近年、検挙される人達の約半数が再犯者であり、高齢者や障害者の占める割合が高くなっています。
犯罪や非行により服役したあと、再び社会の一員となるものの、すぐまた別の事件を起こして刑務所に戻ってしまいます。
犯罪に走る高齢者は、もともと地域社会から孤立していたり、家族や職を失って経済的に困窮しているケースが多いそうです。
また障害者の場合、家族などフォローする人がいなくなり、困っても相談の仕方がわからず事件を起こすケースや、障害があることに本人も周りも気付かず、必要な支援を受けられず事件を起こすケースもあるそうです。
そして刑期を終えても、生活の場を失っていたり、社会の変化についていけず、再犯にいたってしまうのです。
そんな彼らが出所後、地域で暮らしていけるよう、一昨年に更生保護・再犯防止の取り組みが法制化されました。
(「再犯の防止等の推進に関する法律」)
社会復帰と再犯防止の体制を整備し、地域生活への定着を包括的・継続的に支援していくことが、各自治体に求められています。
研修会場となった滋賀県は更生保護・再犯防止の先進地であり、司法と福祉が連携して、刑事手続き段階で支援に入ります(入口支援)。
犯罪にいたった要因(本人の特性、生活環境上の問題など)を探り、生活保護や国保減免申請など必要な手続きを行い、社会復帰に必要なサポートを検討します。
そして更生保護施設や救護施設、グループホーム、養護老人ホームなどで社会内訓練を実施します。
そんな過程を経て、社会に戻った人達が再犯者にならないよう、就労支援や断薬支援を行いながら、生活再建を継続的にサポートします。

滋賀県の三日月知事からは、再犯防止施策の趣旨をまとめた、次のお言葉がありました。
「誰しも弱さ、つらさ、生き辛さがある時、もしくは放置された時、社会から排除された時、自暴自棄になり道を外す可能性がある。
もっと不幸なことは、そういった自暴自棄になってしまった人の被害者になってしまうこと。
それを未然に防いでいく。
繰り返し犯罪に手を染めることがないような社会環境を作っていく。」
この意識を社会全体で共有し、仕組みの整備を早急に進めるべきだと思います。
誰もがやり直せる社会、誰も孤立させない社会にしていくことが、これからの日本に必要だと強く感じました。
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