令和3年度予算審査【福祉保健部】
令和3(2021)年度予算審査の文教厚生常任委員会での内容です。
【福祉保健部】
*福祉課、介護高齢課、国保医療課、健康推進課
1 予算編成の考え方について
2021年度の予算において、人口減少、少子高齢化、新型コロナウイルス感染症対策をどう考え、予算編成を行ったのか。
社会保障費が増加の一途をたどっている中で、福祉保健部の財源確保策について。
関連して、プロポーザルによる一括策定の意義を再確認するとともに、福祉保健部所管の計画策定の進捗状況について。
・福祉保健部予算は必要不可欠な事業が大半であり、サービス維持ができるよう多少の余裕を持たせて予算計上している。
・予算の8割以上が国県の補助財源なしでやっていけない仕組み(制度として率が確定)
・財源確保は必要ではあるが、一般財源の中では新事業を行えないジレンマはある。
・現場に足を運び、現場に寄り添う予算編成を心掛けた。
・計画策定はプロポーザルで外部委託することで効率化、円滑化、第5次総合計画ほか各種計画との整合性がはかれる。
・市民アンケート、ワークショップなども委託し、計画策定基礎資料として活用。
2 新型コロナウイルス感染症対策について
① 感染症拡大から1年が経つが、これまでの市民への対応、それに伴う市民の意識や行動の変化などを含め、この1年間の取り組みに関しての評価。
・現時点で収束していない。ワクチン接種しても収まるわけでもない。
・特に医療機関の協力は大きい。
・クラスター等発生あったが、現時点では比較的落ち着いている。
・市民の慣れ、過度な安堵感を心配している。
・市民や民間企業とも協力し、行政として手を緩めることなく対策を行う。
② ワクチン接種について、現状の取組みと準備体制の課題は何か。
・4月中にはワクチンが2箱(975人分/箱)届く予定。
・4/19~ 高齢者施設入居者と職員に優先的に摂取
・まだ65歳すべてには接種できない。
・課題は供給量が不透明であること。
・入荷の見込みがないため今後の計画をどう進めるか目途が立たない。
・県内8万人の医療従事者に対するワクチン整わず、市内医療従事者(消防の救急隊員も含む)への来月中接種は不可能。
・65歳以上も並行接種となれば→医師、看護師の確保も課題。
・医療従事者は自らの接種が終わらないうちに一般市民への接種をしなければならない。
③ 現在設置されている発熱外来とPCRセンターは今後も継続していくのか。
ワクチン接種前の方々、ソーシャルワーカーや保育士、教職員などへのPCR検査の拡大は進めていく予定はあるのか。
・PCRセンターは開業医による運営 4月~業務閉鎖(各医院で検査可能)。
・発熱外来は継続(総合医療センター)*各医院で発熱時対応あり。
④ 市民への健康推進事業における、新型コロナウイルス感染症拡大の影響について。
・昨年1月~健診中止していたが医師会、歯科医師会と協議し、感染防止策とりながら、年度途中から当初予定通りの事業実施。
・令和3年度は各種健診やコツコツ貯筋など通常通り行う。
3 人材確保について
2021年度は新たな介護施設などの建設は無く、今ある施設の病床を全て稼働させるために介護人材の確保に力を入れるとのこと。
また、自宅介護されている方の中で、施設入所での介護が望ましい方への早期入所に向けての環境整備に力を入れるとのこと。
2021年度予算における人材確保、人材スキルアップ、福祉環境の整備について伺う。
・看護師は70数名確保。退職者もいるが一定数は充足。
・介護・福祉人材は絶対数が不足。
・一昨年から専門学校、大学等に行政も直接足を運んでいる。
・高校、中学生に対して 現職の看護師・医師 仕事のやりがい・大変さを説明。
・予算上では施設運営する法人の自助努力に補助金を入れて手伝う。
・厳しい人員体制でもサービスの質を落とさない方策も検討(ICT活用など)
・令和2年度は空床ベッドが10床程度減少。法人全体で特養に重点配置している。
・保育園の入園審査 保護者が介護職の場合は加点。
・出産による退職者を防ぐことも今後の課題。
・地域での支え合いを推進、くらしのサポートセンターを新年度1か所増やす。
・地域包括ケアシステムの構築も推進。
・市民への周知は各職種イメージアップに傾注しつつ人材不足の困難さわかりやすく伝える。
・保険料を上げずにサービス維持し続けることは困難。現場の労働環境を犠牲にして成り立っている。
・医療現場では2024年以降、医師82時間以上の残業不可となり、柏崎市では脳外科が24時間対応できない。
→救急対応できなくなる可能性あり。
・医師の働き方改革達成度により病院ランク付けA~E→きつい職場に集まらない。2024年度までに知恵を出し合う必要あり。
各事業について
●生活困窮者自立支援事業 2849万8千円
★一時生活支援事業について
・民営アパート1部屋を最低限の家具付きで1年間借り上げる事業。
・国庫補助率2/3で直営実施。ニーズに即対応できる。
・住居を失った生活困窮者等の一時宿泊所とする。
・これまでは社協借り上げアパートや救護施設に案内してきたが、PCR検査の関係もありハードルが高くなってきた。
・生活保護申請者(退去勧告)、ホームレス、行旅人、虐待など 避難場所がない人が対象。
・利用日数は1ケース約2週間を想定。過去の実績を見て大体そのくらいで次の行先を探せる。重複はない。
・年間10名程度(援護係 実績 虐待、DV含めない)
・DV、虐待なども含む為、ケースバイケースで対応。
●疾病予防対策事業 48万円
★対象施設の拡充は
・障がい児者施設、救護施設への入所時にPCR検査または抗原抗体検査を行う場合、費用助成する。
・対象は入所施設2、グループホー12の他、令和3年度は障がい児施設1、救護施設1も追加。全体を通して毎月1名分を見込む。
●新型コロナウイルス感染症生活支援事業 600万円
★感染者以外の濃厚接触者への対応は。また今までの電話相談内容から新年度に反映されることは。
・あくまでも感染者とその同居家族が対象。
・感染者以外の濃厚接触者への支援は福祉保健部としては行わない。(産業振興部で各種経済対策)
・クレームには丁寧に説明。
・電話による相談支援は保健所と連携し、健康推進課の保健師が対応。
・感染者が置かれた状況は非常に厳しいことを把握している。
●意思疎通支援者派遣事業 72万3千円
●意思疎通支援者養成研修事業 49万1千円
★これまでの成果と新年度に強化される点は
・令和2年度から市が直営で手話通訳士・奉仕員、筆記要約奉仕員の派遣を行うようになり、細かいニーズに以前より対応できるようになった。
(以前は手話サークルを通して依頼)
・学校行事など長時間に渡る場合は複数名を派遣。
・原則として柏崎市・刈羽村のみ(通訳士の移動負担、安全面を考慮)、それ以外は県の障がい者協会広域派遣制度を紹介。
・今後も通訳を求める人、通訳する人 ともに意見を聞いてより良い制度にしたい。
・養成講座による手話通訳スキル向上は時間がかかる。まずは導入部として関心持つ人を増やしたい。
・講座も状況を聞きながら組み立て、参加者の声を聴きながら、理解促進も含めて進めていく。
●精神障害者福祉事業 739万円
★新年度の方向性は
・地域包括ケアシステムにより重層的に支えていくべきだが県からは方針示されていない。
・市では協議の場として平成30年から自立支援協議会の中に精神障害者部会を設けて、地域課題として情報共有している。
・再入院ないようにし、安心して地域で長く暮らすことができるよう、健康推進課とともに協議。
・ピアサポート(同じ立場)の養成は、経験を人前で話すには心理的な負担が大きく病状が不安定になる可能性もあり、慎重に検討したい。
●一人暮らし重度心身障害者等緊急通報装置整備事業 3万1千円
★拡充の必要性はないのか
・1名分計上。重度心身の場合はほとんど家族と同居か施設入所している。対象者拡大は考え難い。
・関係機関と連携し周知には努めたい。
●福祉職員支援事業 101万5千円
★前年度からの事業だが効果は
・令和2年度からの事業で、有資格者が入所系障害者施設に就職した場合、一定期間の就業を条件に支援金を出す。
・令和3年度は6名分を計上。
・全国的に労働人口が減少し、学生自体も減少する中で福祉系に進む学生が減っている。
・令和2年度は新潟福祉大学に出向き、学内サイトにて補助制度を紹介してもらった。
・移住定住に向けたアピール、就活イベントなどでも本事業を周知。
・事業者と一緒に採用支援を行いたい。
●障害福祉従事者人材確保・育成支援事業 253万1千円(新規)
★現場の実情に即した制度設計か。予算金額の根拠は。単年度事業か。「その他」の現場の自助努力をどう考えるか。
・6法人へのアンケート調査、従業員調査と医療福祉大学学生への意識調査を行った。
・法人アンケートから採用がうまくいかない、定着せずすぐ離職するといった問題を認識。
・従業者アンケートでは仕事の満足度48%以下、不満は処遇(給与、福利厚生、労働環境)に対するものが大半。
・補助対象は外部コンサル委託、合同企業説明会出展料、HP新規作成委託。
・その他の部分での自助努力(処遇改善、ICT活用など)は必要に応じて対象とする。
・金額根拠は聴き取り段階で4法人・5事業を見込む。
・中間報告会で状況確認と情報共有を行う。
・単年度事業だが継続も視野に入れる。
●障害者緊急時受入事業 21万9千円(新規)
★事業の詳細は。
・重い障害を持つ等ひとりで過ごすことが困難な人が、緊急的な事情で介護者が不在となった場合に、施設利用延長などの対応を整備。
・障害者地域生活拠点機能のうち、緊急時相談・受入対応事業を先行的に実施。
・事前登録審査会(仮)により緊急受入先を決定し、緊急時支援計画書に基づき対応。
・市内の障害福祉に関わる全事業所が対象。
・予算=委託料。(例えば19時まで施設利用、迎えに行けるのは20時~となった場合の延長料金)
●単身老人等緊急通報装置設置事業 1025万5千円
★制度の詳細、拡充しないのか。
・単身高齢者世帯4177世帯、認知症3918人、寝たきり4687人
・限られた予算内での拡充は難しい。
・地域ふれあい講座、民生委員、包括支援センターなど周知は続けている。
●寝たきり高齢者等紙おむつ購入費助成事業 4009万円
★介護度に応じて拡充しないのか。
・使用頻度は介護度によるものではない。均等割課税、非課税区分に限定。
●ふれあい給食事業 750万円
★事業効果や課題の確認・把握はしているか。
・社協が事業主体であり補助金を出す。直接確認はしないものの問い合わせ先につなぐことはある。
・定期的な聴き取りは行わないが、事業の様子や課題について担当が確認。
・エリアごとに請負事業者が異なり、中身に対し「もっと柔らかいものを」といった要望がある等、課題は聞いている。
・大雪の時に配達しきれなかった事例も報告。
・山間部などは食の確保が難しく、重要な事業として認識。
●シルバー人材センター経費 1898万円
★新規事業「ふれ愛のりタクシー」について 40万円
・買い物移動支援として民間タクシーの相乗りで最寄りのスーパー等への送迎を行う。
・シルバー人材センターが受付・配車調整を行い、契約先タクシー会社に連絡。
・月2回、料金はバス料金以上で定額。
・路線バスを利用できない高齢者対象、午後の時間帯を予定。
・担当者は買い物代行、除雪支援など行ってきた。
・会員によるスーパー等への付き添いも予定。
・事業費見積額 800,000 円(1/2 の 400,000 円を市として補助)
(内訳)人件費 480,000 円(@40,000 円×12 月)
運行欠損負担 100,000 円(@10,000 円×10 月)※
事務経費 120,000 円(@10,000 円×12 月)
広告及び諸費用 100,000 円(@10,000 円×10 月)
※運送欠損負担算出内容
剣野⇔ウオロク柏崎店 運行距離(推計) 4.6 ㎞
運行経費 4,860 円 - 収入 2,400 円(@800 円*×3 人)=運行欠損△2,460 円
運行欠損△2,460 円×運行回数 40 回(月 2 回×2 台×10 月)=年間欠損額△98,400 円 ≒ 100,000 円を見込む
(タクシーの運行経費は小型車の乗車運賃に基づき算出)
*お一人の1回乗車につきの個人負担額は800円とする。
●介護従事者人材確保・育成事業 4728万3千円
★介護夜勤対応者補助金の減額理由は。
・令和2年度は市内46事業所中36事業所で利用し、処遇改善をはかってきた。
・2年間の期間付きであることも利用されない理由と考えるが、利用しにくい制度ではなかったと考える。
★人材確保・職場定着支援事業補助金(200万円)の詳細は。芽出しとしての効果を狙うのか、即戦力確保に重点を置くのか。
・福祉課と同様の制度設計であり、職場改善、求人活動、イメージアップに資する取り組みを支援するもの。
・即戦力となる効果を期待したいものではあるが、事業者からの提案も受けて、芽出しとしての効果も上げたい。
・仕事の魅力を周知し、将来的な人材確保につなげたい。
★好事例の共有につなげることも視野に入れ、本事業の周知活動を柏崎市のSNSや動画サイトで発信することも検討してはどうか。
・本事業を直接発信するかが別として、市のSNSや動画サイト活用は検討したい。
●子どもの医療費助成事業 1億8112万2千円
★高校生への支援拡充は。
・支援全体の中で検討したが、医科・歯科利用者1790人・調剤1800人
・市内高校生1947名が年3~4回、医療費を使うと考えた場合の費用は1800万円~2400万円
・今すぐには難しいが、若年層への支援策全体の中で考えていきたい。
●医師確保対策事業 12万3千円
★令和2~3年度の取り組みは。
令和2年度の取り組み4点
①休日夜間急患センターに、第3日曜日にも県外医師を配属
②病院医師による小中学生講話9校(前年度2校)生徒300人、保護者40人に対し自身の経験、医療現場講話を行う。
③平成30年度センター前皮膚科開設支援を機に、診療所の開設支援業者と情報共有。
市の補助制度にアドバイスを得て、コロナ禍での開業は足踏みしているとの話もある。
④医学生への直接面談。もともと研修医確保が目的だが、2000人医学生対象に500機関が求人活動。
実習生に対し副市長から激励、病院実習生に対して面談し、病院と一緒にリクルート。
令和3年度
・地元病院に来ている医学生に直に会い、柏崎の良さを伝える。
・地元を選ばなかった研修医に対し、他の医療機関を選んだ理由、柏崎を選ばなかった理由を聞き、今後の対応につなげたい。
●医療従事者確保事業/ 看護師就職支援事業 2125万円
★これまでの取り組みを新年度にどう反映させるか。
・76名申込があり、2060万円中2020万円を使う。
・対象施設を介護事業所・障害施設に拡大し そちらの施設にも応募があった。
・勤務先違ったとしても公平に市が支援。
・移住定住施策との連携ににより看護師2名確保(北陸1名、看護職1名)
・ひとりでも多く確保したい。
●ひきこもり支援事業 1329万9千円
★これまでの成果、新年度予算は十分か。
・令和2年度はコロナ禍の影響で相談・訪問が制限される場面もあったが、新規11名。87名-1900件対応
・家族との交流持てないケース、通院等のサービスにつながらないケース、強迫性障害等の介入が難しいケースが多い。
・これら分析し対応の方向性を模索。
・年代別には39歳まで74%・40歳~26%→40歳以上が相談につながらない(8050問題)*学籍あれば不登校扱い
・ひきこもりに入る年齢 29歳まで86%、医療機関にかかっている 63%
・精神・発達障害が多い。
・重篤なケースもあり対応方針を考えなければならない。
・居場所づくりとして家族会・当事者交流会を定期的に実施。
・社会参加の糸口として就労準備支援事業(社協)により就労の足掛かり、情報交換につなげる。
・民生委員対象に実態調査も実施(地区別)
・早期支援のため高校と連携、教頭会で話す機会ある。
・市外との支援機関~KHZ(全国ひきこもり親の会)
・通常であれば介入できないところに介入できているのではないか。今後も伴走型支援を展開していきたい。
・相談員3名が配置されペアを組める体制なので、今のところ予算上で支障はない。
●高齢者保健・介護予防一体化事業 364万4千円(新規)
★開始理由と具体的な進め方、多職種連携は。
・国の法改正により、高齢者の健康推進(保健活動)と介護予防(地域支援活動)を令和6年までに一体的に実施することが求められる。
・生活機能の維持と健康状態の把握を一緒に行える体制をつくる。
・データ分析により地域の健康課題を把握。
・例えば健診未受診者に対するアウトリーチなどを行える。
・コツコツ貯筋体操の会場でフレイル予防の健康相談を行う予定。
・全体の企画・調整として正職員・保健師と、非常勤の看護師を配置。
・地域担当保健師、栄養士などと協力しながら事業に取り組む。
・かかりつけ医 歯科医師会とも連携。
・4月からスタートしたい。
この他
●国保医療保険特別会計予算
★短期証、資格証保持者への対応は。
・税金滞納により発行されるものであり、納税に向けた相談支援を行っている。
●後期高齢者医療保険特別会計予算
*質疑なし
●介護保険特別会計予算
★サービスを必要とする人に十分提供される体制か。
・各法人の特養への集中的な人員配置により空床ベッド数は若干は減っている。
・介護保険料は今年度据え置きだが、必要なサービス維持のために将来的には増額も検討課題。
「現場に光を当てた介護人材の確保」一貫して訴えてきましたが、今回ようやく事業化されたと感じます。
また高齢者保健・介護予防一体化事業は、「健康推進と介護予防の相関関係」を数値化し、エビデンスを得るチャンスでもあります。
食事の重要性という点から、栄養士・管理栄養士の役割も大きくなると考えられます。注目したいと思います。
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