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2021年7月

2021年7月26日 (月)

新型コロナ・ワクチン接種の目的

新型コロナワクチン接種後にご家族が重い副反応に苦しまれたという方から

「コロナワクチンは治験中の劇薬である。リスクやデメリットを示さず、柏崎市が『打て打て!』というのはおかしいのではないか」

とのご意見をいただきました。

あわせて泉大津市長のメッセージもご紹介いただいています。

泉大津市長メッセージ

私の親しい友人も1回目のワクチン接種後に体調不良となり、肝臓の数値が悪化するなど、しばらく苦しい状態が続きました。

ですから、ワクチン接種に否定的・懐疑的な方のお気持ちはお察ししますし、任意接種ですから無理に打つ必要はないと思います。

しかしながら、私自身はコロナ・ワクチン接種を否定するつもりはありません、

そもそも新型コロナ・ワクチン接種は国策です。


【内閣府】新型コロナ・ワクチン接種の目的

目的は

・感染症の発症予防
・死亡者・重傷者の発生を減らす
・(結果として)感染症のまん延を防ぐ

であり、国の指示のもと、都道府県の協力により、市町村が実施しています。

市町村の主な役割は

・医療機関との委託契約、接種費用の支払
・住民への接種勧奨、個別通知(予診票、接種券)
・接種手続等に関する一般相談対応
・健康被害救済の申請受付、給付
・集団的な接種を行う場合の会場確保

そしてワクチン接種は「努力義務」 であり、強制するものではありません。

また実際に「予防接種を受けることができない人」もいます。(発熱、急性疾患、過敏性の既往歴など)

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そして泉大津市長のメッセージに対しても、ワクチンは治験中の劇薬とする説についても、反論する見解は出されています。

泉大津市長のメッセージに対する反論

コロナ・ワクチン治験について

様々な情報が溢れていますが、その人が何を信じるのかによって、取捨選択は変わってきます。

特にSNSは「信じたい情報」が優先的に流れてくる機能があります。

ここから先は私が直接お聞きした話です。

1回目のワクチン接種後に苦しんだ友人は、熟慮の末、2回目のワクチン接種を行いました。

ワクチン接種の意味、副反応についても理解を深め、「接種後は寝込むことを想定して」2回目に臨んだそうです。

予想通り接種後の副反応はあったものの、3日後には通常の生活に戻ったと、明るく話していました。

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また新型コロナ感染者を受け入れている医療機関の看護師である友人からは、このように言われました。

「重症化した患者さんで病床が埋まっていくのを見て危機感を覚えます。ワクチン接種を進めて、重症化を食い止め、集団免疫を獲得できるよう願っています。」

介護現場で働く方々も、「感染者を出せばクラスター化する」「感染したら重症化・死亡するかもしれない」との危機感を持って、神経を張り詰めて働いていらっしゃいます。

繰り返しになりますが、コロナ・ワクチンは任意接種ですから、打たない自由があり、接種しない人が攻撃されるようなことは、あってはならないと思います。

しかし同時に、コロナ・ワクチン接種を選択すること・進めることを阻む(責める)ような表現・行動も慎むべきだと思います。

そして私自身はリスクも承知した上で接種を希望していますし、「打たないことを推奨しない」ということを明言しておきます。

2021年7月14日 (水)

【勉強会】貧困の実態と支援策

柏崎市議会1期生は不定期に勉強会を開催しています。

6月30日に「貧困」をテーマに意見交換を行いました。

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その結果を受けて市の福祉課・子育て支援課から「貧困の実態と支援策」について教えていただきました。

(参加:秋間一英議員、星野幸彦議員、田邉優香議員、白川正志議員、近藤)

ーーーーーーー

1.柏崎市における「貧困」の実態と支援策(福祉課)

●貧困の定義

・独自の定義付けはないが、市の総合計画の中では「生活困窮者」と表現。
・最低限度の生活が維持できないおそれある。
・衣食住の最低条件満たされない。
(一般的な貧困の捉え方)
・施策としては福祉課援護係の管轄。

●支援策

★生活保護(福祉課援護係)
・生活保護=憲法が補償する最低限度の生活を支える制度。生活困窮者の保護。
・申請を受けて速やかな支援スタート

★生活困窮者支援(福祉事務所=社会福祉協議会内)
・自立相談支援:支援プランに沿って生活困窮状態の解消を目指す。
・住居確保給付金、家計改善支援事業、就労準備支援事業、子どもの学習・生活支援事業
・生活困窮者は最低限度の生活ができない恐れがある=貧困。
・生活保護の前段階として位置付ける。

<社協との連携>
・社協の行う生活困窮者支援で生活の立て直しができれば、生活保護には至らない。
・貸付でなく生活保護が適切なケースは社協⇒福祉課に連絡。生活保護の相談につながる。

*貧困状態からの脱却=生活保護からの脱却。
*当座のサポートにより今の生活を安定させた後、生活困窮からの脱却を支援。

●現状と経年推移(コロナ禍前後)

★生活保護 
・R元年度:452世帯、562人
・R2年度:475世帯、579人
(施設入所の保護費が支給されない場合もある)

★生活困窮者自立支援事業
・R元年度:相談者221人(新規139人)終了22人
・R2年度:相談者450人(新規359人)終了11人
・相談内容は「福祉資金」が7倍
 R元年103件→R2年729件

★生活福祉資金(実施主体:市町村社協)
・厚生労働省の要綱にもとづく貸付制度。
・他の貸付制度などが利用できない低所得世帯や障がい者・高齢者世帯の経済的自立と生活安定を目指す。
・借入申込時から貸付・償還が終わるまで、民生委員や市町村社協が窓口となり生活の安定・向上に必要な相談支援活動を行う。
・この資金を活用することにより、生活の安定や立て直しを図ることを目的とする。

★緊急小口資金(130件)
新型コロナウイルス感染症の影響によって休業になったり仕事が減ったことで収入が減少した人に、緊急かつ一時的な生計維持のための生活費を貸し付ける。

★総合支援資金(22件)
新型コロナウイルス感染症の影響によって失業したり仕事が減ったことで収入が減少し、その収入減少が長期にわたることで日常生活の維持が困難な人に、生活の立て直しまでの一定期間(3か月)の生活費を貸し付ける。

(最長3か月の貸付、再貸付あり)

生活困窮者自立支援事業(2019~2020年)

●相談・支援の種別と傾向

・生活保護では医療扶助、生活扶助、住宅扶助が多い。
・生活困窮者自立支援事業では家計改善支援、福祉資金貸付が多い。
・生活保護の相談・最後のセーフティネット。
・前段階の生活困窮状態から解決できるケースもある。
・助言:面接相談員から支援策を紹介する。
・個々の困りごとにあわせてつなぐ。
・生活保護は権利として遠慮なく申請していただく。

●改善・解決事例

・公営住宅に住む方の相談から、減免対象なのに手続きされていないことがわかり、手続きして生活を改善。
・失業保険の手続きが必要な方をハローワークにつなぐ。
・本人だけでなく関係機関から連絡があり相談につながるケースもある。

★基本パターン
・生活保護前段階での対応が重要
・難しければ生活保護申請
⇒貧困状態に陥らせないようにする。

2,子どもの貧困について(子育て支援課)

●実態把握と支援

・母子手帳交付時、乳幼児健診、児童虐待など養育相談、女性相談の時に家庭状況を聞き取り。
・困窮している場合は福祉課や社会福祉協議会につなぐ。
・子ども食堂団体に関係する通知を送付。

★子ども食堂-現在7か所。
・定期的(月1)に活動中-3か所、休止中4か所(うち1か所は8月から再開予定)
・社協のこども食堂は今年3月末に終了。
・活動実績から、貧困対策というよりも「居場所」としての役割が高いのではないか。

相談や支援の事例

・引っ越しを繰り返す世帯に課題を抱えている事例が少なくない傾向がある。

<具体的な支援内容>
・初回相談での聴き取りで関係課につなぐ。
・生活保護申請の意向がある場合は状況に応じて福祉課に同行。
・未成年で出産後のサポートが得られない場合等は、状況に応じて、産後1か月は頻回な訪問を行い、重点的な支援を行う。

★子どもの貧困=親の貧困の解消が重要。

【質疑応答】

Q1)生活保護の却下はなぜ?
A1)生活保護制度が定める生活費を上回る収入があり、生活保護を要しないと判定された場合は却下される。

Q2)就労しながらも生活保護を受給するケースはあるのか。
A2)就労していても国が定める所得(1か月の最低賃金)に満たない場合は受給対象となる。病気で医療費がかかるケースも。

Q3)収入と生活水準のバランスがとれず生活困窮に陥るケースもあるのか。
A3)金銭感覚と生活が釣り合わず(収支バランスがとれずやりくりできない)、家計改善支援事業の対象となるケースもある。

Q4)報道に見られるようにコロナ禍の影響で貧困状態に陥っている人は柏崎市にはいないのか。
A4)社協の福祉資金借りている人は増えている。生活保護申請は一時的に増えたが現在は平年並み。支援につなぐことで貧困に陥るのを防いでいると考える。

Q5)生活保護からの脱却難しいのか。生活改善の努力はしているか。
A5)ケースワーカーが需給中は実態把握する。家計管理に問題あるケースが少なくない。必要に応じて支援・指導・指示、医療機関での適切な受診も。需給開始後に対応をスタートする。

Q6)住宅についての支援内訳は。
A6)アパートの家賃等補助が多い。

Q7)生活保護を受けたいが、ボロボロの住居が固定資産となり、申請しても対象にならないようなケースはどうするのか。
A7)住宅の売却により資金をつくるなどの方法もあるが、行政は介入しない。

Q8)フードバンクは生活困窮者に届いているか。他の自治体では庁舎内で食料品を回収しているが柏崎市の対応は。
A8)社協を通して連絡が行く仕組みになっている。回収は期限の確認や管理の問題などがあり庁舎内では難しい。

Q9)日々の食事に困るケースはないか。
A9)一時的なつなぎとして食糧支援はある。

Q10)医療扶助費の内訳を分析して各課横断的な予防策をとっているか。
A10)医療扶助費の内容は毎年変動があり、・要員分析はしていない。対策としては国が生活保護事業者への健康管理支援として、R2年1月から健康管理と自立をはかるための予防支援を福祉事務所に通達。

Q11)コロナ禍での総合支援資金、小口貸付の返済は。
A11)コロナ要因の特例貸付は猶予期間を置く。償還期間中に生活の立て直しをはかるが免除申請もできることになっている。

ーーーーーー

本市では生活保護や生活困窮者自立支援事業等の支援策につなぐことで、貧困状態に陥ることを防いでいると理解しました。
特に社会的要因で生活困窮に陥った方々については、既存施策によってある程度カバーできているのだろうと思います。
ただし生活困窮に陥る要因が本人の(発達)特性にある場合は、根本的な生活改善が難しく、包括的かつ長期的な支援と考えます。
また「子どもの貧困は親の貧困」とのお話もあり、親と子の社会的な孤立を防ぎ、適切な支援につなげることが重要であると感じました。
今後は、こども食堂やフードバンク等の社会資源を市や社協がどう捉え、連携・役割分担をしていくかという課題もあり、引き続き研究していきたいと思います。

2021年7月13日 (火)

野生動物の生態と被害対策

7月13日、会派:柏崎の風の山本博文議員プロデュースによる、鳥獣被害対策研修会「鳥獣被害の現状と対策について」に参加しました。

講師は山本 麻希 先生。鳥獣被害対策のパイオニアとしてご活躍されています。

(プロフィール)
・国立大学法人 長岡技術科学大学准教授
・NPO法人 新潟ワイルドライフリサーチ副代表
株式会社うぃるこ 代表取締役社長
・環境省 鳥獣保護管理プランナー

主な内容は以下の通りです。

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【野生動物の生態と被害対策について】

1,イノシシの生態と被害 

<生態>
・体重50~150㎏
・昼行性(集落周辺では夜行性)
・50km/時で移動
・1mジャンプする
・春~秋出産(平均4.5頭)
・寿命10歳以下
・増加率1.64倍
・西日本から東北へ分布中
・川を伝って移動する

<被害>
①農作物被害(特に水稲)
②生活被害 
③交通事故
④人身被害 

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2,イノシシの被害対策 

<野生動物被害対策の3本柱>

①被害防除(人):電気柵などで農作物を守って被害を減らす直接的防除

・光、音、においの忌避効果→最初だけ。

★電気柵の効果と注意点
・「痛い」ことを学習させて進入を防ぐ
・生態を考慮して設置しないと効果が出ない(高さ・設置場所等)
・電気柵を張ると他の地域に移動、都市部への出没原因になる
・電気柵の設置と同時に捕獲が必要(捕らないと減らない)
・仕組みを理解し無理なく管理し、導入後は設置指導・策をチェックする体制を整備する

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②個体数管理(動物):野生動物の数を管理して被害を減らす直接的防除

・農水省の目標捕獲数は年間65万頭。H30年度:全国60万頭、新潟県4000頭。
・減らすには7割以上の捕獲が必要だが、狩猟者が高齢化し減少している
・積雪で効率よい冬に生息地(山)で狩猟、夏に加害個体を罠で捕獲するとよい
・罠:箱罠、くくり罠など→いちど捕獲に失敗すると学習し再度は罠にかからない
・見回りするタイミングも重要(センサー利用など)

③生息地管理(環境):集落周辺の草刈り等による間接的防除

・餌付け要因の排除:家庭生ごみはコンポストへ
・柿・栗など果樹はきちんと収穫し、放置果樹は伐採
・竹林、耕作放棄地もイノシシが好む環境
・隠れ場所をなくす(緩衝帯の設置)

3,中型獣類の生態と被害対策

・アライグマ、ハクビシンは外来種。特にアライグマは早期の駆除が必要。

★アライグマ:新たな脅威
・夜行性で水辺を好む
・植物・動物ともに餌とする(両生類等)
・年増加率48%
・トウモロコシ、スイカ、メロン、養魚などで被害が発生
・寺社をねぐらにし、文化財被害も報告されている
・狂犬病など感染症を媒介する恐れがある
・現在、新潟県内でアライグマの分布調査を実施、確実に広がってきている

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【主な質疑】
Q1)昨今のジビエブームの影響を受け、ジビエ産業は成り立つか。

A1)解体処理施設で一人雇うには300頭/年が必要だが、利活用率10%なので3000頭/年は捕獲しなければ採算が合わない。(農家民宿等で地元狩猟者から提供された肉を用いてジビエ料理を出すケースはある。)

Q2)アライグマ駆除の具体的な対策は。

A2)自治体で防除計画を策定することが必要。

ーーーーーー

すでに柏崎市内でも多くの被害が報告されているイノシシ、そして新たな脅威であるアライグマを中心に、生態を考慮した対策が必要であることを学びました。

イノシシ対策の電気柵や罠はただ設置するだけではなく、習性や運動能力を考慮しなければ効果が上がらないこと、また最終的には捕獲しなければ根源的解決にならないことが理解できました。

また新たな脅威であるアライグマは、某テレビアニメの影響もあり「かわいい」イメージが浸透(実際にかわいらしい)しているものの、日本の生態系破壊につながる恐れがあるそうです。

「増えてから対策するのでは遅い」ため、増える前に理解促進・条例整備などを進めていかなければならないと感じました。

山本先生、そして山本議員、ありがとうございました。

 

2021年7月11日 (日)

通学路の安全対策

6月29日、千葉県八街市で下校途中の小学生の列にトラックが突っ込み、児童5人が死傷する痛ましい事故が起きました。
トラックのドライバーが飲酒運転だったことに加え、以下の点も問題となっています。

●2014年にPTAなどが現場の市道にガードレール設置を市に要望していた

●2016年11月にも国道を走っていたトラックが登校中の児童の列に突っ込み4人が重軽傷を負う事故が起きていた

●市は財源不足を理由に本市道への対応が先送りとなっていた

この事故を受けて

●菅総理が早急な対応を指示、現場に献花

●一億総活躍担当大臣(交通安全対策担当)が、通学路の安全確保と飲酒運転の根絶を柱とする対策を早急に取りまとめる考えを示す

●菅総理と八街市長が面会し、危険な通学路でのスクールバスの運行について、先行的に支援策を検討する考えを伝える

といった報道がなされています。

また新潟日報では2021.7.6「通学路の危険 隣り合わせ 千葉・八街の事故に不安の声多数」 との特集を組んでいます。

柏崎市における通学路の安全対策としては、平成24(2012)年に、全国で登下校中の児童生徒が死傷する事故が相次いで発生したことから、文部科学省の通知を踏まえ、同年8月に道路を管理する国・県・市・所轄警察署と、教育委員会、小学校、PTAなどの各機関が連携して、緊急合同点検を行いました。点検結果は関係機関で協議し、必要な改善を行っています。

平成26(2014)年11月には、関係機関が相互に連携し、通学路の交通安全確保に取り組むことを目的に「柏崎市通学路安全推進協議会」を組織し、「柏崎市通学路交通安全プログラム」を策定しました。

それ以降、毎年定期的に実態把握→対策の検討→定期合同点検→対策の実施→効果の検証→改善・充実と、PDCAサイクルを回しながら対策をとっています。

柏崎市 通学路交通安全プログラム

今般の報道を受けてのお問合せもいただき、担当課に確認したところ、今年度はこれまで8月に行っていた定期合同点検を夏休み前に実施するそうです。

この他にも通学路の交通立哨ボランティアを長年行う方々もいらして、頭が下がります。

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ハード整備は大切ですが終わりはなく、時間と費用がかかります。
早急にできることは、交通安全ルールの順守・徹底ではないかと思います。
飲酒運転など言語道断ですが、道路を横断しようとする歩行者がいても止まらない、見通しの悪い道でスピードを出す、といった車は少なくありません。

これ忘れてない? 曖昧になりがちな交通ルールをおさらい

また自転車運転も同様です。

自転車は車のなかま~自転車はルールを守って安全運転~(警察庁)

私自身も気を付けなければ・・。

ハード・ソフト両面から歩行者そして児童の安全を守っていかなければならないと感じるところです。

2021年7月10日 (土)

安倍前総理 時局講演

7月10日、細田健一衆議院議員の国政報告会に安倍晋三前総理が登場。時局講演を行いました。
開催前に市町村長・議員・自民党各支部長を対象とした懇談会も30分程度開催されました。

以下、双方をまとめての安倍前総理の講演内容メモです。

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<2区公認問題>
支部長が選挙時の公認になることは党の規約で決まっている。
鷲尾氏は自民党に入る時、細田氏が2区支部長であることを了解することを条件にしていたはず。
自民党は責任政党であり、時には国民にウケが悪いことも、将来の課題解決のためには訴えなければならない。
細田氏はこれまで責任政党の候補として、不人気な政策を掲げて厳しい選挙を戦ってきた。
鷲尾氏の能力を生かせるよう、県連と党本部で適切な処遇を考えていただきたい。

<新型コロナウイルス対策>
現在の最大の課題はコロナ・ワクチン接種を迅速に進めること。
65歳以上の6割が1回目接種が終わり、感染率は20%だったが、ワクチン接種以降7%に下がった。
ワクチンを供給できないことは申し訳ない。在庫を申込が上回ってしまった。
接種は120万回/日行っていて、世界的に見ても早い。

再び緊急事態宣言が首都圏で出され、大きな経済的打撃を受けている。支援をしっかり行うべき。
令和3年度の就職率は維持、失業率も3%だが、思い切った経済政策が必要。
政府は200兆円の事業規模予算を組み、100兆円の財政出動を行った。
政府が持ち株5割を占める日本銀行が札を増刷→国債を発行しているため将来的な負担は少ない。
インフレと円の下落が心配されたが今のところ落ち着いている。
これまでとは違う異次元の政策が必要。

<これまでの経済対策>
第二次安倍政権がスタートした2012年、経済はどん底だった。
デフレ不況で円高が行き過ぎ、連鎖倒産が続いていた。

アベノミクス3本の矢により金融政策を経済の柱にした結果、雇用が増えた。
元々の雇用400万人に加えて女性300万人、65歳以上300万人が働くようになった。
15~65歳人口が減っているが、女性と高齢者が働くことで労働力不足の解消に。
正社員の有効求人倍率も1.56→1.75まで上がった。
コロナ禍により観光が厳しい状況だが、下支えしてV字回復をはかるべき。

<外交>
外交面では2012年当時、日本は世界の中で希薄な存在。
アメリカとの信頼が崩れ、日米同盟が危うい状態だった。
日米同盟の本質は日本が侵略されたらアメリカの兵士が日本のために血を流すということ。
極東の平和と安全を維持するために、日本は基地を提供する。
互いに助け合う関係のために平和安全法制がある。
平和安全法制により日米共同訓練は年間29回から49回に増え、日米関係は改善されている。

トランプ大統領は拉致問題に理解を示した。
家族会との面会にも時間を割いて丁寧に訴えに耳を傾けた。
拉致問題解決のためには、北朝鮮の独裁者を追い詰めることが必要。
経済制裁に加え、現体制はもたないとの危機感を与えるべき。
トランプ大統領時代に対話型交渉に切り替えたが米朝合意に至らず残念。
しかし国際社会による経済制裁は生きている。
北朝鮮は海上ルートによる石油禁輸を行いたいが、海上自衛隊が抑えている。

外交面での最大の課題は中国とどう向き合うか。
経済成長の著しい中国が国際ルールを守れば日本も経済的なチャンスがある。
ここ30年間で中国の軍事費は42倍となり、連日尖閣諸島への領海侵入を行っている。
中国が間違った方向へ行かないよう、日本は強い態度で臨むべき。
中国のウイグル族への弾圧に対する非難決議を先の国会で提出見送りとなったが、次回では必ず成立させたい。

<憲法改正>
自衛隊は常に最前線で国民を守っているが、現行憲法ではいまだ違憲論争が絶えない。
中国、ロシアの領空・領海侵犯にスクランブルを出すのは自衛隊。
災害時にも最前線で救助・復旧活動にあたる。
自衛隊に対する違憲論争に終止符を打ちたい。
全国80校の高校生3000人に対するアンケート調査では、憲法改正の趣旨を説明する前と後では賛成が17%増えた。
丁寧な説明により国民理解のもとで進めることが必要。

<エネルギー問題>
熱海市の土石流起点付近に太陽光発電設備が設置され、現在調査が行われている。
山林を切り開いて太陽光パネルを設置すれば治水機能が低下し、土砂災害の要因となる。
日本での太陽光発電には限界がある。
再生可能エネルギーにおいては風力発電をメインに進めるべき。
再生可能エネルギーは周波数が安定しない為、工業製品をつくるには向かない。
ベースロード電源として石炭火力、原子力発電は必要。

<東京五輪>
オリンピック・パラリンピックは「自国ファースト」になってはいけない(ワクチンにも言えること)。
今だからこそ世界中が助け合い成功させることに意義がある。
世界に自由と民主、勇気、夢、希望を与えるオリンピック・パラリンピックであってほしい。

ーーーーーー

安倍前総理は少し瘦せられたもののお元気そうで、やはりオーラがありました。

日米首脳会談でのトランプ前大統領とのエピソードとして、「シンゾー(安倍前総理)にとって拉致は重要なことか?」と問われ、「日本にとって重要」と答えたところ、「よしわかった」と時間を割き、拉致被害者ご家族の話に誠実に耳を傾けたそうです。またご家族からの手紙も英訳して大統領室デスクの一番上に置くよう、その場で支持を出したとのこと。

こうしたお話を通して、安倍前総理の温かく誠実なお人柄が、各国首脳との信頼関係を構築してきたことが伝わってきました。

リーダーとは現実的な根拠・軸足のもと、希望につながる存在であることが望ましいのだと、あらためて感じました。

2021年7月 9日 (金)

十日町プチ視察

7/9(金)、十日町市議会議員・大嶋由紀子さんからご案内いただきプチ視察へ。

まずは「十日町産業文化発信館いこて」にてランチタイム。

◼️いこて(公式サイト)

◼️いこて(Facebookページ

こちらの施設は、中心市街地活性化のための文化交流施設です。
元々は震災で被災し廃業した娯楽施設を市が取得・取り壊しを行い、民間事業者を公募、国県市の補助金等を利用して建設されているとのことです。1階はカフェレストラン、2階は多目的スペースになっています。


カフェレストランは明るく清潔かつお洒落で、店員さんの接遇が抜群です。感染症対策もきちんと行われていました。
平日でもたくさんのお客様で賑わっていましたが、昨年から続く新型コロナウイルス感染症の影響はやはり受けているとのこと。
コロナ禍で苦しむ地元飲食店の力になりたい・・と、大嶋さんの選挙期間中はこちらのお弁当を注文していたので、私も選挙のお手伝いに伺った時に2度いただいています。

今回は店内で、ゆっくり美味しくいただきました。

地元食材を多く使ったメニューを通して「十日町の食」を知ることができ、店内の様々な情報媒体とともに「産業文化発信館」の名にふさわしい施設だと感じました。

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ランチタイムの後は、「あてま森と水辺の教室ポポラ」へ。

あてま森と水辺の教室ポポラ(公式サイト)

あてま森と水辺の教室ポポラFacebookページ

こちらは「あてま高原リゾートホテルベルナティオ 」内にある里山フィールドです。

「森のホール」の設計は有名な建築家・安藤忠雄氏によるものだそうです。

大嶋さんのご配慮で、ポポラ副館長・高橋様から施設概要説明&ご案内いただきました。

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森のホール工作体験に使う木材は、妻有地域の間伐材を利用しています。

ポポラは大嶋さんも設立・運営に尽力されている「妻有木育推進協議会」の拠点でもあります。

◼️新潟県HP 妻有木育推進協議会が設立されました!

◼️妻有木育推進協議会Facebookページ

「木育」とは木材に対する親しみや木の文化への理解を深めるため、材料としての木材の良さやその利用の意義を学ぶ教育活動だそうです。

林業や木材業の振興は柏崎市でも課題であり、現在は人材育成に力を入れています。
また今年度は柏崎産木材を使ったベンチを保育園等に提供する「かしわざ木のちから発信事業」に300万円の予算をつけています。

お隣の十日町市では周辺自治体および官民・事業者間で連携しながら、次世代につながる「木育」を進めていることに感銘を受けました。

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高橋様からは雨の中、里山やブナ林、モリアオガエルの生息地、アスレチック等をご案内いただきました。

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カーブを描くブナは、雪の重みでも折れない、しなやかな強さの象徴だそうです。

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またカエルといえば田んぼのイメージですが、モリアオガエルは森林に生息し、春になると池や沼で交尾し、水面にせりでた木や草の上に卵を産むそうです。
孵化したオタマジャクシは、そのまま落下するため、下が水面でないと育たないそうです・・。

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柏崎の里山公園「柏崎・夢の森公園 」とは違ったアプローチができる地域資源だと思いました。

高橋様、大変お世話になりました。

そして大嶋さん、色々とお気遣いいただき、本当にありがとうございました。

有意義な一日でした。

2021年7月 6日 (火)

成年後見制度に関する研修会

7月6日、柏崎市社会福祉協議会の「成年後見制度に関する研修会」に参加しました。

講師は柏崎きぼう法律事務所長・弁護士の田才淳一先生。

社協の生活困窮者自立支援事業のアドバイザーでもあり、成年後見人として12名担当されているそうです。

 

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1,成年後見制度の概要

●成年後見制度とは
本人の判断能力が精神上の障害により不十分な場合(認知症、知的障害、精神障害等)に、本人の権利や財産が侵害されないように、法律的に保護し、支える制度

●制度の考え方
①自己決定権の尊重
②福祉サービスが措置から契約へ
⇒判断能力の程度により
 補助・保佐・後見という3つの類型(法定後見制度)+任意後見制度の創設

●制度の背景
・ご本人の保護
・自己決定するにあたり判断をサポートしつつ尊重

かつては成年後見制度がなかった(禁治産制度等*財産を守る制度のみ)
福祉サービス受ける際の契約できないと、サービル利用できない。→福祉サービス受けるためにも代わりに契約できるようにする。

*判断能力不十分になる前にあらかじめ契約=任意後見制度

◆成年後見制度の理念

客観的な)
本人の保護 ⇔ ・自己決定の尊重
        ・残存能力の活用
        ・ノーマライゼーション(障がい者も健常者と同様の生活を)

制限するだけではなく本人の希望・意思決定を尊重
一定程度の判断能力あれば生かす。

それだけに成年後見は難しい。
(場合によっては対立することも・・)

2,法定後見制度~どんなときに、どの類型を使うか?

後見(本人の判断能力が欠けている常況)

・代理権、取消権の付与(同意権ではない)*同意してもその通りに動かない場合が多い
★本人がした法律行為は、すべて取消の対象となる
*まずい契約をして不利益を被る場合は取消できる
(不当な売買契約など)本人の権利が害されないように。

ただし、日常生活に関する行為を除く。
・スーパーに買い物に行き、雑貨や食料品など買ったもの全てを取り消すことはしない
・不動産や高額商品などは取消対象だが、それ以外の安価なものは対象とならない

保佐(本人の判断能力が著しく不十分)

*すべて判断できないわけではない。境目が難しい。
*最終的には医師の診断書添付⇒家裁が決める。

・重要な法律行為(民法13条1項:預金払戻、借金、不動産の処分、贈与、訴訟、相続の承認や放棄、自宅の増改築や大修繕)について同意権が付与⇒同意を得ずに本人が勝手に行った場合は取消可能

補助(本人の判断能力が不十分)

*日常生活はそれほど問題ないが重要な契約などは補助人が同意
*本人が預貯金をすべて払い戻そうとする場合、

・重要な法律行為の一部のみ、同意権付与が可能⇒同意を得ずに本人が勝手に行った場合は取消可能

Dsc_2656

3,成年後見人の出来ること、出来ないこと~これはやっても大丈夫?〇×でチェック

①本人(被後見人)の代わりに、柏崎市専用のゴミ袋を買う・・

*日常生活に関するものは取消権のみ

②本人が柏崎市専用のゴミ袋を自分で買ったことを取り消す・・

*売ってもよいが家庭裁判所の許可が必要(勝手にはできない)
*施設に入る等の状況を資料として添付

③本人との間で本人が住んでいる自宅の売買契約をする・・

本人の保護が大前提。成年後見人と利害が対立(利益相反)する場合がある。
*特別代理人or後見監督人が本人を代表

④本人の代わりに、遺言を書く・・

*判断能力が欠ける人が有効な遺言書をつくるのは難しい。
*実質証書遺言は本人の自筆が法律要件

⑤本人の治療行為について同意する・・

*医療行為の判断は同意権ない。ただし予防接種については同意権あり。(予防接種法では保護者に同意権)
*家族が成年後見人=家族として同意

成年後見人はオールマイティではない
契約行為はできるが治療行為への同意権はない
ただし家族としての同意権はある

4,成年後見監督人等の職務 

①成年後見人等の職務
②成年後見人等が欠けたとき、成年後見人等の選任を請求
③急迫の場合、必要な処分をする
④利益相反の場合

*成年後見監督人等は任意設置
*配偶者、直系血族、兄弟姉妹は就任できない(弁護士、行政書士など)

5,申立手続き 

①誰が申し立てるのか?
→本人・配偶者・四親等以内の親族など
 市長申し立ての事例も・・

②どこに申し立てるのか?
→家庭裁判所(本人の住所地の管轄)
*柏崎の場合は新潟県長岡支部裁判所
(中央町は受付のみ)

③費用はどれくらいかかるのか?
→申立費用(印紙3400円分、予約郵券約4000円)
・診断書
・戸籍謄本
・登記されていないことの証明(すでに後見人がついていないか確認)→法務局で取得
 等、必要書類取得(数千円程度)
・鑑定が必要な場合は鑑定費用(10万円程度)*例外的
・申立を弁護士に依頼する場合10~20万円程度

Dsc_2657

6,申立手続きの流れ

①申立準備
・必要書類の収集
・申立書の作成

②申立(申立書の提出)
・申立書の審査
・家裁での面接(*しない場合も)
・調査官の調査、親族照会等
(子どもによって考え・主張が異なる場合)

③審判
 審判が確定すると後見開始

④後見登記
 確定後に家裁が法務局の登記

1か月~3か月~半年
裁判所がすぐ審判出さないことが多い(申立が増えている)

◆成年後見人に就任したら・・・

⇒初回報告書(財産目録、年間収支予定表)を提出(家裁で閲覧可能)

そのために・・
 記録の閲覧、本人との面会、財産調査など

その後も毎年1回は定期報告が必要となる

重要な財産処分にあたっては裁判所の許可が必要(家を売る場合など)

7,成年後見制度のデメリット?

成年後見制度は本人の保護のための制度
⇒裁判所は、あくまで本人の保護を中心に考える
 場合によっては、硬直化した処理とならざるを得ない

(例)高齢の夫婦で子が3人いるケース

妻が認知症になり、3人の子のうち唯一地元に残った長男が成年後見人になった。
その後、元気だった夫が急死し、夫の遺産について遺産分割することになった。(夫は遺言残さず)

⇒本人と長男とでは利益が相反するので、特別代理人又は後見監督人に本人を代表してもらう必要がある。
また、本人が希望しても、基本的には法定相続分を下回る内容での遺産分割はできない。

*たとえ認知症の妻(母)が「長男に財産を多めにあげたい」と主張しても、判断能力ないとされているのでできない。

*これを避けるためには、父に遺言を書いてもらう。

7,その他の手続 

〇報酬付与の審判

後見人はボランティアではない
報酬の目安:月額2万円程度(1年分まとめて決定)
★きちんと貰った方がよい(相続発生時に取り分が多いとは限らない)

〇死後事務

後見業務の終了
終了報告、財産の引継ぎ(相続人)

*葬儀、遺産分割

8,任意後見制度~将来に備えた制度利用

*成年後見人は必ずしも家族・親族が選ばれるとは限らない
*資産が1500万円以上ある場合、弁護士や司法書士を選任
*弁護士も希望通りの相手を選任するとは限らない

●備える
・認知症になる前に、自分で任せる内容を決めたい(施設契約など)
・予め信頼できる人を自分で見極めてお願いしたい

●任意後見制度のメリット
①依頼できる内容は自由に設定できる。
②任意後見人には誰でもなれる(弁護士等専門家または家族・身内等)

●デメリット
①公正証書で任意後見契約書を作成する必要がある

②後見監督人を必ず選任する必要がある(判断能力がなくなった時からスタート)
→弁護士、司法書士(1~2万円/月)

③取消権がない(代理はあるけれど・・)

*任意後見人がいる人が、高い買い物をしてしまっても取消はできない
*設定した行為だけ可能 
*本人保護の制度としては弱い

お願いしたい人がハッキリ決まっている人には良い制度だが、成年後見と比べると大変な面もある

9,親族後見と第三者後見~後見人の担い手は誰か?

●親族後見人とは
・一般的

●第三者後見人とは
・財産が多い
・親族間で複数希望者いるが対立
→専門職などを選任

●後見制度の利用が必要な人が、必ずしも利用に結び付いていない

要因は何か?
・高齢化とともにニーズ増えているが弁護士や司法書士は限られる

後見人の受け皿づくりが必要
市民後見人に対する期待・育成が必要

10,高齢社会・障がい者福祉における後見制度の必要性

●社会的要因(高齢化の進行、少子化など)

●制度的要因(福祉サービスの社会化、措置から契約へ)

●誰もが人間らしく生きていくために絶対必要な制度

「愚行権」もある・・ギャンブルなど

制度の理念
本人の保護⇔自己決定の尊重

<質疑応答>
Q1)
成年後見人は医療行為のための同意書にサインできないが、身寄りがない被後見人が急な治療を要する時はどうすればよいか。
A1)
悩ましい問題だが制度上、同意書にサインできないことを医療側に説明する。
同意サインがないからといって診療拒否はできない。(通達も出ている)

Q2)
身寄りのない被後見人が死亡した場合、ご遺体のことや死後の事務処理等は費用も含めどうすればよいか。
A2)
被後見人が死亡した場合、その時点で後見業務は終了する。
葬儀や火葬等は成年後見業務ではないものの、誰も行う人がいない場合の事務管理を生前の成年後見担当者が行う場合はある。
業務引継ぎ先がいない場合は、火葬や供養等の最低限の事務を行い、相続財産管理人を選任依頼→事務管理費用を請求する。
財産がまったく無い場合、行旅死亡人への対応と同様に市が火葬にする場合も。

Q3)
任意後見は事前に判断能力がなくなった時に備えて選任しておく制度ということだが、実際に任意後見がスタートするのはどの時点か。
A3)
後見される側の判断力が衰えてきた(なくなった)と任意後見人予定者が感じた時、医師の診断書を添付して家庭裁判所に申請。
任意後見監督人が「判断能力なし」とした段階で、任意後見がスタートする。

Q4)
本人に判断能力はあるものの身体能力が衰えて財産管理できない場合はどうすればよいか。
A4)
判断能力が残っている以上は成年後見制度の対象にはならない。
手が動く場合は個別に委任契約(預金払戻など)を家族等と結ぶ。
本人の意思がしっかりしていれば、金融機関と相談して個別委任(代理権限を与える)とする。

Q5)
父が自筆でサインできなくなり、金融機関は訪問して対応してもらったが、役所はできないと言われた。
A5)
サインできない状態であることを医師の診断書に記載してもらう。
公証役場に出張を依頼する方法もある。意思確認のやり方はケースバイケース。

Q6)
法定後見制度の場合、後見人決定に親族全体の同意は必要か。
A6)
必ずしも全員の同意が要ではないものの意向確認書類はある。

Q7)
後見人を途中で変更できるのか。
A7)
解任・辞任により別の人が選任される場合はあるが、辞任の場合は理由が問われる。
解任の場合は不適切行為の有無を裁判所が判断する。
(あくまでも目的が本人の保護である場合に限る)

Q8)
家庭裁判所に提出する報告書は毎年送られてくるのか。
A8)
初回だけは所定の報告書類(書式)が送られてくるが、2年目以降は自ら提出。
期限を過ぎても提出されないと督促状が出される。
提出しない状況が続けば、後見人としての資質を問われ、解任されることもあり得る。

Q9)
後見人の身分証は発行されるのか。
Q9)
身分証自体はないが、選任審判書を取り寄せることはできる。
後見人がつくと登記されるので法務局で登記書をとれば身分証代わりとなる。

ーーーーー

市民後見人(社協による法人後見支援員)として活動して4~5年経過しましたが、いまだ手探りでやっています。

研修を受け、今やっていることを振り返り、学んだことを復習しながらブラッシュアップしていくのが大事なんだな、と感じました。

2021年7月 3日 (土)

柏崎・刈羽ACPプロジェクト講演会

 本日、柏崎・刈羽ACPプロジェクト講演会「いつか一人になる覚悟を持って自分らしく生きる~今だから学ぶこと~」(講師:上野千鶴子氏)に参加しました。

ACP(別名:人生会議)=アドバンス・ケア・プランニング(Advance Care Planning )とは、患者さん本人と家族が医療者や介護提供者などと一緒に、現在の病気だけでなく、意思決定能力が低下する場合に備えて、あらかじめ、終末期を含めた今後の医療や介護について話し合うことや、意思決定が出来なくなったときに備えて、本人に代わって意思決定をする人を決めておくプロセスを意味しているそうです。

(参照:リビング・ウィルと事前指示書 -書き方と例文- )

文化会館アルフォーレのスクリーンで会場と講師をつなぎ、zoomでも同時開催という今時スタイルでした。以下はメモです。

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柏崎市刈羽郡医師会・高木会長より

高齢の方々を診療すると「長生きするのも善し悪しですね。」「先生、私はいつ死ぬのでしょうか。」と聞かれることがある。
医者にとって困る質問。長生きすることにとまどう患者がたくさんいる。いずれ一人になり介護を必要とする日がやってくる。その時どうする?という課題について、講演を通して考える機会としたい。

上野千鶴子氏

新潟県のことは以前から注目。参議院議員・打越さく良氏を応援。

柏崎刈羽地域は人口減少が進み、「消滅可能性自治体」としてカウント。

定義は2010年~2040年にかけて20~39歳の女性人口が5割以下に減る自治体。

原発誘致により「出稼ぎに行かなくてすむ」はずが、人口流出が止まらない。

「おひとりさま」シリーズを刊行してから15年が経過。

高齢者の悩みは自分よりも他人から。気が合わない同居者からのストレスが悩みポイントとなる。
・別居により家族が目の前にいないと忘れていられる
・おひとりさまの悩みは少ない

満足度ー悩みポイントを引くと、ひとり暮らし高齢者の生活満足度は高い。

寂しさと不安調査
・最初からひとりではない
・おひとりさまビギナー:寂しさ感じるが不安は感じない
・おひとりさまベテラン:寂しさ・不安感じない
・気持ちの通じない家族と同居:寂しい・不安
★寂しさの処方箋 時間と慣れ

老後の満足のための三条件
・生活環境を変えない
・金持ちよりも人持ち(真に信頼できる友)
・家族に気を遣わずにすむ自由な暮らし

週刊現代でもおひとりさま特集「ひとりになったときの失敗は」?
・子どもとの同居「悪魔のささやき」
・再婚
・家を手放す
・老人ホームに入る
・子どもに財産を渡す

病院死より在宅死を推奨

2015年の医療介護一括法の施行により地域包括ケアシステム

最期まで家にいるためには医療・介護・生活支援を一体運用しなければならない
・それまでは医療、介護、生活支援タテ割り
・背後にあるのは社会保障費の削減、入院日数抑制
・病院の在宅復帰率75%(目標)*大病院は地域連携により在宅復帰率を高める。
*施設と病院が好きな年寄りはいない。家にいたい(悲願)

地域包括ケアの実践例:長岡市こぶし園の元施設長・小山剛さん(故人)
・慣れ親しんだ土地 家族の近くで暮らす
・大規模施設型ケアから小規模ケアへ
・地域の空き土地・空き家利用→10人程度の家に高齢者が住み、いつでも家族に会える

★地域にサービスをデリバリーする
・食はライフライン(保温容器使用の配食サービス付き)
・特養のサービス 24時間365日 切れ目のないサービス 地域へのデリバリー

★小山氏は障がい者福祉の出身
 重症心身障がい者の自立生活:支援を受けながらも自分らしい暮らし

「家にいたい」は年寄りの悲願
・5割は最期まで家にいたい
・できれば家にいたいが病院か施設で・・が3割 →家族への忖度

在宅ひとり死の3条件
1,自己決定
2,司令塔(キーパーソン)
3,システム(多職種連携)
①24時間巡回訪問介護 ②24時間対応の訪問医療 ③24時間対応の訪問介護

病院死は家族の選択?
*看護師「死ぬのに医者はいらない。死亡診断書を書くだけ。」
*介護職でも「死ぬのに医師・看護師いらない」と言う人が出てきた。
 経験値増えると在宅死は安らか、穏やか

★在宅でひとりで死ねるか?
→本人の意思さえはっきりしていれば在宅で看取れる。同居家族がいない方がよい。

介護保険により人材育つ
介護業界のキーワード「高齢者の自己決定支援」
*以前は本人よりも家族の意思が優先される現場だった・・

地域訪問診療(小笠原医師@岐阜)での調査
「なんとめでたいご臨終」(小笠原文雄氏)
・家で死ぬための費用 30万~300万円まで
・在宅ひとり死の費用:医療保険、介護保険、自費サービス(夜が不安)

★自己負担は大してかからない
・日本の年寄りは小金持ち
・年金、資産を子どもが管理
・医療・介護保険内でも独居看取り可能

死ぬための費用 
・病院はホテルコストがかかる。160万円/月 ホスピス、個室(差額ベッド)等・・
・在宅 自己負担それほどかからない

★がん死 在宅看取りにふさわしい
・死期を確実に予期
・痛みのコントロールできる
・ただし医師の当たりはずれはある
・死の直前までADLの自立、意識生命

★認知症になったら?
・介護施設入所者の7割以上が認知症者
・認知症者1/5人 
・2025年認知症700万人時代
・製薬会社、精神病棟は手ぐすね引いて待っている。薬か拘束か・・
(大収容時代 新オレンジプラン)

精神病棟:認知症患者の居場所と死ぬ場所を提供→引き受け手のない認知症患者の駆け込み寺 

独居の認知症ケア:高橋幸男氏 認知症は怖くない
・認知症 周囲の言葉も原因に
・ひとり暮らしの認知症者は家族と暮らすよりも症状が悪化しない
・家族から叱られるストレスがない
・施設に連れて行かれる=だましうち
・周囲に否定する人がいないこと で緩やかに進行
・重度の認知症でも食欲あれば 生きる意欲 食のライフライン大切 サポート
・独居の在宅認知症でも在宅死は可能
・成年後見の利用

「認知症になってもひとりで暮らせる」 奈良あすなろ園
・住宅地 地域は困った人を排除する機能がある
・地域1戸ずつまわり「いずれあなたも行く道だから」

ACPとは何か
Adovance Care Planning「人生会議?」
・声の大きい人にひきずられる
・日本のばあちゃん達は家族のために生きてきた人達
・意思決定支援 あらためてするよりも、日頃から意思を聞いておくべき
・事前指示書は必要か 
・健康時の日付入り意思は変わる
・日頃のコミュニケーションから意思を聞く

在宅ターミナルケアは可能
・独居でもできる
・がん、認知症でも在宅で死ねる
・資源、人材あるが地域差が大きい

人さえいれば地域は変わる
・葛飾区 在宅看取り率全国2位・・在宅医療第3世代 段階ジュニア 

居住+介護+医療複合体
・東京の流れ ケアタウン サ高住 
・居住型医療・介護複合施設 →主治医を変えられない、出て行けない 
*パッケージはやめるべき 選択肢を広く
*自分が誰かの世話にならなければいけないとしても年寄りだけが固まるのは?

高齢者を支える多重構造
・利用者・家族
・専門職(多職種連携)
・コミュニティ&ネットワーク

要介護認定2割 8割はサポート不要ではない:自治体の役割

◆武蔵野市の経験
・武蔵野市福祉公社(リバースモルゲージ、成年後見)

◆高松市見守り協定
・水道検診業者、電気事業者など 70業者と見守り連携

◆長野県泰阜村(やすおかむら)
・少子高齢化に対応した「在宅福祉の村」

◆横浜市寿町
・究極のスラム外で在宅看取り
・男性出稼ぎ労働者が故郷に帰れないまま住みつき高齢化
・女性看護師が出入りできるよう安全性確保

高齢者福祉の条件・・居住 年金 介護 医療
行政(生保)、民間(簡易宿泊所の管理人)、介護・看護・医療の専門職

これからの地域福祉
1)配食サービス(1日3食365日)
2)在宅認知症高齢者の見守りネットワーク
3)成年後見
4)移動支援(交通弱者、買い物弱者、QOL格差)
5)社会参加(生涯学習、外来者との交流、情報発信)
6)市民参加の促進(NPO、コミュニティカフェ、創業支援)

コミュニティカフェ 新潟市「うちの実家」@新潟
・介護保険の認定を受けていない人、ひきこもり等の居場所作り


介護力がなければ家にいられない。在宅看取りは介護保険がなければ可能でなかった(小笠原医師)
・医療より看護、看護より介護
・暮らしを支える介護力
・介護保険の改悪=制度の空洞化?

介護保険制度の後退を許してはならない

コロナ禍のケアワークへの影響
・通所施設の閉鎖・休業 2021年4月883事業所
・2021年5月休業455件、倒産188件
・感染リスクに無防備(情報も装備もない)
・訪問介護の現場の疲弊

いまだ介護は非熟練の職種として見られている

コロナ感染とワクチン接種
・訪問系の介護 優先度低い
・在宅介護を支える人材 低く見られている

最期まで在宅を望む高齢者を看取れる社会へ
安心してひとり親、要介護者、認知症になれる社会
障がい者になっても殺されない社会
(加齢によりみんなが中途障碍者になる社会)

今年は衆議院選挙の年。NPO法人ウィメンズアクションの声を紹介したい。
市川房枝は「権力の上に眠るな」と言った。民意がどう示されるか注目。

<意見交換>
上野氏
柏崎・刈羽ではひとりで家で死ねるか?

高木会長
上野先生だったら死ねると思う。
認知症は問題。ひどい認知症になったら在宅看取りは難しい。

上野氏
まさかこの人が?という人が認知症になる。
先生と呼ばれる職業に就いていた人がなりやすい。

高木会長
介護人材の不足が最大の課題。特に介護に携わる若い人がいない。人材不足に対してどう考えるか。

上野氏
資源と人材はいるところにはいる。先進的なよい地域を見てきた。そこに柏崎刈羽は入らないということ。
刈羽の人口構成を見て、働き盛りの女性がいない。職業機会がないのだろう。ここにはいられず出ていってしまう。
原発誘致は男性を引き留めたが女性を引き留める機会にならなかった。
介護の仕事がそもそも魅力的といえない。条件悪く賃金低い。政策決定者の設定 構造上の理由はわかっている。

高木会長
現状は指摘通りだと思う。介護職に若い人がいかないのは待遇に問題あるのは事実。
在宅で看取るには24時間対応の医療と介護。柏崎市では24時間対応できる人材は残念ながら不十分。

上野氏
長岡市でできることが柏崎市ではどうしてできないのか。介護事業者は「年寄りは金になる」と言う。

高木氏
長岡と比べることに問題がある。人口規模、人材1.5倍多い。

上野氏
泰阜村(長野)は人口少ないができている。人材がいればできる。

<聴講者から>
◆訪問栄養指導を進めるにあたり、医師の指示が必要だがどうしたらいいのか。

上野氏
・医師の指示のいらない配食サービスを行うべき。

高木会長
・訪問栄養指導は柏崎で実施している。

上野氏
・指導員は食べさせてくれない。情報は腹の足しにならない。

◆訪問看護に関わり、実際にひとり暮らし看取った経験ある。本人、近所の覚悟と制度が必要。
ひとりは寂しくない、という人もいれば、寂しい・怖いという人も。夜中に何度もコール、一晩に何回も訪問したこともある。
柏崎では夜中のヘルパー訪問制度なく、市外ヘルパーを入れて実施した。
色々な制度、協力も必要。近所の力が得られたら・・と思うが、近所の人と関わってこなかった。近所の人が入ることで何かを獲られる恐怖も。意識変えられるようにしていきたい。

上野氏
地域を巻き込むことは大事。前提は隠さないこと。家にどんな年寄りがいるのか共有。
コールは永遠ではない。どこかで落ち着く。対応してくれる人がいるだけで回数が減る。24時間対応はナースの力。

◆独居で自宅で亡くなるのは無理と固定観念あったが、地域・行政が変わらなければならないと感じる。どこから手を付け、どの機関から介入?

上野氏
現状から先進地域見ても遠い。誰かが言い出し周りを巻き込んで変えていくこと。
地域の茶の間から生き方・死に方 専門職を巻き込む。地の利もある。河田さんのところを見学。

高木会長
最後にACPについて。
意思決定できなくなったとき、成年後見を決めることも大事だが、自分の人生の最後をどうしたいか話し合うことが大切。
友人、家族など信頼できる人と話し合っておくこと。ACPを否定的に捉えてほしくない。

上野氏
最期について話すのは縁起でもない・・と言われないよう、日頃から話す機会を持てばACPと言わなくてもよいと思う。

高木会長(最後に)
年を重ねても安心して暮らせる地域づくりを。

*****

会場はソーシャルディスタンスをとりながらも満員でした。講師の方は知名度が高くファンもたくさんいらっしゃるのだと思います。

ただ全体的に政治的な色(特に現政権批判)が濃いことに違和感を覚えました。

また演題にもあるように「在宅でひとりで死ぬこと」が主な内容でしたが、実際には人それぞれのACPがあると思います。

「おひとりさま」には単に近くに家族・親族がいないケースもあれば、完全に天涯孤独なケースもあるわけで、在宅でひとりで死んだ後の始末をどうするか、という点は現実的な課題だと感じました。

とはいえ住み慣れた地域や家で最期まで暮らし続けるためには、支える側となる人材が不可欠であり、特に介護人材の確保は必須だと思います。

「メメント・モリ(死を忘れるな)」という言葉もあるように、いつか必ず死を迎えることを意識しながら、人生設計していくことが重要だと感じたところです。

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