« 地域エネルギー会社設立検討・準備会について | トップページ | 介護現場におけるBCP(事業継続計画) »

2020年9月12日 (土)

原発財源の現状と柏崎市の将来像

9月10日、原子力発電所関連財源(原発財源)について一般質問しました。以下はその内容です。

Img_8176

原発財源の現状と柏崎市の将来像

原子力発電所関連財源、いわゆる原発財源は、柏崎市一般会計の15%前後を占める収入源であり、私達の生活と密接に結びついている。
原発財源の実態や見通しを通して、柏崎市の将来像をどう描くか、順次質問したい。

(1)原発財源と市民の安心・安全・豊かさの向上

(ア)新たな使用済核燃料税の財政需要

3月随時会議で審議を重ねた新しい使用済核燃料 税条例が、10/1から施行される。
今のところ、経年累進課税分は発生しないものの、税率が1㎏あたり480円から620円になり、今回の一般会計補正予算案第12号では8587万3,000円が歳入として計上され、2021年度には約2億1000万円の増収が見込まれる。

これまでの使用済核燃料税の使い道は、消防、医療、観光、市民活動、除排雪、河川改修、小中学校の施設整備、そして職員人件費等、多岐に渡る。
4/17代表質問で市長は新たな使用済核燃料税の財政需要について、これまでの使い道に加え、少子化対策や人材育成の為に使いたいと述べられた。

市民サービスの向上や福祉の充実のためには、しっかりとした財政基盤が必要。
また原子力発電所は柏崎・刈羽地域の基幹産業として、多くの人々の雇用と暮らしを支えていることから、安全性の確保を大前提に、共生していくべきと考える。
そのため原子力発電所との共生によって生み出される財源が、市民の安心・安全・豊かさのために使われると確認できたことが、本税条例に賛成した大きな理由だった。

しかしながら新たな税条例を可決した4/21以降は、新型コロナ感染拡大により柏崎市を取り巻く社会情勢は大きく変化している。
景気・経済対策や感染防止対策のための補正予算が何度も組まれる中、法定外目的税から法定外普通税に変わった、新しい使用済核燃料税による増収がどのように使われるか、注目されている。

新型コロナ感染拡大による社会情勢の変化もある中で、10/1からスタートする使用済核燃料税による増収分を、市民生活や地域振興にどのように反映させたいと考えているか。

(市長)

新型コロナ対策等には多くの財政需要が予想され、財源確保は重要である。
今回の使用済核燃料税は法定外普通税の一般財源だが、一義的には使用済核燃料が市内に保管されていることで生じるための課税である。
新たな核燃料税の財政需要は、これまで一般財源の部分を充当し、浮いた分の一般財源をコロナ対策費等に充てる。

 

(イ)原発財源への理解促進

原発財源は使用済核燃料税、固定資産税、法人市民税といった市税と、国や県の交付金により構成されている。
2018年度決算では、国からの交付金は17億724万円、県からの交付金は10億5630万円、使用済核燃料税は5憶7495万円だった。

このうち、国の主要な交付金である「電源立地地域対策交付金」は、インフラ整備、スポーツや教育文化施設の維持管理、子育て支援や医療の充実など、人件費も含めて様々な場面で使われている。

本来この交付金は、円滑な発電と電力の安定供給を目的に、電力消費地が享受する利益を、生産地に還元するもので、電気料金に上乗せされた電源開発促進税を原資としている。
けれど2011年の福島での事故の翌年から、柏崎刈羽原子力発電所は安全対策強化のため運転を停止している。
電源立地地域対策交付金は停止中も運転しているとみなして支払われるが、発電実績に応じて算定されるため、柏崎市に入る交付金は以前よりも減っている。

市長は今年度、国に対して、電源立地地域対策交付金のみなし措置見直しや、安全・安心のための財政支援等を要望されているが、発電できない状況下で、電源立地地域としての存在価値をいかに示すかが、問われていると感じる。

一方、県の主要な交付金である「原子力発電施設立地市町村振興交付金」は、原子炉設置事業者が納める「新潟県核燃料税」の16.2%が柏崎市に配分されたものである。
こちらも生活の安定、福祉の向上、防災対策の充実など、各種施策に欠かせない貴重な財源であり、私たち電源立地地域住民だけでなく、新潟県民全体の生活を支えている。

原子炉の運転停止が長期化する中、昨年11月に税率が見直され、県全体で約15.1億円、柏崎市への配分は約2.4億円の増収が見込まれ、財政厳しい新潟県にとっても原発財源は貴重な歳入だとよくわかる。
しかし県民、特に電源立地地域以外の住民の多くは、原発財源が自らの生活を支えているとの実感が薄いと思われる。

原子力発電所をめぐる状況が日々変化していることもふまえ、柏崎市は電源立地地域として、原発財源に対する理解促進をリードしていくべきではないか。

新しい使用済核燃料税の創設を機に、原発財源全体の仕組みや使い道、将来見通し等について、市民そして県民への理解促進をはかる考えはあるか。

(市長)
他の自治体との違いは原発財源の有無であり、県内の同程度人口(8.2万人)自治体と比べて一般会計の当初予算は約100億円多い。
柏崎市よりも人口が1万人以上多い自治体と同程度の予算を持っている。
これまで原発財源は交付金や固定資産税等も含めて、市民サービスや公共施設として利用されてきた。
市民への周知の仕方が足りなかったが、各議員からも、原子力発電所への賛否を超えて、他の自治体より当初予算が約100億円多いことを周知いただきたい。

 

(ウ)租税教育と原発財源

毎年「税」に関する標語ポスターおよび税に関する作文の優秀作品が、市のHP等で紹介され、いつも感銘を受けている。
特に中学・高校生による作文は、税金が自分たちの生活を支え、社会を良い状態に保つためのものと認識し、税金を納める側・使う側として責任を持って行動したいと述べられ、しっかりとした税についての教育、租税教育がなされていることが伺える。


国税庁によれば、租税教育の目的は、「次代を担う児童・生徒が、民主主義の根幹である租税の意義や役割を正しく理解し、社会の構成員として税金を納め、その使い道に関心を持ち、さらには納税者として社会や国の在り方を主体的に考えるという自覚を育てること」

そこで租税教育の一環として「原発財源」についても教えることができないかと考える。
原発財源は学校の教室・設備改修、エアコン設置、特別支援学級介助員の人件費など、安全かつ快適な学校生活のために使われている税金であり、柏崎市が電源立地地域として、発電所とともに歩んできた歴史の象徴でもあると思う。

長年に渡りこの地域が電気をつくり、首都圏の生活や産業を支えてきたから、原発財源が得られること、その財源が市民の暮らしを支えていること、福島での大きな事故を機に発電を止めていること、再び発電するには安全性を高め続けなければならないこと・・こうした柏崎市のおかれている現実を、どこかできちんと教えることが必要ではないか。

柏崎市における租税教育はどのように行われているか、また今後その中で原発財源についても取り上げる考えがあるか。

(教育長)
租税教育は税務署職員の派遣による租税教室など、昨年は市内31校で行われた。
目的は税について正しく学ぶことなので、原発財源を取り入れることは考えていない。
小中学校の社会科教科書には税金の種別について記載があるが、原発財源の記述がない。
当市の歳入の中で原発財源が大きなウェイトを占めることから、現在改定中の教員向け副読本(小学校社会科)に電源三法交付金や使用済核燃料税等を解説・掲載し、理解を深めたい。

 

(2)廃炉がもたらす市財政への影響

本年2月に行われた「エネルギーに関する市民意識調査」の設問10「柏崎刈羽原子力発電所について、今後どうあるべきだと思うか」の回答は、
●徐々に減らしていき、将来は全て廃炉にする が39,4%
●できる限り減らしていくが、限定的な再稼働が必要 が29,2%
●直ちに全号機廃炉にすべき が9.2% 
●全号機の再稼働が必要 が6.1% 

というもので、廃炉に対する関心の高さがうかがえた。
だが廃炉とは何か、また廃炉によって柏崎市がどうなるかということへの理解は進んでいるか。

廃炉を実現するには、まずは原子力規制委員会に、対象となる原子炉の「廃止措置計画」を提出し、認可を受ける必要がある。
次に発電に使用された「使用済核燃料」の搬出や、汚染状況の調査と除染が行われる。
それが済むと、周辺設備がまず解体され、その後、原子炉などの解体が行われ、最後に建屋などが解体される。
こうした一連の廃炉作業には30~40年の年月がかかると想定されている。

では原発財源はどうなるのか。
国の電源立地地域対策交付金は現在1~7号機が稼働しているとみなして算定されているが、廃止措置計画が認可を受けた段階で、その原子炉は発電施設としての資産価値を失い、交付金の対象から外れる。
ただし激変緩和措置として10年間限定で廃炉交付金がつくものの、その額は廃炉決定前の金額に0.8をかけたものを初年度分として、徐々に減らされ10年後にはゼロとなる。
そして県の核燃料税も運転を終了した原子炉については課税対象から外れる。

このように「廃炉」は市の財政に大きく影響し、行政機能や公的サービスの維持も難しくなることが予想される。 

とはいえ原子炉にも寿命はあるので、いずれ「廃炉」にする日はやって来る。
その時までに柏崎市の財政力を高める方法を見つけて、公的サービスや事業の見直しをしておかなければならない、というのが現実ではないか。

将来的に廃炉が現実化した場合、柏崎市の財源構成がどう変わり、市民生活にどのような影響を及ぼすかを示す考えがあるか。

(市長)
原子力発電所が廃止措置となれば、関連交付金は徐々に減額され、10年で交付を終える。
廃炉により財源が減額されると、固定資産税など一部の財源は地方交付税で措置され、市民サービスにも影響を生じる。
廃炉作業は700億円/基、20~30年要すると言われるが、実際は30~40年かかると予想され、700億円を上回るプラス要素もある。これを地元企業が得なければならない

税収・交付金・雇用・廃炉作業を考えるとシミュレーションは難しく、不確実要素も多い。

廃炉が決まった翌年から税収が大きく減額することはないが、先を見据えた財政運営をしていかなければならない。

 

(3)再稼働の価値について

「エネルギーに関する市民意識調査」の回答は、原子力発電所の再稼働についても一定の理解を示す結果となった。
また先日行われた「柏崎市まちづくり市民アンケート」の結果速報値では、限定的な原子力発電所の利活用と再生可能エネルギーの産業化による脱炭素のまちづくりを進める「柏崎市地域エネルギービジョン」について、回答者の約7割が賛成している。

原発財源という観点から見れば、主要な原発財源である国の電源立地地域対策交付金は、運転停止中でもみなし措置により係数68%で算定されているが、運転再開すれば出力・発電電力量が上がり、交付額が増えることが見込まれる。

また新潟県核燃料税は、原子炉に挿入された燃料価格に税率をかけた価額割と、原子炉の出力単価による出力割をあわせて算定されており、運転再開すれば実績に基づいて税額が上がると想定される。
そして柏崎市の使用済核燃料税も実績に応じた額になると考えられる。

そもそも発電することを前提とした原発財源を、運転停止中でも得られるのは、柏崎市が電源立地地域として、葛藤や対立を抱えながらも、地元住民が電力生産の担い手となり、首都圏の生活や経済活動を支えてきた歴史と実績への評価、そして今後に対する期待値ではないかと感じている。

現在、柏崎刈羽原子力発電所を取り巻く状況は日々刻刻と変化し、今年12月に7号機の安全対策工事が完了予定の一方で、再稼働の事前同意をめぐる動きも報じられている。
今あらためて柏崎市は電源立地地域としての誇り・矜持を持って、立ち位置を明確にしていくことが必要ではないか。

市長は過去に「安全性の確保を大前提として6、7号機の再稼働の価値は認める」と述べられているが、発電所をめぐる現状を踏まえ、あらためて「再稼働の価値」についての今の考えは。

(市長)
福島の復興(廃炉、保障等を含める)のための費用は約21兆5千億円。今後増えることが予想される。
21兆円にたいして東電が16兆円を賄い、東電はこれを捻出しなければならない。
東電が原発事故でもたらされた費用を原発再稼働で賄うという矛盾、原発を再稼働することにより福島の復興費用を賄うという位置付けは見逃せない事実。
原子力発電所の多くが止まっている中、電力需要、供給の約8割は火力発電所によるもの。
地球環境、温暖化の側面から見た場合、原子力発電所の再稼働は、当面の間、限定的ながら必要であり、6・7号機再稼働の価値はある。

ーーーーーーーーーーーー

原子力発電、エネルギー問題については「くらしをみつめる・・・柏桃の輪」というグループ(2019年3月末解散)にて、約10年勉強させていただきました。

日本は

●資源乏しくエネルギー自給率が低い(2017年時点で9.6%)

●火力発電は原料の97~99%を海外から輸入・発電所の老朽化・CO2を排出

●再生可能エネルギーはまだ安定的な供給ができずコストが高い

●電力は使う量と発電する量を常に同じ状態に保つ「同時同量」が必要であり、バランスが崩れると停電を引き起こす

といった理由から、複数の発電手段を組み合わせて、電力の安定供給・エネルギー自給率の向上・CO2発生の抑制をめざす「エネルギーミックス」の考えのもと、原子力発電はいまだに自給率・環境・安定供給などの観点から必要とされています。

「原発とエネルギー」は賛否の分かれる問題であり、2011年の福島事故以降は否定的な意見が世論の主流となっている感があります。

けれど今回の質問で言及したように、電源立地地域は「電力を生産する」使命を担い、多額の交付金や税金を得て、雇用を生み多くの人々の生活・人生を支えているという現実があり、そこに踏み込まなければ、本質的には何も解決しないと感じます。

今後も自分なりの視点を持って、「原発とエネルギー」の問題に取り組んでいきたいと思います。

« 地域エネルギー会社設立検討・準備会について | トップページ | 介護現場におけるBCP(事業継続計画) »

議員・議会活動」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

« 地域エネルギー会社設立検討・準備会について | トップページ | 介護現場におけるBCP(事業継続計画) »

最近のトラックバック

2021年12月
      1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 31  
無料ブログはココログ