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2021年1月25日 (月)

全員協議会「柏崎刈羽原子力発電所7号機の新規制基準への適合性審査および安全性向上の取り組みについて」

1月25日の午後から市議会全員協議会がありました。
内容は、柏崎刈羽原子力発電所7号機の新規制基準への適合性審査および安全性向上の取り組みについて、東京電力ホールディング株式会社から説明を受けるものでした。
この後、柏崎市、刈羽村、新潟市、長岡市、上越市で住民説明会が開かれます。

しかしながら前々日となる1月23日には下記の件が報道されたことは、大きな衝撃でした。

新潟日報 2021/1/23/20.00

「別人IDで制御室入る 柏崎原発所員、テロ対策規定違反か」

東京電力は23日、柏崎刈羽原発の所員が昨年9月下旬に他の所員のIDカードを使って原発の中央制御室に不正に立ち入っていたと発表した。
東電は原子炉等規制法に基づき、テロ対策などを定めている核物質防護規定に違反した恐れがあるとして、原子力規制委員会に報告した。
東電はメディアが報道した後に公表した。
中央制御室は原発の制御や監視、操作を集中的に行う重要な施設で厳重に管理されている。入室には顔写真の確認など複数の警備を通過する必要があるが、通り抜けていた。
関係者によると、この所員は自分のカードを持っていなかったため、休みだった同僚のカードを無断で持ち出し、使用した。社内で判明し、東電は直後に規制委に報告した。
原発でのテロ行為を防ぐため、原発を運転する事業者は核物質防護規定を定めて規制委の認可を受けている。規制委は東電からの報告を受け、違反の有無や防止対策について調べている。
東電は「核物質防護上、詳細を公表できない。地域の皆さまにご心配をおかけして申し訳ない。対策の徹底を図り、引き続き社員教育に努めたい」としている。
柏崎市の桜井雅浩市長は「原発の安全管理にとって非常に重要な案件。東電に対し、より正確な事実関係を報告してもらいたいと伝えた」とするコメントを発表した。
東電が再稼働を目指す同原発7号機は今月12日に規制委の新規制基準に基づく安全対策工事が完了。今後は地元自治体の同意が焦点となっている。

以下は全員協議会の内容です。

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◆橘田代表(新潟本社)より

S44年の市議会での発電所誘致決議から50年を超え、地域の多大な協力のもと運営してきた。
福島事故からまもなく10年。今も尚、福島・新潟・社会の皆様に多大な不安と心配おかけしお詫びする。
福島のような事故を二度と起こさないとの覚悟のもと、安全対策に取り組んできた。
7号機 安全対策工事が完了。安全性向上の自主。今後は燃料装荷。
安全はこれで十分と思ってはいけない。さらなる安全性向上に取り組む。

一昨日の報道、昨年9月下旬、他人のIDカードで中央制御室進入。
すでに規制委に報告し対策とっているが、お詫びする。
発電所内の核セキュリティの徹底および社員教育の徹底に注力したい。
組織が一体となり解決できるよう、日々の防災訓練など継続的な改善を図りたい。

地球温暖化防止対策
・2030年度までに半減(2003年度比)
・2050年までの二酸化炭素ゼロ カーボンフリー

実現の為、電源側の取り組みが重要。
原子力発電は安定供給、エネルギー安全保障の観点から重要な電源。
また自然災害は太平洋側に集中することから、日本海側の電力安定供給強靭化に不可欠と考える。

安全性・業務は地域の皆様に評価されるもの。
主体性を持ち安全性向上に取り組む。
住民の皆様の声を傾聴し地域と向き合うことを約束したい。
尚、規制委員会に関することは本社対応のため、十分お答えできないかもしれない。

◆石井所長より資料に基づく説明

地域の皆様への説明会(2021年1月 東京電力HD)

配布資料

日本のエネルギー事情(2021.1月 東京電力HD)

 

◆質疑応答

(I議員)
7号機の安全対策工事説明が本日の趣旨であり、安全性向上に向けて注力していることへの説明あった。
冒頭、常務執行役から福島事故から10年、今日まで収束していない。避難者、産業界の苦悩、今も影響あることへの謝罪あった。
原子力災害 過酷事故の影響が大きいことは全国民の理解となっている。
その後、運転を行うにあたり、あれほどの事故を起こした東電の運転の適格性が問われている。
この間も免震重要棟の耐震性、連絡ミスなど、繰り返してきた。
直前にIDカード不正使用の事件も起きている。
安全対策の訓練説明受けたが、こうした核防護規定違反を疑われる事件を起こしていて、安全性向上への責任果たせるのか。
安全対策の運用できるのか適格性が問われる。
事件9月に起きたことをこれまで世間に隠してきた。おかしい。信頼到底できない。
なぜ今になってこのような事件が明るみになっているのか。
習慣的に行われているのではないかと疑い持たれている。
的確性に疑い持たれていながら、思い描くスケジュールでできると考えているのか。
的確性は認められるものではない。

(橘田代表)
改めて心配をおかけしたことお詫び申し上げる。
そもそも福島事故 あれほどの事故を起こした私どもへの適格性が一点目だが、事故の当事者であることへの責任を持って、福島の復興・廃炉・賠償に尽くしている。
同時に事故から様々な教訓を学んできた自覚はある。
安全にゴールはない、十分ではない。全社員の胸に刻んで事業にあたっている。
ひとつひとつ積み重ねて再び信頼をいただくよう努力を続けていきたい。

冒頭お詫びしたID問題について「9月から隠して」との話だが、すみやかに規制庁に報告している。決して隠蔽の意思はない。
情報公開・発信は核物質防護上の問題があることから、詳細に関してお話しさせていただくことは控える。
規制庁への報告は済んでおり、その結果として指示等降りることから、それを受けて公開するつもりであった。
ご意見・ご質問忘れないでおきたい。

再稼働スケジュール 思い通りにできるのかとのことだが、先ほどの説明通り。
7号機の再稼働は安全最優先 地域理解を賜る必要性がある。
あくまでも安全対策工事が行われている検査スケジュールを示した。
おかしなところあれば立ち止まる。技術的行程を積み上げたもの。

(M議員)
今日の説明会タイミングは何なのか。何を説明したいのか伝わってこない。
今までのものを復習している程度で、ほとんど聞かされたものを中心に説明している。
3年ぶりに行われる説明会だが以前とあまり変わらない。
今日の目的は?

(橘田代表)
本日の説明の3年前の平成30年に全員協議会で説明し、同日に市民にも説明。
平成29年の12月に設置変更許可を受けて開いた。
今回の新規制基準ともなう安全工事は、許認可前に工事着手が許されている事情がある。
工事を行いながら基本設計(平成29年12月)に許可いただいたいる。
当時は基本設計の説明。
その後、詳細設計 具体的な工法・施工が認可、工事完了。
3年前の方向性の中で示した詳細設計、工事が完了したことへの報告が本日の趣旨である。

(M議員)
今日までに1兆2千億円の工事。スタートラインがあってどう到達したのか、とのスケールで説明しないと納得できない。
福島事故 全電源喪失 さかんに議論があったのに無視されたことで起こった。原因分析することがスタートラインではないか。
御社としての安全性オリジナルがないから、IDの問題、人間による事故が起因。

①フィルターベントは全工事が終わったのか。システムは実際に機能するか検査したのか。実機でやらねばならないができるはずがない。
②避難計画への協力とあるが、夏場しか想定されていないのではないか。施設内の除排雪、冬季についての対応は。

(石井所長)
①について、フィルターベントは工事完了。使用前検査も。精度確認は社内の自主検査。
総合確認は使用前確認のステップの中で、規制庁に確認いただく。

(橘田代表)
②について、まずは避難に至らないように対策をとっている。その上での万が一の質問かと思うが。
住民避難は行政指示によるもの。自治体で避難計画、実効性高めるために協力する立場。
明日、新潟県が冬季訓練を実施。訓練重ねることで実効性を高めていくところに社を挙げて協力していきたい。

(M議員)
福島の事故原因の分析は東電としてどう考えるのか。
フィルターベント工事中であれば燃料装荷後の検査4月に予定はおかしい。
燃料装荷=目の前に稼働 シナリオのひとつ。
同時に自治体の了承を得なければいけないのではないか。

(橘田代表)
福島事故の原因はこれまでも検証してきたが、地震に伴う津波による全電源喪失を主原因として認識。

(石井所長)
フィルターベント装置の工事は完了。性能の確認を行っている。
この工程は国への検査スケジュールの調整。
今月中にフィルターベント完了。
なにかあれば立ち止まる。住民理解を前提としている。

(I議員)
フィルターベントについては当時も謝罪あった。3つの条件で事前了解。
新規制基準への適合としてシビアアクシデント対策、審査結果を適時適切に説明とのことだが。
運用方法と住民避難計画との整合性が求められてることが、課題としてまだ残っていると認識するが、課題が残る中で起動試験にはならないのではないか。

(橘田代表)
フィルターベントを巡っては平成25年から色々あった。
避難計画との関係は新潟県からも事前了解を得て、3つの検証の中で専門家から審議いただく。
整合性は技術委員会で議論され、柏崎刈羽原子力発電所の21の課題を技術委員会が抽出。その中にフィルターベントも含まれる。
一方で避難委員会では避難計画をさまざまな角度から議論いただく。
3つの検証の中でI議員のご指摘部分も第三者的な評価いただいている。

(I議員)
課題残るなら前に進めない。
地域説明会、新潟、長岡、上越に対しての説明責任について。
対策指針でUPZ圏内 避難計画の策定義務を負わされた。
28市町村研究会の監事自治体 他への説明責任どう果たすのか。努力すべきでは。

(橘田代表)
安全にゴールはない。事故リスクはゼロではないが、日本のエネルギー事情を勘案すれば原子力発電は必要。

(I議員)
原子力災害リスクがゼロではないとする中で、事故あった場合の責任をどうとるのか明確にすべき。

(橘田代表)
UPZ圏内住民への情報提供として先ほどご紹介いただいたが、このあと県内5箇所で説明会行うがこれで終わるわけではなく県内に広く説明をしていきたい。
県内全体で広報紙を配布し安全対策工事の説明を行い、小規模の説明ブース(コミュニケーションブース)ほぼすべての自治体で開催している。
コロナ禍で対面でない形で進めている。年末に何とか吸い上げて安全対策を示したい。
なにかあれば社長の法的責任が問われることは資料の10で示した通り。

(H議員)
安全審査が終わって試験に向かうわけだが、運転員の責任は。
長らく運転停止していて経験ない運転員が担うことについて、どう育成するのか。
燃料棒の入れ方によって、よく燃える箇所などノウハウあると聞く。
経験ないオペレーターだけにやらせないよう訓練はされているのか?

(石井所長)
運転員の経験不足を懸念しているが、起動行程をシミュレーターし、実時間で経験・知識付与しながら操作訓練を行う。
稼働しているプラントで実機での研修を受ける。
組織全体で、運転・起動時のくせやしっかりした洗い出し工程ごとに組織全体でまとめている。
今後も再稼働に向けて勉強、バックアップ体制。

(I議員)
説明で安全を守るのは「最後は人」と締めくくったが、安全性を高めるためにID不正問題は明らかにすべき。
あらためて議会や地域・市民への説明も必要。
議会運営委員会が開催され、IDについて説明あるだろうが、明らかにできないだろうからコンパクトにするとの申し合わせを行う。
おそらく議長から、あらためて核防護違反について議会への説明の申し入れあったことだが、説明どうするのか。

(橘田代表)
本日の意見は忘れないで帰りたい。
事故の教訓ふまえ安全レベル高めて対応力の向上に努めたい。
安全への知見 必要対策を継続実施。
本日の結果も含めて当社の取り組みに反映させたい

――――――

ハード面および災害発生時の対応など安全対策については厳しい基準をクリアし、さらに自主対策も進めていることは理解できました。
ですが「ID使用問題」が今のタイミングで報道されたことは、これまでの努力を水の泡にしかねない事態だと思います。
マスコミ報道される前に、規制委員会に報告した段階で自治体に話があってもよかったのではないかと感じるのですが・・
すでに社内での改善策は施しているとのことですが、チェック機能のさらなる強化に加え、ひとつひとつの動きが「世間の目」にどう映るかという観点での危機管理強化も必要ではないかと感じるところです。

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