児童クラブ支援員体験
5月31日、椎谷観音堂の本尊御開帳を拝観しました。本日が最終日でした。
新潟日報22.5.23「38年ぶり本尊御開帳 柏崎・椎谷観音堂」
平日でしたが大勢の参拝客でにぎわっていました。
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午後から市内の児童クラブ支援員業務を体験させていただきました。
児童クラブについては令和2年6月一般質問「持続可能な児童クラブの在り方」で一度取り上げており、その時も見学させていただきました。
ですが、その当時よりも状況が厳しくなっているとの話を耳にしており、実際に業務を体験して実状を把握したいと考えたのでした。
児童クラブは1単位=40人に対し、2人の支援員(1人は補助員でも可)が配置されます。
支援員は12:30に出勤し、施設内の消毒や各種準備をして下校する子ども達を迎え入れ、子ども達がいる間、安全に過ごせるよう見守り、サポートします。
夕方が近づくと保護者が迎えに来るので引き渡し、記録や掃除をして18:30で終業となります。
このクラブでは登録児童44名、平均利用人数37~38人を支援員2名(社協の支援員が休む時はシルバー人材センターから補助員を派遣)で見ることになっています。
ですが特別支援学級に通う児童や、いわゆるグレーゾーンと言われる発達障害傾向がある児童(診断名はついていない)の対応をしながら、他の子も見なければなりません。
支援員さん達は休む間もなく、常に緊張しながら、体を張って仕事をしているのがよくわかりました。
ただし、子ども達全体を見ていると、自ら考え、主体的に行動し、協調性が育まれているとも感じました。
以下は運営受託している柏崎市社会福祉協議会の職員さんおよび現場の支援員・補助員さんから伺った内容です。
◆児童クラブは少子化傾向にあっても利用者が減らない=利用率は上がっている。
◆「目が離せない手のかかるお子さん」については、児童クラブ利用にあたり、子育て支援課・社協・保護者で三者面談を行っているが、今まで利用をお断り(または利用辞退)したケースはない。
◆どの児童クラブでも、集団生活が厳しい児童の利用が増えている。放課後デイサービス(社会福祉法人ロングラン)の利用には至らないものの、特別な支援が必要な子ども達の受け皿がなく、児童クラブがその代替となっている面が強い。
(放課後デイ~児童クラブの中間的な支援機関が柏崎市内には無い。)
◆子ども達は学校・児童クラブ・家庭で見せる顔がそれぞれ異なる傾向がある。児童クラブは学校や家庭よりも自由度が高く、ストレス発散しやすく、本来の自分でいられる。(保護者を前にすると態度が変わり、急におとなしくなる子もいる)
◆児童クラブは子ども達がのびのびと過ごせる息抜きの場所として重要だが、安全に過ごしてもらうために、職員は非常に神経を使い、体を張らないと対応できない。
◆児童クラブは6年生まで利用できるが、4年生以上になると自立心が芽生え、退会する子もいる。逆に高学年で利用している児童は、ひとりで家にいるのが心配な子(=目が離せない手のかかる児童)が多い。
◆学年が上がると児童の体格がよくなり、激しい動きを止められなくなる。
◆特別支援あるいはグレーゾーンの児童への対応をしながら、他の子ども達を安全に見守るのは非常に難しい。(支援員や他の子に対して手を出すことがあるため)
◆児童の問題行動を保護者に適切に伝えるのが難しい。また保護者の中には難しいタイプの人もいて、対応には神経を使う。
◆体力・気力・スキルを使う仕事だが、非常勤6時間パートでは対応できる人材が集まらず、勤めても続かない。
◆支援員60名中男性は1名。非常勤6時間で18:30までの勤務となると、若い人、本気で(フルタイムで)働きたい人は応募してこない。支援員の大半は子育てを終えた世代(=若くない)。
◆本当は子ども達に寄り添い、ひとりひとりに目を配りたいが、目が離せない子に対応するのが精一杯で、きめ細かい支援ができないジレンマがある。
◆社協の支援員の休日を埋めるためにシルバー人材センターから補助員が派遣されるが、体力やスキルがないと対応できない。(シルバー派遣の補助員が児童クラブ勤務中にケガをするケースが増えていると、注意勧告文書が回覧された。)逆に経験がある場合でも、立場を考えれば余計な手出し・口出しができない。
◆子ども達にとって、児童クラブは安心して過ごせる楽しい場所なのか、親御さんには子ども達の声を聴いてほしい。
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今回、児童クラブの実態を知るために支援員業務を体験させていただきましたが、想像以上に過酷な状況にあることがわかりました。
もともと児童クラブ=学童保育の目的・役割は、【共働きや一人親の児童の放課後や、土曜日、春・夏・冬休み等の学校休業中の一日の生活を、継続的に保障することを通して、保護者の仕事と子育ての両立を支援すること】として定義されています。
ですが、そこで過ごす子ども達に焦点を当てた場合、【子ども達の社会性を育み、家庭に戻るまでの安心・安全を確保する場所】として、子ども達の成長過程で重要な役割を担う場所に変容していると思います。
そのための人材確保は不可欠であり、特に適切なスキルと責任を持って働くという観点から、正職員(常勤)支援員は大きな役割を果たしていると感じました。
また、集団生活を送ることが難しい児童(手のかかるお子さん)の受け入れについては、率直な感想として「理想と現実を見た」という想いです。多様な子ども達が共に過ごすこと、インクルーシブ教育の必要性は認識するものの、児童クラブの少ない職員だけでそれを行うには限界があると感じました。
支援員・補助員さんからは「子ども達の感想を聞いてほしい」とのご意見がありましたが、子ども達に対するアンケート調査等も必要ではないかと思いました。
改善策として、長期的には、発達障害やグレーゾーンと呼ばれる子ども達の支援の場が必要と感じますが、短期的には専門職による巡回指導が有効ではないかと思います。研修だけでは現場の流動的な対応に応用するのが難しく、また現状の対応方法について、適切な助言を得ることができるのではないかと感じるところです。
また、児童クラブを利用する「手のかかるお子さん」の人数に応じて、支援員の加配を行っている自治体もあるようです。本市においても、その点を配慮した人材配置ができるような予算措置が必要ではないかと思いました。
日々、児童クラブの現場を担う支援員・補助員の皆さんには心から敬意を表します。
貴重な経験をさせていただき、ありがとうございました。
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