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2022年3月24日 (木)

ワークライフバランス勉強会

3月24日、柏崎市議会議員研修として「ワークライフバランス勉強会」が開催されました。以下はその内容です。

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株式会社エム・エスオフィス 石丸先生

新潟労働局から委託され、働き方改革推進支援センター担当。
企業の労務管理、働き方改革を支援。

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勉強会の目的
■ワークライフバランスへの取り組みが求められる背景、関係法令等を理解する
■ワークライフバランスに関する県内企業の意識やニーズ、課題を理解する
■ワークライフバランスに関する企業の取組み事例を理解する
■自治体の支援事例を理解し、柏崎市における支援方法を検討する

1,ワークライフバランスへの取組みが求められる背景

ワークライフバランスとは=仕事と生活の調和

<社会的背景>

全国の人口減少推移
・総人口は17.2%減
・2040年の20~39歳女性は2010年と比較し、36.4%減少すると試算
=出産の可能性高い層が減っていく

新潟県
・2040年人口は、2010年と比較し、最大27.1%減少すると試算

人口構造の変化
・2030年には人口の1/3が高齢者
・生産年齢人口(15~64歳)が減少
★これまでと同じ価値観では人材確保が難しくなる

女性の年齢階層別労働力率
・Ⅿ字カーブ 

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働き方の変化
・団塊世代の定年退職
・介護社員の増加=家族に介護を必要とする社員
・うつ病社員の増加
★労働力人口の減少とともに、働く時間に制約のある社員が多数に。
→今までの働き方を見直す必要性が高まっている。

ワークライフバランスの必要性
→より多くの人が働き続けることができる

関係法令
①同一労働同一賃金
→労働契約が変わっても不当に賃金が下がらない
②時間外労働の上限規制
③中小企業の割増賃金率の見直し(R5年4月~)
④年5日の年次有給休暇の確実な取得
⑤フレックスタイム制の見直し
⑥高度プロフェッショナル制度の創設
⑦勤務間インターバル制度
⑧産業医・産業保健機能の強化
⑨労働時間の状況の把握
⑩面接指導

■育児・介護休業法
→主な狙いは男性の育休

新潟県「ハッピー・パートナー企業」制度
・19項目のうち10項目以上を満たす
★登録することのメリットが見えにくい
→柏崎市独自でのメリットを足すのか・・

★認定はあくまでも通過点 さらに進んだものを目指すべき

・登録は簡単だが、モチベーションをもって企業が登録するかは?

■労働時間→減少
■休日・休暇→増加
■雇用契約→柔軟化

労働者にとってより働きやすい環境の構築が、法令により企業に強制されているとも言える状態
→進まない原因?

★今の大卒が就職の際に重視すること
・楽しく働きたい
・個人の生活と仕事を両立させたい
(上位2位)

★仕事自体にアイデンティティを重ねる人が少ない
★仕事と個人の生活を分けたい

就職したくない会社
・ノルマがきつい
・暗い雰囲気
★休日・休暇がとりにくい・少ない(万年3位)

ハローワーク求人内容 

・賃金、仕事内容のほか「休日数」
・月の平均残業時間

→年間休日数は120日を切ると採用が難しい

価値観の推移
・仕事の内容以外の価値が相対的に上がっている

★採用活動におけるアピール
・少し前はやりがい、仕事内容
・最近は、プライベートでのライフスタイルをPRすることが必要

新卒採用サイトでのPR
→私服で趣味のイメージ
 その会社に入ったあとのライフスタイルが重視される

・多様な価値観→「自分らしい働き方」実現できるかどうか?

★ワークライフバランス実現が採用の大きな条件になっている

 

2,ワークライフバランスに関する県内企業の意識と課題

WLB推進コーディネーターが柏崎市職員とともに4社を訪問

<WLBに関する県内企業の声>
・中小企業には対応なんて無理!
・取り組んだところでメリットがない!
・忙しくてそんなことやっていられない!
・人手が足りないのに休みなんて増やせない!
★真面目に対応していたら会社がつぶれてしまう!

という経営者は非常に多い。

ただし近年は減っている。
H31年~年休を取らせることが法令で義務付けられた時は、こんな声ばかりだった。
最近は法令施行され、取り組んでいるところは取り組んでいる。

なぜネガティブな声が多いのか?

★先進的に取り組む企業は内発的に取り組む
★リスクよりも機会として取り組めば人の採用ができる

多くは法令違反となるので、後ろ向き

女性活躍推進も、積極的に取り組む企業もあった

★無理やり休みをとらせる
★労働時間を減らされる
・・と認識してしまうと、経営上メリットが感じられない

ネガティブイメージが根付く

もしくは「そんな取組をしたらうちの会社はまわらない」

本当に余裕なければそうなのかもしれないが、
法令に合わせなければいけないとなると、不満しか出てこない。

→WLBが正しく理解されていない

★正しいWLBとは・・

ワークライフバランスの本質とは?

(×)
形だけ残業を減らす、休日を増やす
→仕事の他の部分に悪影響が出る(売上、納期etc)
 
(〇)
生産性の向上等の業務改善 
(現状のままではできない)
(問題の解決)

→取り組みの結果として、残業減、休日増
→仕事に悪影響を与えず、結果として残業が減る等の成果が出る
→仕事と生活の調和が図りやすくなる

流れに乗ると、よいスパイラルが生まれる

◆官公庁委託事業の経験より

個別に企業支援する事業もある
事業を通じてWLBに取り組んだ企業は?

★「ワークライフバランスの推進」に意識的に取り組むというよりは、
各企業の個々の課題の解決が、結果的にワークライフバランス推進につながる。

ただ残業を減らすだけではしわ寄せが出る。
(申告せずに残業する等)

具体的な支援内容例
・現場代理人の残業時間の削減と、書類作成の属人化の改善(土木業)
 →その人でなくてもできる 業務属人化が解消 

・賃金を中心とした制度改革の推進による従業員のモチベーション向上(介護)

・テレワーク実施に向けた、運用ルールの策定と業務を可視化する仕組みの構築(建設)
 →女性の育児など→働き続けてもらう

★正のスパイラル

生産性の向上、属人化の排除等の業務改善
 ↓
残業減少、休日増加、柔軟な働き方の実現等の労働環境改善
(生産性の向上等により、結果として実現する)
 ↓
社員満足度の向上
モチベーション向上
(働きやすければ仕事の成果も上がりやすい)
 ↓
人材の採用力強化
定着率向上
 ↓
優秀な人材が採用できる
その人材が定着する
 ↓
(はじめにもどる)

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<ベネッセグループ>
*WLBと言わない(イメージが悪い:仕事の不利益、生活に比重)

ワークライフマネジメント
・仕事の時間を減らすという消極的なイメージ脱却
・仕事と生活の双方の充実を積極的にマネジメント

★意図的にWLBを使わない企業も増えている

 

3,企業の取組み事例、自治体等の支援事例

①(株)エム・エスオフィス
・コンサル業=労働時間長く定時で帰れない
・いただく仕事の質が変わる WLB、女性活躍
・男性コンサル数人、女性アシスト→社内制度の構築
★自社から女性をターゲットに働きやすい環境
★女性に限らず働きやすい環境

・時間あたりの生産性を上げ、短い時間でどれだけの価値ができるか

★具体的にやったことは?
・一斉退社、ノー残業デイの設定
・集中タイムカード2時間 仕事に集中できるようにする
・コロナ禍手前からテレワーク制度 子どもの送迎等、必ずしも出社しなくてよい
・有給休暇の推奨日
・生産性の意識 →売上は大きく落ちない、上がる年もある
★テレワーク浸透により、優秀な女性社員 遠距離古リモートで社員で居続ける
・くるみん、プラチナえるぼし等を取得
・くるみんマークを取得してから、優秀な女性が離職せず働くようになった

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★最終的には人がその会社に定着することをめざすとよいのでは
(WLBの大きな目標) 業務改善

②塗装業50人未満
・募集かけても集まらず、高齢化により技術伝承進まない

・正社員が少ない中で、従業員を全員正社員、週休2日
・託児施設を自社で用意
★一人前になるまで時間がかかる職人の世界で、スキルの切り分け
★ある部分のスキルに特化して、短期間で身に付ける 
★システマチックにスキルを身に付ける仕組みを構築
・女性の塗装業職人 テレビで取材
・求人応募率10倍に増えた
・女性応募者も増えて、女性活躍進んだ

③卸売業50人未満
・社員が子どもの急な病気で休みがち

★パソコン支給し、自宅で勤務できるようにした
・在宅勤務可→求人応募が増えた

・働き方改革、DXイメージ(RPA)イメージしやすいが、地味でも成果は出せる
・企業の課題が解決できれば、社員も増える

<自治体の支援事例>

一般社団法人 雪国青年会議所

・若年層の転出理由は仕事ではないか、と捉える
・南魚沼市、湯沢町に提言
「企業の働き方改革の促進、並びに移住者の雇用促進に関する政策提言」
・ハッピー・パートナー企業への登録を促す補助制度
・働き方改革に取り組むにあたり掛かる経費の助成制度(50%、上限30万円等)
・終業規則等の改正の為に依頼した専門家の費用の助成制度(50%、上限5万円等)
・何から取り組めばいいかわかる情報提供・セミナーの開催
・働き方改革に係る雇用保険関連助成金情報の提供

動画紹介
・事例企業として建築会社を選定 
★人を呼んでくる人の視点
 企業の広報力、休日日数、リモートワーク可能など外見上の社内制度を整備
★Uターン者を取り込むために・・
 働き方改革への支援
★Iターン者の紹介
 生活の為だけに仕事をするのでなく、プライベートも充実させたい
 仕事の内容や工程を変え、限られた時間内で仕事を終わらせることは、生産性向上にもつながる
★内部改革に取り組んだ事例企業の紹介
 どれだけ働き甲斐があるか

◎社内の人事評価制度に取り組む
 どうすれば評価されるのか・・
 評価と賃金 一社員の客観的評価 

自治体の取組:9ジャンルに分かれる( )内は自治体事例の多少

1)理解の浸透・推進力強化のための枠組み作り(少)
久留米市「仕事と子育て両立支援推進会議」
 市内企業における両立支援の推進等を目的に、地域の経済団体(10団体)と久留米市で設置。共同宣言等を行う。

2)表彰(多)
柏市「働く男女(ひと)と家庭にやさしい企業の表彰」
 家庭と仕事の両立や、女性の能力活用などに積極的な企業を表彰、PRする。

3)融資・貸付(少)
文京区「子育て支援奨励資金」
 「一般事業主行動計画策定・変更届」提出済事業者に、融資あっせん(利子補給)を行う。

4)登録・認定・認証(少)
笠間市「男女共同参画推進事業者認定事業」
 男女ともに働きやすい職場環境づくりに積極的に取り組む事業者を認定し、広く紹介。

5)奨励金・助成金・補助金(多)
千代田区「中小企業従業員仕事と育児支援助成」
 従業員本人を直接支援するのではなく、従業員の職場環境を整備した事業主に対して、
 育児休業助成金や配偶者出産休暇制度奨励金を交付。

6)アドバイザー等派遣(少)
京都市「きょうと男女共同参画推進宣言」アドバイザー派遣制度
 男女共同参画の推進を図る中小企業等に対して、キャリアカウンセラー等の資格を有するアドバイザーを派遣。

7)啓発・情報提供(多)
宇都宮市「ガイドブックによる啓発」
 両立支援制度も盛り込んだガイドブックを作成し、市内事業所訪問時に配布。

8)講座・セミナー・講演会等(多)
東広島市「企業に役立つ“意識改革”セミナー」
 次世代育成支援対策のノウハウ等について、管理者および人事担当者等を対象に説明。

9)アンケート・事例調査(多)
都留市「ワーク・ライフ・バランスに関する啓発・情報提供の推進」
 入札指名参加資格申請時に、育児・介護休業等の有無等に関するアンケートを実施。

★内閣府 取組一覧を参照

・市区町村取組が多いカテゴリーは実施しやすいが、実質的な効果が見込みにくいものが多い。
・どういうことを目指すのか

<自治体の効果的な取組>

岐阜県「子育て支援エクセレント企業拡大促進事業」

・アドバイザー派遣、アドバイザーの教育も行い、方向性を統一
・成果として、4社が優良企業表彰

静岡県「いきいき職場づくり推進事業」
・アドバイザー派遣:モデル企業4社を公募し、手厚く支援
・先進企業を施策
・優良企業が表彰
★薄く広くよりも、ターゲットを絞る

自治体支援の方向性の提案

〇企業に対して「WBLの推進」を働きかけても、形骸化する。
 企業の課題解決に繋がる支援が必要。

〇企業により課題は異なる。
 企業ごとの課題に対応するには、アドバイザー派遣のような形が有効と考える。
 支援後に企業が自走(継続)できる取組みも求められる。

〇KPIとして「ハッピーパートナー企業」の登録件数の増加を直接目指すのでなく、
 企業への支援を通じて結果的に増加する形が望ましい。

★企業がメリットを認識できるような追加の支援策が必要

<質疑応答>

Q1:質疑応答ベネッセグループの取組は早期からであったが、柏崎市の実態とは落差。
真面目に対応していたら会社がつぶれる、余裕がないという企業にはどう働きかけたらよいか。

A1:余裕がないという企業、団体に対する働きかけの質問かと思う。
WLBの正しい理解がされていない。
何に対する余裕のなさか。残業時間を減らすことなのか・・
やっていただきたいこと、企業への働きかけを「残業を減らせ、有給をとらせろ」ではないメッセージが必要。
余裕がないなら尚更、改善が必要。
WLBを進めてください、というアプローチにならないように。

Q2:新潟県の取組として、イクボス促進共同宣言。
イクボスが浸透していない気がする。民間で進めていくための改善策は。

A2:進まない理由として、企業がメリットを感じられない。
直接的なメリット、もしくは宣言した企業の事例を見せる。
イクボス宣言のメリットは人材、採用。
働きやすい環境をつくっていることを積極的にPR。
くるみん等をPRに使う企業は採用状況がよい。広報が足りない。

Q3:WLBそのものを理解できるようにするには。

A3:アプローチの仕方に工夫が必要。

ーーーーーーーーー

講義を通して、従業員にとって過負荷となるような働き方を改善することが、ワークライフバランス実現につながるのだと理解できました。

ワークライフバランスと女性活躍はセットで語られることが多いと思いますが、「活躍=職場内の地位向上(役職をつける)」という概念に対しては、疑問を感じます。

活躍という言葉の本来の意味は、「大いに手腕をふるうこと」「生き生きと活動すること」というものです。

たとえばお子さんを育てながら、介護をしながら、病気の治療をしながら・・であっても、その時に持てる力を生かして働くことができる職場であれば、その人は生きがいと生活の糧を得ることができます。

長い人生の中で、仕事(work)と生活(life)を見たとき、生活(life)に比重を置きたい時期もあれば、仕事(work)に専念してキャリアアップしたい時期もあると思います。

それぞれの時期に、過負荷なく能力を発揮できるよう、場所や時間を固定しない柔軟な働き方ができる職場を増やすことが、女性活躍推進にもつながるのではないかと感じるところです。

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