業者の方も、雇用されている方も市民の皆さんですから、そういった方々が仕事の面でも充実して、そういった形で利益が還元されていくのを期待したいところです。
 柏崎あい・あーるエナジー(株)が市民の皆様から「つくってよかった。あってよかった。」と感じていただける、持続可能な企業として育つよう、今後も注視してまいります。

 

2022年6月 4日 (土)

「最終保障供給制度」と日本のエネルギー事業

今回、一般質問(「地域エネルギー会社がもたらす市民福祉の向上」)のために色々と調べていく中で、「最終保障供給制度」について、色々と考えさせられました。

最終保障供給制度とは、企業等が電力会社との切り替えを余儀なくされた場合に、次の契約先が見つかるまで送配電会社が電力を供給する制度です。

新電力が事業から撤退・倒産した場合や、料金不払いで契約を解除された企業等が送配電事業者に申し込んで制度を利用します。期間は原則1年ですが、延長もあり得るとのことです。

電気事業法で定款を定め、料金は大手電力会社の標準料金の1.2倍に設定しています。

最終保障供給があくまでもセーフティネット=電力供給最後の受け皿であり、次の契約先を見つけるまでの「つなぎ」だとも言えます。

しかしながら・・昨今の世界情勢による燃料高騰により、卸電力市場価格とともに発電コストも上昇し、全国各地で新電力の倒産・撤退が相次いでいます。

もともと新電力の多くは自前の発電設備を持たず、施設維持費分のコストがかからないことで、大手電力会社よりも安い電気料金を提示できていたと思いますが、現状のように卸電力市場価格が高騰すれば、安い電気料金のまま経営していくことは極めて困難です(売るほど赤字に・・)。

帝国データバンクによれば、令和3年度には新電力700社のうち31社が撤退しているそうです。

また入札不調により新電力との契約更新ができないケースも相当あると思われます。

そのため、最終保障供給の利用が激増し、本来は割高なはずの最終保障供給による電気料金が、新規契約するよりも安くなるという価格破壊現象も生じているそうです。

この事態を重く見た経済産業省は5月末に、最終保障供給の電気料金を卸電力市場価格の1.2倍とする新たなルールに変更することを示したとのことです。

引用:日本経済新聞2022.5.31「電力「保障」に駆け込み1.3万件 料金設定のルール是正へ」

最終保障供給は、送配電事業者にとっても大きな負担となります。

もともと送配電事業者は、調整用電力を卸電力市場から調達していました。電力には「同時同量の原則」があり、常に需要と供給を一致させなければ、周波数が乱れ、大停電を引き起こします。

そのため、送配電事業者は常に需給バランスを一致させるよう調整して、私たちの暮らしが混乱しないようにしています。

ですが、最終保障供給を行うためには、調整用以外にも卸電力市場から電力を調達しなければなりません。卸電力市場からの仕入れ値が上昇しているのに、最終保障供給料金は定額となれば、電力調達すればするほど、損益が増すことになります。

柏崎市内の送配電を担う東北電力ネットワーク様からも、色々とお話を伺いましたが、現状が続くことは企業にとっても大きな負担であり、いずれは託送料金の見直しを行わざるを得ない厳しい状況にあるとのことでした。(そうなれば電気料金はますます上がります。)

******

これを書いている今、某政党の街宣車が「原発ゼロ」をアナウンスしているのが聞こえてきました。

原子力発電所に対する国民感情は様々ですが、私は「安全性が確認された原子力発電所は速やかに稼働させ、電力の安定供給をはかるべき」だと思います。

現在の日本では、火力発電が主流であり、その大半が輸入燃料によるものです。

引用:関西電力グループ【2022年最新】火力発電に使用される燃料の種類について解説

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ウクライナ情勢の影響により、世界各国の資源輸出入バランスが変わり、ますます発電のための資源調達が厳しくなるのが予想されます。

また、再生可能エネルギーについても、調整の難しさもあり、主力電源となる日はまだ先だと思います。

現在、全国的に再エネの出力制御が行われています。

引用:財界オンライン2022.6.2【経済産業省】増加する「出力制御」 再エネ普及に大きな課題

結局のところ、日本は様々なエネルギーを組み合わせて、電力を確保していくしかありません。

******

話を戻せば、セーフティネットであるはずの最終保障供給に依存しなければ、電力確保ができなくなっている現状も踏まえた上で、柏崎における新電力会社(柏崎あい・あーるエナジー株式会社)の今後の経営課題について、質していきたいと思います。

 

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