令和3年12月一般質問「3,性的少数者に配慮した行政対応」
令和3年12月9日の一般質問の記録です。
最後の質問は、
3,性的少数者に配慮した行政対応 です。
今年の5月、戸籍上は男性であるものの、性同一性障害の為、女性として働く経済産業省職員による、職場のトイレ使用をめぐる裁判の結果が報 じられました。
性同一性障害とは心の性と体の性が一致しない状態のことであり、性的少数者を表すLGBTQのT:トランスジェンダーとも呼ばれます。
この職員は自分の部署のフロアでは女性用トイレの使用が認められず、2階以上離れたトイレを使うよう制限されたことを、不当な差別として国を訴えました。1審の東京地裁は国の措置を違法としましたが、2審の東京高裁の判決はトイレの使用制限は違法ではないというものでした。ただし上司がこの職員に「男性に戻ったらどうか」などと発言したそうで、これに対しては違法とし、国に11万円の賠償を命じています。この職員は2審の判決を不服とし、最高裁に上告しているそうです。
この報道を受け、柏崎市役所ではどうなのだろう、との疑問を持ちました。
近年は男女共用の表示がされた多機能トイレを見かけますが、本庁舎各階の多機能トイレには、車いす、ベビーシート、オスメイトといった表示はあるものの、男女共用を表すものはありません。
担当課に問い合わせたところ、【多機能トイレは障碍者、高齢者、小さなお子さん連れの方等が使えるよう設置し、性同一性障害の方の利用は想定しなかったが、判決を受け課題として認識している。性同一性障害の来庁者が男女どちらのトイレも使いにくいようなら、多機能トイレを使っていただくことになるが、周知については検討が必要。また性同一性障害の職員が入庁した場合は、本人と相談し、同僚の理解も得て、適切なトイレ使用を検討したい】との見解をいただきました。
さて、性同一性障害の方も含め、日本の性的少数者は人口の3~10パーセントと言われ、市役所への来庁者や公共施設の利用者、そして市職員の中に含まれる可能性は十分あると思います。
性的少数者の支援団体の報告によれば、当事者が直面する行政に絡む困難事例は、【公的書類の性別と外見の性別が異なることを理由に、本人確認してもらえずサービスを受けられなかった】、【生活支援を受ける際、担当職員に理解があるか不安で、相談をためらったり、本当のことを話せなかったりした】、【災害時に避難所のトイレや衣類のことで苦労した】等々、非常に切実です。自治体によっては、性的少数者に配慮した行政対応のガイドラインを策定しているところもあります。
そこで質問ですが・・柏崎市における性的少数者に配慮した行政対応、例えば窓口や電話での応対、公的書類の性別欄、公共施設のトイレや更衣室の利用、災害時の対応・・といった指針は明確になっているのか、また性的少数者の職員が庁舎で働く場合の対応も含め、現状や課題、今後の取組についてお聞かせください。
市長
平成30(2018)年3月に策定致しました「柏崎市人権教育・啓発推進計画」の中で、様々な人権課題の一つとして、性的嗜好と性自認に悩む人の人権について明記しておりますが、近藤議員ご指摘の通り、当市において性的少数者、LGBT、今お話しいただいたQですとかXという言葉も出てきておりますけれども、そういった性的少数者の人権や、そのことに対する配慮の重要性は、これまで以上に高まっているものと認識しています。
こうした中、今年5月に柏崎市人権教育・啓発推進協議会を立ち上げ、計画の改定に向けた協議を開始しており、今後、性的少数者(LGBTQ、LGBTX)に関する人権課題もさらに議論を深め、方向性と施策として計画の中に適格に反映させていきたいと考えております。
また行政的配慮や職員を含めた認識・対応に対するガイドラインの策定に関しましては、昨年度、令和2年度から準備をしてきており、本年10月に当事者団体である一般社団法人LGBTにいがたから監修をいただいた上で、先月11月末に「多様な性を理解し、行動するための職員ガイドブック」を完成させ、各職場に周知したところでございます。
この中には性を構成する要素など、性の多様性に対する説明、LGBTについて理解し行動するための職員の窓口や電話対応、公的証明書類などの性別欄の取り扱い、更衣室など公共施設での対応、災害時における対応・・といった具体的な市民の皆様への対処方法、および職員採用を含めた対応などが記載されております。
今後はこのガイドブックを活用した職員向けEラーニングの研修や、当事者を講師に迎えた研修などの開催を企画していきたいと考えております。いずれにしましても、今ほど今日的な課題であるところを近藤議員からご提案いただきましたが、ご提案を生かし、今まで以上に個人の特性について多様性が認められるよう知識や理解を深め、偏見や差別をなくすために、まず職員ガイドブックが有効に活用されるよう、努めてまいります。ガイドブックは近藤議員の方にも、お届けしたいと思っております。
近藤
ガイドブックを策定していただいたということで、良かったなあと感じております。ガイドブックは私の方にもいただけるということですけれど、できればHPで公表するなどして、そういったものがあるということを示していただきたいと思います。
と言いますのも、先ほどご紹介したお声のように、性的少数者である方は、市役所の職員が果たして自分のことをわかってくれるだろうかと不安を抱えて、相談をためらうケースもあると聞いております。職員の中でもきちんとガイドラインを持ってやっていると示していただくことが、性的少数者の方々にとっても、また例えば障害があるような方々にとっても、心強いことだと思います。本市の多様性を進めていただきたいと思います。
以上で今回の一般質問は終わりといたしますが、今後も私なりの視点を持って、課題の解決・改善につながる質問や提案をしていきたいと思います。ありがとうございました。
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