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2021年5月13日 (木)

海洋生物環境研究所・視察

5月13日、公益財団法人 海洋生物環境研究所(海生研)様を会派で視察させていただきました。

公益財団法人 海洋生物環境研究所

こちらは現在、柏崎市が特産品化をはかるヒゲソリダイの養殖でも知られています。

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今回の視察目的は6月定例会議の一般質問の準備として、福島原子力発電所のALPS処理水・海洋放出に関する知見を得ることでした。

海生研では国の委託を受け、長年に渡り原子力関連施設の周辺海域の調査を行っています。
福島のALPS処理水とは、発電所廃炉作業で生じた汚染水を多核種除去装置(ALPS)を用いて浄化した水のことです。
ALPSにより大半の放射性物質(セシウム、ストロンチウム等)を取り除けますが、トリチウムだけは除去できず残っています。

トリチウムとは水素の放射性同位体で三重水素とも呼ばれ、自然界に広く存在します。
酸素と結びついて水のかたちで存在し、水道水にも含まれることから、人体にも一定量存在しています。
体内に取り込んでも排出されるので、トリチウムによる健康被害は現在報告されていません。

つまり放射性物質ではあるものの、危険性は極めて低いと言えます。

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海生研での原子力施設周辺の海水調査でもトリチウムは検出されています。
また海洋生物からも、海水と同濃度のトリチウムは検出されています。(海洋生物=魚介類の体内に取り込んでも排出されます)

また原子力施設から排出される温排水は、魚の養殖に使われることもあります。
フランスでは原子力発電所の温排水を利用した大規模な養魚施設があり、スズキやマダラを養殖し、地元の特産品として利用されています。

日本の場合は夏の海水温が上昇し、近年では35℃前後になることから、養魚には利用しにくいそうです。
(フランスは気候が安定し、海水温が安定)

海生研の海産物調査で、もし異常な値(流通基準=100ベクレルを超えた場合)が出た場合は水産庁に報告し、県を通じて出荷停止になります。
そして測定を続け、放射線量が一定量に下がれば水産庁に報告、再び出荷可能となります。

トリチウムについては、2013年に海生研のニュースレターで、

「世界の原子力関連施設周辺海域でトリチウムが検出されるものの、環境や健康への影響は見られない」

との報告がなされています。

2013年海生研ニュースレター

このように私たちは既にトリチウムと共存して生活してきた歴史があります。

現在、福島復興を進めるにあたって、大きな障害となっているのが、トリチウムを含むALPS処理水の海洋放出に対する風評被害(健康被害ではなく)だと思います。

しかし風評被害とは人の意識によってつくられるものです。

少なくとも原子力発電所立地地域住民である私たち柏崎市民は、科学的見地に基づいて処分方針を理解すべきではないでしょうか。

中越沖地震で被災した時、全国から応援していただいたことを思い起こし、福島の復興を応援したいとあらためて感じたところです。

*****

せっかくの視察なので、他のこともお聞きしました。

【地球温暖化問題について】

地球温暖化については意見が分かれるが、日本海の海水温は上昇している。

漁師さんから「以前は捕れた魚が捕れなくなった」と聞くものの、乱獲の可能性もある。

事実としてサケ、サクラマスのように北を回遊している魚は捕れなくなっている。
魚はもっとも好ましい温度帯に移動する。また次世代を残すために産卵に適する環境を選ぶ。

定着性の海洋生物は水温に影響されるが、魚のエサ場となる藻場が環境の影響で少なくなり、連鎖的に魚が増えない事象は考えられる。

例えばサンゴの白化が問題となっている。サンゴはもともと褐虫藻と共生している。褐虫藻が光合成にサンゴに必要な栄養成分をつくっているが、海水温が高くなると褐虫藻は出て行き、サンゴの栄養源がなくなり、死んでしまう。

サンゴのピンク色は褐虫藻の色であり、白化したサンゴは褐虫藻が出て行ったあとの状態。いずれは栄養不足で死んでしまう。

サンゴは魚の生息地であり、サンゴが死ねば魚も生きられない。

このように海水温上昇によって、連鎖的に二次、三次的被害が発生している。

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しかし海水温上昇と地球温暖化はいまだ科学的な相関関係はわからない。

カーボンニュートラル政策は、CO2が地球温暖化の原因として進めているが、事実関係は不明。

気温は様々な条件・要因で変化するため、一概にCO2が気温上昇の原因とはいえない。

ただしCO2が大気中に増えていることは事実。

CO2は海に溶けるため、海洋酸性化(pH低下)は確実に起きている。

サンゴや貝は酸性化した海水では体を保てない。サンゴや貝が死ねば魚も生息できない。

海の生態系を保つためにCO2削減は必要である。

魚の生息地が変化している。例えば北海道でサケが少なくブリが大量に捕れたことが報じられた。

しかしこれが毎年続くかどうかはわからない。

ブリを捕獲するにはそれに合う設備が必要だが、来年は捕れないかもしれない。地元の漁業者は設備投資が難しい。

 

【ヒゲソリダイについて】
ヒゲソリダイは地元漁師の間でカヤカリと呼ばれていた。

ヒゲソリダイは水温上昇に強い。

香川県ではヒゲソリダイの養殖に8年間取り組んだが成功しなかった。

海生研では水産庁の委託事業としてヒゲソリダイの養殖を研究。

香川県でうまくいかなかった卵のふ化を、適切なエサ・光環境により改良し、2017年~養殖に成功。

現在は種苗生産業者向けの養殖マニュアル化に取り組み、地元漁業者に還元したいと考えている。

ヒゲソリダイは港内での養殖は難しく、陸上養殖のためのいけすが必要だが、海水を引くための設備費用がかかる。

水産庁の委託事業は今年度で終わることから、今後について柏崎市と協議中。

マニュアル化のため研究・改良の余地はある。

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丁寧に説明・対応していただき、非常に参考になりました。

N場長様、H主査研究員様、ありがとうございました。

視察で得た知見を、今後の議会活動に生かしていきたいと思います。

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*クモヒトデ ↑

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