本会議最終日・意見書への賛否
6月22日は柏崎市議会6月定例会議の最終日でした。
470億円規模の補正予算6号、7号が提出され、災害復旧や感染症対策に関する事業への財政措置が可決しました。
また議第58号 財産の減額貸付に係る貸付金額の変更について(土地)は、継続して総務常任委員会で審査することになりました。
今回は2件の請願をもとに2件の意見書が提出されました。
ひとつは
新潟病院はじめ国立病院の機能強化、地域医療の拡充を求める意見書
です。これはもともと
新潟病院はじめ国立病院の機能強化、地域医療の拡充を求める請願
をもとにした意見書案が出されましたが、「全ての職員を増員すること」を「必要に応じて職員を増員すること」に修正することを申し入れし、全会一致の意見書(議会運営委員会としての提出)となりました。
もうひとつは
加齢性難聴者の補聴器購入に対する公的補助制度の創設を求める意見書(案)です。
(以下、本分)
加齢性難聴は、コミュニケーションを困難にするなど日常生活を不便にし、生活の質を落とす大きな原因となる。最近では、鬱や認知症の危険因子になることも指摘されている。
コミュニケーションが減り、会話することで脳に入ってくる情報が少なくなることが、脳の機能低下につながり、鬱や認知症になるのではないかと考えられている。
高齢になっても日常生活を快適に過ごすことができるように補完するのが補聴器の役割である。
日本の難聴者率は約4割とされ、欧米諸国と大差はないようであるが、補聴器の使用率では欧米諸国と比べて低いのが実態である。
一般社団法人日本補聴器工業会の調査によれば、イギリスは47.6%に対し、日本は14.4%とされている。
柏崎市の65歳以上の高齢者は約27,700人(令和3年4月末日時点)であり、約11,000人が加齢性難聴者と推計される。
補聴器の価格は、片耳当たり、安いものでも5万円、高いものでは40万円近くにもなり、しかも保険適用がされていないため、全額個人負担となっている。
身体障害者である高度・重度難聴の場合は、補装具費支給制度により負担が軽減されている。
また、中度難聴の場合は、購入後に医療費控除を受けられるものの、その対象者は僅かであり、ほとんどの方々は自費で購入している。
欧米では、補聴器購入に対して公的補助がある。日本でも高齢者の補聴器の購入に対して補助を行う自治体はあるものの、一部にとどまっている。
補聴器の普及は、高齢になっても生活の質を落とさず、心身とも健やかに過ごすことができ、認知症の予防、ひいては健康寿命の延伸、医療費の抑制にもつながると考えられる。
よって、国に対して、加齢性難聴者の補聴器購入に当たり、公的補助制度を創設するよう求める。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
令和3年(2021年)6月22日
柏崎市議会
理由
加齢性難聴者の補聴器購入に対し、公的補助制度を求め、補聴器の普及を促進するため
これは以下の請願をもとに出されたものです。
加齢性難聴者の補聴器購入に対する公的補助制度創設を求める請願
この請願に対しては6月16日の文教厚生常任委員会で質疑・討論・採決を行いましたが、賛成少数で否決しています。
質疑はなく討論は私を含め3名でした。
賛成討論:笠原晴彦議員(社会クラブ)
反対討論:春川敏浩議員(柏崎の風)
私は以下のように反対討論を行いました。
*****
議員発案第2号 加齢性難聴者の補聴器購入に対する公的補助制度創設を求める意見書に、反対の立場で討論いたします。
本意見書の願意、特に【補聴器の普及により、高齢者が生活の質を落とさず、心身の健康を保ち、認知症の予防、ひいては健康寿命の延伸、医療費の抑制につなげたい】とする部分は、共感するところであります。
しかし、高齢化の進行とともに増大する加齢性難聴者全般に対して、補聴器購入の公的補助を行うとすれば、その費用は莫大なものとなり、財源確保をどうするかという問題が生じます。
すでに加齢性難聴者の補聴器購入助成を行ってる自治体でも、聴力レベルや所得・課税状況、年齢などによる線引きを行わざるを得ないのが現状です。
また本意見書では、補聴器の普及が進まない理由として、「高額であること」に特化していますが、実際には様々な要因があると考えます。
例えば、補聴器への抵抗感を持つ方が多いことや、補聴器の効果に対する理解が進んでいないこと、中には販売者側の説明や調整が不十分な為に、購入しても満足感を得られず使用を中止する・・といったことも聞き及んでいます。
そして日本耳鼻咽喉科学会 新潟県地方部会では、「認知症予防のための補聴器助成制度創設」に向けた勉強会や、新潟県および本市を含む県内市町村に対する要望活動を行っていますが、本年3月1日「にいがた経済新聞」記事を引用しますと、会長は以下のように述べられています。
「難聴と認知症が本格化する70歳代から80歳代ではなく、45歳から65歳の時期に軽・中等度難聴をケアすることで認知症を予防できるが、中年期の難聴は自覚が少なく、補聴器導入に消極的な人が多い。(助成金で多くを補える)安価な補聴器を使ってもらうことで認知症の予防ができ、また自治体にとっても医療費削減に繋がる。」
【にいがた経済新聞2021.3.1】認知症予防のための補聴器購入助成の取組が新潟県内5市町村に拡大
このような実態を踏まえますと、補聴器の普及促進および公的補助制度の創設は、様々な要因を考慮しながら進めるべきであり、柏崎市議会として国に提出する意見書である以上は、それらを盛り込むべきと考えます。
以上の理由から、今の段階では本意見書に賛成できないものの、今後、補聴器の普及・促進に関する調査・研究を行うことは必要と考えることを申し述べ、反対討論とさせていただきます。以上です。
*****
結果は賛成12、反対13で不採択となりました。
討論の間中、意見書に賛成する議員から激しいヤジが聞こえました。
「“福祉の近藤”が反対するのか!」
「弱者に寄り添う気持ちがないのか!」
「だったら賛成すればいいだろう!」
「がっかりだ!」等々。
たしかに私は福祉畑出身ですが、常に「情と理」のバランスを考えて仕事をしてきました。
また行政サービスの財源は全て税金であり、高福祉には高負担が伴います。
賛否ひとつひとつに責任を持ちたいものです。
ところで・・。
お世話になっている方からラベンダーをいただきました。
このところ色々あったので、嬉しいプレゼントに癒されました。ありがとうございました。
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