令和4年1月17日、所属する文教厚生常任委員協議会において、柏崎市立小・中学校の学区再編方針が示されました。
広報かしわざき2月号に記事を掲載、また同日から関係校に対する説明がスタートするタイミングとなります。
以下はその内容(メモ)です。
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◆これまでの経緯
令和3年2月
総合教育会議において今後の児童生徒数が著しく減少することが報告された。
(過去5年で487名減少。2016~2026年度の10年間での児童生徒減少見込みが1986人=約29%)
3月
市長定例記者会見で「急速な子どもの減少を踏まえ、児童生徒にとって望ましい学習環境を提供することを第一に考え、適正な学校規模や学区の在り方を早急に検討していく。」とし、今後の取組として次の4項目を行うことが発表された。
(1)学区等審議会の立ち上げを視野に入れながら、教育委員会内に統廃合や学区の見直しを検討するプロジェクトチームを立ち上げる。
(2)市民などへの周知方法を検討する。
(3)中学校の部活動の拠点化に引き続き取り組んでいく。
(4)上記事項を踏まえ、学校統廃合のロードマップを策定する。
5月
教育委員会内にプロジェクトチーム発足。
市内全体を対象にした学校の適正規模や学区再編等を検討開始。
通算6回の検討会を行った。
7月
広報かしわざき7月号にて上記方針を掲載。
11月
学区再編方針を決定し教育委員会の承認を得た。
★小規模校にはメリットもあるがデメリットも多い。
<デメリット>
・多様な人と関わる機会の減少
・複式学級による学習方法の制限
・課外活動・部活動の選択の制限
・教職員数の減少
◆本市における学校規模の適正化の考え方
「柏崎の将来を担う子どもたちにとって望ましい教育環境を提供する」ことを第一義に考え、適正規模を下回る学校については学校の統廃合を検討し、全ての学校が適正規模となることを目指す。
◆適正規模の適正化による効果
ア 学習指導(学力の向上)
・日々の授業でグループ学習や課題選択学習など、多様な学習形態や指導体制が可能となる。
・より多くの関わり合いの中で伝え合い、多様な考え方に触れ、現在求められている「主体的、対話的で深い学び」を実現する学習活動が行いやすくなる。
・切磋琢磨する機会が増えることで、相互に高め合うことが可能となり、一人一人の思考力、判断力、表現力など更なる伸びが期待される。
・体育の球技やリレーなどの授業では、複数のチームと対戦できることから、相手チームに応じた作戦を立てるといった、より充実した学習活動が可能となる。
イ 児童生徒指導(社会適応力の育成、自己有用感の醸成)
・異なる学年を含め、多くの仲間とともに学校生活を送ることや、学級替えができることなどから、人間関係の固定化を防ぐことができる。
・様々な人間関係を経験することで、社会性や協調性、たくましさを身に付けることが期待できる。
・ある程度の教職員や児童生徒がそろうことで、児童会活動や生徒会活動、クラブ活動や部活動など集団活動の選択肢が増え、児童生徒一人一人の個性や能力を伸ばす機会が増える。
ウ 学校運営(より充実した教育が行える環境づくり)
・統合による学校規模の適正化が進むことにより、教職員数が多くなり、ティーム・ティーチング指導や習熟度別学習指導といった、多様な教育活動が可能になる。
・教育相談や生徒指導体制の充実、校内、学年内での相談や、協力、研究が可能となることが見込まれ、より充実した学校運営が行える環境が整う。
◆方針:令和4~令和13年度の10年間に小中学校を再編する。
<基準とする学校の適正規模>
・小学校 1学年2学級(12クラス)
・中学校 1学年3学級(9クラス)
・1学年20人以上
*ただしこれに該当しないケースもある。
◆適正配置の基本的な考え方
ア)学校の適正配置により、小学校卒業後も全員同じ中学校に進学できるようにする。
イ)少子化が進むことを見据え、長期的な市全体の配置を示し、計画的に適正配置を進める。
ウ)小学校の実施順序は、複式学級が3学級となることが見込まれる学校を優先的に実施する。その後、複式学級の解消を実施し、適正規模を確保することを目指す。
エ)中学校の実施順序は、複式学級となる可能性の高い学校を優先的に実施する。その後、単式学級の解消を実施し、適正規模を確保することを目指す。このことにより、子どもたちにとって望ましい部活動が実施できるようにすることを目指す。
オ)適正配置の実施に当たっては、「柏崎の将来を担う子どもたちにとって望ましい教育環境を提供する」ことを前提に保護者や地域の意見にも傾聴し、進めることする。これらを一斉に実施することは困難であるため、段階的に実施する。
カ)統合する場合は、既存施設や用地の有効利用を図ることとし、対象校のうち最も児童生徒数が多い学校へ統合する。教室不足などが見込まれる場合は、適宜増築等を検討し、必要な場合には、新校舎の建設も検討する。
キ)通学手段については、スクールバスを確保し通学支援に努める。通学時間については、おおむね1時間以内を目安とし、できるだけ児童生徒の負担軽減を図るよう努める。
◆中学校の適正配置の実施方法
<中学校の再編方法>
現在の11校を段階的に統合し、最終的には6校に再編統合することを目指す。
ア (仮称)東中学校
・現在の東中学校を使用する。
・令和6(2024)年度に東中学校と、生徒数減少により複式学級となる可能性のある第五中学校が統合する。
・令和12(2030)年度に東中学校と単式学級が見込まれる北条中学校が統合する。
イ (仮称)瑞穂中学校
・現在の瑞穂中学校を使用する。
・令和12(2030)年度に瑞穂中学校と単式学級が見込まれる西山中学校が統合する。
ウ (仮称)鏡が沖中学校
・現在の鏡が沖中学校を使用する。
・令和12(2030)年度に鏡が沖中学校と単式学級が見込まれる南中学校が統合する。
エ (仮称)第一中学校
・現在の第一中学校を使用する。
・令和12(2030)年度に第一中学校と単式学級が見込まれる松浜中学校が統合する。
オ 上記以外の中学校(第二中学校、第三中学校)
当面、適正規模が見込まれることから、現時点では統合の検討は行わない。
◆小学校の適正配置の実施方法
<小学校の再編方法>
適正規模を確保するため、中学校区と連動することとし、小学校の適正配置について以下のグループ内での統合を目指す。
ア (仮称)鯖石小学校
・現在の鯖石小学校を使用する。
・令和6(2024)年度に鯖石小学校と、複式学級が3学級となることが見込まれる高柳小学校が統合する。
イ (仮称)日吉小学校
・現在の日吉小学校を使用する。
・令和8(2026)年度に日吉小学校と、複式学級が3学級となることが見込まれる中通小学校が統合する。
ウ (仮称)剣野小学校
・現在の剣野小学校を使用する。
・令和8(2026)年度に剣野小学校と、複式学級がそれぞれ3学級となることが見込まれる鯨波小学校及び米山小学校が統合する。
エ 上記以外の小学校
複式学級の解消を実施し、適正規模を確保することを目指す。
長期的な児童数を推計できないことや、「地域とともにある学校」の視点も踏まえ、現時点では統合対象とはしないが、令和10(2028)年度以降において、その後見込まれる児童数の状況により再編統合を検討する。
◆統合に伴う児童生徒への配慮
児童生徒の教育環境の変化などに対応するため、児童生徒の不安や動揺をできる限り軽減できるよう、加配教員の配置や相談体制の整備を図る。
◆学校間連携による教育活動の推進
統合に当たっては、事前に児童生徒の交流や教職員による情報交換等を行い、児童生徒がスムーズに打ち解け合えるよう、段階的な指導方針の統一や教育課程の再編を図る。
◆通学支援の整備
統合により新たに遠距離通学となる児童生徒については、体力や安全面を配慮してスクールバスの運行等の通学支援を行い、負担軽減を図る。通学路の変更があった箇所については通学路の安全点検を再度行うとともに、必要に応じて関係機関に要望等を行う。
◆統合により廃止した学校施設について
廃止した学校施設や敷地の利活用については、本方針とは別に考えるものとし、本市としての有効活用の在り方や当該地域の要望等を踏まえ検討を行う。
<要点>
・児童生徒の減少スピードが思った以上に早い。
・望ましい教育環境の為にはそれなりの人数を整える必要がある。
・最短が令和6年度~
・令和4年度~学区等審議会を立ち上げ、方針が妥当・適正かどうか検討。
・保護者や地域住民の意見を徴収した上で統合事務の手続きに入る。
◆今後の動き
・1/14 校長会(市内)に概略を説明
・1/17に議会に説明
・令和6年度統合対象の4校(東中、五中、鯖石小、高柳小)は1/17夕方~1週間かけて関係者には広報発行前に知らせる。
★広報かしわざき2月号に掲載する意図
・今後のことを一緒に考えるスタンス。
・問題提起、地域の皆さんと学校の在り方を考えたい。
<質疑応答>
今回の方針が変更される可能性はあるのか。
あると考える。地域や保護者の意見により変更もあり得る。
ただし2月の広報かしわざきの内容は変更なし。
統合する時の意見徴収(地域、保護者)の範囲は?
直近の説明会では地域の町内会長会代表、PTA役員など代表者を対象とする。
年度明けに地域の保護者へ説明する。
現在のPTA関係者だけでなく今後の進学を控えた親世代に聞くべきではないか。現時点の在校生関係者だけに聞いても意味がないのではないか。意見を徴収する範囲を間違えないでもらいたい。
ご指摘ごもっともだと思う。今週、来週にかけては現在の保護者だが、今後は幅広い範囲で意見徴収する。
広報かしわざき2月号への掲載は市民の動揺を招く。変更もあり得るというが、広報に載せる段階でこれが決定と認識するのではないか。
教育委員会としては施設の経過年数もふまえ、組み合わせ案を示している。今後、審議会で意見を募る。これが最終形ではない。
2月号掲載は早すぎるのではないか・・との意見だが、部活動の地域移行も進めている。
新年度から野球とテニスが合同チームになる。将来的な統合も含めて市民が心配している。
予定通り2月号に掲載する。
交通手段の問題をどうするのか。
1時間以内には通学できるように設定している。
スクールバスの手当や路線バス利用の場合の定期券補助など配慮したい。
市長の判断なら仕方ないだろうが、市民・子ども達の動揺はどうか。統合するということは、小さい子ども同士の軋轢、葛藤を生む。統合の準備のための教育も必要(意見)。
広報2月号記事の中で、あくまでも決定ではないこと、再編方針がコンプリートではないことを示していただきたい。
再編方針ありきではないが、広報記事は変更できない。
説明範囲を広げる段階では決定ではないことも示してほしい。再編により地域から中学がなくなることは経済活動にも影響する。適正規模から外れても地域・保護者が統廃合をやめてほしいとの意見があれば耳を貸すのか。
何のために再編するのかという点だが、これまで柏崎市の子ども達はそれぞれの地域において可愛がっていただいた。
これまでご理解、ご助力いただいたことには感謝しており、それぞれの地域から学校がなくなるのは本当につらいと推察する。
しかし子ども達の教育は、より多くの他人と交わることが必要であり、豊かな感性等を育むには、ある程度の規模が必要。
その上でのたたき台が今回の再編方針。学区等審議会の意見も得て、進めていきたい。
保育園の休園の際も、ある程度の人数の必要性については言及された。しかしその地域で子育て、教育をしたいという想いはどうなるのか。地域の想いは考慮されないのか。
無視するわけではない。学区等審議会での意見をもとに検討する。再編方針はあくまでもたたき台。
★再編方針決定に至るまで、教育委員会内でどのような意見・議論があったのか。
小規模学校のメリット、例えば高柳小が特色ある教育を行ってきたこと等についての意見はあった。
ただし子どもの教育環境にはそれなりの人数が必要、特に中学生は一定の人数がいた方がよいという共通認識となった。
★再編方針では一定数以上の集団での教育効果を重視しているが、少子化は日本全体の現象でもある。
これから社会全体が人口減少時代に向かうことを前提としたDX推進でもあり、小規模校でも教育格差を埋めるためのGIGAスクール構想ではないのか。これまでとは異なる時代に沿った価値観・考え方(集団ありきでない)による方向性も検討されたのか。
統合以外の方法もあるとは思うが、決定打となるものはない。教育委員会としてはある程度の人数が必要と認識している。
★今後の意見集約において見直しを行う可能性があるというが、どこの範囲までの見直しがあり得るのか?
再編の組み合わせや校数の変更、統合時期を遅らせる可能性はある。
★これまで特別支援学級や通級指導教室を拡充してきたが、再編による方向性は。
特別支援学級は8人1クラスが基準。細やかな指導をしていくために努力しているが一人学級も少なくない。他の児童と交流して学ぶことも必要。再編により学校数が減ることで、通級指導教室には通いやすくなる。
社会適応力の育成には、ある程度の人数がいた方がより良い成長につながると考える。
子ども達のための適正規模というが、今までの小規模校での教育を否定するのか。「子ども達のために」その人数でなければならない、との言い方はやめてもらいたい。まだ「人口減少が進む中で、致し方ない」と言われた方がよい。小規模校には小規模校なりの良さがあり、他校との交流で集団教育を補いながら、一人ひとりの役割があり責任感を育む教育を行ってきた。 適正規模だけを表に出すことには反論したい。
小規模校勤務を経験してきたのでその良さは理解している。貴重なご意見として受け止め、配慮しながら進めていきたい。
スクールバスについて、これからの4年でバスの整備計画どうするのか。通学距離が長い生徒の乗り物酔いの対策は。
再編後の規模が決まらないと車両整備が難しい。統合決定後、最低1年は期間が必要。通学に支障がない体制を整えたい。
車酔いに対する具体的な対策はない。
通学時間が長くなることで、登下校時間はどうするのか。通学のために早朝の起床で体調等に影響するのではないか。
通学時間はおおむね1時間が限界と考える。それに合わせて登下校時間も設定したい。
保護者の中には小規模を選択したいケースもあるはず。時代の変化にあわせた教育活動を進めて柔軟な対応を行うべきではないか。
それぞれの地域状況(自然、文化など)を鑑み、地域に根差した教育を進める考えは新潟県としても持っている。
学級編成の規模についての定めはあるが、保護者の想いも重要。地域に根差した教育の必要性は感じる。
ICTタブレットを利用した交流、学力向上の取組は人数に関わらず模索したい。
小中学校の地域ごとの統合年度設定を同じくした理由は。
令和6年度は最短タイミング、令和12年度は6次総合計画のスタート時期となる。
1/14の校長会ではどのような意見が出たか。
令和6年度統合の対象校からは「早すぎるのではないか」「地域への考慮が必要」等の意見があった。
部活動は学校教育課程とは別であり、今後は社会体育への移行方針も示されている。再編の理由とするのはおかしいのではないか。
部活動が合同化することに配慮している。
教員サイドにとっては学校教育課程外であっても、生徒や保護者にとって中学生活に占める割合が高く無視できない。
以前は地元中学にある部活動の中から選択したが、今は校区を変えてもやりたい部活動のある中学に行くケースも増えている。
令和8(2026)年度以降の小学校再編が空欄なのはなぜか。
それ以降の出生数が不明のため確定できない。
高柳地区は数年前に中学校が五中に統合したばかりなのに、令和6年には小学校の統合が示されている。同じ地域で5年以内に2度統合になるのは異常ではないか。再編案は机上での数字合わせに見えるが、児童生徒や地域のことを本当に考えたものなのか。
再編案は机上での数字合わせではなく、教育委員、関係者、人の流れ、交通の便などを鑑みながらつくったもの。
今後も意見徴収しながら進めたい。
学区再編と統廃合は将来のまちづくりにも影響する。立地適正化計画策定によりコンパクトシティ化=居住区域誘導も示されたが学区再編との整合性あるのか。市役所全体で考えを共有しているのか。
立地適正化計画についてはワーキンググループで確認している。できるだけ中心部に寄せる考えはあると思う。
周辺地域の中核に寄せていく考えがあるとすれば、学校のない地域に若い人は住まなくなる。市長部局との連携をお願いしたい(意見)。
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このように非常に白熱した質疑が交わされた協議会となりました。(★印は近藤の質問)
他の委員からも質疑・意見がありましたが、私自身も今回の方針は教育環境の画一化・平準化を重視しすぎているのではないかと感じます。
人間がひとりひとり異なるように、地域の在り方もまた異なるのですから、それぞれが置かれた環境によって学び得るものは違います。
大切なのは異なる者同士が互いに認め合い、協調しながら社会を形成していくことだと思うのですが・・。
教育委員会からの説明では「地域の方々の意見を尊重」「見直しもあり得る」との言葉が何度も出ました。
今後行われる地域での説明会には、ぜひ多くの皆様からご参加いただき、地域そして柏崎市の将来を真剣に考えながら、率直なご意見を伝えていただきたいと願っています。
*私の母校も統合対象となっています・・。
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