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2020年9月12日 (土)

介護現場におけるBCP(事業継続計画)

9月10日の一般質問、2つめは介護現場の防災・事業継続対策について取り上げました。

(↓新潟日報2020年7月11日記事より↓)

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1、介護現場におけるBCP(事業継続計画)

(1)第8期介護保険事業計画とBCPの推進 

新型コロナ感染拡大が長期化する中、7月には全国各地で豪雨災害が発生し、厚生労働省によれば99か所の高齢者施設での浸水被害が確認されている。

高齢者、特に要介護者は自力で日常生活を送ることや、災害や感染症から自分の身を守ることが難しく、介護現場では利用者を災害や感染症から守ると同時に、有事の際でも必要とされる介護サービス提供を維持することが大きな課題である。

ウィズコロナの時代、災害が頻発する現代社会において、介護現場でも実効性あるBCP=災害や感染症による損害を最小限に抑え、事業継続や復旧を図る事業継続計画を備えることが必要と考える。

今年6月の一般質問では、国の指針をもとに市区町村が3年ごとに策定する「第8期介護保険事業計画」について、重点課題などをお聞きした。

その後、厚生労働省は7/27の社会保障審議会・介護保険部会において国の基本指針を改正し、本計画に初めて「災害や感染症対策に係る体制整備」を盛り込むことを決定。

このことにより、介護保険事業計画はBCPとしての側面が強化されることになる。

現実的には、災害や感染症に対応するのはそれぞれの介護現場であり、事業継続や再開も、複数の事業所を持つ法人であれば、まずはその中での連携・協力が望ましい。

けれど災害や感染症の規模や、職員の被災・感染状況によっては、一事業所・一法人だけでは完結できない場合もある。

また各介護現場の事業継続ができなければ、将来の介護崩壊にもつながることから、頻発する災害や、長期化する新型コロナ感染症も念頭に置いて、柏崎市は各介護現場との連携を、さらに進めていくべきと考える。

とりわけ新型コロナ対策は現在進行形の課題であり、介護現場では感染者が出た場合でもクラスター化を防ぎ、業務を継続しなければならない点を危惧している。

以上を踏まえて「柏崎市第8期介護保険事業計画」におけるBCP推進に対する柏崎市の見解、および新型コロナ感染症発生時の対策として、6月以降の進捗状況および新たな検討事項を伺いたい。

(福祉保健部長)

「災害や感染症対策に係る体制整備」を適切に柏崎市第8期介護保険事業計画に反映させるべく、検討している段階。

BCP策定は6月下旬に市が所管する社会福祉施設に策定を依頼した。

指摘通り第一義的に災害・感染症に対応するのは各介護施設だが、提出されたBCPを把握した上で今後の対応を一緒に考え相談していく。
仮に感染者が発生した場合、同一施設内での対応は難しいことから、同一法人内での対応を国からも示されているものの、それだけでは対応できない状況も推定される。

大阪府や岐阜県では、都道府県や都道府県社協が中心となり、大規模に職員を派遣し連携していくことが示されるが、新潟県ではまだこうした体制整備には至っていない。

コロナ対策における6月以降の柏崎市の対応は

●防護服セットを各地域包括センターに配布
●新型コロナ対応指針を8月に策定し通知、支援継続
●感染症に関するアンケート実施

また10月にはコロナ対策についての研修を保健所と共同実施し、同一法人内における連携事例、ゾーニングの具体例を示しながら、保健所・医療機関の指導をいただく。

柏崎市内ではいまだに介護施設でコロナ感染者は出ておらず、これも献身的な介護のおかげと感謝している。
今後も気を緩めることなく、市としてできる支援をしていきたい。

 

(2)要配慮者利用施設の災害対策

令和2年7月豪雨では、熊本県の特別養護老人ホーム「千寿園」が、付近を流れる球磨川氾濫によって浸水被害に遭い、入居者14名が犠牲になったことが大きく報じられた。その後、事業再開を断念したことも知られている。

国は平成29年に水防法と土砂災害防止法を改正し、洪水や土砂災害が想定される区域に所在する、高齢者、障がい者、乳幼児などの「要配慮者利用施設」に対し、避難の場所や手段などを具体化した「避難確保計画」の策定を義務付けている。

被害に遭った「千寿園」はハザードマップ上で洪水時に10~20mの浸水を想定する区域内にあり、避難確保計画を策定し、年に2回、近隣住民とともに避難訓練を行ってきた。

けれどその一方で、避難確保計画には「建物内への浸水」についての記述がなく、河川の氾濫を想定した訓練は行われていなかったことも明らかになっている。

また被災した当時、出勤職員は夜勤者のみで、避難確保計画通りに動けなかった面も多々あり、施設周辺や道路一帯の冠水のため、他の職員は施設にたどり着けなかったという。

そして千寿園にはエレベーターがなく、夜勤職員と駆け付けた近隣住民とで、入居者を人力で2階に避難させている途中で、窓ガラスを破って濁流が浸入し、約2時間で1階が水没したと伝えられる。

大変痛ましい災害事例であるが、各介護現場が我が事として捉え、今ある災害対策を見直し、より実効性ある備えにつなげていくことが大切だと思う。

さて、柏崎市においてもハザードマップ上、浸水や土砂災害のリスクが高い要配慮者施設は少なくないことと思う。

避難確保計画の策定はもちろんだが、これまでの災害事例を教訓としながら、計画の中身をブラッシュアップして、利用者を確実に守り、被害を最小限に抑えて事業を継続・再開することを視野に入れ、有事に備えることが重要だと考える。

柏崎市において洪水や土砂災害が想定される区域にある要配慮者利用施設がどのくらいあり、避難確保計画の策定は進んでいるか、また計画策定や見直し、実施に対する柏崎市の支援を伺いたい。

(危機管理監)

本市の洪水浸水警戒区域内の要配慮者利用施設は49施設あり、国の指針変更を受けて昨年度末、避難確保計画策定をお願いした。内訳は

高齢者施設18、障害者利用施設9、医療機関2、幼稚園・保育園9、児童クラブ4、小中学校7で、計画策定率は100%。

土砂災害警戒区域は20施設あり、内訳は高齢者施設8、障害者利用施設1、医療機関1、幼稚園・保育園3、児童クラブ2、小中学校5。

避難確保計画の策定率は95%で19施設から提出され、残る1施設についても計画案は提出済で当市決定を待つ状況。

具体的な支援としては対象施設に向けて説明会を行い、計画策定例を示すとともに、対象施設を訪問し相談に乗ってきた。計画更新に際し引き続き支援を続けたい。

 

(3)災害に備えた人材確保

災害時、入居者の安全確保のためにもっとも必要なのは「人手」である。

介護現場で、出勤職員が比較的多い日中に災害が発生した場合、ある程度スムーズに対応できると思うが、問題は夜間、特に深夜から早朝にかけての時間帯。

どの介護現場でも夜間に配置する職員数は最小限であり、災害発生時には、まずは夜勤者だけで入居者避難等の初動対応を行わなければならない。

マニュアル上では、非常災害時には全職員に招集をかけていても、施設周辺や道路が被災すればたどり着けない可能性もあり、夜勤者の迅速な判断と行動が求められる。

そもそも夜勤職員の業務は、着替え・食事・排泄の介助、口腔ケア、服薬管理、体位交換、徘徊対応、体調管理、介護記録の作成と、多岐に渡る。

体力・気力・スキルが必要な、心身の緊張状態が続く勤務であり、介護現場では夜勤ができる人材の確保に苦慮している。

中には「夜勤をしなくてよい」との条件で新しい職員を採用するケースや、これまで夜勤をしていた職員が、家庭の事情等で夜勤を免除されるケースもある。
そうなると夜勤ができる職員に負担が集中し、過労による離職や休職を招く・・そんな負のスパイラルが、介護人材不足に拍車をかけている。

こうした実情をふまえて、1年半前にスタートした「介護夜勤対応者臨時補助金」は、柏崎市独自の夜勤者への処遇改善策として、大きな注目を集めてきた。

現在、市内の多くの介護現場がこの事業を活用し、好評を博しているが、期限は令和2年度末まで、半年後には終了してしまう。

昨年6月の一般質問でも言及したように、事業終了後も夜勤者への処遇改善を続けるには、事業所の持ち出しとなり経営を圧迫し、いちど上げた夜勤手当を元に戻せば、介護従事者のモチベーション低下につながりかねない。

柏崎市の財政が厳しいことは承知しているが、頻発する災害に対応し、将来の介護崩壊を防ぐために、何とかして続けていただきたい、それが介護現場の願いではないか。

介護現場でのBCP実現のために、もっとも必要なのは人材確保であり、特に夜勤人材の確保は不可欠だと考える。
今後も「介護夜勤対応者臨時補助金」継続などにより、夜勤ができる介護人材への支援を行う考えがあるか伺いたい。

(福祉保健部)

当市の介護夜勤対応者臨時補助金は、平時も含め負担の大きい夜勤者への補助に対する事業者負担を軽減することで、離職防止や職員確保を目的に昨年度新たに創設した事業である。

担当課の聞き取りやアンケートによれば、この補助金により新たな夜勤職員確保には中々つながらないものの、市が応援することによるモチベーション向上や、夜勤回数増加を希望する職員が増えるなど良い効果が見られている。
補助期限は今年度末までだが、効果について災害・感染症対策も含めて詳細に分析している。

限られた財源の中で人材確保の効果を上げるよう、本事業の継続、見直し、場合によっては新たな支援策も含めて検討している最中なので、議員からも助言いただきたい。

ーーーーーーーーーー

介護人材確保や災害・感染症対策は「終わりなき課題」ですが、だからこそ一貫・継続して取り上げることに意味があると感じています。

今回は介護施設を取り上げましたが、在宅生活を送る高齢者をはじめとする災害時要援護者をどう守るかということも、今後取り上げていきたいと思います。

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