栄養士会柏崎支部研修「やってみよう スポーツ栄養の指導」
2/2、栄養士会柏崎支部研修会「やってみよう スポーツ栄養の指導」に参加しました。
講師は公認スポーツ栄養士の石墨清美江さん。
県内外のスポーツ栄養指導先駆者として、幅広く活躍されています。
以下はその内容です。
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<スポーツ栄養とは?>
運動や身体活動量が多い人に対しての、栄養補給、食生活全般のマネジメント。
・身体を良好に保つため
・運動中に熱中症などの疾病が起こらないため
・健康・体力の維持・増進のため
・競技力向上などの目標達成のため
アスリートに対してのスポーツ栄養マネジメントを実施すること=「栄養サポート」
<食事の基本スタイル>
①主食(糖質源)
身体と脳のエネルギー源(不足は間食で補う)
②主菜(タンパク質源)
1食で2種類以上、3食で肉・魚・卵・大豆・大豆製品の4種類を食べる
③副菜 ④汁物(ビタミン・ミネラル・食物繊維)
体調を整える。毎食必ず2~3品は食べる
⑤牛乳・乳製品 ⑥果物(ミネラル、ビタミン)
足りない栄養を補う
<スポーツ栄養の指導>
●講演会:児童生徒、選手、保護者、指導者
(作業を入れると記憶に残りやすい)
●体験型セミナー:講話+調理実習・バイキング・試食など
児童生徒、選手、保護者、指導者
●リーフレット、レシピ、イベント対応:特定・不特定多数
●スポーツ栄養マネジメントに沿ったサポート:児童生徒、選手
<スポーツ栄養マネジメントを用いての栄養サポート>
マネジメントの目的・期待
↓
スクリーニング
↓
アセスメント(身体計測、食事指導など)
↓
個人目標の設定(身体計測、食事調査などからなりたい自分の姿を決める)
↓
サポートの計画(集団・個人への栄養教育、選手・指導者・保護者)
↓
サポートの実施(集団・個人への栄養教育、選手・指導者・保護者)
↓
モニタリング
↓
個人評価
↓
個人の目標達成・終了
*選手が自らの食生活を記録→傾向と対策をアドバイスする
<児童・生徒向けアドバイス>
Q.ひとの体は何でできていますか?
A.食べたものから作られます。
*家を建てる材料が食事
<スポーツ栄養とは>
1、コンディショニングのための栄養
・日々のトレーニングによる体作り・疲労回復をより効果的にする
・ケガや故障の予防と改善
・健全な成長を促し、心と体を整える
2、競技力アップのための栄養
・試合時・競技に特化した能力を発揮させる
水分補給、補食、試合前・当日・試合後の食事の作り方
基礎体力>>>専門体力>>技術・戦略
*基礎体力がベースとなる
<アスリートとして身に着けたい習慣>
①欠食しない:朝昼夕の3食と必要に応じて補食をとる
②好き嫌いをしない:主食・主菜・副菜+乳製品・果物を食べる
③栄養・運動・休養のバランスをとる
<食べ物の働き>
①体を作る材料になる:食べたものだけが材料に
②エネルギーを作る材料になる:たんぱく質・脂質・炭水化物
③体作り、エネルギーづくりを円滑に行うために補酵素となる:ビタミン、ミネラル
<アスリートのエネルギー量>
体重kg×体脂肪率%=体脂肪率kg
体重kg―体脂肪量kg=除脂肪体重kg
除脂肪体重×28.5×身体活動係数=消費エネルギー量
<体重測定>
起床直後(朝)、排尿をすませた後の体重を基本体重とする。
<食事の役割>
●主食(炭水化物)
①身長と体重の増減にあわせてコントロールする
②体重の減量中でも、まったく食べないことがないよう注意する
*菓子パンには要注意
*ごはんには水分とタンパク質も含まれ栄養価が高い優良食品
(100g中、タンパク質2.5g、水分60g)
●主菜(たんぱく質)
①肉、魚、卵、豆類を1日3食のうちに必ず摂るようにする
②体温を上げる・主菜となる食品にはビタミンB群も多く含まれる
●副菜(ビタミン・ミネラル・食物繊維)
①色の濃い野菜を3種類以上、色の薄い野菜を5種類以上摂るようにする
②野菜のほか、海藻、きのこ、こんにゃくを摂る
●乳製品・果物(ビタミン・ミネラル)
①カルシウム補給し、丈夫な骨をつくる
②ビタミン、ミネラルを補給し、体の調子を整える
●油脂
①体重減少を必要としなければ、あまり気に欠けなくてよい
②体重減少が必要な場合は、調理に使う油を控える
③食品に含まれる油は、摂取する
●鉄
①成長期には特に必要。不足すると赤血球、ヘモグロビンが減少して貧血になる
②貧血になると全身に送られる酸素が不足し、体が不調をきたす
(息切れ、同期、めまい、頭痛、易疲労感、倦怠感)
③青菜、レバーなど鉄分を含む食品とともにタンパク質もとる
④鉄の吸収を高めるビタミンCも一緒にとる
●間食(補食)
お菓子ではなく3回の食事でとりきれない栄養をとる
(おにぎり、サンドイッチ、バナナ、オレンジジュース、乳製品など)
<大切な睡眠>
●ノンレム睡眠:身体活動とは関係ない記憶が固定される(人命、年号など)
●レム睡眠:身体活動に関連した記憶が固定される
(自転車乗り方、スポーツに必要なスキル)
*トレーニングのために睡眠時間を削らない。
*子どもは8時間以上睡眠時間をとる方が、8時間以下よりも体力が高い傾向がみられる
<成長ホルモン>
睡眠中・運動後に分泌量が増加する
・骨を伸ばし、筋肉を成長させる
・1日使って疲れた体の細胞を修復
・脂肪分解を促す
<生活リズム・5つの定点>
①起床 ②朝食 ③昼食 ④夕食 ⑤就寝
<日々の工夫>
●コンビニ・お惣菜など市販品の活用
●1食を完璧にするのは難しい
→1日・1週間の単位でバランスがとれるようにする
<水分補給のタイミング>
・運動開始30分前まで:コップ1杯以上250~300ml
・運動中:こまめにコップ2~3杯
・運動直後:水分・塩分・糖分+クエン酸で疲労回復
(水1000ml+塩1~2g+砂糖40~80g)
<試合に向けた食事のとり方>
●試合前日
・糖質中心、油少なめの食事が基本。
・敵に勝つ=カツは時代遅れ!(揚げ物は避ける)
●試合当日
・試合のタイミングに合わせて食べる
・試合まで3時間以上あるときは、消化のよいものをよく噛んで食べる
(揚げ物、生もの、繊維の多いものは避ける)
●1日に何試合もあるとき
・即エネルギーに変わる糖質を利用
・水分補給をしっかりと
・疲労回復のためビタミンCやクエン酸摂取
(例)
3~4時間前:糖質中心の食事、おにぎり、もち、うどん、カステラ等
2~3時間前:糖質中心の軽食 おにぎり、バナナ、カステラ等
1~2時間前:水分中心の軽食 おにぎり、バナナ、ゼリー飲料、100%果汁ジュース
30分前:糖分、水分補給 あめ、スポーツドリンク
<おすすめ市販品>
・ハイカーボ300(ブルボン)
・スポーツようかん(井村屋)
・カロリーメイト(大塚製薬)
<スポーツ選手のための食事のしおり>
「2018年にいがた妙高はね馬国体」のとき作成
選手の合宿先となる宿泊施設に対し、どのような食事が望ましいかわかるようにした。
(日頃出している食事をアレンジしやすいよう配慮)
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ざっくりとまとめると
●日頃より偏りのない食生活を心掛け、糖質によってエネルギー摂取量を調整する。
(タンパク質、脂肪、ミネラル、ビタミン類は一定量をとる・とりすぎない)
●試合前~当日には胃に負担をかける(消化しにくい)揚げ物などは避け、すぐエネルギーに変わる糖質を中心にとる。
●水分摂取と同時にミネラル分も補給する。
といったことがポイントになると理解できました。
柏崎市でも各種スポーツが盛んに行われていますが、身体づくりの基礎はやはり食事から。
スポーツ栄養推進をふまえ、私自身も管理栄養士としてスキルアップしたいと思います。
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