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2018年9月

2018年9月27日 (木)

浜岡原子力発電所(中部電力)視察

昨日~今日と静岡県御前崎市の浜岡原子力発電所(中部電力)での研修でした。

「くらしをみつめる・・・柏桃の輪」勉強会の一環です。

1日目は廃止措置(廃炉)、2日目は安全対策の現場をそれぞれ見学させていただきました。

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浜岡原子力発電所では1、2号機を廃止措置、3、4号機を再稼働申請している状況です。

廃止措置は先日の講演会で学んだように、国の認可を受けた廃止措置計画に沿って進められています。

燃料搬出は終了し、除染した放射線量が低い廃棄物を中心に解体処理している段階です。

解体した廃棄物は、国の認可を受けるまで作業場に仮置きしています。

その分作業スペースが狭くなり、作業効率も落ちることからも、クリアランス(廃棄物のリサイクル)を進めていく必要があります。

放射性廃棄物の分析なども社内で取り組み、廃炉技術の醸成や人材育成を進め、廃炉事業のパイオニアになるべく努力している様子がうかがえました。

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廃止措置の及ぼす経済的影響は、すべての原子炉が運転停止している分を埋めるのがやっと、という状態。

すなわち「廃炉特需はない」とのことです。

むしろ防波壁(柏崎刈羽では「防潮堤」)を建設するとき、地元コンクリート事業者に大量発注があったなど、安全対策の方が地元への経済的影響が大きかったようです。

3、4号機の再稼働については、南海トラフ巨大地震で想定される震度や津波の高さの基準値が決まるのを待っている状態だそうです。

印象的だったのは研修施設に設置された「失敗に学ぶ回廊」と呼ばれるスペースです。

ここでは過去の浜岡発電所での失敗事例を検証するパネルや、破損品の実物、当時の新聞記事などを展示し、社内の安全教育に利用しているとのことでした。

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浜岡原子力発電所は、3・11のあと当時の菅直人首相の意向で運転停止となり、安全対策の途中で規制基準が変わるなど、政治的な影響を強く受けています。

それでも様々な課題に真摯に向き合い、社内一丸となって前向きに取り組んでいる中部電力さんの姿勢に、大いに感銘を受けました。

同じ課題を抱える原子力発電所立地地域の住民として、色々と考えさせられた実のある研修でした。

同行していただいた秋庭悦子先生、ETC(フォーラム・エネルギーを考える)の西園様、そして温かく対応してくださった中部電力の皆様に心より御礼申し上げます。

2018年9月21日 (金)

入門編 原子力発電の廃止措置とは?

「くらしをみつめる・・・柏桃の輪」勉強会に参加しました。

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テーマは

「入門編 原子力発電の廃止措置とは?」

講師にNPO法人あすかエネルギーフォーラム理事長・秋庭悦子先生をお迎えして、原子力発電所の廃止措置(=廃炉)の方法や課題について伺いました。

秋庭先生は原子力委員会委員や資源エネルギー庁のクリアランス検討委員等を歴任されていらっしゃいます。

廃止措置とは発電を終えた原子力発電所から、施設を解体するなどして放射性物質を取り除くことです。

現在の日本には57基の原子力発電所があり、福島第一・第二を含む22基の廃止措置が決定または見込まれています。

電力会社は廃止措置計画を作り、国の原子力規制委員会の審査・認可を得ます。

そして計画とルールに沿って安全に作業を進めます。

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大まかな手順は

①燃料の搬出

②汚染の除去

③安全貯蔵(放射性物質の減衰を待つ)

④原子炉などの解体・除染

⑤建屋などの解体・周辺施設の除去

⑥廃棄物の処理・処分

つまり放射性物質を極力取り除いてから解体作業を行うというもので、約30年かかります。(火力発電は1~2年)

また費用は電力会社負担であり、原子炉の大きさに応じて360億円~770億円程度だそうです。

(火力発電は高くても36億円程度)

解体で発生する廃棄物は約15億トン~約50億トンという膨大な量です。

これらの汚染状況を調べ、放射線量に応じた安全確保のもと丁寧に作業を行います。

放射性廃棄物は埋め立てることになっていますが、処分場はまだ決まっていません。

廃棄物のうち、人の健康への影響がほとんどないものをクリアランスレベルと呼び(=0.01ミリシーベルト以下/年)、国の安全確認を経て資源としてできる限りリサイクルします。

これを「クリアランス制度」といいます。

日本ではこれまで約400トンに対して国の確認が行われ、うち230トンが再利用されていますが、まだ発電所内に留まっています。

大量の廃棄物を少しでもリサイクルするためには、クリアランスの適用を拡大し、発電所外の一般物品にも使えるようにすることが必要です。

でも放射性物質に対する拒否反応の強い日本では、理解活動が大きな課題となるでしょう。

こうした廃炉事業による経済効果は不透明であり、原子力発電所の稼働停止に伴う経済的影響を補えるとは限りません。

また従業員の数も、運転時に比べるとかなり少なくなります。

そして廃止措置が開始されれば、これまでの原子力交付金は入りません。

廃炉に対するものは交付期間が10年と定められています。

つまり作業年数30年のうち、残りの20年は交付金なしの状態となるのです。

作業技術も原子炉の運転とはまったく異なるため、新たな人材育成が必要になります。

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日本では現在、電力会社が廃止措置を行っていますが、スペインでは廃止措置の間は別の事業者に所有権を移し、措置完了後に再び更地を電力会社に戻しているそうです。

このように廃炉には多くの課題があり、「廃炉ビジネス」や「原発ゼロ」はそう簡単ではないということが理解できました。

原子力発電所立地地域の住民として、他の方々と知識や意識を共有しながら、地域の将来を考えていきたいものです。

秋庭先生、貴重なお話をありがとうございましたm(__)m

2018年9月 8日 (土)

ゆかり通信1号「新庁舎について」

平成28年8~9月、柏崎市主催「新庁舎ワークショップ(計4回)」に参加しました。
2020年度に完成予定の市役所新庁舎の中に市民交流スペースをつくり、同年が期限となる合併特例債を適用させるため、市民の意見を募りたいという趣旨で行われたものです。
 
 ですが柏崎市にはすでにアルフォーレ、柏崎市産業文化会館、まちからなどの公的機関があり、わざわざ新庁舎内に市民交流スペースをつくる必要はないと感じました。
 ワークショップ最終日には「柏崎のシンボルとして、どこからでも見える高い塔をつくりたい」と説明され、「(合併地域の)西山や高柳から見えないような塔はシンボルではない。そんなものは必要ない」との声が上がりました。
そもそも70~75億円とされる建設費用は私たちの税金です。
市民ひとりあたりの負担を少しでも減らすため、必要でないものは極力省いて、建設費用を安く抑えていただきたいと訴え、結果的には市民交流スペースもシンボル?の塔も省かれ、当初よりもコンパクトな設計となりました。
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また新庁舎建設予定地は標高が2.8mしかなく、計画段階から水害のリスクが指摘されてきました。それに対する柏崎市の説明は、「柏崎雨水ポンプ場と2024年度竣工予定の鵜川ダムにより浸水の心配はないと考えている」というものでした。
けれど今年7月に起こった西日本豪雨を受け、私の周囲の方々から新庁舎に対する不安の声が多く聞かれるようになりました。
そこで、「鵜川ダム完成前に西日本豪雨と同様の状況が起こったとき、柏崎雨水ポンプ場だけで対応できるのか?標高が高い現庁舎跡地に防災機能を残す考えはないか」という趣旨で、柏崎市に対して問い合わせを行いました。
それに対する防災・原子力課の回答は、
「柏崎雨水ポンプ場の機能だけで新庁舎を含む駅周辺の排水は不可能だが、気象台の発表をもとに冠水前に職員が登庁することになっている。また新庁舎の1階床レベルを上げ、災害対策機能は3階以上に整備するので水害時でも問題ないと考える。現庁舎の跡地活用については未定。」
という内容でした。
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 つまり浸水覚悟の新庁舎建設であり、市の職員さんは水害の危険を冒して庁舎に参集しなければならないわけですが、はたしてそれでよいのか疑問です。
 危機管理の観点から、リスク分散のため防災拠点を複数つくることが必要です。さまざまな災害を想定して、柏崎市内に防災拠点を分散するべきではないでしょうか?
市民の皆さまにもぜひご一緒に考えていただきたいと思います。

2018年9月 1日 (土)

ゆかり通信1号「市議会について」

平成20年、有志で市政の勉強会グループをつくり、市議会の傍聴をはじめました。
中越沖地震で沈んだ柏崎を少しでも良くしたい、それには住民として自分たちのまちの政治についてきちんと知っておきたいと考えたからです。
市議会では私たちの生活に直結することが決められていました。
行政の長である市長も、議会を構成する市議会議員も、私たち市民が選びます。
選挙に行くのはもちろんのこと、常日頃から自分が選んだ政治家がどのような活動をしているのか確認し、時に意見を伝えることも大切なのだと学びました。
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傍聴や勉強を続けるうちに「何をしているかわからない議員が多い」「議員はもっと減らすべき」との声が聞かれるようになりました。
 柏崎市と同じ規模の人口で議員を減らす自治体もあり、「議員を減らして議会改革を行い、市民に開かれた議会にしたい」という考えの議員さん達もいらっしゃいました。
地方自治には市政への意見・要望を議会に提出し、審議される「請願」という仕組みがあります。
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議会の活性化、市民の市政への関心が高まることを期待して、私たちは平成21年、平成29年に市議会議員定数の見直しを求める請願を提出しました。
1回目の「柏崎市議会議員定数の削減に関する請願」は不採択となりましたが、それを機に議会改革が進められ、議員定数は30名→26名に削減されました。
2回目に提出した「柏崎市議会議員定数を適正化するよう求める請願」は全会一致で可決され、今年の9月議会で一定の結論が出るそうです。
また柏崎市議会では議会改革の一環として「議会報告会」を開催しています。6~7人の議員がチームを組んで、議会報告と地域住民との意見交換会を行います。
毎回参加していますが、人口減少・過疎化が進む今の柏崎市では、地域の問題を地域だけで解決するのが難しくなっていると感じます。
また本来なら柏崎市全体で考えなければいけない問題であっても、一部の議員さんしか把握せず、解決につながりにくい状況も見受けられました。
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これからの時代は地域間で情報交換・協力し合い、それぞれの特色を理解しながら、柏崎市民同士が連携していくことが大切ではないかと思います。
議員の皆さんには各地域の課題を共有しながら市民に寄り添い、力をあわせて柏崎市全体を良い方向へ導いていただきたいと願っています。

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