児童クラブを取り巻く諸課題について
6月定例会議の一般質問では児童クラブ(学童保育)について取り上げました。
昨年8月には保護者とのトラブルが新聞で報道されましたが、背景には夏休み期間の多忙さもあったと考えます。
一般質問の詳細です。課題認識と市の対応策についてお聞きしました。
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(近藤)
大項目2つめの質問「持続可能な児童クラブの在り方」に移ります。
まずは「(1)新型コロナウイルス対応から見えた課題」について伺います。
児童クラブは仕事などで昼間、保護者が家にいない小学生児童を預かり、遊びや生活の場を提供し、健全な育成をはかる施設で、市内23か所に設置されています。
平日は午後1時半~6時半、土曜日や夏休み等の学校休業日は朝7時半から~午後6時半まで1日開設しています。
今回の新型コロナウイルスによる臨時休校の間、児童クラブは平日も一日開設して働く親御さん達とそのお子さん達を支えてきましたが、現場の負担は相当なものであったと聞いています。そこから見えてくるのは人材不足の問題です。
児童クラブでは1単位40名以下に対し職員2名以上の配置基準があります。うち1名は一定の資格や経験を持ち、認定資格研修を受けた放課後児童支援員であることが定められ、資格や経験を問わない補助員と組み合わせてシフトが組まれています。
計算上は職員1名が児童20名を見ることになりますが、もし目が離せない児童がひとりいれば、職員ひとりがその子にかかりきりになり、他の子に目が行き届かなくなります。そのため配置基準よりも多く支援員・補助員を置かなければならない児童クラブが増えています。
その一方でどんなに利用児童数が少なくても、必ず支援員を含む2名の職員を配置しなければならず、忙しい他の児童クラブに応援に行くことができません。
こうした状況の中、今回の新型コロナウイルス対応時は適切な人員配置ができず、十分な休憩もとれぬまま朝から夕方まで働く支援員や、無理をして勤務日数や時間を増やした補助員もいたと聞いています。
市内22か所の児童クラブ運営委託先である柏崎市社会福祉協議会によれば、現在の人員体制はギリギリで余力がなく、今回の新型コロナ対応だけでなく、夏休み等の長期の一日開設時にも同様の負担が生じているそうです。
社会福祉協議会では現在働く職員の高齢化に備えて、若い人材の確保・育成をはかっているものの、多様化する利用児童への対応や、保護者・学校との連絡調整など、児童クラブ職員の業務や責任が増していく中で、人材の確保が難しくなっているようです。
そんな中で感染防止のため子ども達とのスキンシップもままならず、細かい消毒など業務量も増え、もし自分や子ども達が感染したら?という不安を抱えて働く現場の負担軽減も、大きな課題だと思います。
そこで質問ですが・・・こうした児童クラブの実情を市はどのように認識しているか、また人材確保や現場の負担軽減のために、何らかの対策を行うお考えがあるか、お聞かせください。
(子ども未来部長)
現在、柏崎市では23か所の児童クラブがあり、22か所を社会福祉協議会、1か所を西山福祉会に運営を委託しています。
このたびの新型コロナウイルス感染症対策として、3月~5月に学校が臨時休業したときには、午後1:30~の開設を朝7:30~から1日開設するなどの対応をとってまいりました。
1日開設では学校の指導補助員の方々などから延べ161人、シルバー人材センターからは延べ350人(平均69歳)からご協力いただいてまいりました。
この間、急な勤務シフトの変更、勤務時間の増加や、人員不足による連続勤務など、すべての児童クラブの放課後支援員、補助員、事務局の方々には相当の負担をおかけしたと認識しております。対応していただいた皆様には大変感謝しております。
放課後児童支援員や補助員の確保は以前からの課題であります。
支援の単位ごとに放課後児童支援員を2人ごとに配置し、うちひとりは有資格者を配置しなければなりません。
また特別な支援を必要とするお子さんがいる児童クラブでは支援員を3人配置しなければならない場合もあります。
受託者においても放課後児童支援員・補助員の募集をしていただいておりますが、より安定的な運営を行う上で必要な人員の確保まで至っておりません。
今後は受託者と連携・協力しながら、現在の補助員の資格取得を推進し、有資格者の確保に努めるなど人材・人員の確保に向けた取り組みを進めていくべきと考えております。
(近藤)
人材が足りないと認識していただいているとのことで、人が足りてくれば負担もやわらぐのかな、と思います。
人材確保策のひとつとしてご提案したいのが、児童クラブ支援員OB・OGの方々へのお声掛けです。児童クラブが市の直営だった時代に働いていた非常勤の支援員は、10年の雇用期間終了後、そのまま退職になったと聞いています。
中には児童クラブに再び勤めた方もいるそうですが、そうでない方々に対してアプローチすることもご検討いただければと思います。
次に「(2)学校との連携」についてお聞きします。
緊急事態宣言が解除され学校再開となりましたが、新型コロナウイルスは終息したわけではなく、「新しい生活様式」を継続しなければなりません。
物理的な距離や制約がある中で、非日常的な状況に身を置く子ども達の変化を見逃さず、健全な育成をはかるためには、学校と児童クラブが連絡を密にし、連携を深めていくことが必要です。
これから迎える暑い季節は熱中症のリスクが高く、マスク着用や屋外での遊び・換気などをどうするかという点でも、学校と児童クラブが統一した対応をとるべきではないかと思います。
また児童クラブによっては3密になりやすい環境のところもあります。
臨時休校中は併設する児童クラブに、体育館やグラウンドなど校舎の一部を貸し出した学校もあるそうですが、平常時や利用人数が多い長期休暇の際も、3密回避のための協力ができないものかと考えます。
そして児童クラブとの連携の仕方は、各学校によって異なると聞いています。児童クラブの利用人数や設置場所により、差が出るのは致し方ないとは思いますが、今後、新型コロナウイルス第2波による臨時休校措置がありえることも踏まえ、各学校が児童クラブに対し、どこまでの協力が可能か明確にしておくことも必要ではないでしょうか。
そこで質問ですが・・新型コロナウイルス感染防止対応が長期化し、再度の臨時休校措置も想定される中、児童クラブと学校の連携を今後どのように進めていくか、見解をお聞かせください。
(子ども未来部長)
学校と児童クラブは密接な関係であり、これまでも定期的に意見交換しながら、相互協力のもと児童クラブの運営を行ってまいりました。
学校の臨時休業時においては、1~3年生が半日登校の場合は、児童クラブの開設時間となる午後1:30までは学校で過ごしてもらうなど、学校との協力体制を築いてまいりました。
その際は、学校の補助員、特別指導介助員などの方々からご協力いただき児童クラブを運営してまいりました。
一方で児童クラブの設置基準は1.65㎡以上/人となっています。この基準をクリア―しても十分な広さを確保できない児童クラブでは、いわゆる3密になってしまう状況が懸念されていました。
このような状況を回避するため、校舎内に設置されている児童クラブでは、体育館や校庭の利用が可能な時間帯は、使用させていただくなど、学校の協力を得ながら対応してまいりました。
また学校の夏休み期間は、学校の指導補助員や特別支援介助員は学校での勤務を要さないこととなります。その期間はご本人が希望すれば児童クラブで勤務いただくことが可能です。
これまでも児童クラブの利用者が多い夏休み期間は、指導補助員、介助員の方々のご協力をいただきながら対応してきたところでございます。
このように児童クラブを運営していくためには、学校との連携・協力が不可欠であります。
今後も教育委員会、学校と連携・協力しながら、児童クラブを利用する皆様のニーズにお応えできるよう努めてまいります。
(近藤)
今ほど新型コロナ対応時や夏休みのことをお聞きしましたが、平常時でも新型コロナ対応は続けなければならない中で、3密回避策は何かしらありますでしょうか。
(子ども未来部長)
それぞれの児童クラブの広さ等を調査し、十分な広さを確保できない場所については、今後、教育委員会・学校と協議の上、今それらを検討しているところでございます。
(近藤)
調査・検討中ということで、これから暑さが増す季節でもありますので、そのような対応をお願いします。
最後に「(3)これからの運営ビジョン」についてお聞きします。
児童クラブはこれまで国の子育て政策として、また働く親御さん達のニーズに応え、利用学年の延長や設置場所の拡充が進められてきました。
けれど他の子育て支援のメニューも多様化し、資格や経験・子育て支援のスキルを持つ人材の絶対数が不足する中、児童クラブの人材確保は難しくなっていると感じます。
いま現場を担っている方々のほとんどはキャリアのあるベテランで、負担に耐えながらも使命感を持って働いていらっしゃるそうですが、個人の使命感や負担によって成り立つ体制をこの先も続けていくのは無理があると考えます。
次の世代に引き継ぐためにも、支援員や補助員がやりがいある仕事、働きやすい職場と感じられるよう、児童クラブの運営を見直していくべきではないでしょうか。
「第二期柏崎市子ども・子育て支援事業計画」では児童クラブの今後の取り組みについて、「令和3年度以降は、ニーズ量(必要人数)を確保しつつ、区域別のバランスを考慮して施設や運営の整理を行います」としています。
ハード面から見れば、少子化にともなう学校の統廃合とも関連するのでしょうが、現場職員の過度な負担をなくし、子ども達と余力を持って関われるような、ソフト面での整理も重要だと思います。
例えば現在、1日開設する土曜日は児童クラブの開設数を減らして対応していますが、夏休み等でも利用状況を見ながら、開設するクラブを絞ることも検討してはいかがでしょう。
そして保護者の皆さんにも児童クラブの実態を知っていただき、安全の確保と適切な関わりを維持するために、理解と協力を求めることも必要だと考えます。
そこで質問ですが・・・児童クラブを今後も持続可能なものにしていくためには、現場の負担を減らし、子ども達を安全かつ健全に育成できるよう、ハード・ソフト両面での整理が必要ではないかと考えます。今後の児童クラブのあり方について、見解をお聞かせください。
(市長)
児童クラブのニーズは核家族化や共働き家庭の増加により、年々高まってきており、2016年5月1日現在(4年前)は児童数4009人、登録児童数767人で利用割合は19.1%でした。
4年後の今年2020年5月1日現在では、児童数3647人に減っておりますが、登録者数は909人で利用割合は24.9%と5.8%上昇しています。
現在23か所の児童クラブを運営し、19の小学校の受け入れを行っています。高柳小学校は放課後児童教室を実施し、西山町地域では二田小・内郷小でひとつのクラブを運営しています。
各児童クラブによっては定員を超える利用者がある一方で、利用者が定員の半数に満たない児童クラブもあり、地域差がございます。
児童クラブを運営するためには、ご指摘にもあるように、支援の単位ごとに放課後児童支援員を2人ずつ配置することになっており、いたずらに利用者が少ないからといって、放課後児童支援員の数を減らすことができないわけであります。
放課後児童支援員を確保するひとつの方策として、児童クラブの集約も考えられますが、基本的には各学校に児童クラブが配置されることが、利用者の皆様にとって最善のサービスであると考えます。
受託者および学校と連携・協力し、課題である放課後児童支援員および補助員の確保、密にならない必要な施設スペースの確保などを進めながら、利用者の皆様のニーズにお応えできるよう、より安定した児童クラブの運営に努めてまいりたいと考えております。
たしかに児童クラブに携わるスタッフの年齢も高くなってきております。
正直、そのうちの何人かの方々から「悪いけど、もう子供たちの動きに対応できない。子どもの動きが早くて、じっとしていてくれればいいけれど、勉強していてくれればいいけれど、子ども達はそういうわけにはいかない」との声も聴いており、そういった実態もあるわけです。
今、近藤議員からお話しいただいたことも含めながら、また新型コロナウイルス第2波、第3波といったことも想定しながら、感染の再拡大などの新たな対応が必要な場合は、施設のスペースや人員を確保するため、お預かりする対象児童の学年を低学年に絞るなどといったことも検討しなければいけないとも考えております。
基本的に全員をお受けしたいのは山々ですが、非常事態にはやはりそういった対応も考えなければならないと思います。
(近藤)
ニーズがあっても支え手がいなければ成り立たないのが現実かと思いますので、その辺のバランスも考えながら、サービスを提供する側、担い手となる側が気持ちよく働き、子ども達と関われるような体制づくりも進めていただきたいと思います。
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このように様々な課題を抱える児童クラブですが、大切な子育て支援策として持続可能なものになるよう、これからも注視していきたいと思います。
お忙しい中、詳しいお話を聞かせていただいた児童クラブ関係者の皆様、ありがとうございました。
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