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2020年7月16日 (木)

【オンライン研修】新型コロナウイルス感染症について

7月16日は中越沖地震から13年目、柏崎市では10時~1分間のシェイクアウト訓練を実施しました。

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同日は自民党女性局政策研究会をオンラインで受講しました。

中でも印象的だった講義は、厚生労働政務官・自見はなこ参議院議員による「新型コロナウイルス感染症について」

自見先生はダイヤモンド・プリンセス号に乗船し、長期に渡り対応されています。

クルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス号」への対応ついての御礼

その経験をもとにした講演で、大変参考になりました。以下はそのメモです。

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*******

新型コロナウイルス(COVID-19)の感染がはじまった頃(2月)にわかっていたのは以下のことである。

●8割無症状・2割症状
●高齢者-重症化しやすい
●若者-不顕性感染パターン

最近は血栓と関連していることが明らかになってきた。

自粛期間は国内での感染症対策として大きな意味を持っていた。

感染流行を遅らせる=病気の正体知り、治療方法を調べる期間。 

(感染症の鉄則は「感染を遅らせて時間をかせぐ」ということ)

新型コロナウィルス感染者・・発症して5日目に呼吸困難に陥った症例を検査→小さな血栓症が肺にできていた。

遺体を解剖したところ、血管の中に数珠上の血栓→通常の血栓とはメカニズムが違う。

血栓予防=血液サラサラにする薬が有効。

免疫応答との関連性が明らかになってきた。

国民の皆様のステイホームにより、こうしたことを調べる時間を稼がせていただいた。

新型コロナウイルス感染拡大

1月:中国・武漢~感染がはじまる。

第一波は観光客→バス運転手などが感染。

国は武漢に駐在する日本人の救出と検査が主なミッション

外務省スーパーチーム(チャイナスクール出身者)が武漢入りして全員チャーター便に乗せて日本に連れてきた。

1回のチャーター便→2週間自宅待機。

厚労省では帰国者を宿泊施設に2週間待機。

当初から宿泊3施設に分散し、感染症対策8チーム(日本感染症学会等、専門的な知見を持つ様々な集団)が入っていた。

→マニュアル、ラウンド、ゾーニングなどを1月末には確立している。

 

◆ダイヤモンドプリンセス号にどう対応したか?

・日本での対応を断ることはできた。どこがパンデミックの責任をとるか取り決めがない事態であり他の国は断っている。

・那覇で仮検疫し、移動中に発症。当初は3700人が乗船、30人に症状、10人陽性。

・人道的配慮から受入を決断(火中の栗を拾う事態)。

・2/10船長と面会。イタリア人であり素晴らしい人だった。第一声は「助けてください」

・船長は乗客の命を預かっている。「ミッションは全員を無事に下船させること。一緒に働くことで、この困難を乗り切らせてほしい。」

・船長は毎日船内にアナウンスを入れ、乗客を励ましながら率直に状況を語っていた。

・検疫業務=本来なら乗客だけにしたかった。しかし乗務員(クルー)がいなければ成り立たない。

・乗客は個室に入り、乗員は働きながら手指消毒、手洗いを徹底。飛沫にも配慮。監視員もつけてチェック。

 →感染広がらなかった=「新しい生活様式」そのもの。

・クルーの感染防御、抑制は実証できた。

 

◆国内対策と直結する点

1、情報が整理されないと混乱を招く。

・情報が乱れ飛ぶことが国民の不安・疑念を呼ぶ→不信感のもとになる。

・ダイヤモンドプリンセス号では多元的な名簿管理に苦慮。(年齢別、基礎疾患別、発熱外来など)

→国内対策における名簿整理の重要性。

2、日本が恵まれている点=局所的に感染を封じ込めることを経験

・全国のD-MATがチームに参加。→重傷の国内患者が増える前に、ある意味で落ち着いた状態で治験とれた。

・対応についての様々な批判は承知しているが、貴重な治験を得ている。

・治験:3700人(基礎疾患2000人)その後はクルー(乗務員)、エッセンシャルクルー(生活を支える職種)厚労省スタッフ

◆船長のエピソード

・夕方18:30の下船時、エッセンシャルクルーが一斉に入れ替わる日(空白ない)

・船長は18:00に下船。「おやすみ、ダイヤモンドプリンセス」・・翌日は船の18歳の誕生日。

・船長からは「日本政府だからこそ乗り切れた」

◆クルーも日本チームも一緒になって「ワンチーム」で働いたことは、科学的にも医学的にも誇るべきこと。

*ダイヤモンドプリンセス号からは、ひとりもクラスター出てない。

水際対策は残酷さを伴う

→国内クラスター出さないこと、死者を船内から出さないこと(自殺者も含め)が目標だった。

感染により差別や偏見に苦しむ人も・・

ダイヤモンドプリンセス号での経験には国内対策を凝縮したものだった。

最後まで残った厚労省幹部は2週間経過措置。その2週間でアメリカ、イタリアで感染拡大。

ダイヤモンドプリンセス号で行ってきたことは、その後の保健所対応に反映。

◆情報システム

1、G-MIS(ジーミス) 

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・国内病院で発症すれば外来が機能しなくなる。

・COVID-19による機能縮小、人口呼吸器残量の把握→すべての病院から一括で情報(すでに神奈川県で運用)

・政治的には2つの障壁・・医師会と都道府県知事

 医師会:病院からすれば監査で病床機能を示すのと同様の恐怖感。しかし日本医師会からは「絶対必要であればやってくれ」との言葉をいただいた。

 知事:今までは都道府県に情報収集を頼んでいた。鳥取県の平井知事(地域医療構想で関係)の英断により可能に。

・ワンクラウドで共有(政令指定都市も含め)→マスク不足なども把握。支援物資の供給に役立つ。

・未発表データ分析すると色々なことがわかる。

 感染者数がピークになる日→新規患者22日→病院の負荷は33日

2、HER-SYS(ハーシス)

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・保健所との情報共有システム

・電話連絡は現場のストレス(深夜0時を過ぎてやっと保健所と電話がつながっても、厚労省だとわかると電話を切られる)

・システムつくり一元化→全国展開し、75~80%保健所が運用。一部自治体では整理中だがほとんどの地域で活用。

・ワンクラウドで患者情報を共有。

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・G-MISは物品管理、HER-SYSは個人カルテ。

・保健師にとって電話の手間が省ける。FAX→オンライン。

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・電子的に追跡調査、情報共有可能に。

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・ワンクラウド→住居地と勤務地が異なる場合にも情報共有。

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・HE-SYSの入力は事務員でもよい。

◆保健所の支援

・北九州市には170人規模で応援。保健所には200人超えて派遣されている。

・保健所支援、検査支援はセット

・医療機関、検査機関の確保どうするか

・保健所支援の在り方:次の波にも関わる存在意義にもなってくる。

◆高齢化率の進み具合と死亡者数の相関性

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*世界と比較すればクラスター防いでいると言える。

<質疑応答>

●学校休校について子ども達は重症化しないのか?

治験段階なので一般論でしかない。まずは手洗い、うがいが重要。

感染症の調査にあたった厚労省職員が4名感染→陽性

ひとりめは手袋をして感染者の荷物を触った手でスマホ、ボールペンを持った手で食事

・・「接触感染」がもっとも多い。 

冷蔵庫や電子レンジのドアノブを介しても感染する。

飛沫距離は2mと言われる。子どもがフェイスシールドをすることにあまり意味がない。 

手洗いの徹底、手づかみで食物をとらない。 

児童PCR検査→対象者広げる方法も一案だが、既存のシステムを利用した追跡調査もある。

「学校欠席者情報収集システム」の活用(サーベイランス)*日本学校保健会が運営

学校等欠席者・感染者情報システム

全国の学校、保育園等で導入。午前中に入力すると午後にも反映される。(読売新聞でも取り上げられた)

 

●幼稚園・保育園の休園により経営悪化しているのではないか。 

医療機関は出来高払いのため、患者が来なくなり収入減っているが、保育園・幼稚園は収入減少していない。 

 

●妊婦に対しての支援策は? 

コロナで休業の妊婦支援 収入減や検査費を国が助成

「母健カード」産婦人科、助産師 特例的にコロナで使えるようにしている。

本来は妊娠中毒症だけに使えるものであり、事業主が休ませる義務が生じる。 

有給か無給か?→労働法制上は無給だが、有給扱いになる。(妊婦に対する休業補償)

 中小企業事業主へ伝えていただきたい。 

妊婦のPCR検査 10/10補充→赤ちゃんの感染が確認された場合は母子外来

産後ケア(訪問・寄り添い)行う都道府県に限って10/10補充する

 

●看護師支援

院長の退職金削りボーナスにあてた病院も・・

病院の支援は待ったなし。どうすれば?保健医療は保険者がいる。一般病院を潰さないように・・

 

●GOTOキャンペーンについて

感染拡大させない対応を徹底的に行い、総合的な判断をする必要がある。→命を守ることと経済をまわすことの両立。

 

●ワクチンについて。

買い取りは国際競争。1億人に打つことは人への健康被害も懸念。

 

●ダイヤモンドプリンセス号は外人が多くて大変ではなかったか。

外国人医療、医療通訳の問題。多言語コロナ用の案内→もうすぐできる。

 

●船内清掃の方法は?

タイベックスーツを着て、自分も行った。清掃方法マニュアルがある。

 

●検査機器の購入について。

PCR機器は10/10国負担。各病院に購入してもらいたい(事業者負担ゼロ)。

手に入らないものもあるが厚労省で対応を。

 

●避難所対応について。

熊本ではクラスター班等が各避難所を巡回して分析し、状況改善をはかっている。

事前の備えとして消毒液ストックなど、コロナ流行していない地域ほど準備を入念に。

 

●HER-SYSの早期導入できなかったのか。

10年前の新型インフル蔓延期にすでに分析されていた。
政権交代もあり、行政の連続性が切れた時期がある。
超党派で取り組むべき課題。

 

●地方でのコロナ第2波対応は。

情報共有が重要。関係者を招集すること。

福井県では一気にクラスター増えた。→医療関係者を県が招集し状況説明し、病床数を把握。 

3日後にドライブスルーPCRセンターができた。

心肺停止した人と遭遇したときの対応と同じ→多くの協力者を求める。 

 

●空気清浄機の効果は。

換気がいちばん効果的。

 

●啓発について。

直接知ることが大切(オンラインでも可)

医師会 有識者会議 がわかりやすい動画を作成し発信している。

厚労省HPもわかりやすくした。

*********

以上、制限時間ギリギリまで質問に答えていただきました。

ダイヤモンド・プリンセス号の対応があったからこそ、日本は治験を得ることができ、その後の感染拡大防止に役立てることができたということを、本講演を通じて理解できました。

日々変わる情報と対策を見極めながら、柏崎市における新型コロナ対策にも役立てていきたいものです。

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