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2020年2月 6日 (木)

DV防止・被害者支援のための講習会

本日2/6、柏崎市主催の子どもへのDV防止支援者セミナー「DVが子どもに与える影響」に参加しました。

講師は荻野茂子様(NPO法人女のスペース・ながおか代表理事)

保育士さんをはじめ子育て支援に関わる方々を中心に36名参加していました。

<主催者挨拶 柏崎市総合企画部 人権啓発・男女共同参画室 木村克己室長>

*千葉県野田市女児の虐待報道は記憶に新しいと思う。
実の父親による身勝手な行為、それを許した母親がいた。
通常、父親の行動を止めに入るはずだが、それができない精神状態になることが、DVの怖さだと思う。
程度の差はあれど、一般家庭内の家族間優位性が虐待につながると考えられる。
(柏崎市でも・・)
DV被害にさらされた家庭の子ども達への理解、家庭環境に恵まれない方々を適切な相談機関につなげたり、DV被害を受けた子供の精神的不安を理解し、子どもの行動から気付く知識の習得、演習を通して理解をつとめていただきたい。

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<講演 荻野茂子様>
3年連続の講演となる。基本は変わらないが最新情報をもとに進めていきたい。

NPO法人「女のスペースながおか:は今年6月で設立21年目を迎える。
昨年の相談件数が1511件。特徴はカウンセリング提供。

内訳はDV16% 離婚19% 夫婦関係13% 離婚後3%

●カウンセリングと相談の違い

相談・・心の問題まで手が広げられない
カウンセリング・・心の問題の焦点を整理し、生きずらさや傾向を解きほぐしながら、生きやすくしていく。

DVが子どもに与える影響・・DV防止、被害者支援のくくりの中での位置づけられる。

トラウマ・インフォームド・ケア(TIC)・・昨年から世界的に注目。

トラウマ=心の傷、インフォームド=医療 病状 自然に、ケア=手当

何らかの小児期逆境体験がトラウマとなり、PTSD→放置するとトラウマ症状が回復しない。

この前提のもとケア、支援をしていくとの考え方に基づかないと「この子(親)はなぜこんな行動をするか?」見えずらい。

◆小児期逆境体験

・喪失(死別、分離、離婚など)
*離婚が悪いのではなく離婚にいたる良心の両葛藤に、子供が巻き込まれることが問題。

 説明もないままある日突然、大好きな友達や家族と別れなければならない。

 ちゃんと訳を話して説明すればわかるが、何も言わないことが傷を深める。

●親の不適応(精神疾患、物質乱用、犯罪、暴力など)

親としてふさわしくない・親の機能果たせない、犯罪に巻き込まれる

子どもを持ったら親になれるか?そうではない。

親としての家族機能が不十分だと、子どもによくない環境を提供することになりがち。

●障害・・発達障害、愛着障害 引き起こしやすい

発達障害は脳の気質の問題→対応できずにいじめに遭う、対応できない→トラウマ

●虐待

●不適切養育(マルトリートメントとも)

小児期に逆境体験負ったまま手当されず大人になった人たちが、親となったときにおこりやすい。

子どものときにもわかってもらえない(何度やってもうまくいかない、叱られ体験)→社会の理解不足 

とりまく環境、社会をちゃんとしないとうまくいかない。

その子だけではダメ、地域全体をカバー。

 

幼少期の逆境的体験→人生に長期にわたる影響を及ぼす。

・社会人になったとき対人関係トラブルを抱えやすい。

・学業にも影響 成績下がり勉強に集中できない。

・情緒不安定、問題行動 トラウマ起因少なくない

・情動マネジメント不全 

なぜそうなったかわからない。
どう自分をコントロールすれば、行動を押さえられるかわからない(万引きなどもアピール行動)。

トラウマについての理解とその影響、対処療法を知ることが大切。

命にかかわる体験→トラウマ(災害でなりやすいが、災害だけが原因ではない)

社会全体、地域、小単位(保育園、幼稚園、家庭)でトラウマ・インフォーム・コンセントを実践。
→トラウマ・インフォームケア

●DVとは?

配偶者や恋人など親密な関係のある者の間で行われる暴力のこと。

社会的強者から弱者への支配とコントロール。

*家族間のパワーバランスはどうなっているか?(序列ではない)

 子どもは未熟なので親の保護が必要だが、支配とコントロールしようとするのがDV。

*日本の法律ではパートナー関係しかDV対象にならないが、本当は家族間すべてが対象になるべき(祖父母、叔父叔母など)

*言葉としては「ファミリーバイオレンス」総称

 親→子ども:虐待

 成人した子供→親、病気や介護必要な人に暴力:高齢者虐待

 子ども→親:家庭内暴力

*暴力のさまざまな形態の中で「子どもを巻き添えにした暴力」=児童虐待

●児童虐待

・暴力を見聞きさせる(直接でなくても、別室に移っても異様な雰囲気は感じ取る) 面前DV

・相手の悪口を吹き込む「母親なのに」等

・離婚、別居時「お前に子供を渡さない」威嚇 

・子供との対立をあおる(価値を下げる、相手の悪口にご褒美、えこひいき)

・庇うこと、見方になることを許さない =自分が絶対君主 
 関われば暴力エスカレート 見ているしかない(体験的に学ばされる)

・子どもへの虐待

 *精神的、心理的に追い込むことが脳にダメージ 

 *性的虐待 データとして出て来ない(氷山の一角)柏では性的虐待も・・

◆DVが子どもに与える影響

子ども・パートナーに測り知れないダメージをもたらす。*暴力の垂直化

●就学前
・暴力の垂直化・・より弱い存在、力のあるものからないものに→動物虐待・残虐行為
 しがみつき(幼児還り)、器物破損(モノにあたる)、不安、PTSD体験に

・怒りや攻撃性 不機嫌な方法で表現することを「大人から学習」
*冷静なケンカではそうならない

・暴力の原因は自分にあると思い込む 自分が納得

・誤った性役割 97%男性→女性であることから「男性は暴力を振るう」「女性は振るわれる」

 

●児童期

・いじめられたり、いじめたりする。(目に着けやすい)
 攻撃性はっきり、反抗期ではない反抗的態度、子どもでもうつ症状、学業不振、ひきこもり

*ひきこもり→人や社会を信じられない
 罵り合った翌日に平静に戻っている→どちらが本当の姿?社会は怖い場所→自分の身を守るためにひきこもる。

・暴力 尊厳を踏みにじる =殴られて当然、仕方ない存在=女性蔑視、ステレオタイプな思い込み
 「お母さんはどんなに仕事が忙しくてもきちんと家事を行うべき存在」

・暴力への自分の反応に意識 「家で起こったことを話すのは恥ずかしいこと」「人に言えない」

・暴力を正当化する耳学問に影響  女性、障害者、弱い存在が虐げられることは当たり前→女性への性暴力行動

 その一方で男女共同参画メッセージも出ているのだが、「絵空事」だと思う。

 不登校やひきこもり カウンセリングした子供たち
「テレビのドラマなんてありえないと思っていた。でも友達の家では両親の仲が良くてびっくりした」

*性暴力、デートDV、性犯罪

男らしさ=女性に性的アタック、嫌がっていても無理やり従わせる、嫌がっても行動に及ぶのは正しいと「勝手に」思いこむ。

いじめ、いじめられるリスク増大 →対人関係に自信持てない・・おどおどとした雰囲気や攻撃性の結果

●青年期

デートDVの被害者(女)、加害者(男)になりやすい。

思春期特有・・自尊心低い→アルコール、薬物に依存。自殺年齢低い。

反社会的行動・・仲の良い友達できにくい → 同じような仲間と結びつきやすい  

*「暴力の世代間連鎖」

皆がなるわけではないが、トラウマに対しなんの手当もされないと、自分の子や配偶者に対しても暴力をふるうことがある。

ひとりでも理解しようとする人・わかってくれる人(誰でもよい)、心配してくれる人がいるかどうか。

「部活の先生が気にかけてくれたから、高校に行けるようになった」等

 

◆PTSD症状(ポスト・トラウマティック・ストレス・ディスオーダー=障害)

・外傷(トラウマ)の再体験  意図していないのにその時と同じような恐怖がよみがえる
(大きな声が聞こえるだけでも体が固まる)

・侵入的回想 思い出したくないのに再映像化される 引き金になる何かはある

・フラッシュバック 映像が浮かぶ

・複雑性PTSD 無気力、抑うつ的 (いつも気分がすぐれない、頭痛・腰痛・腹痛、朝起きられない)

この状態で成長→保育園、幼稚園、学校、社会へ・・・社会的にうまくいかない。

◆気付きを得るためには

・反応の意味を理解
 不適応行動・・いじめる、いつも明るいのに心ここにあらず、急に無口、学校に行きたがらない

→何とかして生き延びるための手段 サバイバル・コーピングスキル ストレスや危機をやり過ごす

◆子どもたちがとる役割

1、養育者:年下のきょうだいや母親に対して親のようにふるまう(女の子に多い・・食事、入浴、相談相手など)

2、母親側近:母親の気持ち、心配、対応策に精通→起きたことへの証人役割(母は健忘)

3、加害者側近:加害者からましな対応をされている子どもは、母親への暴力を正当化する発言を効かされる。
  →行動の報告や監視役割 それによる恩恵がある 

4、加害者助手:加害者に取り込まれる。母親への暴力に加担。

5、完璧な子ども:暴力を防ぐために優等生であろうとする(過度のストレス、付加)。

6、壁のシミ:暴力の引き金になりたくない→存在を消す→主張も反抗もしない。

7、ピエロ:その場を和ませようとする。わざと失敗、笑いをとる。

8、調停者:メッセンジャー「お父(母)さんはこう言っていたよ」

9、いけにえ:ステップファミリー間で起こりやすい。夫婦間対立の責任転嫁される存在「あの子のせい」

 ↓

家の中を平穏化するため、子どもなりに自分ができることをしている。

子ども達がこのように頑張らなければいけないのは、おかしい。普通にわがままを言うこともあって、大人になっていく。

大人は子どものモデルにならなければならない。

子どもたちに暴力の責任はない!→加害者に責任

怒りは暴力行動ではない! 

暴力→ 自分の行動は100%自分の責任 ・相手の行動は100%相手に責任。暴力をふるっていい理由はない。

 

◆支援をしていくためには (カウンセリング・マインドを知る→対人・子どもとの向き合い)

・信頼関係を築く

①子どもの話を「聴く」・・安心安全な環境を用意(まわりに人がいる、誰かに聞かれるかもしれない、うるさい環境は×)

 耳を傾けて心をこめて最後まで話を聴く(傾聴) →支援者側に余裕も必要

 アドバイスや答が必要なのではない(話してくれてありがとう それ(暴力)はあなたの責任ではない といった言葉)

 子どもは自分が大事にされている、という感覚を持つ。

②感情や行動の言語化を促す(クールダウンのあと)

「あなたはそう感じたんだね」「そう、そんな風に思っていたんだ」と応えていく
 ↓
 自分を分かろうとしてくれる人の存在が大きな力に!

③養育者の理解者・支援者になる 

 支援⇒非加害親への理解者になる

 

*子どもを支援するためには、親に自信を取り戻してもらうことが最重要ポイント。それが親自身の自覚や養育力をアップさせていく

*ひとつの家庭の中ではパワーバランスがピラミッド構造。母親が動くことで暴力悪化することも。

 結愛ちゃん母は自ら児童相談所に行き、夫からのDV被害を相談していたが、「お母さんなんだからお子さんを守らなければならない」と諭されていた。

 裁判で「私と子どもを同時に助けると言ってもらいたかった」

自尊心を傷付けられる⇒「私がダメだからこうなっている」⇒助けてほしいと言えない。
夫につくことで、まだましな状態(これ以上エスカレートしない)と思い込む。

結愛ちゃん・・4月に学校に上がれば見つけてもらえるかもしれない→学校に上がるまで耐えようとした。

*DVとして相談すれば子どもへの影響に目が届くが、虐待側からつながると、親は「子どもを守る存在」として支援につながりにくい。

*加害者(父)は外面がよかったが、自分に都合が悪くなると豹変 ⇒威圧 (校長、児相職員、教育委を)

 

◆「子ども」と「親」への3つの心理教育

①わかるように説明 「あなたは悪くない」

②あなただけではない。これは社会の問題「あなたが悪いのではない」孤立感や恥辱間を持たなくてよい。

③先のことに焦点を当てる。不登校、ひきこもりなど サバイバルスキル「あなたがおかしいのではない、心配しなくてよい」
 こうすればいい、ああすればいい、ではなく「一緒に考えていく」ことが大切。

◆暴力は社会の問題・・暴力を容認している社会の責任が大きい。

*支援と啓発は両輪であるべき

*児童虐待の陰にはDVが潜む。親もまたトラウマを負っている。

 →暴力の根絶と、親子ともに救済、回復することが重要。

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後半の演習では、親が逆境的体験によるトラウマから回復しないまま親となり、DV・虐待を繰り返す事例を検討しましたが、非常に根が深く、こうした家庭はかなりあるのだろうと思います。

以前、保育園の園長をしていた方から、「入園式挨拶で保護者に必ず言うのは『子どもの前でお互いの悪口や批判は絶対に口にしないでください』ということ」だとお聞きしたことを、ふと思い出しました。

報道される虐待事例では、父親(義父ケースも)が子どもを虐待しているのを母親が止めなかったことについて、「なぜ夫の行動を止めなかったのか?自分の子どもを守らないのか」と憤りを感じてきました。

ですが今回の講演により、母親(妻)もまた暴力により支配され、父親(夫)を止めようとすれば余計に事態を悪化させるから・・という理由があることを知り、愕然としました。

配偶者によるDVの相談は児童虐待が発覚しやすいものの、児童虐待相談から入ると配偶者へのDVにつながりにくい、という状況を改善するため、柏崎市は新年度から機構改革により、児童虐待とDVの支援を連携できるような組織体制にしていくそうです。

暴力の根絶、トラウマからの回復支援など、多くの課題が見えた貴重な研修会でした。

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