積雪時の火災対応
4月13日、「防災士チーム柏崎」の勉強会があり、柏崎市前消防長・近藤尚文様よりご講義いただきました。以下はその内容です。
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積雪時の火災対応
1,消防水利確保の広報について
・降雪時期前の広報かしわざき12月号、消防署HPに必ず掲載
・消火栓、防火水槽の確保に協力要請
・防火線の赤い表示板が目印
・除雪により埋まらないように(雪寄せ)
・消防署、消防団が除雪
2,令和3(2021)1月の降雪・積雪
・8拠点の降積雪が240㎝超え→対策本部ができる
・1/9~1/11 もっとも大変な時期(特に街中)
3,令和3年1月降雪時の様子
・金属探知機を使って消火栓を確認→掘り起こす
・掘り出したあとに凸凹ないよう埋め戻す(やわらかめ)車が埋まらないように
・河川を利用 水を吸い上げて放水
・街中ではオレンジの枠(マンホール等と間違わないように)
→表面の塗料がはげる場合も
・高柳 やぐらを組む
・消火栓2口
・地下式消火栓も・・下まで掘り起こす
・横穴を掘り口だけを出す場合も
・格納箱(ノズル、消火栓が収納)昔のタイプはノズルが真ちゅう→盗難も・・
・施錠管理はすぐ使えないためにねじ式
・地下式はスタンドパイプの立ち上がり管 一切設置せず。
・大規模災害 公的消防車だけでは消火できない。
今後は地域の消火栓方式も・・
・市民雪捨て場の様子 従業員2~3人
★新花町の消火栓・防火水槽
*カンガルーの中に消火管が収納 下に防火水槽
・消火栓の表示看板 4.8m先にある
・東京の表示 消防車がつかないように
4,消防水利とは(消防水利の基準)
・2条に定義
消火栓、施設消火栓、防火水槽、プール、河川、溝等、海、湖、井戸、下水道
・給水能力が定められる
常時貯水量40㎡以上または取水水量1㎡以上/分、連続40分以上
・管網配管
・水道管本管 150mm以上が認定
・水利配置
市街地 商業・工業100m、その他120m
市街地以外 140m
・円を描いたときに充足率がどうか 基準に満たないとしても使えないわけではない
・消火栓 充足率 その場所によって異なる
消防車が多くの水を出せない
・消防車 火災の近くに配置
・水量が決まっているので同じ管からは出せない
・普段は見やすいが冬場はわからないことがある
・消火栓 明細図を消防車に積載(降雪多く発見できない時に使用)
・車両の長さと道路幅 一覧表
5,消防署における消防水利除雪計画
第1次除雪計画→50㎝
第2次 〃 →70cm
第3次 〃 →100cm
*自宅付近の消火栓・防火水槽の除雪をお願いしたい
・火災件数は減っている
防火意識の向上、IHの普及も関係
ガスコンロ時代は衣服の袖に火が燃え移ることも・・
・今の子ども達は火を知らない
オール電化 生の火を見ない それはそれで心配・・
・令和2年は消防車、救急車の出動が激減した
・救急の要因 いつもは転倒事故が多い(一般負傷)が暖冬で300件ほど減った
・移動がない(コロナ禍)
・火災14件
・柏崎市全体の水利 約3400
・大きな防火水槽100トン以上
★火災発生すると
・指揮隊→現場指揮
・他のハシゴ車、放水車が駆け付ける
・火災の状況に応じて呼ぶ件数が増える
積雪により被害が拡大する要因
1,積雪時は屋根雪及び建物周囲が雪により埋もれ、火災発生の場合、火煙が建物外に出にくく滞留する等のため、特に留守の場合に発見が遅れる。
2,道路幅の減少、路面凍結等により、消防車到着が遅延する。
3,消火栓・防火水槽が雪に埋もれている、取水口凍結
消防署の冬期間の対応
1,金属探知機、ツルハシの使用
2,凍結対策として、電気ポットやポリ容器にお湯を貯めるなど用意
3,ホースの本数を増加
4,中継体制
5,スノーボード(救急隊は携行)
一般家庭では
1,火気管理に十分留意(コンロ・ストーブ)
2,住宅用火災警報器の維持管理
5~10年 電池寿命がなくなり探知機も劣化し機能しない場合も→本当に動くのか。
他の部屋での火災を感知できない場合も・・最近は高額だが無線も
3、消火器の用意
天井まで炎が上がる直前までなら消せる
4,二方向避難の確保(勝手口、掃き出し窓)
玄関だけが避難口では逃げられない。
火災の発生場所を想定し、台所かタバコを吸う場所か・・
電気火災 トラッキング火災 コンセントのホコリもないように
*高気圧・高断熱化が進み、火災時においては耐火建築物と同様に、室内が濃煙や高温熱気可燃性ガスが充満状態になっており、消火活動の危険性が高くなっている。
*秋田県、東京都、静岡県などで消防士や警察官が消火活動中に殉職。二酸化炭素中毒やフラッシュバックなど
昔の住宅 田の字つくり いったん窓・ふすまを破れば消火できた(思うところにホースライン)
現在の住宅 壁圧・板圧 ガスが充満
窓が小さいと有効放水できない
ホグネール(槍上のホース)が開発。
外側から放水できず、中に入っても危険が高い。
★自主防災会向けハリアー(街かど消火)
リュック式の放水器具
消防車が来る前に、水道蛇口があれば・・
水道の圧なのでケガの心配少ない。
*家庭用(庭の散水用など)ホースでも、ノズルを金属製の丈夫なものにすれば代用できる。
<補足・質疑など>
●消火器が使われないケースが多い。
実際の火事を目の前にして、判断力を養う。訓練が必要。
消防法の基準通りに設備はあっても使い方がわからないのは×。
●救急出動 1件につき4名の消防署員
●ドクターヘリは最初の命の砦
長岡まで5分 新潟まで20分
一次、二次、三次救命
重症度によって搬送先が変わる。
新潟県は2機 長い地形をカバー
重複することも・・
ヘリの弱いところは悪天候。
★冬季間は救急隊の到着がスムーズにいかない。
ヒートショックなど急激な寒さなども注意。
繰り返して訓練をする。超高齢化の時代、知識や経験を得ることを続ける。
●柏崎市は病院群輪番制があるため、救急車は必ず受け入れられる。
都会では病院の数は多いがたらいまわしにされるケースもある。
●都心部では住宅が密集しているが大火になりにくい
→近距離に消防署の分署を配置、消防車の所有台数が多い。
*新潟県は大火になりやすい。
Q1、冬期間の除雪は自主的にやるべきか。
A1、行政の命令によって事故が起きると問題に。
消防団は別。特別公務員として消防署と一緒に出動。
Q2、除雪機のガソリンを簡単に売ってもらえない(免許証の提示が必要、灯油缶NG)。
A2、法的な問題。ガソリンは引火点がマイナス40度。発火しやすい。
Q3、家庭用の消化器は何年かに1回の交換時期だが、見過ごした場合は。
A3、消火器の耐用年数は8年 一般的には粉末タイプと強化液タイプ
粉には消火剤が含まれ5年経つと消火効力は下がる。
消火器の保管状況 フタ部分から湿気 実際は10年くらい。
確認方法 ゆすぶると粉が移動音 音がしないと固まっている。
消火器には高圧式ともともと圧がかかっているものがある。
強化液タイプは劣化速度が遅い。ただしホースがひび割れたら交換。
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降雪時だけでなく消防水利・消火活動全般について理解を深めることができた講義でした。
日頃から、自分が暮らす地域のどこに防火水槽や消火栓があるか確認しておきたいと思います。
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