2023年9月14日 (木)

令和5年9月一般質問 3 高齢者にやさしいDX時代の対応

令和5年9月8日の一般質問の内容です。

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最後の質問は 3 高齢者にやさしいDX時代の対応 です。

社会全体のデジタル化・DX化が進むにつれて、高齢者のデジタルデバイドが課題となります。

デジタルデバイドとは、インターネットやスマートフォンなどの情報通信技術(ICT)が使える人と使えない人の間に生じる情報格差であり、使えない人の生活や社会参画が不利になる可能性があります。

本市においては、オンライン申請の拡充や、オンライン診療の準備など、DX化を進めていますが、こういったものは本来であれば移動手段を持たない、あるいは体調の関係でなかなか外出できないような高齢者の方達に利用していただいてこそ、不便さの解消、市民福祉の向上につながると思います。

今年11月24日から運行するAI新交通あいくるは、高齢者が主要な乗客になると予想されますが、やはり先般、私が参加した地域懇談会では「デジタル機器に疎い高齢者が、インターネット上で予約できるのか」と、まさしくデジタルデバイドを心配する声がありました。
それに対して、市長は「電話予約も可能」だと説明されていましたが、本来はスマートフォンのアプリやLINEを使うことで、利便性が向上するものではないでしょうか。

また災害情報においても、防災行政無線は聞き逃すリスクがありますが、スマートフォンを通して得られた情報は、「届ける」という点において、より確実です。問題は「受け取る」側にあります。

本市では、新型コロナウイルス・ワクチン接種予約の際に、市内の企業・団体が高齢者のインターネット予約をサポートしてきました。
こうした温かい取組に加え、AI新交通スタートを契機として、今後は高齢者がデジタル機器に慣れ、DXによるサービスを自ら受けられるような施策展開が必要ではないかと考えます。

そこで質問です。デジタル化・DX推進による恩恵を市民全体、特に高齢者が享受できるよう、デジタルデバイド解消に向けた施策を進めていくべきではないかと考えますが、見解をお聞かせください。

総合企画部長

ご紹介がありましたように、本年11月から新しくAI新交通あいくるの運行が始まります。
オンライン申請など、既存のデジタル・サービスとは異なり、あいくるは市民が日常的に利用するサービスとなります。

高齢者の中にはデジタル・サービス全般の操作に苦手意識を感じる方が多いと思われますが、あいくるの予約の簡単さ、便利さを多くの方に実感していただくことで、デジタルに対する不安解消の足掛かりにしたいと考えております。

まず、あいくるの予約システム、特にLINEでの予約画面については、高齢者にやさしいシステムであることを第一とし、どなたにもシンプルでわかりやすく、ストレスなく予約できる画面を構築中であります。

また9月下旬から10月にかけまして、地域ごとにあいくるの説明会を予定しておりまして、予約から乗車・支払いまでの手順をわかりやすく丁寧に説明し、質問や疑問に直接お答えする機会を設けていきたいと思っております。

その際には、参加者の皆様からはご自身のスマートフォンをお持ちいただきまして、十分に理解が深まるよう説明してまいりたいと考えております。

さらに、あいくるの利用方法とあわせて、スマートフォン全般の操作が習得できるよう、スマートフォン教室を定期的に開催している柏崎市シルバー人材センター、また携帯電話事業者との連携を検討するなど、協力いただける企業・団体を募りながら、あいくるをはじめとした市のデジタル・サービス全般について、高齢者が日常的に相談できる環境整備に努めてまいりたいと考えております。

近藤

前向きなご答弁、これから高齢者の方々のデジタルデバイド解消のための取組をされるということで、安心しました。
これからぜひ、年を取られた方も、またどんな地域に住んでいらしても、皆さんが満足して生活していかれるような施策展開をお願いしたいと思います。 

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今回の一般質問は、後半の時間が足りなくなり、内心冷や汗ものでした。反省しつつ、引き続き精進したいと思います。

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令和5年9月一般質問 2 地域課題の解決と高校生の活躍

令和5年9月8日の一般質問内容の続きです。

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質問2 地域課題の解決と高校生の活躍 では(1)高校生の進学状況と地元回帰に向けた取組 について伺います。

今年7月初旬、令和6~8年度 新潟県立高校等再編整備計画において、柏崎翔洋中等教育学校が令和8年度に募集停止し、同年より柏崎高校に県立中学校を併設する方針が示されました

この件に端を発し、柏崎市内中学生の市内外高校等への進学状況について担当課に問い合わせ、その内容をグラフ化してみました。

まずは柏崎市内中学校を卒業した後の高校等への進学状況です。ただし県立特別支援学校への進学者や進学しない方々の人数は含まれていないことを、ご承知おきください。

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次は柏崎市内小学校卒業後、柏崎翔洋中等教育学校の前期課程に入学した生徒数であり、毎年50人台は進学しています。

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この度の県の再編整備計画によって、もっとも衝撃を受けたのは、柏崎翔洋の在校生や卒業生、進学を希望するお子さん達、そして保護者の皆様だと思います。

関係者の方々からは、「柏崎翔洋の良さ・独自性に魅力を感じたからこそ、この学校を選び、誇りと愛校心を育んできただけに、県の方針を受け止めきれない」とのお声もいただきました。
そのため、柏崎翔洋に対するニーズが、柏崎高校に併設される県立中学校へのニーズと合致するとは限らない、と感じるところです。

次は進学先の市内外動向です。少子化が進んでも市外に進学する生徒は減っていません。この傾向から、一定の学力を持つ生徒や、スポーツ等やりたいことが明確な子ども達は、公立高校が再編され進学校が集約されたとしても、柏崎市内に進学しないのではないかと推測します。

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このデータをお示ししたのは、柏崎市の現状、高校生の段階で市外を選択する生徒も少なくない状況を、本市の行政機関ではどう認識しているのか、また若者の定住促進の観点から、高校生に対する戦略的なアプローチを強化する考えがあるのか、確認したいためです。

15~18歳という多感な年代における経験は、その後の人生に大きく影響します。学校生活と並行して、社会に目を向け、自らの将来像を思い描くのもこの時期だと思います。そして、彼らは、社会や地域の課題解決に向けた活躍が期待される貴重な人材でもあります。

人口減少対策の観点から、本市に居住する高校生はもちろん、市外から本市に通う高校生も視野に入れ、将来、柏崎に残る・戻る選択につながるアプローチ、地元回帰に向けて取り組むことが重要だと考えます。

そこで質問です。柏崎市内の県立高校・中等教育学校に対する新潟県の再編整備方針と、柏崎市内中学卒業後の進学先実態に対する認識、および高校生が柏崎市に残る・戻ることにつながる施策の現状と展望について伺います。

市長

近藤議員が言われるように、柏崎市の中学校卒業生のうち、約2割強の生徒が市外の高校に進学している実態がございます。大学を見据えた進学校への進学、柏崎市にはない専門学科への進学、部活動を理由にした進学、通信制高校への進学など、その理由は様々だと認識しております。

中学校3年間におきましては、まず調べ学習や見学・体験を踏まえた各高校の特色について学びます。そして将来を見据えた中で、自分が本当に行きたい高校はどこなのかを真剣に考え、自己実現に結び付ける進路学習に取り組んでいると聞いております。

できることならば、小・中・高と柏崎市内の学校で学べることが理想ではありますが、生徒一人一人の希望に沿った自己実現のための進路は多岐に渡っており、市内にその全ての選択肢がないのも現実であります。

尚、今般、新潟県が方針を示しました令和8(2026)年度の柏崎翔洋中等教育学校の募集停止ならびに県立中学校新設と、中学校卒業生の市外への進学の関連については、大きな影響がないものと考えております。

次に、ふるさと柏崎の魅力とそれを語る人々の生き方を学び、柏崎の未来を担う人材育成についてご説明いたします。中学校を中心にキャリア教育推進事業を予算化し、キャリア教育講演会の実施や、各種体験学習への支援、中学校での企業学習に取り組んでおります

また、柏崎市移住・定住パートナーチームが立ち上げた施策の一つであります、子ども達の柏崎愛を育むための総合学習とアンケート調査の実施に向けた準備を進めているところでございます。その結果を今後の施策に反映させていきたいと考えております。

最後に、将来柏崎市に残る・戻る選択につながる高校生へのアプローチにつきまして、令和元(2019)年度に、中学生・高校生・大学生を対象に、「柏崎市住みたい度調査」を実施し、柏崎市定住に対する意識を把握して、その結果を総合計画などに反映させてきたところでございます。

また柏崎職安管内・雇用促進協議会では、毎年高校生を対象に、企業説明会を開催しております。市内企業の魅力を発信し、一人でも多くの高校生の地元定着につながるよう、民間と行政が一体となって取り組んでまいります。

さらに今年3月には、柏崎市主催で、高校生と柏崎で働く大人との座談会を開催したところでございます。この会は多様な業種で働く大人達の経験や、キャリア紹介を聞くとともに、高校生が進路選択をする上で抱える悩みや問題などを相談できる機会となったと認識しております。

これからも柏崎の未来の担い手である子ども達が、ふるさと柏崎への愛着と誇りを持ち、柏崎の地で夢や希望に向かって、可能性を切り開いていくことができるよう努めてまいります。

近藤

市としてもこれまでも取り組んできたと思いますが、こういった進学実態も踏まえた上で、地元回帰、柏崎に残る・戻る、最終的には柏崎を選ぶように働きかけていただきたいと思います。

 

次の質問(2)介護・福祉分野と連動した高校生支援 では、キャリア教育と地域課題解決を結び付けることについて、民間での取組を参考に伺いたいと思います。

介護・福祉人材の育成・確保は本市のみならず全国的な課題ですが、高校生が介護の資格取得と現場での実務経験を通して、未来を切り開くことを応援する取組が注目されています。

昨年、愛知県のキャリア教育団体と介護・福祉団体が、若者と介護・福祉業界をつなぐための新しい制度づくりを目指して実行委員会を発足し、高校生のための「介拓奨学生プログラム」をスタートしました。

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本プログラムは、高校生が研修費・交通費無料で介護職員初任者研修を受け、資格取得後は奨学生として、介護施設等にて通常より高い時給でアルバイトをしながら経験を積み、卒業時には活動に応じた奨学金が受けられる仕組みだそうです。
学業との両立を前提とし、介護・福祉施設での実務経験を通して、進学や就職のための費用を貯め、将来に役立つ資格とスキルを獲得できる取組みであり、「新聞奨学生」に近い仕組みかと思います。 

初年度となる昨年は、高校生17名がプログラムに参加し、それぞれ介護・福祉の現場で実務経験を積みながら、充実した日々を送っているそうです。

本市においても、「介拓奨学生プログラム」を参考に、高校生のキャリア形成支援と同時に、介護・福祉の現場に対する理解促進、人材不足の解消を図る取組を検討してはどうかと考えます。

つまり高校生に早いうちに本格的に関わっていただくことで、介護・福祉の現場に入るということ、また仮に将来的に介護・福祉の道に進まないとしても、スキルを身に付け、社会人としてのキャリア形成に役立てていくことができるかと思います。

更には、既存の奨学金返還補助制度や、介護職員就職支援事業補助金等を組み合わせることによって、若者の定住支援、Uターン促進にもつながると思います。 

そこで質問です。「介拓奨学生プログラム」を参考に、介護・福祉分野における高校生の活躍とキャリア形成を推進する取組を行ってはどうかと考えますが、見解をお聞かせください。

福祉保健部長

近藤議員がご指摘のように、高校生のキャリア形成は本格的な少子高齢化・人口減少社会を迎えている本市においても非常に重要な取組であり、課題であると認識しております。市内の高校に伺いますと、介護・福祉分野に進学する生徒は毎年数名程度とのことです。また県内の介護・福祉系専門学校は、入学者が減少していると伺っており、残念ながら介護・福祉学科の募集を停止する事態も生じております。

こうした状況から介護・福祉分野の人材不足は一層懸念されるため、総合学習やキャリア教育の機会を捉えて、介護・福祉の必要性や、やりがいを伝える出前講座に、主体的に取り組んでいるところでございます。

さて、民間事業者の間で実行委員会を立ち上げ、愛知県内で実施されている「介拓奨学生プログラム」を参考とした取組みについてのご質問であります。介護職員初任者研修を実施するにあたって最大の課題は、講師を揃え、カリキュラムを編成し、継続的に研修を実施し、適切な修了評価を行うことができる養成研修の実施事業者の確保であります。

この実施事業者は都道府県知事の指定を受ける必要があり、確認しましたところ、ご紹介の団体には構成員の中に実施事業者が確保されておりますが、現時点で柏崎市内に養成研修の実施事業者はございません。従って来年度から本市で同じ取組を実施するのは難しい状況であります。

しかし若い世代への働きかけは、第五次総合計画や現在策定中の第9期介護保険事業計画においても重要な取組と位置付け、既存事業の見直しを含めた検討を進めております。

具体的に申し上げますと、市内事業者の協力を得ながら、高校生にとって比較的年代の近い、若手職員による介護・福祉の技術講座の実施を新たに検討しております。

そしてこの講座の終了後には、新潟県福祉人材センターが実施しております介護施設の職場体験会につなげていくとともに、就職の際には就職支援補助金を交付する等、一連の事業をパッケージにすることにより、介護・福祉分野の理解促進や、人材不足の解消を図る取組を、一体的に進めてまいりたいと考えております。

近藤

今ほど「介拓奨学生プログラム」と同じではないにせよ、また新たな取組を行うとのことでしたので、ぜひ高校生の活躍を支援する形で、課題解決につなげていただきたいと思います。
 
 
本項目の最後は、(3)防災分野における高校生の活躍 について伺います。

災害が頻発する昨今、市民ひとり一人の自助、地域における互助・共助の向上が求められます。

高校においては、防災を含む安全に関する教育が、現代的な諸課題に関する教科等横断的な教育内容として位置付けられ、各教科や、総合的な探究の時間、特別活動の中で扱われています。

このことから、高校生は災害発生時において、自分や家族、友人の安全確保、避難所での協力や支援、地域社会への貢献等が期待されます。

本市では地域の自主防災におけるリーダー役として、毎年、防災士を養成し、フォローアップ研修によってスキルアップを図っています。

そこで今後は市が主催する防災士フォローアップ研修等において、高校生と連携した模擬訓練や意見交換会を行うことや、市の防災士養成講座に高校生枠を設けるなどすれば、地域の防災力を強化できると考えます。

また、防災を通して高校生が地域と関わる機会をつくることで、地元への理解と愛着を醸成する効果も期待できるのではないでしょうか。
 
そこで質問です。地域防災力の向上と若い世代の地元理解・愛着の醸成を図るため、防災士研修における高校生との連携、あるいは防災士養成の対象範囲に高校生を加えることについて、見解を伺います。

市民生活部長

本市が取り組む防災士養成では、地域の防災力を高める目的から、資格取得後に地域の防災活動をけん引し、活躍していただくことを期待しており、申込に当たっては地域推薦をお願いしています。受講資格に年齢制限は設けておらず、市内の高校にも募集案内をしており、昨年度は30名が資格を取得し、うち1名は高校生で、今後の地域での活躍が期待されるところです。

地域防災においては、大人だけが取り組むのでなく、児童・生徒も防災教育を通じて、自分の命や安全を守ることを学び、地域との関係を築きながら、普段からの自助・互助・共助の心を育むことが、地域全体の防災力の向上につながっていくものだと考えております。

現在のところ高校生に特化した防災事業はありませんが、今ほどいただきました高校生に対する具体的なご提案のことも含め、地域防災力の向上に向け、あらゆる世代が防災の知識や技術を身に付け、地域を知り防災活動に関わる仕組みづくりや、人材育成について研究してまいります。

近藤

今ほど伺いまして、地域推薦の防災士の中にも高校生が含まれていたこともお聞きしました。そういったことも呼びかけながら、高校生を貴重な人材として捉え、地域課題の解決をともに目指す存在として、そのような取組みを進めていただきたいと思います。

 

令和5年9月一般質問 1 持続可能な「脱炭素のまち柏崎」を目指して②(3)ALPS処理水を巡る側面支援

令和5年9月8日の一般質問1続きです。
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本項目最後の質問では、福島の復興、そして日本の水産業への応援を込めて、(3)ALPS処理水を巡る側面支援 について伺います。 

令和3(2021)年6月一般質問「福島復興を進めるために」において、私は福島第一原子力発電所のALPS処理水の海洋放出に対する本市の見解を伺い、市長からは、廃炉作業の安全で着実な進展のために、海洋放出の処分方針を評価する、とのご答弁をいただきました。

令和3年6月一般質問「4,福島復興を進めるために」

それから2年を経て、ALPS処理水の海洋放出が正式に決定しました。処分方法は国際安全基準に合致し、人及び環境に対する放射線の影響は無視できるほどであると、国際原子力機関IAEAは包括報告書で結論付けています。

岸田首相は風評被害を危惧する漁業関係者との対話を重ね、一定の理解を得たとして、8月24日から海洋放出を開始しました。

これに対し、中国は日本の水産物を全面的に輸入禁止、次いで販売禁止とする措置を打ち出し、香港も新潟県を含む10都道府県の水産物を輸入禁止措置としました。また、中国からとみられる迷惑電話も全国で相次いでいます。

その一方で、処理水放出後、福島県沖のトリチウムは全観測地点で検出下限の濃度を下回り、周辺海域の魚からトリチウムは「不検出」であったことも発表されています。

政府は水産支援対策として1千億円規模の風評被害対策、漁業継続支援を打ち出し、日本産水産物の国内消費拡大や輸出先の転換を図っています。
加えて9/6のASEAN=東南アジア諸国連合との首脳会議の場で、岸田首相は海洋放出の安全性を説明し、加盟国からは冷静に受け止められたことも報じられています。

また、海洋放出の開始日が決定して以降、福島県沿岸部のいわき市へのふるさと納税が急増し、寄付者の約9割は返礼品に海産物関連を希望している他、漁業者に対する応援メッセージも寄せられているそうです。

国際的な緊張関係が続くからこそ、私達は日本人として、科学的根拠に基づく風評被害の払拭、苦境に立たされている水産業者の応援に注力すべきであり、柏崎市は、福島と同じ電力会社の原子力発電所が立地する自治体だからこそ、より強いメッセージを打ち出すべきだと思います。 

原子力発電所から出されるトリチウムを含む水は、これまでずっと世界中で海洋放出されてきました。そして、柏崎刈羽原子力発電所からトリチウムを含む水が放出される海で、私達は泳ぎ、地元で獲れる魚介類を口にしてきた歴史があります。

この事実を踏まえ、「海の柏崎」、そして原子力発電所立地自治体ならではの側面支援として、「福島近海の水産物を柏崎で買う・食べる」イベントを実施し、市内外に海洋放出の妥当性、水産物の安全性をPRしてはどうかと考えます。

また、本市ではここ数年でキッチンカーを招致したイベントを開催してきましたが、近年では小型EVキッチンカーを利用して、飲食営業を行う事例も見られます。そこで、水産物応援イベントを行うのにあたり、EVキッチンカーを手配すれば、脱炭素の推進を印象付ける相乗効果も生まれるのではないでしょうか。

以上を踏まえて質問します。原子力発電所立地自治体でもある「海の柏崎」として、福島のALPS処理水の海洋放出および周辺海域の水産物の安全性に対する理解促進と、脱炭素の推進に資する取組を行うことについて、見解をお聞かせください。

市長

まったく、近藤議員が熱弁を奮われた通りであり、そのまま答弁として繰り返してもいいくらいです。まったく私の考えとピッタリであります。

先月8/24にALPS処理水の海洋放出が行われてから、残念ながら日本産水産物につきましては、中国・香港での輸入禁止や検疫強化が始まっており、今後は国内でも買い控えによる水産物の消費低迷が危惧されております。しかし日本国民は、困った時は・・というところで、今のところ水産物の消費低迷はないと考えておりますけれども、外国向け・輸入ものに関しましては、いまだ危惧が残るところでございます。

国はトリチウムおよびセシウムの成分分析を毎日行い、公表しているところです。市内で消費する水産物に関しましては、東北・太平洋沿岸で水揚げされたものも含まれますが、国のモニタリング分析が機能し、科学的根拠に基づいた安全な水産物が流通しているものと認識しております。

同じように原子力発電所を有している柏崎市といたしましては、広い意味で地産地消という観点から、日本産水産物の消費拡大につながる周知等を検討してまいります。

また国および東京電力HDにおいては、風評被害への対応も含めて、適時適切な対応を継続するよう強く求めるところであります。

ちなみに小型EVキッチンカーのご提案もありましたが、残念ながら今EVに供給されている電気は日本においては石炭由来ですので、ちょっとこれは私としてはクエスチョンマークであります。

また私自身も先頭に立ってということで、ささやかではありますけれども、先月の処理水放流後、福島産のしらす干しを、これは柏崎では獲れませんので、注文し、美味しくいただいていることをご報告申し上げます。

近藤

2年前と変わらぬスタンスでご答弁いただき、大変嬉しく思います。「物事の前進や解決のためには、風評被害を判断材料にしてはならないと思います。だからこそ、公の立場にある私達は、風評被害をなくすための行動、努力を続けなければならないと考えております。」こちら、2年前にもこの議場で申し上げましたけれど、私も今もこの気持ち、変わっておりません。

将来の食糧危機、食糧安全保障も視野に入れ、情勢を注視しながら、ブレることなく、福島の復興、脱炭素社会の実現を応援していきたいと思います。

ぜひ福島産の水産物を柏崎で買う・食べるというイベントのご検討もお願いしたいと思います。

 

 

令和5年9月一般質問 1 持続可能な「脱炭素のまち柏崎」を目指して①

令和5年9月8日、一般質問を行いました。以下はその内容です。

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1 持続可能な「脱炭素のまち柏崎」を目指して 

今年の夏は猛暑が続き、全国的に観測史上最高の平均気温を記録し、連日「熱中症警戒アラート」が出されました。
柏崎市消防本部管内では、6月~8月に熱中症の疑いによる救急搬送は92件、昨年度の66件よりも約4割増加したそうです。また、夏の記録的少雨による農作物被害、今後は秋雨(あきさめ)前線や台風の影響による気象災害も心配です。

「広報かしわざき9月号」の市長随想では、「地球温暖化の時代は終わり、地球沸騰化の時代が到来した」との国連総長の言葉が紹介されました。この状況を食い止めるためにも、2035年脱炭素のまち柏崎市スタートを目指して、温室効果ガス、C02排出量削減に資する取組を、産業や市民生活に浸透させていくことが重要と考えます。

そこで(1)脱炭素の推進と産業イノベーションでは、まずはア 太陽光発電事業の検証と展望 について伺います。

今年8/1から鯨波・西長鳥の太陽光発電所が稼働し、市内37か所の公共施設への電力供給が開始され、脱炭素の推進およびエネルギーの地産地消における大きな一歩となりました。
当初3/15までとされた工事完了の延期もあり、櫻井市長の会見では「大雪の影響、設備、接続、許認可の手続き等が難渋し、ようやくここまでたどり着いた」と、完成に至るまでの苦労について語られたのが印象的です。

本市では今後も柏崎あい・あーるエナジーが主体となり、遊休市有地での太陽光発電設備 設置が予定されているわけですが、2か所の太陽光発電所の建設過程で生じた課題を検証し、次なる事業拡大の教訓にすべきと感じます。

また7/31に行われた完成見学会では、工事請負事業者様から、「この仕事を担うのは新たなチャレンジだった」という趣旨のご挨拶もいただきました。2か所の太陽光発電所は市が整備・所有し、柏崎あい・あーるエナジーに運用・維持管理を委託し、今後の太陽光発電事業は柏崎あい・あーるエナジーが設置者となりますが、柏崎あい・あーるエナジーには社員を置かないことから、実務を担うのは地元事業者になるかと思います。

脱炭素電源の設備設置工事や保安・維持管理、将来的には太陽光パネルの更新・除却といった一連の関わりを通して市内事業者の仕事が生まれ、環境産業を担う技術力が育まれていくことは、本市の重点戦略「大変革期を乗り越える産業イノベーション」の観点からも重要と考えます。
 
そこで質問です。
鯨波・西長鳥の太陽光発電所の完成に至るまでの課題をどのように検証し、今後の柏崎あい・あーるエナジーによる太陽光発電事業拡大にどう生かすのか、また、保安や維持管理、太陽光パネルの更新や除却に地元事業者がどのように関わるか、そして、本市の脱炭素エネルギー事業の推進を、地元事業者の環境産業への参入や技術力向上にどうつなげていくのか、見解を伺います。

市長

鯨波、西長鳥の太陽光発電所が竣工を迎え、市内に脱炭素電力の供給を開始したことは、施政方針で令和5(2023)年度は柏崎市にとって脱炭素元年になると申し上げましたが、まさに脱炭素のまちへ大きな一歩を踏み出したものと考えております。

具体的には5月から小中学校を中心とする市内37公共施設に(柏崎あい・あーるエナジーによって)電力供給を開始し、8月からは太陽光発電所からの電力を用いて、自己託送供給が始まったところです。

8月末までの両太陽光発電所の総発電量は43万2492kwh、設備稼働率は約15%と問題なく稼働しているとの報告を受けています。
また37公共施設における5~7月の電気料金の削減合計額は500万円を超え、電力会社切り替え前と比較して、平均11.5%の削減効果が得られています。当初議会に説明した削減額よりも多く、削減割合も高い数値であったと報告します。

しかしエネルギー価格の乱高下はいまだ続いています。したがって柏崎あい・あーるエナジーには財務体制をしっかりと固め、順調な経営を求めてまいります。

柏崎あい・あーるエナジーの経営状況といたしましては、自己託送供給と市場調達とのバランスをとりながら、順調に電力供給を進めていると聞いているところです。

さて、市がはじめて整備した太陽光発電所でございますが、完成に至るまで様々な課題がございました。その中でも系統接続に至るまでの期間や、設備納入が遅延傾向にあったことなど、工程管理の難しさを痛感したところでございます。
こうした経験から今年度、柏崎あい・あーるエナジーが発注する電源開発工事につきましては、系統接続申し込みを令和5(2023)年3月中に行うなど、前倒しで事業を進められるよう工程管理に努めていると報告を受けています。

次に太陽光発電事業の地元産業界への波及に関しては、現在、両発電所の電気保安業務を、(一社)東北電気保安協会柏崎事業所に委託し、その他の保安につきましては必要に応じて施工事業者にお願いするほか、今年度の電源開発工事では昨年に引き続き、地元事業者から工事を受注していただいたと聞いています。

また廃棄パネルの増大に伴う産業化については、市内の再資源化を見据えながら、将来的な産業として注視しているところです。

このように地元事業者が再生可能エネルギー関連産業に関わり、環境産業のノウハウを蓄積していくことが、地元事業者の受注の幅を広げ、技術力の向上、産業競争力の強化や、環境エネルギー産業の更なる創出につながると考えています。

近藤
2か所の太陽光発電所が8月末で順調に稼働していること、またこれまでの経験を教訓としながら、系統接続を早めに申し込もうとするなど、工程管理の面でも工夫されていると聞いて安心しました。

ただ、気になることとして、柏崎あい・あーるエナジーには社員を置かない状況の中で、系統接続もそうですが、様々な事業戦略を主体的に考えるブレインとなっているのがどこになるのか、電源エネルギー戦略室が主導しているのか、または事務委託しているパシフィックパワーなのか。もう一点、社員を置かない意味合いとして、あえて地元事業者に仕事をとっていただくために、柏崎あい・あーるエナジーは仕事をコーディネートしていく役目を担うということなのか。この二点についてお考えをお聞かせください。

市長
一点目については、柏崎あい・あーるエナジーには社員はいないものの、株主であり、代表取締役もいらっしゃるパシフィックパワーに実務を担っていただいています。

また社員を置かず地元事業者に仕事をとらせるということではなく、事業が安定してきて公共施設のみならず、株主はじめ市内の産業界に脱炭素エネルギーを供給できるようになり経営が安定化したら、社員を有していかなければならないだろうと考えております。社長である私自身はもちろん無給ですし、誰も給料をもらっていないのが実態でございます。

経営が安定化してきたならば、専属の社員や事務所を置くことも考えていかなければなりませんが、まだそこまでには至っていないとご理解ください。

近藤
 脱炭素の推進と地元産業の育成、産業イノベーションの実現は、同時に進めていくべきだと思います。そこで、次の質問では、本市の主要産業である イ 製造業における脱炭素化の推進 について伺います。

製造業の脱炭素化には、化石燃料に依存しない電力や熱エネルギーを利用する「エネルギーの脱炭素化」と、CO2を排出しない工場機器や生産設備に切り替える「製造工程の脱炭素化」があると考えます。

「エネルギーの脱炭素化」については、リケンが北陸ガスとCO2排出量を実質ゼロにする「カーボンニュートラル(CN)都市ガス」の供給契約を締結し、8/29から柏崎工場と剣工場で使用する都市ガスの一部を切り替えたことが発表されました。これにより年間1600トンのCO2が削減されるそうです。

また先般、開催された地域懇談会において、櫻井市長は、将来的にはINPEXが進める水素発電による電力を柏崎あい・あーるエナジーが買い取り、市内事業者に供給すること、更には柏崎刈羽原子力発電所が再稼働した暁には、市内事業者がその電気を使うことにも言及されました。もし実現すれば、地産地消エネルギーの好循環、持続可能な脱炭素のまち推進につながります。

その一方で、高効率ボイラーやヒートポンプなどの省エネ機器、最適なエネルギーマネジメントを実現するIoT技術、排出したCO2をエネルギーや素材として再利用するカーボンリサイクル技術などを導入し、製造工程の脱炭素化を進めることも重要と考えます。
ですが、設備投資にかかるコストや技術的な課題に加え、昨今の円安・エネルギーコスト上昇・材料高騰・材料不足等により、特に中小企業や小規模事業者においては、新たな挑戦・設備投資が難しいのが現状ではないかと思います。

今年の6月、経済産業省が公表した「2023年版ものづくり白書」によれば、【我が国製造業では、大企業の約9割、中小企業の約5割が脱炭素への取組に着手しているが、このうち約3割が脱炭素への取組によるメリットを感じていない。かかったコストを上回る利益を得るためには、脱炭素の取組をきっかけに、DXや新ビジネスを開拓するなど、事業戦略の見直しを行うことが重要】としています。

このことから、本市の製造業、特に中小企業や小規模事業者が、脱炭素化に取組むことで、持続可能性も高まるような支援の在り方が求められます。

また、市長はこれまで議会答弁などを通して、脱炭素電力によってつくられる製品の付加価値が上がると発言されてきたことから、脱炭素 由来製品の認証制度の創出についても、検討してはどうかと考えます。

そこで質問です。INPEXの水素発電、東京電力HDの柏崎刈羽原子力発電所による市内事業者への電力供給の実現性(可能性)、また、脱炭素化に取り組む企業に対する支援策の強化、そして、脱炭素由来製品の認証制度の創出について、見解を伺います。

市長

非常に展望を持った質問だとありがたく思います。脱炭素社会の実現には脱炭素電力の供給とあわせて、本市の主要産業であります製造業をはじめ、あらゆる分野での脱炭素化を図ることが重要であるという近藤議員のお考えはおっしゃる通りだと思います。

先ほどご紹介いただきました、市内製造業の中心であるリケンさんもCNガスの利用を始められましたし、こういった脱炭素社会の実現において非常に重要な役割を果たすリチウムイオン電池をつくる、市内にあります東芝リチウムイオン電池工場も、水力発電による電気でつくられた電池であることは、前にもご紹介した通りです。

いまやカーボンニュートラル電力、CO2を出さない電力が奪い合いになる時代であり、新聞を見ていても毎日のように、各企業がカーボンニュートラル電力~太陽光、水力、蓄電池 等々~についての記事が出されています。

そういった中で、脱炭素電力が世界的に重要視される中、市内産業界における脱炭素化の推進は、産業競争力の強化につながるものであり、民間事業者の脱炭素に向けた取組は非常に重要なものと注視しております。

ご質問いただきました(株)INPEXのブルー水素製造もその一つであります。ちょうど2年後となる令和7(2025)年8月から約1000kwの水素発電が計画されています。現在、INPEXが水素によって発電した電力を柏崎あい・あーるエナジーに融通していただく方向で、関係者間の調整を進めているとことでございます。

また柏崎刈羽原子力発電所による電力を市内に供給するという将来構想につきましては、市内の脱炭素化の大きな一手になると考えておりますので、引き続き東京電力HD(株)と交渉をしてまいります。過去、何回となく、社長や国と協議を重ね、私自身の考えを伝えてきているところでございます。

これら民間事業者による脱炭素に向けた取組と、市内産業界を結ぶ役割を担い、市内に脱炭素電力を優先的かつ安価に安定的に供給できる柏崎あい・あーるエナジーの存在は、他地域と比較して本市の優位性につながるものと考えております。まずは市内37か所の公共施設への電力供給により、経営の安定を図りながら、市内事業者に電力供給するための電源開発を進めることで、市内の脱炭素化比率の向上と市内産業界の競争力強化を図ってまいりたいと考えております。

今年度から柏崎あい・あーるエナジーの電力販売が始動し、市のエネルギービジョンで目指す脱炭素のまちに向けて、一歩ずつではありますが、歩みを始めました。引き続き市民の皆様の暮らしを豊かにし、環境・経済両面で持続可能なまちを目指し、脱炭素エネルギー政策の推進に取り組んでまいります。

次に近藤議員ご提案の脱炭素化に取組む企業への支援強化や、脱炭素由来製品の認証制度についてお答え申し上げます。(株)リケンは先ほどご紹介ただきましたように、CO2排出量削減のために、太陽光発電やCN都市ガスの導入など、様々な取組を行っていらっしゃいます。

また(株)東芝が製造するリチウムイオン電池は、先ほど申し上げましたように、電池を使ったシステムが鉄道車両向けヨーロッパ規格の認証を取得するなど、脱炭素化に資する製品として、様々な産業分野で活用されています。

ちなみにご紹介いただいた認証制度ではないのですが、西長鳥・鯨波の太陽光発電による電力供給を受けている市内37の公共施設には、このたび「この施設は自然にやさしい再生可能エネルギーを使用しています」というような、わかりやすいステッカー表示をさせていただいているところです。

今後ご提案がありましたように、脱炭素に資する高付加価値製品・サービスへの需要の高まりが認められることから、脱炭素化に取組む企業への支援や、認証制度について、国の動向も見ながら、柏崎市として必要に応じ検討を進めてまいります。

 

近藤

製造業は中小企業、小規模事業者も多いと思います。大手企業とは体力的な違いがあり、脱炭素に取り組むのは苦慮する面もあると思うのですが、サポートしていくお考えはありますでしょうか。

市長

もっともなご意見・ご質問だと思います。ただ今の段階では通常の電力・エネルギーよりも再エネなどのカーボンニュートラル電力は高い状態であります。柏崎あい・あーるエナジーの太陽光発電は自己託送(市の自前電源→公共施設)なので安く供給できていますが、他はあまり安くないので、大手企業がまず脱炭素電力を受けて、将来的には中小企業の皆様にもカーボンニュートラル電力を供給できるよう、柏崎あい・あーるエナジー共々、頑張ってまいりたいと思います。

近藤

もう一点、認証制度の件で、「自然にやさしいエネルギーを使っています」との表示を始められたとのことですが、今後もしかしたら国でも動きがあるかもしれませんが、できれば柏崎市が国に要望し、できることなら率先して脱炭素電力を使っている、あるいは脱炭素化に取組んでいる企業に対する、例えば脱炭素電力の使用比率によって製品ランクを決める加点方式とか、色々な方法があると思います。脱炭素電力によって柏崎のものづくり産業が頑張っているという姿を、世の中に発信していくような取組も進めていただけたらと思います。

 

次の質問では、(2)行動変容につながる脱炭素の可視化 について伺います。

2035年脱炭素社会の実現を目指す本市では、「柏崎市地球温暖化対策実行計画」及び「柏崎市ゼロカーボンシティ推進方針」において、具体的なCO2削減目標を掲げています。

本年度は「(仮称)柏崎ゼロカーボンシティ推進戦略」策定を目指し、先般、市民3,000人を対象に、地球温暖化対策に関するアンケート調査を実施しています。私にも調査票が届き、回答しましたが、地球温暖化対策には脱炭素行動が必要だと感じる内容でした。

「柏崎市地球温暖化対策実行計画」においても、平成25(2013)年度を基準年度としてCO2排出量を定め、令和7(2025)年度には-20%、令和12(2030)年度には-46%、令和17(2035)年度には実質ゼロを目指すとしています。

脱炭素社会実現のためには、市民・事業者それぞれの主体的な行動変容が必要であり、そのためには、本市が進める脱炭素施策の効果を、可視化・見える化することが有効だと考えます。

具体的には、本市の太陽光発電所の稼働によって、どの程度のCO2が削減されているかをグラフ等で市のHPに表示することや、事業者に対して、ECO2プロジェクトの対象となる取組のCO2削減効果を診断し、さらなる加点につなげるといった方法もあると思います。

更に、市民の行動変容を促すツールとして、脱炭素行動変容アプリ「SPOBY(スポビー)」があり、入間市が脱炭素型ライフスタイル促進事業に活用している他、仙台市や兵庫県高砂市においても利用されています。

SPOBYは人の移動を主とする行動変容における脱炭素量を計測する他、ユーザーの健康増進を目的とした活動量の底上げも実現しています。また、自治体サービスでは個人情報を保護した上で市民の人流解析が可能で定量データによる人々の行動変容を測定し、健康、環境、都市整備の実証データとして活用が可能とのことです。

本市においても、市民の健康増進と併せて脱炭素に向けた行動変容を促すために、こうしたアプリの活用も検討してはどうかと考えます。

そこで質問です。脱炭素社会実現に向けた施策のCO2削減量を可視化することで、市民や事業者の行動変容につなげてはどうかと考えますが、見解をお聞かせください。

市長

市民の皆さんや事業者の行動変容を促すことは重要ですので、脱炭素に向けた取り組みを可視化することは効果的であろうと考えております。温室効果ガス排出量の削減につきましては、個々の施策の効果や取り組みは大きなものではありませんが、地球温暖化を意識した行動には必ず効果があると感じていただくことで、市民の皆さんや事業者の行動変容につなげていきたいと考えております。

具体的には現在検討を進めております柏崎市ゼロカーボンシティ推進戦略につきましては、これらの考えに基づいた施策を展開できるよう、委託業者とともに内容構築を図っております。アンケート調査により、市民の皆さんや事業者の地球温暖化に対する意識を確認し、カーボンフリーの価値が高まった時代に適した施策とあわせ、効果を可視化する、ご紹介いただきましたSPOBYや県の「にいがたゼロチャレアプリ」等の取組を参考に、行動変容に向けた有効手段についての検討を進めてまいります。

先日フランス大使館に行ってまいりました。そして、そこで原子力専門の参事官からご紹介いただいたのは、エレクトリシティマップ ELECTRICITY MAPS というものです。つまり、いま現在、電力をつくることによってCO2を何g出しているかというのが国ごと、日本の中では地域ごとに分かれて出ています。いちばん少なかったのは九州電力です。九州電力は原子力発電所が動いています。太陽光発電がかなりあります。それがリアルタイムに出ており、東北電力管内も含めて原子力発電所が動いていないこともあり、柏崎は残念ながらかなりCO2排出量が高くなっています。

こういうことを含めて、今ご指摘いただきましたように、可視化・見える化は非常に重要なことだと考えるところであります。

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近藤

今ほど ELECTRICITY MAPSについて伺いまして、非常に興味深いものですので、私も後ほど確認させていただきます。

「一人の百歩より百人の一歩」という言葉がありますけれど、こちらはCO2の削減にも当てはまると思います。市民の行動、事業者の取組の積み重ねが、脱炭素社会の実現につながると思います。そのためにもぜひ可視化・見える化を、行動や取組が持続可能なものとなるよう、施策の一環として進めていただきたいと思います。

 

2023年8月28日 (月)

令和5年9月一般質問 通告

9月定例会議が始まります。
先日、一般質問を通告しました。

議会での発言は全て議長(委員会では委員長)の許可を得て行うというルールがあるため、一般質問を行う場合は、事前に要旨と質問事項をまとめた「通告書」を議長宛に提出します。

通告書が受理されると、質問内容に応じて答弁書を作成する部課に割り振られ、その後は議員に対する聞き取り(ヒアリング)が行われます。

質問内容は同じ会派内では重複しないよう調整しますが、他の会派とは調整しないので、複数の議員が同じ質問を行うケースも少なくありません。

そうなると、先に質問した議員に対して回答が示され、後になればなるほど質問しにくくなります。

また質問は原則として受理された順になりますが、同一会派を連続させないよう調整されます。

私が属するのは9人会派なので、2番目以降に提出した場合は何番目になるかわかりません。

そのため、私自身はできるだけ早く提出するようにしています。

今回の登壇は9月8日(金)10時~となります。

1 持続可能な「脱炭素のまち柏崎」を目指して

(1)脱炭素の推進と産業イノベーション
 ア 太陽光発電事業の検証と展望
 イ 製造業における脱炭素化の推進

(2)行動変容につながる脱炭素の可視化

(3)ALPS処理水を巡る側面支援

2 地域課題の解決と高校生の活躍

(1)高校生の進学状況と地元回帰に向けた取組

(2)介護・福祉分野と連動した高校生支援

(3)防災分野における高校生の活躍

3 高齢者にやさしいDX時代の対応

 

さて、ALPS処理水について一般質問で取り上げるのは2回目となります。

(1回目は 令和3年6月一般質問「福島復興を進めるために」

ALPS処理水とは、福島第一原子力発電所の廃炉作業で生じた放射性物質を含む水を、多核種除去装置(ALPS)を用いて浄化した水のことです。

ALPSにより大半の放射性物質(セシウム、ストロンチウム等)を安全基準を満たすまで取り除けますが、トリチウムだけは残ります。

トリチウムは自然界に広く存在し、人体への影響は極めて低いとの研究結果も出ており、世界中の原子力関連施設から、すでにトリチウムを含む水は放出されてきました。

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処分方法への否定的な意見では、「一般の原子力発電所から放出される水と異なり、事故を起こした福島第一原子力発電所(1F)から排出される水は放射性物質を大量に含んでいる。だから海洋放出は認めるべきではない。」という論調も見受けられます。

もちろん1F廃炉作業で出される原液を比較したら放射性物質を大量に含みます。だからこそALPSによって放射性物質を取り除くという過程を踏んでいるわけです。

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今年7月4日、国際原子力機関IAEAがALPS処理水の海洋放出について、国際安全基準に合致していること等を結論付ける包括報告書を公表しました。(経済産業省)

岸田首相は漁業関係者との信頼構築を築くため対話を重ねてきました。

岸田首相、処理水放出「安全に完遂する」…全漁会長に理解求める(読売新聞2023.8.21)

しかし、8月24日から開始したALPS処理水の海洋放出を受け、中国は日本の水産物を全面的に輸入禁止とし、次いで販売禁止とする措置を打ち出しました。(共同通信社)

その一方で、

福島県沖のトリチウム“全地点で検出下限の濃度下回る”環境省(NHKニュース)

処理水放出後、周辺海域の魚からトリチウム「不検出」…水産庁が検査結果を発表(読売新聞)

といった検査結果についても報じられています。

海洋放出開始については、「漁業関係者の理解がどこまで得られたのか」との声もあり、見切り発車的な面もあるのかもしれません。

ただ報道の仕方もあるのでしょうし、もし仮に海洋放出を延期・中止すれば、中国の圧力に屈したことになります。

廃炉作業の遅延により福島復興は遠ざかり、日本は食糧安全保障の面でも、ますます追い詰められるのではないでしょうか。

現時点では漁業者への最大限の支援と国内での理解促進に注力すべきであり、この点はマスコミの皆さんにもぜひご協力いただきたいです。

日本が今後、取るべき道は

〇科学的根拠に基づく風評被害の払拭

〇日本の水産物の国内消費拡大と新たな販路開拓

だと思います。

民間でも風評被害払拭と漁業者支援に向けた動きが見られます。素晴らしい取り組みに敬意を表します。

ALPS処理水放出開始に伴い、食べチョクが漁業者向けサポートを開始(PRTIMES)

柏崎市においても、柏崎刈羽原子力発電所から出されるトリチウムを含む水が、海洋放出されてきました。
その海で私達は泳ぎ、地元の海産物を食べて過ごしてきた歴史があります。

海洋国家・日本そして「海の柏崎」の一員として、また福島と同じく東京電力HD(株)が所有する原子力発電所立地自治体の議員として、矜持を持って質問に臨みたいと思います。

2023年8月11日 (金)

総務常任委員会 調査研究「持続可能な地域公共交通」

柏崎市議会では、3つの常任委員会(総務・文教厚生・産業建設)でそれぞれテーマを決めて調査研究を行い、来年12月定例会議に提言書としてまとめる予定です。

私が所属する「総務常任委員会」では、【持続可能な地域公共交通】について調査・研究することになりました。

《テーマ選定理由》

柏崎市では人口減少に伴い路線バス等の利用者減少が続き、それに伴う減便が利便性の低下を招き、ますます利用者数が減少する「負のスパイラル」に陥っている。また本市と市外を結ぶ鉄道路線(信越線、越後線)も存続の危機に直面している。

背景には少子高齢化による運転士不足もあり、地域公共交通に係る財政負担額は膨大であるものの、運行維持は極めて困難な状況にある。

こうした難局に対応し、市民の生活の足を守るため、本市では「柏崎市地域公共交通計画」を策定した。令和4(2022)年度には地域内交通の運行形態見直しを行い、令和5(2023)年11月下旬からはAI オンデマンドシステムを導入するなど、計画に沿って「新交通システム+郊外地域交通ネットワークの構築」を進めている。

また、柏崎市第五次総合計画の主要施策「持続可能な公共交通ネットワークを構築する」では、柏崎市地域公共交通計画に基づき、市民ニーズに対応した運行の改善、バス路線の縮小に伴う代替交通や多様な輸送手段の確保に向けた取組を進めるとしている。

以上を踏まえ、総務常任委員会では、「持続可能な地域公共交通」を令和6年12月までの調査・研究テーマとし、以下3項目を検討課題とする。

1 市民ニーズを反映した利用促進と利便性の向上   
2 新交通システムの効率的な運用  
3 運転士確保・育成支援

 

委員会では、次年度12月までのロードマップを決めて、少しずつ取組みはじめています。

11月23日(木・祝日)14時~の柏崎市議会意見交換会においても、本テーマに沿って市民の皆様からご意見をいただく予定です。

ところで、11月下旬からはAI新交通あいくるがスタートします。

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今年度の地域懇談会でも話題になっていました。

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運行範囲は【中央】、【比角】、【大洲】、【鯨波】、【剣野】、【枇杷島】、【半田】、【田尻】、【北鯖石】、【西中通】、【松波】、【荒浜】地区・・いわゆる都市計画区域が対象となります。

現行の路線バスよりも多数の乗降ポイント(約400か所)を設けて、電話またはスマートフォンアプリで自分が乗降したい場所の予約を入れるそうです。

運行日時は月~金の9:00~15:30(祝日・年末年始などを除く)であり、11月下旬から運行開始とのことです。

以上の情報は広報かしわざき、および地域懇談会で伝えられたものです。

AI新交通の導入により、既存の路線バスの運行がどうなるのか(減便や廃止もあるのか)、またそれによって地域公共交通維持のための予算がどう変わるのか等、議会としても確認すべき点は多々あります。

また、メインターゲットとなる高齢者が混乱なく利用できるのか、ということも注視が必要です。

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もう一点、今年度の西山中学校区の地域懇談会では、「西山町地域内交通にしやま号 」のことが話題になりました。

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こちらは昨年度の再編によって「オンデマンド制」を導入し、電話によって自宅前まで送迎可能なドアツードア方式です。

運行は火・水・金、6便に分けて運行されます。

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ただし、乗車率が5%に達しない場合は、各コミセンから「地域協力金」を徴収することになっています。

地域懇談会では運行範囲拡大の要望に対し、市長からは「年間1,200万円かけて運行しながら、昨年度の収益は約46万円だった。これ以上の拡充は見込めない。」との回答でした。

 

ですが、高齢者が多い西山町地域で乗車率が上がらないのは、「今のシステムではニーズを満たせない」、「利用に対するためらいがある」等の理由があると考えられます。

その点も含めて検証し、具体的な改善につなげていければと思います。

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「乗って残そう 公共交通」というフレーズがありますが、「乗って守ろう」という強い意思を持って、利用促進と利便性向上をセットで進める必要があります。

負のスパイラルを脱却し、「持続可能な地域公共交通」を目指して、調査・研究を進めて行きたいと思います。

 

2023年8月10日 (木)

中越地区市議会合同議員研修会

8月10日は令和5年度 中越地区市議会合同研修会でした。

(研修会:長岡リリックホール/意見交換会:長岡ベルナール)

開催市である長岡市議会・加藤議長ご挨拶の後、磯田長岡市長からは「行政における生成AI活用」についての説明が盛り込まれたご挨拶をいただきました。

次いで、長岡市議会議長からは

「長岡市議会における大規模災害時の取組」

についての事例発表がありました。

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そして、記念講演としては、中越市民防災安全士会・岸会長から

中越地震の教訓をかたちにする「地域の防災リーダー育成をめざして」

として、長岡市における「安全士会」の活動について伺いました。

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柏崎市議会においても「柏崎市議会災害時行動マニュアル」が定められています。

また、地域の自主防災会のリーダー役を担えるよう、市として防災士を養成していますが、資格取得後の活動機会がない、という人も少なくないようです。

長岡市においては、安全士会として組織化することで、行政と連携した地域防災を進めていることがわかり、勉強になりました。

後半は意見交換会(懇親会)であり、アフターコロナに相応しい盛会な会となりました。

2023年7月31日 (月)

「鯨波・西長鳥太陽光発電所」完成見学会

7月31日は柏崎市が建設した鯨波・西長鳥太陽光発電所の見学会に参加しました。

この2か所のオフサイト型太陽光発電所は、遊休市有地を活用して、竹内電設・丸高建設特定共同企業体と柏崎市が昨年(令和4年)6月8日に契約を締結(6月21日に議会が可決)し、工事を進めてきたものです。

議第64号契約の締結について ( オフサイト型太陽光発電設備整備工事 )

当初の工期は令和5年3月15日まででしたが、施工土地の埋設物撤去や送配電線への系統接続の遅れにより、6月30日まで延長されました。

またそれに伴い、令和5年4月1日から柏崎市の地域エネルギー会社「柏崎あい・あーるエナジー(株)」が、太陽光発電した電気を買い取り、柏崎市内37か所の公共施設に電力販売を行う予定も延期になりました。

令和5年5月1日からは柏崎あい・あーるエナジー(株)と契約し、株主であるパシフィックパワーを通して電力市場から調達し、市内公共施設に電力供給していましたが、8月1日以降はようやく、2か所の太陽光発電所がつくる電気を使えるようになったのです。

それぞれの発電所では櫻井市長から、紆余曲折を経てようやく完成したこと、設備整備には国の補助金を活用していること、脱炭素のまち柏崎を実現するための大きな前進であることが告げられました。

柏崎×柏崎あいあーるエナジー 脱炭素のまちを目指してpdf

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次いで柄澤議長、地元町内会長による祝辞、そして施工事業者である竹内電設・丸高建設特定共同企業体の代表から、本工事が両者にとって新たなチャレンジであり、今日に至るまでの苦労の大きさと、完成の喜びが伝わるご挨拶をいただきました。本当にお疲れ様でした。そして、ありがとうございました。

また、柏崎市がふるさと納税寄付金を活用した「しゃっこい水」のミスト発生機が、現場の暑さを和らげていました。

【7/5報道発表】自慢の「しゃっこい水」をミストにして「涼」を届けます

2か所の概要は以下のようになります。

1 鯨波太陽光発電所 

●旧かしわ荘跡地に設置

●両面パネルを採用(表裏で発電)

●太陽電池モジュール出力631.1kW 

●蓄電池1,505kwh

●パワーコンディショナ650kw

●白い防草シートにより発電効率10~15%増

●塩害、強風対策を施したパネル、架台、蓄電池コンテナ

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2 西長鳥太陽光発電所 

●旧北条北小学校跡地に設置

●両面パネルを採用(表裏で発電)

●太陽電池モジュール 出力973.37kw

●パワーコンディショナ 900kw

(蓄電池なし)

●雪害を考慮した背の高い架台(積雪2.5mに対応)、パネル下を排泄スペースとして活用

●白い防草シートにより発電効率20~25%増

●地面に傾斜をつけ、雨水が外に流れる構造

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さて、私自身は地域エネルギー会社「柏崎あい・あーるエナジー(株)」については、何度も一般質問で取り上げてきました。

令和3年9月一般質問「1,脱炭素のまち・柏崎の災害レジリエンス」

令和4年6月一般質問「1,地域エネルギー会社がもたらす市民福祉の向上」

令和4年12月一般質問「3『脱炭素のまち・柏崎市』実現に向けた戦略と取組」

令和5年3月一般質問1「災害停電にどう備えるか」

令和5年6月一般質問「1『脱炭素のまち柏崎』のエネルギーミックス推進

2か所の太陽光発電所は、当時の国補助金の制度設計が自己託送(遠隔地にある自社発電所で発電された電気を、送配電ネットワークを通じて、自社設備に送電する仕組みのこと)にしか使えず、【設備は市が所有し、市の施設に電力供給する】という形態となっています。

ですが、今年度から新たに第三セクターによる売電であっても国の補助金を使えるようになり、今後は柏崎あい・あーるエナジー(株)が設備を所有し、民間事業者等にも売電していく方向性が示されています。

地元町内会長からは、「いつかは市民、地元の人達も、柏崎あい・あーるエナジー(株)がつくる(再生可能エネルギーによる)電気を使える日が来るよう願っている。」とのお言葉がありました。

柏崎あい・あーるエナジー(株)が、市民の皆様にとって有益な地域エネルギー会社となるよう、引き続き注視し、質問していきたいと思います。

2023年7月16日 (日)

災害から守ろう 命と健康

7月16日、二田地区コミュニティ振興協議会の防災研修に防災士として参加しました。

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前半は特定非営利活動法人 地域活動サポートセンター柏崎の防災士・渡邉浩二さんから、「災害発生時の対応」として、原子力災害時の避難について伺いました。

渡邉さんはご自身が福島第1原子力発電所事故による避難者であり、災害発生時から柏崎に避難されるまでの間、どのような場面に遭遇したのか、またどうやって直面する問題に対応したのか等、お話しいただきました。非常に胸に迫る内容でした。

私からは「災害から守ろう 命と健康」と題して、災害関連死の問題や、災害時のTKB(トイレ・食事・就寝環境)等についてお話しさせていただきました。

災害発生時には無事であっても、その後の被災者としての生活の中で健康を害し、命を落とすケースが少なくありません。

(2016年の熊本地震で亡くなられたうち約8割が災害関連死によるものでした)

また、災害時は、危機的な状況に直面しながらも「まだ大丈夫」と思い込む心理=正常性バイアスが働き、身を守る行動を取るのが遅れることも多々あります。

災害は日常と隣合わせであり、物心両面から常に備えておくことが必要だと、自分自身も再確認する機会となりました。

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柏崎市防災・原子力課からは、原子力災害時の具体的な避難行動について説明がありました。

中越沖地震から16周年、防災・減災に対する考え方は日々変化しています。

災害が発生しても誰もが生き延び、再起できる社会を目指して、精進したいと思います。

 

 

2023年7月 7日 (金)

全国地方議会サミット2023 

7月5,6日、全国地方議会サミット2023 に参加しました。

1日目(7月5日)

【基調講演】
◆北川 正恭 早稲田大学名誉教授、元三重県知事
「激変する時代に対応する議会を実装せよ」

地方政策や地方議会改革が国政に波及することもあり、「地方から国を変える」ためにも切磋琢磨して各地方議会が政策実現力を高めることが重要だと理解しました。

【特別講演】
◆河野 太郎 デジタル大臣
「デジタルで変わる社会 地方と議会への期待」

「デジタル化推進の目的は人と人が寄り添う温かい社会の実現である」との言葉が印象的であり、デジタル導入を目的化しないよう留意しなければならないと感じました。

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セッション「デジタルで変わる自治体・政策」

◆佐藤 泰格 都城市総合政策部デジタル統括課
「マイナンバーカード交付率9割超え 都城市のデジタル戦略」

◆寒川 孝之 横須賀市デジタル・ガバメント推進室
「ChatGPT自治体活用実証 横須賀市のデジタル戦略」

◆森 いづみ 県立長野図書館長
「全国初 県内全77市町村との協働電子図書館『デジとしょ信州』」

◆林 剛史 株式会社メディアドゥ 電子図書館推進センター
「デジタル図書館とアクセシブルライブラリー」

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 マイナンバーカード普及による利便性向上、生成AIを自治体業務に活用する事例(アンケート文面作成等)が紹介されました。全てをデジタルに置き換えるのではなく、人がやるべきこと=アナログと、デジタルによって利便性・効率性が高まることの整理が重要だと感じました。また、長野県と市町村の協働電子図書館の取組は、公共図書館空白地域の住民や、視覚に障害がある方々に対する情報格差解消策として参考にしたいと思います。

*セッション「オンラインとデジタルを活かす」

◆河村 和徳 東北大学大学院准教授 都道府県議会デジタル化専門委員会座長
「議会デジタル化の必要性 ChatGPTなどの生成系AIとどう向き合うか」

◆金澤 克仁 取手市議会議長
「デジタル・オンライン活用最前線 AI 活用による議会の視覚化と市民参画」

◆財前 貴玄 Gcomホールディングス まちだん担当
「デジタルで変わる市民と議会 まちだん宮崎市議会DX実証実験より」

 議会全体がデジタル化の必要性を共有するためには、「効率化」を前面に出すのでなく、災害対応や多様な市民との意見交換のためのツールとして、「危機に強い議会」「開かれた議会」を目標とすることが重要だと理解しました。また、アナログとデジタルを併用するハイブリッド型の意見交換会や視察を、柏崎市議会においても検討すべきと感じました。

*セッション「デジタルが拓くあたらしい民主主義」

◆中村 健 早稲田大学マニフェスト研究所事務局長
「Society5.0時代のあたらしい民主主義」

◆五十嵐 立青 つくば市長
「つくば市が取り組む選挙DX インターネット投票実証実験より」

◆山本 直也 芽室町選挙管理委員会事務局書記長
「選挙後(無投票選挙)も選挙公報を有権者へ届ける取組」

◆川久保 皆実 つくば市議会議員
「新しいスタイルの選挙運動を全国に!『 選挙チェンジチャレンジの会 』 の取組」

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 公職選挙に係るデジタルツールを、投票所に行くのが難しい高齢者等を対象とし、有権者誰もが選挙権を行使できる手段として捉えているのが印象的でした。また全国的に地方議員の成り手不足が課題となっている中、従来とは異なる選挙手法で多様な候補者を募る「選挙チェンジチャレンジの会」の取り組みは、地方政治における新たな価値観の創造につながると感じました。

2日目(7月6日)

*鼎談「地方分権の20年とこれからの10年を展望する」

◆北川 正恭 早稲田大学名誉教授 元三重県知事

◆片山 善博 大正大学教授 元総務大臣

◆廣瀬 克哉 法政大学総長

片山善博先生の講話で、知事時代は議会と是々非々で対峙し、議案の修正・否決も少なからずあったが、住民の意思が反映された結果として受け止めた・・とのお話が印象的でした。二元代表制の本質を理解し、住民の代表・負託を受けている自覚を持って、議会活動に臨むことが必要だとあらためて実感しました。

*セッション「政策議会の一般質問」

◆土山 希美枝 法政大学教授

◆西原 浩 別海町議会議長

◆青野 敏 鷹栖町議会議員

◆片山 兵衛 鷹栖町議会議員

<チーム議会>として一般質問を議会全体で共有し、行政に対して提案することで、政策実現を目指す議会の事例が紹介されました。一般質問の通告前に検討会を行い、それぞれブラッシュアップして「議会としての一般質問」に臨み、議員個々のスキルアップ、議会の活性化につながっているそうです。背景には「議員の成り手不足」があり、住民からの意見聴取を政策に反映し、議会の活性化をはかった結果、住民の間でも議会への関心度が高まり、「16年ぶりに選挙が行われた(候補者が現れた)」という事例も紹介されました。

 一般質問に対する捉え方は議員個々で異なるため、柏崎市議会において同様に行うのは現時点では難しいと感じますが、一般質問の重複が多々あることから、通告前に会派を超えて論点を整理してもよいのではないかと思います。

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*セッション「自治体監査と議選監査委員を活かす」

◆江藤 俊昭 大正大学教授
「政策サイクルと政策財務」

◆川上 文浩 可児市議会議員 議選監査委員
「議選監査委員の活かし方 行政のかかりつけ医」

◆谷川 宏 鎌倉市監査委員事務局長 前議会事務局議事調査課長
「監査委員事務局との連携 自治体監査・議選監査の活かし方」

◆子籠 敏人 あきる野市議会議員 議選監査委員
「議選監査委員を活かす」

議選の監査委員は、特に決算審査においては「何も言えない」とされていますが、議員という属性を生かして、監査委員による詳細な現場確認により、市政の改善を図る事例が紹介されました。また議会と監査委員との意見交換会や勉強会の機会を持ち、行政の現状や課題について理解を深めることも可能とのことです。前例踏襲主義に陥ることなく、議選監査委員の存在を議会の強みとできるような働きかけが重要と感じました。

*セッション「政策につよい議会をつくる」

◆菅原 由和 奥州市議会議長
「政策決議提案とガイドライン」

◆清水 克士 前大津市議会局長、早稲田大学マニフェスト研究所招聘研究員
「大学連携とミッションロードマップによる政策立案」

◆津軽石 昭彦 関東学院大学教授
「議会における政策づくりと政策法務」

 議会として政策立案に向けた具体的な事例報告を受けました。また現状に合わない首長提案の条例の改正や条例案の修正も議会の役割であることから、議会事務局の法務は重要であることも学びました。柏崎市議会においても、3常任委員会で提言に向けた調査・研究を進めていますが、これらの事例を参考に、仕組みづくりや体制強化ができると良いと思います。

宣言・総括

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2日間の登壇者は26人というボリュームで、非常に内容の濃い研修会でした。

「地方から国を変える」との気概を持って、住民の声を政策に反映させる努力を重ねていくことが大切なのだと感じるサミットでした。

今後の議員・議会活動に活かせるよう、精進したいと思います。

 

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