« 後援会報「近藤ゆかり市議会通信」 | トップページ | 全員協議会「柏崎刈羽原子力発電所7号機の新規制基準への適合性審査および安全性向上の取り組みについて」 »

2021年1月24日 (日)

令和2年度 第2回防災士フォローアップ研修会

1月24日、「防災士フォローアップ研修会」に参加しました。

柏崎市では防災士養成講座を開催し、防災・減災に関する専門的な知識と技能を有する「防災士」を養成し、地域の防災活動や実践的な防災訓練に積極的に関わり、地域防災力の向上のために中心的な役割を担う人材の育成を進めています。

主催である柏崎市 危機管理部 防災・原子力課長からのご挨拶によれば、全国的に防災士の取得者が激減する中で、柏崎市では今年度42名の防災士(5期生)が誕生し、全体で200名以上に上るそうです。

今回の研修では昨年加入した「女性防災士の会すてっぷ」としてのお手伝いも兼ねて参加しました。以下はその内容です。

ーーーーーー

講演「災害に強いコミュニティの育て方」

講師:上村靖司 氏(長岡技術科学大学機械創造工学専攻 教授)

210124

災害は
●論理(仕組み-技術・制度)
●摂理(自然現象の理解・観測・分析・予報)を中心に考える傾向にあるが、
心理(人・人々の気持ち・行動)に目を向けないとかみ合わない。

人の心理に注目すると

●平常時-快適ゾーン
●災害時-パニックゾーン
●ストレス時-学習ゾーン=ストレスにより学習する。

防災=ゼロにはできない
減災(被害を減らす)、縮災(早く復旧)との言葉もあるが

いざという時に主体的に考えて行動する力を育むことが必要。

これからは応災=反応・対応・適応

【奇跡と悲劇】

◆釜石の奇跡と悲劇

東日本大震災の時、岩手県釜石市の小中学生が自発的に避難したことが話題になった。(2991人のうち犠牲者5人=生存率99.8%)
その一方で、対岸の防災センターには241人が避難したものの津波に飲まれ、生存者は34名(生存率14%)だった。

釜石の小中学校では片田敏孝教授(当時群馬大学)が防災学習を行い、津波三原則を子ども達に教えていた。

津波三原則とは

◆想定にとらわれるな・・論理には限界がある(ハザードマップなど)
◆最善を尽くせ・・正解はない
◆率先避難者たれ・・誰かが動けば他の人も動く

釜石の子ども達は中学生が小学生に声をかけ避難を開始。その様子を見た大人や高齢者も避難。
避難場所として指示されていた場所に逃げたが、迫りくる津波を見て「ここでは危ない」と判断し、さらなる高台を目指した。
防災センターに逃げた大人達は施設名により「ここなら大丈夫」との正常性バイアスが働いた。

⇒今できる最善の行動をとるしかない

2018年西日本豪雨では避難指示が出ても95%以上の人は避難しなかった。
テレビのアナウンス「今すぐ命を守る行動をとってください」
しかし現実に何をすればよいかわからない。

知識があればよいのか?
訓練すればいいのか?

不確かな情報をもとに何となく判断しているにすぎない。
今、直面している災害は方程式に当てはまるものなのか。

感性は経験により磨かれる。
行動は自信~自己肯定感~成功体験が背景に。

主体性」に踏み込まないと行動につながらない。

防災レシピから防災ワクチンへ
・レシピ:決められた手順
・ワクチン:免疫力を高めて災害と向き合う。

生き抜く力を育むにはワクチンが必要。

 

【自主防災組織と地区防災活動】

◆自主防災組織=日頃の地域コミュニティの延長

●中越地震の事例

震源地となった川口町木澤地区では、地域住民が食料やストーブを持ち寄って炊き出しを行い、暖をとった。
ついには除雪用の重機を使って、住民たち自ら道をつくった。
「できることをできる範囲でやる」「肝心なとき役所はあてにならない」

いかに日頃から行政依存しているか・・昔は自助・共助が当たり前。

●糸魚川大火の事例

ラーメン屋の出火が強風により「飛び火」して遠隔地に火災が広がった。
消防隊員65名のうち50名余がホースを握る(全員体制で消火活動)
→後方支援に人をまわせず、記録もできなかった。

しかし人的被害は最小。
避難誘導は地元の警察・自主防災会が行った。
彼らは日頃から商店街・青年会議所・町内会等の仲間として酒を酌み交わす中。
打ち合わせをしなくても阿吽の呼吸で動けた。

2事例からわかること・・いざという時に発揮されるのは「地域の力」

◆地区防災計画とは

従来、防災計画は国→都道府県→市町村にトップダウン。
しかし地域の実情はそれぞれ違う。
地域住民が話し合い、それぞれの実情にあわせて策定するのが「地区防災計画」:地区から市に上げる。
計画をつくることが目的ではなく、プロセスが重要。

【苦情と協働】

●岩手県滝沢市の事例

人口5万人の豪雪地帯。村時代から住民自治に尽力。
新興団地の開発により人口が急激に増え、行政施策が追い付かなくなった。
移住政策として行政による市道除雪を掲げたが、やればやるほど苦情も増えた。
排雪が間に合わない。予算が倍になる。

苦情が集中するのは「上ノ山団地」
住民要望・苦情データを解析すると
・バス通りが狭く状況がよくないから何とかしてほしい
・自宅前に寄せられる雪を何とかしてほしい

2013年~協働除雪の開始

・上ノ山団地のリーダー・高橋さん(元議員・故人)を中心に地域住民が「まごころ除雪隊」を結成。
・きっかけは「あの除雪車を貸してくれれば俺がやるのに」との地域住民の言葉。
・国の克雪事業を活用(補助金100万円)してパケット付除雪車をリースし、業者除雪が残した雪を片付け

2015年~本格的な住民協働へ

・隊長・局長で出勤を判断
・除雪日・排雪日の当番表作成
・排雪には市から軽トラを借用
・排土板付き除雪車購入

2016年~「上ノ山方式」として認知

・除雪協力費として1世帯1000円徴収を承認。
・業者との協働除雪車を配備。
・市独自に貸出用除雪機を確保。

2017年~財政的に自立

2018年~補助金ゼロ・苦情もゼロに

住民協働除雪を評価~上の山自治会まごころ除雪隊

<ふりかえり>

◆固定観念の払拭
・「除雪は行政の担当」→自分達の地域は自分達で作るべきもの
・業者・行政任せの除雪→住民主体で業者と協働。行政は後方支援。

◆主体性を取り戻した結果・・
・ニーズに寄り添ったきめ細やかな除雪。
・住民満足度の著しい向上。
・除雪が新しい地域共同体づくりの入口に。

リーダー:当事者→主体→率先者(=影響を与える人)
住民:無関心→傍観者→当事者→主体

<主体性が引き出された過程>

◆地域リーダー
・元議員:役所の論理や動かし方は熟知。しかし重機の運転はできない。
・自治会役員:重機の運転はできるが世の中の動かし方は知らない。

◆役員・住民の役割分担
・オペレーターの発掘。運転以外でも交通整理などの役割を担う。
・お母さん達の役割→感謝状の贈呈。お父さん達はますますやる気に。

◆主体性を獲得した結果
・共同作業による連帯感。やればできるという自信。
・定年後の生きがい。感謝の言葉・肯定感。その共有。
・自分達の地域は自分達でできる。→「三人寄れば文殊の知恵

(資料より)

★同市内の「あずみ野団地」でも協働除雪を導入をめざし、行政主導でワーキンググループを開催したが大荒れに。

●住民の認識「除雪とは雪を持っていくこと」
・除雪車が出たら道路に雪を出す。「出せば持っていくだろう」

●除雪車が来ると・・
・住民は外に出て除雪作業を監視「見てないと雪を家の前に置かれる」

●除雪業者は「もうムリ・・」
・雪を寄せることができず、結果、表面を撫でるだけの除雪に。
・この状態なら除雪は止めたい。

●それを見て住民は・・
・除雪の雑さに苦情を言う。
・懇談会で呼びかけるも悪循環

◆あずみ野自治会住民懇談会を開催
・雪を問題視しない班と、話し合いをしている班・していない班が混在。
・苦情と行政が捉えているのは団地全体でなく、「話し合いが不十分な班の一部住民の苦情」だと全体に共有。

第1段階:住民が個別に行政・業者に要望・苦情
・不満への個別対応が持続 
・協働除雪も「業者の代行」と認識

第2段階:除雪懇談会を開催し、地域に説明
・地域の要望・苦情が共有
・まだ行政と業者は一体の認識
・イケイケ自治会長と冷めた住民

第3段階:地域住民・行政・業者の3極構造
・それぞれの立場と役割が明確に
・自治会を5地区に分けリーダー選出。自治会主導の情報共有の仕組み
・協働除雪により除雪への理解深まる

第4段階:3者相互の関係性が双方向に
・除雪懇談会が共通認識づくりの場に

話し合いを重ねることで、地域の主体性が育まれた。

アンケート調査結果
・肯定的な意見が増え、除雪マナーの向上、話し合いに前向きに。

 

【ヤクタタズと限界集落】

豪雪地は高齢化(過疎化)が進行→除雪の担い手不足
担い手探し→除雪ボランティア登録制度(新潟県)
登録者と活動者数に差がある。

そこで・・「越後雪かき道場」を主催。
豪雪地域の除雪ボランティアとして未経験者を育成。
限界集落に入り、地域活性化につながっている。
未経験者にとって雪はレジャー。

越後雪かき道場

ミッション:未経験ボランティアに研修機会を提供(当初)
ビジョン:豪雪時に「修了書」を持った支援者が駆け付ける(当初)
コンセプト:「学び・成長・体験」を提供。「楽しく一緒に」雪かきする。「地元のみんな」を巻き込む。「ブランディング」(かっこよくおしゃれに)

雪かきを楽しく本気で学ぶ。「越後雪かき道場」入門レポ!

★除雪ボランティアと地元住民の交流機会を創出。
★ボランティアに地元のお年寄りが雪かきのテクニックを伝授。
★一人暮らしの高齢者宅の雪下ろし→感謝→やりがいに。
★毎年の交流につながるケースも。

*個人宅のどこに派遣?→本当に困っている人のところへ。

ボランティアの声
・感謝の言葉が嬉しかった
・疲れたけど充実していた
・地元の方々のおもてなしがよい思い出になった
・観光ではなく体験を通して交流できて満足
・またやりたい。充実感!

地元住民の声
・どうなるかと思ったけど、やらせてみれば結構できるなあ。
・手伝ってもらって助かったよ。
・俺たちの雪かき技術は日本一だ。
・正直、面倒くさいと思って受け入れたらすごく良かったよ。
・また来いよ。春は田植え、秋は稲刈りをやらせてやるから。

平成30年防災功労者内閣総理大臣表彰を受賞

◆越後雪かき道場の意義

マイナス(ヤクタタズ)+マイナス(限界集落)=プラス

本当に足りなかったのは、除雪の担い手?
・雪かき道場を開催するとかえって大変。やらない方が楽?
・「ヤクタタズ」と呼んでいる時点で役に立っていた。

 

<これからの防災は何を目指すべきか>

安全安心の欺瞞・・安心しきったら却って危険。不安だからこそ安全に。
快適・便利・・度が過ぎれば不満ばかりに。
合理的・効率的・・人間の心理はいつも不合理・非効率

大雪の時は、地域を育てる絶好のチャンス

<私の願い>
今の地球の困りごとだけでなく、子どもや孫の未来に、誇らしく思えるような地域に育ってほしい。
次々と顕れる地域の課題に対し、皆で丁寧に議論を積み重ね、納得して対応できる地域になってほしい。
何時いつ起きるかわからない、災害などの非常時にも助け合って支え合って乗り越える地域に育ってほしい。

最後に・・

Yahoo!ニュース「福井市内大雪から2週間 SNSで歩道除雪呼び掛け 保護者ら通学路確保」

1/23(土) 12:43配信 福井テレビ

先日の大雪から2週間が経ち、福井市内では23日、SNSの呼びかけで集まったボランティアらたちが歩道の除雪作業に取り組んだ。
同市北部にある通称・サン二の宮通りは車道の除雪はされているが、歩道には多くの雪が残っている。
この通りは付近の小学校や幼稚園に通う児童や園児らの通学路になっているため、地元の保護者らがSNSで歩道の除雪を手伝うボランティアを募った。
この日は、7人のボランティアが集まり、スコップを使って交差点に積み上げられた雪山を崩したり、除雪機で歩道の雪を取り除いたりした。
24日までに通り沿いの歩道約1.5kmの除雪を完了したいとしている。

このニュースが取り上げられてよかった。気が付いた人が声を出し、行動することが大切。

ーーーーーーー

非常に深い内容の講演であり、災害に強いコミュニティを育てるためには、日頃から顔が見える友好的な関係を築いておくこと、主体者として自ら動く人、率先者となるリーダーがいることが重要だと感じました。

私自身も主体的かつ適時・的確に行動できるよう、スキルを磨く努力をしていきたいと思います。

« 後援会報「近藤ゆかり市議会通信」 | トップページ | 全員協議会「柏崎刈羽原子力発電所7号機の新規制基準への適合性審査および安全性向上の取り組みについて」 »

災害関連」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

« 後援会報「近藤ゆかり市議会通信」 | トップページ | 全員協議会「柏崎刈羽原子力発電所7号機の新規制基準への適合性審査および安全性向上の取り組みについて」 »

最近のトラックバック

2021年4月
        1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28 29 30  
無料ブログはココログ