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2021年9月 9日 (木)

令和3年9月一般質問「2,人と動物の共生社会を目指して」

令和3年9月一般質問、2項目目の質問です。
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2,人と動物の共生社会をめざして 

 コロナ禍によりステイホームが推奨される中、ペットを新たに飼う人が増えています。
 一般社団法人ペットフード協会の全国犬猫飼育実態調査によれば、昨年新しく飼われた犬は46万頭(前年比14%増)、猫は約48万頭(前年比16%増)で、3割以上の人が「生活に癒やし・安らぎがほしくて飼い始めた」と回答しています。
 ですがその一方で、動物虐待、飼育放棄、多頭飼育崩壊、野良猫の繁殖などが社会問題化し、犬猫の殺処分も以前より減少したとはいえ、いまだに行われています。
 こうした社会情勢の中、令和元年に動物愛護管理法が改正されたことを受け、今年の7月「新潟県動物愛護管理推進計画」が策定されました。この計画では教育活動の充実、愛護精神の普及、適正飼養(飼育)の推進を基本方針とし、【命ある動物に関して人々が互いに理解し合い、人と動物が共生する平和でこころ豊かな社会の実現を目指す】としています。
 市町村は住民にもっとも近い自治体として、県とともに施策の推進を図ることが求められています。そこで本市の動物愛護に関わる取組についてお聞きします。尚、本質問はペットなど人が占有する動物が対象であり、野生動物は含まないことを申し添えておきます。

(1)学校教育活動における動物との関わり

 改正動物愛護管理法では、動物の殺傷・虐待、遺棄、飼育放棄等が厳罰化されました。
 これらの行為をなくすには、他者との違いを理解し、弱者をいたわり、命を大切にする心を育むことが必要ですが、それには子どもの頃から動物とふれあい、責任を持って世話をするなど、適切に関わる経験を持つことが重要だと考えます。
家庭で動物を飼わない児童にとって、学校での動物飼育は「命を大切にする心を育てる」重要な機会ですが、多忙な教職員の負担や、夏場の猛暑など適正飼育の難しさ、また災害時の管理・・といった問題もあると推察します。

 学校での動物飼育のサポートとして、新潟県獣医師会による学校飼育動物支援事業 があり、飼育動物の健康診断や、飼育指導、感染症に関する知識の普及と保健衛生指導などを行い、新潟市、三条市、燕市、佐渡市が委託契約しています。

 一方、新潟県動物愛護センター や、民間動物愛護団体「新潟動物ネットワーク(NDN) 」では、学校派遣事業を通して、身近な小動物の生理や習性、ふれあう方法、飼い主としての責任等を教えており、学校での動物飼育とは別に、動物を知る・関わる機会をつくることは可能と考えます。

そこで質問ですが・・本市の学校教育活動における動物とのふれあい、飼い主となる責任を学ぶ機会の創出について、現状と課題・今後の展望を伺うとともに、学校で飼育されている動物に対し、災害発生時の救護策がどのように講じられているか、お聞かせください。

教育長

 市内の小学校では20校中19校でヤギ、ウサギ、モルモット、ハムスター等の動物を飼育、あるいは飼育予定にしています。飼育活動を通して動物が生命を持っていることや、成長していることに気付き、生き物への親しみを持ち、大切にしようという気持ちを育てることを目標としています。
 一方でご指摘にもあるように、休日や長期休業中に学級担任の負担が大きい、動物が病気になった場合の対応・動物アレルギー児童への対応が難しい、借入先の確保が困難である等の課題もございます。
次に新潟県動物愛護センターについては、施設の見学を通して動物と触れ合える、あるいは飼育方法を学ぶ機会として、2校が活用していると聞いています。災害発生時の救護策については、各学校で児童の安全を最優先にしながらも、動物の救護策をそれぞれ考えているところです。 例えば中型、小型動物はケージによる搬出、その後、担任による一時預かり、そして大型動物は借入先への速やかな返却等も想定しているところです。
 児童が大切に育てている動物の救護については、今後も獣医師会、動物愛護センター等の専門家と相談しながら、対策を講じたいと考えております。

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近藤

 今ほど学校での動物飼育の教育効果について伺いました。色々と大変な面もあるかと思いますが、動物を飼うことによって、子ども達の心の成長には大きな意味を持つかと思います。
 近年ではアニマルウェルフェア=動物福祉という考えがありまして、動物にとっての苦痛やストレスを取り除き、安心できる環境で飼うという、つまりは飼育環境への配慮が国際的にも求められています。ですので獣医師との相談等の時に、今飼っている状況がどうなのかというところも確認していただきたいと思いますし、また子ども達にも、物言えぬ動物たちの心と体に寄り添い、思いやりを持って学校での動物飼育にあたっていただきたいと思います。

次の質問は、9/7のNHK新潟ニュース でも取り上げられていましたが、

(2)殺処分ゼロに向けて ア)適正飼育推進のための連携 について伺います。

 新潟県動物愛護管理推進計画では犬猫の殺処分ゼロを目標としています。令和2年度、新潟県が収容した犬猫は合計1867頭、そのうち殺処分されたのは犬8頭、猫398頭で計406頭でした。
 10年前は2000頭以上、5年前は1000頭近く殺処分されていたのに比べれば、かなり減りましたが、犬は病気等、致し方ない事情と伺っていますが、猫は収容頭数の24.2%、つまり4頭中1頭が殺処分されています。

新潟県動物愛護センター統計情報

 殺処分された猫の約6割は、多頭飼育崩壊によるものだそうです。多頭飼育崩壊とは無秩序にペットが増え、飼い主が適正に飼育できる数を超えた結果、経済的にも破綻し、適正飼育ができなくなる状況を指します。不衛生な環境で動物間での病気のまん延、共食いなどが起こり、悪臭や衛生害虫の発生により近隣とのトラブルとなる事例も多数報告されています。
 多頭飼育崩壊を起こす方々は、精神的・身体的・経済的な問題を抱えている傾向があるともいわれます。また猫は繁殖力が高く、体の構造上1回の交尾でほぼ100%妊娠します。多頭飼育崩壊を防ぐには、飼っている頭数が少ないうちに不妊・去勢手術を施すことが重要ですが、飼育者にそれを理解・実践していただくことが課題です。

 また、ひとり暮らしの高齢者の急な入院や施設入所、死去などにより、飼っていたペットが取り残されるケースもあります。
 動物愛護管理法では、飼い主の責務として、①動物の習性等を正しく理解し、最後まで責任をもって飼うこと、②人に危害を加えない、近隣に迷惑をかけないようにすること、③むやみに繁殖させないこと ④動物による感染症の知識を持つこと ⑤盗難や迷子を防ぐため、所有者を明らかにすること・を挙げています。
 ひとり暮らしの高齢者がペットを飼う場合、飼い主としての責任を果たせるか、もし自分の身に何かあった場合にペットをどうするのか、対応を決めておく必要があると思います。

 さて、こうした問題を抱える飼育者は、民生委員、町内会長、ケアマネ、地域包括支援センター、社会福祉協議会などが関わり、福祉面での支援や見守りを受けている可能性が高いと考えます。また動物については保健所や県動物愛護センター、県から委嘱された動物愛護推進員、民間の動物愛護団体などが、保護や啓発を進めています。

そこで質問ですが・・柏崎市として、これらの関係者・関係機関と連携し、多頭飼育崩壊の防止や高齢者のペット問題に対応し、適正飼育を推進していってはどうかと考えますが、見解を伺います。

市民生活部長

 新潟県では平成20(2008)年に新潟県動物愛護管理推進計画を定め、平成24(2012)年には新潟県動物愛護センターを設置することで、適正飼育を推進し、人と動物が共生する心豊かな社会の実現に向けて取り組んでおります。多頭飼育崩壊や独居高齢者の飼い猫等への殺処分の対応については、一義的には新潟県が主体となって行うものと認識しています。必要とされる情報の提供に市としても務めてまいりたいと考えております。

近藤

 基本的には県が主体でも、飼育者となる方々とのつながりは市が持っているものと思いますので、適正飼育に対する知識などを持っていただいて、動物を飼っている方が見守りや支援の対象だった場合は、「不妊手術はしていますか?」という声掛けをするなど、もう少しそういう関わり方をしていただければと思います。

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 さて、殺処分の対象には野良猫も多く含まれます。過去に相澤宗一議員、布施学議員も一般質問されましたが、不幸な野良猫を減らしたいという願いを込めて、

イ)野良猫繁殖に伴う課題と地域猫活動の推進 について伺います。

 環境省が発行した「もっと飼いたい?犬や猫の複数頭・多頭飼育を始める前に 」というパンフレットでは、【野良猫に餌をやり繁殖させる行為は、屋外での猫の複数頭飼育である】として、警鐘を鳴らしています。要約すれば、「屋外でむやみに猫に餌をやることは、多くの場合、近隣とのトラブルの原因になる。猫に餌を与えて猫を集めれば子猫が生まれ、1頭のメス猫が1年後は約80頭に増える計算となり、一人が世話できる頭数をはるかに超える。
 もし不妊去勢手術を行っていないのに、数がそれほど増えていないのであれば、生まれた子猫はどこかで死んでいる」ということです。
また野良猫が糞尿、ゴミの散乱、毛の飛散、騒音、物品の破損などの被害を及ぼした場合、その猫に餌を与えていた人が飼い主と見なされ、民事訴訟により損害賠償請求された判例も紹介されています。

 仮に途中で餌やりを止めれば、野良猫は餌を求めて移動し、ゴミや小動物を食べて命をつなぎ、更なる繁殖と悲惨な死を繰り返します。交通事故や病気で死んでいく野良猫は、殺処分数よりも多いとさえ言われています。こうした負の連鎖を止めるためにも、野良猫に餌をあげた人には責任を持って最後まで関わっていただきたい・・それが県による野良猫の不妊去勢手術の補助金の真意だと思います。

例えば五泉市HP「野良猫への無責任な餌やりはやめてください」 では「餌やりをする場合は責任を持って適正な管理をお願いします」として、●近所の理解を得ること、●エサを与える場所・時間を決め、猫が食べ終わったらすぐ片づけること●自宅敷地内にトイレを設置するなどして糞尿の始末をすること、●不妊去勢手術を行うこと・・つまり地域猫活動の具体的な実践方法を紹介しています。

そこで質問ですが・・本市においても、単に野良猫の不妊・去勢手術の県の補助金を紹介するだけでなく、本来の目的である地域猫活動の推進につながるよう発信してはどうかと考えますが、見解をお聞かせください。

市民生活部長

 議員ご指摘の通り今なお多くの猫の殺処分が行われており、その半数以上が飼い主のいない猫等を確保しております。地域猫活動とは地域住民の合意のもとに、不妊・去勢手術を行い、決まった時間・場所でのエサやりや、トイレの管理等、一代限りの命を見守る制度となっております。が、実際に合意を得て活動に取り組むのは難しいものと考えております。そのため6月定例会議の布施議員への質問でもお答えしましたが、飼い主のいない猫の繁殖を防ぐ為、まずは新潟県が実施している不妊・去勢手術に対しての、手術費の助成制度の啓発に努めてまいりたいと考えておりますので、ご理解いただきたいと思います。

近藤
 県の不妊・去勢手術の助成ですが、地域猫にすることが条件であり、元野良猫を県の助成金を使って不妊・去勢手術をして、自分の家の中に入れて飼いました・・というのは助成対象にならないと言われています。野良猫たちを保護して人に馴らさせ、飼い主を見つけるという活動をしている民間の団体もありますし、そうできればいちばんいいんですが、ただやはり、一時の感情だけで可哀想だからとエサをやることが、どういうことを招くのか・・ということは、もう少し皆さんに理解していただきたいと思います。

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(3)災害時の動物救済と動物愛護管理担当職員の配置

 災害時のペット救済についても過去の一般質問で取り上げられていますが、ここ数年で状況変更が生じていることから、あらためて質問させていただきます。
 今年6月に示された「柏崎市地域防災計画」修正案では、愛玩動物の保護対策として、【ペット同行避難を受け入れる避難所を開設し、飼い主が自らの責任の下、ペットを適切に飼養し続けることができるよう支援する。】ことが示されました。
 また市の責務として、ペットを同行できる避難所の情報をあらかじめ住民に提供するよう努め、避難訓練時には動物の同行避難にも配慮すること、災害時に県と関係機関が設置する「動物救済本部」に対し、避難所・仮設住宅における動物の情報提供及び活動支援を行うことも追加されています。
 また県は、災害発生時の避難所におけるペット受け入れ体制の整備等が円滑に進むよう、「市町村、避難所運営者のためのペット同行避難所運営マニュアル(新潟県ペット同行避難所運営マニュアル) 」を作成し、かなり具体的なノウハウを提示しています。

 このように災害時のペット同行避難は防災計画上「行うべきこと」として位置付けられましたが、実現するには災害時に避難所を運営する自主防災会の理解と協力が不可欠です。
 また柏崎市地域防災計画では、ペット保護に関する災害時の対応窓口は、市民生活部救助班としていますが、担当者は日頃から動物愛護管理に携わることが望ましいと感じます。

改正動物愛護法(第37条の3)では、【指定都市及び中核市以外の市町村は、条例で定めるところにより、動物愛護管理担当職員を置くよう努めることとする。】と定めています。
環境省の通知では、「動物愛護管理担当職員は、原則として獣医師の資格を持つ者が望ましいが、動物の適正な飼養及び管理に関し、専門的な知識を有する者でも可能」としています。
日常的に動物の愛護管理を専門的に担当する職員を配置することで、国や県と連動した動物愛護や適正飼育の普及・啓発、そして災害時のペット保護対策を円滑に行えるのではないでしょうか。

そこで質問ですが・・・災害時のペット同行避難を具体化するにあたり、各自主防災会との連携・調整の進捗状況および今後の取組をどうするか、また災害時を含む動物愛護管理行政の専門職員の配置について、見解をお聞かせください。

市民生活部長

 まず災害時のペット同行避難に対する各自主防災会との連携・調整および今後の取組についてお答えします。本市の災害時のペット同行避難に関しては、議員のおっしゃる通り、令和3(2021)年に地域防災計画に詳細を盛り込んだところではあります。しかしながら、その具体化については検討が進んでいない状態であります。これは中越沖地震の際に、総合体育館においても混乱を生じさせた、ペットをお持ちの方とそうでない方の考え方の違い、犬や猫のみならず大型爬虫類や両生類の取扱い等々、簡単には解決できない現実的問題が多々あるからであります。課題として認識しつつ、県と避難所を運営する自主防災会とも相談しながら、人命を最優先した上で、動物愛護法の精神に基づいた個別の対応をとっていくしかないと現時点では考えております。
 次に動物愛護管理担当職員につきましては、現状の職員数および業務量の観点から、日常的な配置は難しいところでありますが、災害時に愛玩動物保護対策等の職務を円滑に遂行できるような、体制づくりが可能となるよう努めてまいります。

近藤
 災害時のペット同行避難(の検討)が進んでいないということですが、そうであれば計画に入れた意味合いは何なのか、ということになります。正直、絵に描いた餅にはしてほしくありませんし、また個々の避難所(コミセン)でペット防災に関する勉強会したという情報もありますので・・。
 検討が進まないと言っていても、いつ災害が起こるかわかりませんから、県の方でも明確なマニュアルを出していますので、そこはきっちりと進めていただければと思います。
 人と動物がともに幸せに暮らせる社会とは、人々が責任を持って行動し、他者をいたわり、互いを思いやる社会だと思います。平和で心豊かに暮らせる柏崎市となるように私自身も取り組んで行きたいと思います。

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