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2022年3月 8日 (火)

令和4年3月 一般質問1「中山間地域の未来をどう描くか」

令和4年3月8日、一般質問を行いました。以下はその記録です。大きく分けて3項目質問しています。

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おはようございます。柏崎の風・近藤由香里です。
3月2日の代表質問では、本市の急激な人口減少に対する櫻井市長の危機感と、それに伴う重点施策についてのお考えを伺いました。それらも踏まえて順次質問してまいります。

1 中山間地域の未来をどう描くか 
(1)中山間地域における居住と持続可能なまちづくり について伺います。

柏崎市第五次総合計画・後期基本計画で示された地区別将来人口予測では、中山間地域の人口減少が著しく、現状のまま推移すれば、20年後には消滅する地域もあることが示されました。

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土地利用構想では、都市地域は「柏崎市 立地適正化計画」に基づき、都市機能や居住機能を誘導・集約し、コンパクトで持続可能なまちづくりを進めるとし、中山間地域は当面の間、生活環境の維持の為、各種施策を横断的に進める、としています。

さて、中山間地域における農業・山林管理は、食糧生産、防災・減災、生物多様性、景観・観光資源といった役割を持ち、国土保全に資することから、担い手となる次世代の住民確保に向けた施策展開がなされてきました。

先日、優良な棚田を認定する農林水産省の取り組み「つなぐ棚田遺産」に、市内4つの棚田が選ばれましたが、地元の方々のご苦労なくして、維持管理はできません。たとえ住民が少なくても、中山間地域には守るべき価値があり、次世代に引き継ぐことは国策でもあります。
ですが、現実として、すでに限界集落化した中山間地域では、空き家や耕作放棄地の増加、自治機能の消失などの問題も浮上しています。

一方で「柏崎市公共施設等総合管理計画」に基づき、人口動態の変化に応じた公共施設の再編が進められる中、先日示された「柏崎市立小・中学校学区再編方針」への反響は大きく、中山間地域の若い世代が、中心部や市外へ流出することを危惧する声も聞かれます。

これまで柏崎市は学校を地域の核としてきた歴史がありますし、「第一次柏崎市移住・定住推進行動計画」では、若者がUターンするプロセスにおいて、成長過程における家族や地域との関わり、義務教育を通じて地元愛が醸成される・・と、設定しています。

そして令和4年3月改訂予定の「第二次柏崎市移住・定住推進行動計画」では、小中学生を将来のターゲットとして捉え、「生まれ育ったまちで働くことは、家族の近くで暮らすことができることから、何物にも代えがたい安心感がある」としています。

しかし、今回出された学区再編方針は、中山間地域の学校が、都市地域の学校に統合される傾向にあることから、「中山間地域の住民に対する、遠回しな居住誘導ではないか?」と感じている市民も少なくないと思います。

そこで、三点質問します。
一点目は、中山間地域での居住に対する本市の基本的な方針について。

二点目は、「柏崎市立小・中学校学区再編方針」と「柏崎市移住・定住推進行動計画」の整合性、特に子ども達が将来、柏崎市での暮らしを選択する要因となる「地元愛の醸成」についての考え方。

三点目は、持続可能なまちづくりの観点から、将来的には中山間地域の住民に対する居住誘導も視野に入れているのか。 
以上、三点についてお聞かせください。

市長
人口が減少するという現実を、市民の皆様とともに真摯に受け止めることが必要である、との想いから、第五次総合計画・後期基本計画に地区別の将来人口予測をお示しました。

これは議会からの要望でもありました。つまり市全体の人口予測はずっと示してきましたが、地区別(学区別)の人口予測も上げてもらいたいとの要望があったと承知しています。 

そういったかたちで、今回は地区別将来人口予測をお示ししました。これは決して悲観的に捉えるものではなく、現在お住まいの地域でそれぞれの快適性をできる限り維持しながら、人口減少対策と将来を見据えたまちづくりの方向性を検討していくことをお示しするものです。

また近藤議員からは居住誘導という言葉を何回かお使いいただきましたが、今回の立地適正化計画の対象範囲は、いわゆる都市計画税をお支払いいただいている都市計画区域内であり、中山間地域から都市地域への居住誘導は想定しておりません。

一方で中山間地域に限らず、柏崎市で暮らすことや働くことが幸せであるとの姿を、私たち大人が子ども達に見せることによって、今住んでいる地域はもちろんのこと、柏崎すべてをふるさとと捉え、大切に思っていただくことが、地元愛の醸成につながると考えています。

柏崎で生まれ育った子どもがいずれ進学などで市外に出て、多様な文化や人材に関わる経験といったものは、近藤議員も経験されただろうと思いますが、自身の成長につながるとともに、将来の大きな財産になるわけであります。

そして更にその先の将来を考える時に、親元で育んだ地元愛、地域の方々とともに育まれた地元愛によって、ぜひともまたいつか柏崎市に戻ってきていただき、活躍していただきたいと考えておりますし、強く願っているところです。

近藤
今ご答弁いただきまして、まずは中山間地域での居住を否定するものではないと言いますか、居住誘導は考えていない、この点については確認させていただき、安心したところです。

ですがもう一点の部分、「移住・定住推進行動計画」では、中山間地域に限らず、柏崎すべてをふるさととして捉えるということでありますが、第一次計画で示された、地元愛と義務教育の重要性は第二次計画にも引き継がれているのか、この点を確認させてください。

総合企画部長
第二次計画においても、その点は引き継いでいきたいと考えております。

近藤
今これをお聞きしたのは、今後(3)の質問にも絡んできますが、学校が地域にあることが地元愛の醸成につながるのではないか、という考え方と、代表質問で市長が示された「学校の有無が必ずしもその地域の定住要件にはならない」という考え方のことでございます。

ただ実際のところ、「どもを産み育てようとする若い世代が、学校や保育施設が近隣にない地域を、果たして移住・定住先として選ぶのか。」という声は、少なくとも私の耳には入ってきます。

私が恐れているのは、学校の統廃合を機に、中山間地域を担うはずの若い世代が、隣の長岡市、上越市、十日町市、刈羽村などに移ってしまうことです。
そうならないためにも、市が示す方針に対する丁寧な説明と意見聴取が必要だと思いますが、これについては後半にあらためて質問させていただきます。

次の質問(2)地域交通を守るために に移ります。

柏崎市第五次総合計画・基本構想では、集約された都市地域と中山間地域の生活拠点を道路や公共交通、通信網でつなぐコンパクト+ネットワークの形成を基本方針とし、地域交通の維持は重要課題です。

中山間地域では、高柳、鵜川、米山、西山における地域内交通や路線バスが住民の移動手段となっていますが、利用者の大幅な減少により収支率が低下し、市負担額も増加しており、存続が危ぶまれています。

新たに策定される「柏崎市公共交通計画」では、地域内交通の運行維持のため、地域協力制度を創設し、対象地域が運行維持協力金として、運行経費の一部を負担することになりました。

また令和3年8月からは高柳地域内交通が、令和4年4月からは西山地域内交通が、定時定路運行からデマンド型(予約制)ドアツードア方式(自宅玄関先まで送迎可能)に再編され、利便性向上による利用客の確保が図られます。

このような新たな取組の効果を上げ、地域交通を維持するには、「車を運転しない高齢者」以外にも、ターゲットとする乗客の範囲を広げることや、複数の交通機関を円滑に利用できる仕組みをつくり、市内公共交通全体の乗車率向上を図ることが必要だと考えます。

そこで「地域協力制度への地元理解と今後の展開」について伺います
地域協力制度は西山地域内交通(にしやま号)再編とあわせて導入が予定されますが、協議の場では様々な議論があったことと推察します。本制度の趣旨が地域住民に理解されているか、また他の地域内交通における展開について、お聞かせください。

市長
地域協力制度は運行維持が極めて困難な状況にある地域内交通を、将来に渡って確保していくために、地域との連携を強化し、地域にとって大切な移動手段について、地域とともに考えることを目的として導入するものです。

運行維持がなぜ極めて困難なのかということは、近藤議員からもご承知いただいていると思います。はっきり申し上げれば、利用者が極度に少ない、それに対して民間事業者は採算が合わない、撤退をする。しかし何も公共交通機関を残さないわけにはいかない、との観点から私どもも取り組んでいるところでございます。

制度として地域協力制度は新たに打ち出すものでありますが、米山地区においては住民の足を確保するため、平成21(2008)年から地域が中心となって14年間に渡り、地域から一定のご負担をいただき、交通事業者、市と共に地域内交通を実現してきているところです。

本年1月には西山地域内交通に関する住民説明会を7回開催し、地域協力制度のご理解をいただけるよう丁寧に説明させていただきました。説明会では地域内交通の維持について、多くのご意見を賜り、更に地域協力制度を前提とする西山地域内交通の再編については、参加者の8割以上の賛同を得たところでございます。

またこの制度は、西山町地域のみならず、高柳町地域、鵜川地区、米山地区の各地域においても同じ内容で同時期に導入を予定しており、昨年度来、各地域への説明を進めてきています。制度の運用にあたっては、地域住民の意向をしっかりと伺い、出来る限り地域内交通施策に反映できるよう努めてまいりたいと考えております。

近藤
7回の住民説明会、協議を行ってきたとのことで、私も最後の方の説明会に参加させていただきましたが、非常に丁寧に説明されていると感じました。

やはり長期に渡って、丁寧な説明と意見聴取を重ねてきたことが、合意形成につながったのだろうと感じるところです。その一方で、コミセン単位での地域負担ということで、地元の関係者の皆さんの間でも、様々な葛藤や議論があったと思います。市の担当者および地元の関係者の皆さんのご尽力には敬意を表します。

再編後のにしやま号が「地域のくらしの足」として、より多くの皆さんの利用につながることを期待します。
そして他の地域での導入においても、引き続き丁寧な説明と意見聴取をお願いしたいと思います。

 

さて、地域交通を守るためには、乗客の確保が必要ということで次の質問「乗客範囲の拡大に向けた取り組み」に入らせていただきます。

地域交通を利用するのは、自分で車を運転しない方々が一般的ですが、車の運転をそろそろご勇退いただきたい方々、つまり高齢ドライバーもターゲットにすべきだと思います。

全国的に高齢ドライバーによる悲惨な交通事故が報じられていますが、内閣府の交通安全白書によれば、高齢ドライバーによる死亡事故は、観光・娯楽,買物,訪問,送迎,通院といった目的で、ほぼ日常的な外出時に起こす割合が高いそうです。安全な市民生活のためにも、運転免許自主返納の推進と地域交通の利用促進をセットで行うことが必要ではないかと考えます。

また、スクールバスの範囲外となる小中学生、または高校生が必要に応じて地域内交通を利用することや、スクールバスの運行範囲内での一般客の利用、つまりスクールバスの混乗など、柔軟な運用を進めることも、一部地域で導入しているとお聞きしていますが、利便性と乗車率向上のために有効だと思います。

さらには、もし今後、路線バスが廃止される地域が出てくれば、地域内交通の運行範囲延伸が求められるのではないでしょうか。

以上を踏まえ、乗客範囲拡大の具体策として、高齢ドライバー免許返納、地域内交通の小中学生や高校生の利用、スクールバスの混乗 地域内交通の延伸について、取り組みや見解を伺います。

市長
地域内交通は路線バス運行ができなくなった地域が、交通空白地とならないように、生活に必要な地域の足として、その運行範囲が限定されております。また既存の路線バスや鉄道などと競合しないよう配慮する必要もあり、運行範囲の拡大などは慎重に検討する必要がございます。

その上で高齢者の運転免許返納後の移動手段や、交通事故防止の観点から地域内交通の利用促進を図ってまいります。・・と(答弁書には)書いてありますが、図ってまいったんでしょうね、ずっとやってきました。私(が市長)になってから、半額にしてみたり、色々やっているわけです。しかし残念ながら、やらないよりはやった方がいいという程度のレベルです。一瞬、利用者がグンと上がってもすぐに下がります。

要は潜在的な、申し訳ないですけれど、コンスタントにご利用いただける方が非常に少なくなってきているという現実がございます。

児童や生徒の地域内交通の利用は、これは子どもさんがいらっしゃる限りコンスタントにあるわけです。例えば昨年の高柳地域内交通再編の際に、小中学生が地域内交通で通学することを可能にしたことにより、利便性の高い地域内交通の確保と、スクールバスとの統合による、運行経費の縮減を図ることができました。ほめていただきたいことですけれども、はっきり言えば苦肉の策です。

また路線バスを活用しての小中学生の通学利用について、本市の政策コンサルティング委託業者からも助言をいただいているところであり、検討を進めていきたいと考えております。

いずれにしましても、今は利用者の立場でお話しさせていただいていますが、前からずっと申し上げているように、運転手そのものがいないんですよ。運転士や車両の確保、運行の効率化などの様々な観点から、運行事業者の方にも大きく影響する事柄です。様々な観点から運行手段に関するリソースを、官民問わず総動員して、生活の足の確保をしてまいりたいと考えております。

近藤
今のご答弁から、厳しい運行状況の中で、これまでもずっと努力してきたが、なかなか成果が上がらないという、厳しい状況をお聞きしました。本当におっしゃる通りだと思います。

ただ、例えば「にしやま号」に関しては、この4月から利便性が確実に違ってくるわけで、「本当は車の運転に自信がない」という方も、住民側としても苦肉の策として、車に乗られているケースもあると思います。

そういった方に少しずつ働きかけて、自分で車を運転しなくても、ちょっとしたお買い物や外出にも使えるんですよと、そういう周知の仕方をすることで、多少は利用率の向上は得られると思います。

小中学生や高校生に関しても、スクールバスは運行範囲があるわけですけれど、例えば非常に天気が悪い時に、スクールバスの運行範囲でない方々が、前もって(予約することで)利用できるようにならないか、と言った柔軟なやり方もあると思います。

そういったことも含めて、ただ高齢ドライバーの問題は本当に市民の皆さんの安心安全に関わることですので、今回のにしやま号再編をひとつのきっかけとして、利用につなげていただきたいなと思います。

 

最後に「サブスクリプション導入の可能性」について伺います。
地域交通の乗車率向上の取組として、他の自治体では、複数交通機関を定額制・乗り放題とする「サブスクリプション(通称サブスク)」の導入事例があり、昨年は湯沢町でも実証実験が行われました

「柏崎市地域公共交通計画」では、市の中心部ではAIオンデマンドシステムを活用した新交通システムを導入し、鉄道や既存のバス路線などで中心部と中山間地域を結ぶ、新交通システム+郊外地域交通ネットワークの構築を示しています。
ここにサブスクを取り入れれば、複数交通機関を使う場合の料金支払いの煩雑さが解消され、なおかつ積極的利用への効果が期待できると考えます。

そこで質問ですが、市内複数の交通機関で利用できるサブスクリプション方式を、研究・検討する考えはあるか、お聞かせください。

市長
公共交通における運賃定額制サービスの導入については、昨年夏7月16日~9月12日、新潟県の協力の下、県内リゾート地において全国発の実証実験が湯沢版MaaS(マース:Mobility as a service)として実施されましたが、残念ながら今後につながる結果が得られなかったというのが一般的な評価であります。

県内を代表するリゾート地におけるMaaSの実証実験が今ほど申し上げたところであるということから、これを柏崎の一定地域に取り入れるのはなかなか難しいと考えます。

公共交通に限ったことではありませんが、一定以上の利用者数が見込まれること、対象となる内容に必要性があること、経済性・利便性の高さにより、利用者から選ばれるサービスであることが求められます。

現状の路線バス運行に関しましては、補助制度により運行が維持されているものがほとんどであり、利用者の減少に歯止めがきかず、乗車率の向上が見込めないことから、現時点では運行事業者がサブスクを導入するのは極めて困難なことであると考えます。

ただ何度も話が出ているにしやま号は、この4月から1日400円で定額乗り放題ですから、ぜひにしやま号をサブスクリプションの実践事例としてお使いいただきたいと思います。

近藤
今、乗り継ぎにおける利便性の向上ということでお聞きしたわけですが、やはり採算性において非常に難しいとの答弁をいただきました。

ただ、にしやま号のお話を出されて、1日400円乗り放題ということですが、逆にある程度の長期の、1か月、3か月といった単位で、にしやま号でサブスク導入するという方法もあるかと思いますが、その点について何かお考えがあるようでしたらお願いします。

市長
ご提案を含めて、より一層皆さんにとって利便性が高く、利用者に望まれる方法を考えていきたいと思います。ありがとうございました。

近藤
できるところからコツコツと、よく「乗って残そう公共交通」と言われるように、乗車率向上のためにできることを重ねていただいて、地域間を結ぶネットワークの維持につながることを期待したいと思います。私もまた調査・研究していきたいと思います。

 

本項目の最後は「(3)少子地域の子どもを取り巻く環境の充実」について伺います。

第五次総合計画・後期基本計画では「子どもを取り巻く環境の充実」を重点戦略とし、「子どもを真ん中に置いたまちづくりを進め、将来の柏崎市を愛する子どもたちを育み、様々な社会環境の下で、生き抜く力を育む教育を推進する」ことを掲げています。

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ですが「柏崎市立小・中学校学区再編方針」や「柏崎市保育園整備基本方針」では、一定規模の集団での教育・保育が重視され、教育・保育環境の平準化を目指すように感じます。

もちろん教育・保育に対する考えは様々ですから、市が示した方針を支持するご家庭もあれば、やはり少人数でも地域に根差した教育・保育を望むご家庭もあると思います。

特に小中学校の学区再編方針は、「柏崎の将来を担う子どもたちにとって、望ましい教育環境を提供する」ための適正な学校規模や学区の在り方を示し、要は良かれと思って進めようとしていらっしゃることは理解します。

ですが再編によるメリットは全市共通でも、デメリットには地域間格差が生じます。通学距離の延伸や地域住民との交流機会の減少など、統合される側の少子地域の子ども達に生じるデメリットをどうカバーするのか、その点が不明なまま、先に再編方針が示されたことが、住民の皆さんの不安や不満を招いているのではないかと感じます。

学区再編の背景にある市長の危機感、子ども達への想いを、市民の皆さんに理解・共有していただくためには、今後の進め方において、「子ども達にとって望ましい教育環境」とは何か、子ども達自身や保護者・地域の皆さんと、丁寧な対話を重ねることが重要だと思います。

そして、もう一つの選択肢として、小規模校の可能性も検討してはどうかと考えます。

文部科学省では「少子化・人口減少社会に対応した活力ある学校教育推進事業」の取組モデルを紹介しています。例えば長野県伊那市では「小規模特任校制度」により、少人数ならではの特色を活かし、一人一人の個性を大事にした教育を行う小規模な学校に、通学区を越えて就学できる仕組みを構築し、地域と一体化した教育活動を行っています。

つまり小規模校のデメリットを、ICTを活用した合同授業や、他校との交流による集団教育機会の創出などでカバーし、特色ある教育活動としているのです。

また未就学児についても、市外県外では中山間地域の豊かな自然環境を生かした少人数での保育を行う事例もありますし、「第二期柏崎市子ども・子育て支援事業計画」では、少人数の地域型保育給付として、小規模保育事業や家庭的保育事業を設定しています。
特に3歳未満の児童を5人以下で預かる家庭的保育事業は、本市で条例制定もされていることから、少子地域での実施を視野に入れてもよいのではないかと考えます。

もちろん少人数教育・保育を行うのは容易ではなく、保護者や地域の皆さんの協力が絶対条件となるでしょう。それでも覚悟をもって、共に子ども達を守り育てたい、という地域の意思があるならば、それを形とすることが、真の「子どもを取り巻く環境の充実」、中山間地域に生きる皆さんの希望につながるのではないでしょうか。

そこで二点質問します。

一点目は、これから先、市立小中学校や保育園の再編に伴う地元説明や市民の意見聴取をどのように進めていくのか。

二点目は、地域の実情や住民の意見も踏まえた上で、現在の再編・整備方針の他、小規模校や家庭的保育など、少人数であっても地域に根差した特色ある教育・保育環境を、選択肢として設ける可能性はあるか。 以上二点についてお聞かせください。

教育長
まず学校関係は私の方から答えさせていただきます。令和3(2021)年3月の市長定例記者会見について、児童生徒にとって望ましい教育環境を提供することを第一に考え、適正な学校規模や学区の在り方を早急に検討していくと発表されました。
その後、昨年の広報かしわざき7月号にて、児童生徒数の現状と学区の在り方の検討を始めることをお知らせしたところです。

これは従来、柏崎市教育委員会が毎年作成している冊子「柏崎の教育」においてのみ公表していた学校ごとの児童生徒数を、広く市民の皆様に公表し、議論に供したいと考えたからです。

検討は教育委員会内にプロジェクトチームをつくり、市長と意見交換を行いながら、昨年11月の教育委員会定例会において、教育委員の皆様から学区再編方針を承認していただき、12月には市長決済を終えた次第です。

もちろんこれは方針であります。つまり、たたき台であります。その後、本年1月に市議会の皆様や関係される皆様へ説明させていただき、広報かしわざき2月号で、全市民へお知らせしたところです。

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今後の進め方は、4月に学区等審議会を立ち上げ、再編方針を諮問いたします。審議会では統合の必要性はもとより、組み合わせや時期などについて、慎重に審議していただきたいと考えております。

審議の際には、関係される皆様の意見聴取は欠かせないものと考えておりますので、現在学校に通われている児童生徒の保護者だけでなく、入学前のお子様の保護者や、町内会、コミュニティなど、幅広い皆様に対し、方針の説明を行い、ご意見をお聞きしたいと考えております。

次に特色ある学校の在り方を選択肢として設ける可能性についてお答えします。今の時代です。ICTを活用した様々な事例も承知しています。

しかしあくまでもICTは、学校という場の一部を補完するものであり、学び、人と人との触れ合い、ともに笑い、泣き、悲しみ、喜び、時に競うという空間を担う役割を、全面的に果たすことはできません。少子化に対応した学校の在り方には、小規模特任校のように、少人数での事例もございます。

本市では平成13(2001)年4月~平成22(2010)年3月までの9年間、上米山小学校で、小規模特任校を開設していた事例がございます。開設していた9年間で、学区外からの就学者が9人おられましたが、最終年度には全校児童生徒が9人となり閉校、鯨波小学校と統合し、児童数は当時77名になりました。上米山小学校はその後、特別養護老人ホームたんねの里として、使われていることは、近藤議員もご承知の通りであります。

この度、再編方針策定の過程でも様々な視点から検討を重ね、望ましい教育環境を提供するために、一定規模の確保を目指したところでございます。色々な友達との出会い、多様な価値観の共有、切磋琢磨する可能性の発見・伸長、そして先ほども申し上げました、ともに泣き、笑い、悲しみ、喜び、時に競うという時間の共有に重きを置いたという次第でございます。

 

市長
続いて保育園について申し上げます。保育園の整備方針については、令和3(2021)年11月に、柏崎市保育園整備基本方針の改訂を行い、令和4(2022)年度~令和7(2025)年度までの4年間の方針を定めておるところでございます。

その中で保育園の統廃合につきましては、園児在籍数が20人を下回る状況が続くと想定される場合には、近隣の保育園の状況なども考え合わせながら統廃合を検討する、としておりますが、検討をはじめる大前提として、保育園を利用されている保護者や地域の皆様との意見交換は、必須であると考えております。

統廃合の検討要件に該当するようになった場合は、保護者や地域から子育て支援施策に対するお考えや、地域の状況、保育園の在り方や園児の推移などの情報を定期的に共有させていただき、その上で具体的な検討を行ってまいりたいと考えております。

また、少人数での地域に根差した特色ある保育環境についてですが、近藤議員が例として挙げられた小規模保育や家庭的保育は、手厚い保育が提供できるなど、少人数であるが故のメリットがあることは、私どもも承知しております。

ただ、例えば小規模保育、家庭的保育を実際に、今回対象となるような地域の方々に、託児所的なものをお願いできるでしょうかということを、内々にいくつか尋ねました。しかし答えはNOです。「できない」と。お子様を預かるという責任ある仕事は、それは中々私たちにはできないというお答えでございました。

一方、この事業の対象が3歳未満時であり、待機児童対策の一環として創設された保育サービスであることから、今ほど申し上げましたように、地域に根差した運営は難しい事業であると認識しております。

しかしながら、子育てを取り巻く環境の目まぐるしい変化を的確に捉え、進行する少子高齢化、および増大する子育て支援サービスにおける多種多様な保育ニーズに対応し、効率的で効果的な幼児教育、子育て施策を推進することは、私たち行政の義務だと考えております。

また、もし統合になった場合、お子さんをどうやって通っていただくのかということも含めて、具体的な検討を、私どもも、そうなった場合、こうした方法があるんではないか。こういう方法もあるんじゃないか、法的な課題があるのか、無いのか、すでに具体的な検討に入っているところでございます。
引き続き市民の皆様からのご意見も頂戴しながら、子育て支援の充実に取り組んでいきたいと考えております。

近藤
今、教育長と市長から、結論としては少人数の教育・保育の可能性は残さず、市が示した方針でやっていくというお答えをいただき、残念だと思いますけれど、一点だけ確認させていただきます。

今回の学校の再編方針はたたき台だと、教育長はおっしゃいました。今後の説明の中で、住民の意見によってはその内容を変えていく可能性があるのかということと、メリット・デメリットに対する具体的なものの提示ということも、今後の意見聴取や説明の中でしていかれるでしょうか。お聞かせください。

教育長
もちろん、学区等審議会の結果によっては見直し等も当然ございますし、メリット・デメリットについても、それぞれの保護者の皆様、そして住民の皆様には丁寧に説明してまいりたいと考えております。

近藤
 本当は方針を示す前に、丁寧な説明や意見聴取をしていただきたかったと思いますけれど、今言っても仕方ないですので、今後の進め方においては、本当に丁寧な説明や意見聴取、住民の皆様の気持ちに寄り添った進め方をお願いしたいと思います。

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(高柳小学校*柏崎市HP引用)

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市立小・中学校の学区再編については、私を含めて5人の議員が質問します。

他の議員からも「再編方針を示す前に住民への説明や意見聴取をすべきたっだ」との指摘がありました(市長は方針が先だと答弁されましたが・・)。

また小規模校を残すことについても、一貫して検討しないとの答弁でした。

尚、学校統廃合・再編問題をまとめたサイトもあります。ご参考までに・・

学校統廃合をどう考える?

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