令和3年6月一般質問「1、未来につなぐ住民主体の地域づくり」
令和3年6月定例会議にて一般質問を行いましたので、内容を順次ご報告いたします。
近藤
最初の質問は「1. 未来につなぐ住民主体の地域づくり」です。
本市は平成15年に制定した「柏崎市 市民参加のまちづくり基本条例」を最高規範として、「自治のまち柏崎市」を形成してきました。
住民自治の最小単位である町内会を中心に地域コミュニティを形成し、自助・共助によって、住民主体の地域づくりを支えてきた歴史があります。
しかし少子高齢化の進行、家族形態や価値観の変化により、様々な地域課題が発生し、町内会役員等の担い手不足に悩む地域の声も聞こえてきます。
住民自治、地域住民主体の地域づくりを、次世代に継承していくためにはどうすればよいか、本質問を通して探っていきたいと思います。
「(1)これからの地域懇談会」では、まず「ア 地域懇談会の総括」について伺います。
「地域懇談会」は市長が中学校区ごとに地域に出向き、市政や地域づくりに関して住民と直接、意見交換を行う広聴制度であり、昨年度はコロナ禍のため中止したものの、平成17年度から継続してきました。
内容や進め方などを地域の方から提案していただき、地域ならではのスタイルで開催してきたことも承知しています。
ですが私自身が参加し、また実施報告書に目を通すと、意見交換というより町内会等の関係者による要望が主になっているように感じます。
また若い世代や現役世代の参加が少なく、参加しても中々発言に至らない印象も受けました。
地域懇談会をはじめた16年前に比べると、社会全般のデジタル化・ICT化が進み、本市の広聴機能は向上していると感じます。
だからこそ、せっかくの市長と地域住民の対話の場である地域懇談会を、より有意義なものにしていけないか、と考えます。
そこで質問ですが・・・桜井市長はこれまでの地域懇談会を振り返り、どのように感じているか、また成果や課題をどのように捉えているかお聞かせください。
市長
地域懇談会は市の施策をお伝えするとともに、地域に直接、私や市の職員が出向き、地域の皆様と懇談し、活力ある地域づくりを推進することを目的に、高柳町・西山町と合併いたしました平成17(2005)年度から実施しています。
本市の最高規範でございます「柏崎市市民参加のまちづくり基本条例」は、市民の幸福の実現を目指し、市民と市が協働して推進し、市民がその成果を享受していくこととしています。その実現に向けたひとつとして、地域懇談会の実施において、幅広く市民の皆様の声を聞く機会を設けてまいりました。
今後も市民の皆様の声を市政に反映させていくためにも、地域懇談会は必要だと考えております。
市長就任させていただいて以降3~4年間、昨年はコロナ感染症拡大防止のため、中止をさせていただきましたけど、平成29(2017)年から3年間で約1600名の方々からご参加いただきました。
たくさんの皆様に市の施策をこちらからお伝えし、参加された方々から地域の実情や抱える課題などを積極的に伺うことができたという風に考えております。
また昨年度は中止いたしましたけれども、代わりに書面で提案や課題などをご提出いただきました。全体で83件の案件がございまして、それに対して回答いたしました。
例を申しますと買い物難民対策や文書デジタル化の推進、イノシシ対策、道路整備などの重要課題に対し、ご要望いただき、回答させていただきました。
議員おっしゃる通り少子高齢化の進行などにより、様々な地域課題が発生しております。
地域における担い手不足を少しでも解消しながら、地域づくりを次世代に解消していくため、有効な地域懇談会の開催を検討していきたいと思います。
近藤
地域懇談会が非常に大切な機会であることは私も共感しております。
ただ住民主体の地域づくりを続けていくには、若い世代・現役世代を巻き込み、緩やかに世代交代をしていく必要があると感じます。
そこで、若い人達にも出てきてもらえるような地域懇談会にするため、
「イ 地域力・市民力向上につなげる今後の展開」について伺います。
地域懇談会は本来、様々な世代や属性をもつ地域住民が、課題を共有するチャンスであることから、住民主体の地域づくりに向けた導入部となるよう、これまでのやり方を見直してはどうかと考えます。
例として東京都日野市では地域懇談会改革を行い、平成26年度から中学校区ごとに町内会や子ども会、PTA、民生委員、市民活動団体、事業者、学生等が参加し、地域の課題や魅力など一つのテーマについてワークショップ形式で懇談し、市長が総評しています。
内容は、まち歩きをして地域の魅力マップを作成、地域の居場所づくり提案など、住民自らが地域の特徴・課題を見つけ出し、地域の力で解決できる方法を考え、実行することにチャレンジしています。
令和2年度はコロナ禍のため、会場に集まるスタイルはとらず、Zoomを活用して地域懇談会を実施しました。オンライン環境で住民同士の交流を続けることを目的とし、前向きな懇談になったようです。
このような事例も参考に、本市においても地域要望を受け止める機会は必要だと思いますが、それとは別に、地域懇談会を地域力・市民力向上につながる機会にできないか、と考えます。
そこで質問ですが・・・・地域懇談会が、様々な年代・属性の住民同士で話し合い、市長・行政とともに課題解決を目指す場となるよう、検討してはどうかと考えますが、見解をお聞かせください。
市長
今ほど日野市の事例、ワークショップ形式も含めたご提案をいただきました。
ご指摘の通り地域懇談会には若い世代、現役世代、ご勇退された方々等、理想は色々な方々からご参画いただき、地域の実情や課題を共有することが大切だと考えております。
しかし今ほどご指摘いただいたように、私も3年間出てまいりまして、感覚で申し訳ありませんが、地域懇談会に参加される方々の平均年齢はたぶん70歳前後の方々になっているのではないかと承知しております。
少なくとも20代、30代の方々はほとんどいらっしゃらないのが現状だろうと考えております。
そういった方々と60代、70代もしくは80代の方々と一緒に地域懇談会を一緒にするのがいいのか、またワークショップ形式がいいのかも含めながら、もちろん若い世代の方々が発言できるような雰囲気づくりも、やはり重要なポイントだろうと思っております。
なるべく多くの方々のご意見を承る機会を、ワークショップ形式というご提案も含めながら、検討させていただきたいと考えております。
近藤
先程の他の方の質問への答弁で、今度の地域懇談会で学区(適正化)のことをお話しする、とのことでしたが、若い世代にも関心が持てるテーマを投げかけていくというのも、大きなチャンスというかひとつの方法なのかな、と感じました。
世代を超えて住民同士が相互理解できるような場にしていただけると、地域の活力や課題解決のヒントにつながるかと思いますので、また検討をお願いいたします。
次に「(2)「頑張る地域」を次世代へ / ア 頑張る地域の発掘・共有」に移ります。
市長の令和3年度施政方針では、「地域住民主体の地域づくりを進めるため、地域における様々な課題の解決に取り組み、主体的な地域活動を行う町内会や地域コミュニティを支援する」としています。
昨年12月の一般質問答弁においても、米山地区の乗合タクシー、別俣の未来を考える会、北条人材バンク、大学生と交流するNPO法人石黒邑、地域おこし協力隊の受入地域などが紹介され、「頑張る地域を応援していく」との意向が示されました。
こうした「頑張る地域」の取組は、移動手段の確保、助け合う関係づくり、外部の若者との交流による地域活性化など、少子高齢化によって生じる様々な課題の改善・解決に挑む事例であり、後に続く地域を増やすことが必要だと考えます。
また時折、地元の新聞で取り上げられる、各地域の環境美化、親子参加型イベント、伝統行事の存続等の活動も、「頑張る地域」の取組であり、好意的な記事として紹介されることは、地域住民の皆さんの誇りやモチベーション向上につながると思います。
その一方で、まだまだ知られていない「頑張る地域」もあれば、意欲のある人がいても、地域の理解が得られないケースもあるのではないでしょうか。
そこで質問ですが・・・「頑張る地域」をこれまでどのように把握・支援し、今後どう新たな地域を発掘するか、また「頑張る地域」それぞれの取組や支援の内容を整理し、市のHPで集約するなど、可視化して他の地域と共有をはかる考えがあるか、お聞かせください。
市長
市ではこれまで地域コミュニティを対象に、「地域コミュニティ活動推進補助金」を交付しており、住民自身が地域のニーズや課題に対し、主体的に取り組む支援をしてまいりました。
また他にも西山地域の草水まつりや荒浜地区のいわしまつり、高田地区の竹あかりなど、地域の力・資源を生かして頑張っていただいている地域・団体への支援を行っています。
活発なイベントを通じて地域独自の活性化に取り組んでいただいているところです。
またこういった地域の活動を支援する市民活動センターまちからでは、まちづくり人材の発掘や育成に取り組んでまいりました。
自発的な活動を行う地域や団体からの多種多様な相談にも応じているところです。
その相談件数もオープンいたしました平成27(2014)年度の431件から、令和2(2020)年度は555件へと増加傾向にございます。頑張る地域や団体が市内に広がってきているものと考えております。
現在これら頑張る地域の活動につきましては、共有化・見える化を図ることが大切だと認識しております。
それぞれ各コミュニティセンターや市民活動センターを窓口として取りまとめており、各コミセン広報紙等で周知を行うほか、市民活動センターのHPやSNSでは、まちづくりに関わる人材をまとめた「まちのプレイヤーマップ」や地域の実態をデータ化いたしました「まちの見える化データ」など、活動のきっかけづくりや、今後のやる気を後押しできるような情報発信に取り組んでいるところであり、今後もそのような姿勢を継続していきたいと考えております。
近藤
今ご答弁いただきましたが、新たな地域の発掘方法も質問しております。
ご紹介いただいた地域は確かに皆さん頑張っていらっしゃいますが、ただ市に相談に来ているという実績があり、逆にあまり相談しないけれど、独自に頑張っている地域がもし仮にあった場合、申告とか紹介するような制度を今後検討するようなお考えはありますでしょうか。
市長
もちろんそういう積極的に地域づくりに励んでいる団体、グループ等あれば、色々な情報をお聞かせいただいて、できる限り支援させていただきたいと思います。
ただ、議員とたぶん共有するところだろうと思いますが、あまり最初から行政頼みであっては、まちづくりにならないのであって、自分のことは自分でやるという強い気概を持った地域づくり団体が表れてきていただくところを期待するところであります。
近藤
少子高齢化や人口減少をただ嘆くだけではなく、今ある人や資源を使って住みよい地域を形成していくのが、市民参加のまちづくりの本質かと思います。引き続き、頑張る地域を応援していただきたいと思いますし、私も個人的に、もし頑張る地域があるなと思ったら、連絡させていただきます。
さて「頑張る地域」を次世代に継承するためには、何といっても人づくり・人材育成が重要であるとの視点から、
最後に「イ 次世代を担う人材育成」について伺います。
柏崎市では第五次総合計画・前期基本計画の重点戦略「地域の宝・育成戦略」において、【地域を支える人材の育成】を主要施策としています。
そしてこれまで
①防災意識・知識の充実向上
②大学との連携と協働の強化
③市民参加機会の拡充
④若い世代の参加による地域の活性化
⑤人材の育成とソーシャルビジネスの創出
に取り組んできたと認識します。
先日も令和3年度の元気なまちづくり事業補助金 公開審査会がオンラインで行われ、あらためて市民活動支援とは「まちづくりを行う人づくり」であると感じたところです。
ただしその一方で、これまで本市の施策で育てた人材が、地域にどうフィードバックされているか、主体的な地域づくり、住民自治を担う人材が育っているか、検証することも必要だと思います。
また人口減少社会において重要なのは、多世代共生のまちづくり・地域づくりであり、様々な年代・属性を持つ市民が融合し、相互理解のもとで、ともに地域をつくっていくことが大切だと考えます。
そこで質問ですが・・・これまで進めてきた柏崎市第5次総合計画・前期基本計画の「地域を支える人材の育成」が、住民自治・住民主体の地域づくりの継承や多世代共生につながっているか、また後期基本計画における新たな施策展開について、見解をお聞かせください。
市長
地域を動かし活性化させるのは人である、というのはまさに議員ご指摘の通りです。
人こそ、人材づくりが地域づくりの元であると私も認識しています。
市ではこれまで「地域の宝・育成戦略」として、例えば防災士の養成講座、防災教育を通して防災リーダーを育成、また新たなまちづくり人材の発掘・育成に向けたライク・ワーク・スクール、夜ラボ、元気まちづくり事業など、各分野において幅広い世代の人材を育成するために、また多世代交流ができる環境づくりに取り組んでまいりました。
ご承知のように、岩の入、門出、矢田の3地域におきましては、地域おこし協力隊を受け入れてまいったところです。
10年ほど前からたんねのあかり、石黒地区の地域活動においては、市外・県外の大学生の持つ力を活用するなど、活動の担い手不足に対し、外部人材や団体の力を積極的に活用し、地域住民と密接に連携しながら取り組んでいる地域もございます。
その成果は着実に出てきていると理解しております。今後とも私どもは地域の人材の育成、そしてまた外部人材・外部団体の力をお借りしながら、地域の課題の解決のため、それぞれの力を合わせて取り組み、行政はそれを支援してまいりたいと考えております。
近藤
前期基本計画の中で確実に人材育成されてきた、ということで、次の段階としては、これまで育てた人材が、最終的には住民自治の担い手になっていただくことかな、と思います。
また緩やかに世代交代していけるように、多世代共生の地域づくりをサポートしていただきたいと思います。
そして自治のまち柏崎市を未来につなげるよう、人や地域の頑張る力を引き出す施策を、引き続きお願いいたします。
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