5月21~22日、横浜市での研修に参加させていただきました。

表題は「誰も置き去りをしない自治を目指す」
内容は以下の通りです。
1、どこでも起こる土砂災害に備える-地域・自治体の取り組み
(一般財団法人 砂防・地すべり技術センター顧問 池谷浩氏)
近年は多様な土砂災害が全国で発生している。土砂災害は人的被害が大きく、広域化・長期化することが多々あり、発生の予測が難しい。
土砂災害を防止・軽減するためには、土地改良やダム整備などを進めるとともに、危険の周知、警戒避難態勢の整備、住宅棟の新規立地抑制、既存住宅の移転促進など、災害発生時に住民の命と安全を守ることを進めるべき。
また過去の災害事例を参考に、居住地にどのような土砂災害リスクがあるか分析し、災害発生時に適切な行動をとれるようにしておくことも必要。
日頃から自治体は情報を住民に伝える努力を、住民は知る努力をし、地域の防災力を高めていくことが大切。
2、AIの利活用と自治体-導入のポイントと課題
(東海大学政治経済学部政治学科教授 小林隆氏)
AI導入に尻込みしている自治体は少なくないが、スマートフォンやタブレット利用をはじめ、すでに日常生活においてAIは浸透している。
人口減少の加速化による社会構造の変化に対応し、行政機能を維持するためにもAI活用は不可欠。
地域経済分析システム「RESAS(リーサス)」により、人口動態のデータ分析化は速やかに行うことができ、Google検索機能はますます向上し、便利さを増している。
人間が行うパソコン作業もロボットを使って自動化する技術(RPA)を活用すれば業務改善・効率化が可能となる。
自治体独自のシステムを構築しなくても、汎用性あるシステムを利用すれば時間・労力・経費を削減できる。
次の世代はDX(デジタル・トランス・フォーメーション)の時代となり、多面的な情報技術の活用によって人々の生活はより良い方向に変化し、組織は事業を多様な方向へ変化させることが可能となる。
いずれ役所の窓口は必要なくなるかもしれない。社会・生活の変化と連動しながらAI化を進めていくべき。

3、変わる地方制度-目指す自治体と国の動向
(法政大学大学院教授 武藤博巳氏)
総務省による自治体戦略2040構想研究会の第一次、第二次報告を読み解くと、国の示すビジョン・方向性と地方の実情には相違点が多々ある。
人口減少社会対策としてAIによる労働力代替、地方行政の圏域化などが提言されているが、はたして各自治体が対応・実現できるかどうか。
地域によって優先課題が異なるため、それぞれの地方公共団体は議会・住民と将来的なビジョンを共有しながら、自ら判断・対応していくことが必要。
4、肝心な場所に女性がいない-男女共同参画から見た災害時の課題
(元東京大学社会科学研究所 大沢真理氏)
災害が多発する日本では近年、避難生活長期化によって死者が増加している(車中泊も影響)。
災害が大きいほど女性の犠牲も大きくなる傾向があり、災害後に女性への暴力が増加するなど人権が守られにくくなる。
その一方で災害レジリエンス(災害に対する強靭さ、回復力)という視点から見ると、災害からの回復には女性が多くの役割を担っている(コミュニティでのネットワークを活用して、緊急時の食糧・水の調達や避難場所の融通など相互扶助に力を発揮)。
しかしながら「2017年度女性・地域住民から見た防災・災害リスク削減策に関する調査結果」によれば、防災分野での意思決定等における男女共同参画には地域格差がある。すなわち「肝心な場所に女性がいない」地域が少なくない。
地域防災計画や避難所運営指針の決定に男女共同参画部局が参加した地域(=女性委員比率が高い)では、要配慮者・避難行動要支援者について多様なカテゴリーを想定し、備蓄品や避難所での配慮にきめ細かさが目立つ。
各自治体で防災会議等「肝心な場所」への女性参画を増やしていくことが今後の課題。

日本は人口減少・少子高齢化が進み、これからの時代は今まで通りの社会構造が保てなくなることが予測されます。
労働力が不足し財源も減る中で、自治体は「住民を守る」という役割を果たすため、AI導入等により業務効率化をはかり、機能を維持しなければなりません。
また多発する災害への備えとして、避難生活の長期化を視野に入れた防災・減災対策が求められ、女性の視点や意見は多様な立場の方々への配慮につながります。
社会や時代の変化に柔軟に対応しながら、市民の皆様が安心して暮らせる柏崎市を目指して、調査・研究や具体策の提案等を行っていきたいものです。
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