令和6年12月定例会議スタート
令和6年12月定例会議が始まりました。
冒頭に11月17日の柏崎市長選挙で再選された櫻井雅浩市長による3期目の所信表明演説がありました。
所信表明
柏崎市長 櫻井雅浩
はじめに
改めまして、今般、第10代柏崎市長として3期目を担うこととなりました櫻井雅浩であります。
「強く やさしい柏崎」をつくり上げるために、渾身の力を注ぐ覚悟でございます。市民の皆様、議員の皆様におかれましては、何とぞよろしくお願いいたします。
8年前の所信表明
イギリスのEUからの離脱、トランプ氏の大統領就任。私は驚きとともに不安をも記しました。英語 deregulation という言葉を「規制撤廃」ではなく、「規制緩和」と訳したこと、また「公益企業」という言葉が日本を象徴する、と紹介いたしました。
既にこの時、「東電の体質」という言葉を使いました。福島事故は東京電力ホールディングス株式会社の責任であり、同時に国、その国、政府を認めてきた、私を含む国民一人一人があの事故の責任を負うべきだ、と申し上げました。規制撤廃ではなく規制緩和、公益企業という名のもとにその存在を許し、安住してきた私たち国民一人一人の意識に原因があるように思える、と申し上げました。
実質的なもの、量から質の時代に、物質的な豊かさを求める時代から、精神的な豊かさを求める時代に変わってきていること、人材の育成、教育に特に注力する、と申し上げました。人口減に関しても厳しい認識を申し上げ、U・Iターン、個別に直接呼びかけ、泥臭く働きかけ、二世帯住宅を促進し、若い世代の定住、子育て支援施策でアピールしていく、と申し上げました。
市政を支えるのは財政であり、経済であり、人口減時代を見据えた財政運営を目指し、新たな財源の確保に努め、歳出においては身の丈を意識し、しかし、時に集中的な投資も必要だと考え、「お金をかけて一点突破、全面展開」と申し上げました。ふるさと納税においては当時の約2倍、1億円を目指すと申し上げました。
原子力発電については廃炉の時代がやってくること、廃炉産業を「安心創出産業」と位置付けることを申し上げました。首都圏につながる送電線を今後も有効に使い、原子力発電にこだわらない新たな電力の創出、移出基地として機能させ得る方策を東京電力ホールディングス株式会社とともに見出してまいります、と申し上げました。
東京電力ホールディングス株式会社柏崎刈羽原子力発電所6号機、7号機の再稼働に関しましては国の原子力規制委員会の審査を経て、私自身が国及び東京電力ホールディングス株式会社に対し、条件を付し、それに対する答えと一定の方向性が見出されたとき、再稼働を認めるつもりである、と申し上げました。
再稼働論議とは離れて、新潟県に対しては、当時できていなかった避難計画の早期策定を求めると申しました。避難計画の実効性を高めるために、道路の改良、新設、除雪体制の整備においても、国が前面に立つ姿勢が求められることを指摘し、また、使用済核燃料の保管が続く中、より一層の安全・安心を求め、使用済核燃料税の経年累進課税化を目指す、と申し上げたのであります。
実現したものもあり、いまだその方向性さえ見えないものもあります。何が作用し、物事が動き、何がとどまらせ、なぜ理不尽、不合理な理由で物事が停滞するのか。
8年後、そしてエネルギー
柏崎市長職を担わせていただいたこの8年間、世界は大きく動いております。戦争、新型コロナウイルス感染症によるパンデミック、ますます気候変動、地球温暖化は進展し、世界中、日本中で災害が起こり、尊い多くの人命が奪われました。拉致問題の完全解決は全く進展していません。自分の非力を含めもどかしさ、いたたまれなさ、むなしさ、憤りさえ感じるところであります。
私が今、柏崎市長の座におりますが、原子力発電所を誘致された第5代市長小林治助市長、当時の助役今井哲夫第6代市長、当時の議長飯塚正第7代市長以降、55年にわたって柏崎市は賛成、反対、真剣に文字どおり身を削りながら議論してきたわけであります。この誘致以来の歴史、議事録、資料を今、柏崎市議会の皆様がデジタルアーカイブスにしたいという動きを承知しております。私ども柏崎市の国、東京電力に対する要望は、思い出したように始まったここ一年、二年の議論とは全く別物なのです。
そして、賛成する立場の方々も反対する立場の方々も自分の地域、柏崎のことだけを考え、豊かになること、安心を求めて議論を展開してきたわけではありません。国の経済の成り立ち、環境問題、エネルギーセキュリティなども含め議論してきたのです。
脱炭素時代。今年夏、新潟産業大学附属高等学校野球部が夏の甲子園に初出場し、初勝利、私たち柏崎市民に大きな感動を与えてくれました。その甲子園球場は、先月11月、施設運営に当たり、全ての電源を再生可能エネルギーによるものとすると発表いたしました。柏崎にあるリチウムイオン電池工場も水力発電による電源を使っていることは周知の事実であります。世界のキーワードは、脱炭素であります。
柏崎のみならず、新潟県のみならず、日本のみならず、世界中で異常気象、気候変動、地球温暖化、激甚災害、豪雨災害、土砂災害、スーパー台風、ハリケーンが多くの人命を奪っています。
脱炭素時代。太陽光、風力、水力、地熱、水素、蓄電池の利活用に加え、原子力発電の利活用は当面の間必要なものであると考え、市政に当たってまいりました。
昨年、38度の夏、35度の今年を経て、今、なおさらにいわゆる再生可能エネルギーと原子力発電の両立が必然的なものであると確信しております。
再生可能エネルギーにも原子力発電にもそれぞれプラスマイナスがあります。私が長年申し上げてまいりましたのは現実と理想のバランスであります。言い換えれば、「強さとやさしさ」であります。
以前より「細い道を行く」、と申し上げてまいりました。市民の皆様へのアンケートでも、また今回の市長選挙においても明らかなように原子力発電絶対反対、即時廃炉という選択をされる方々は約20%いらっしゃいます。それ以外、つまり制限的な原子力発電利活用と再生可能エネルギーの利活用のバランスは現実的であり、理想に近づく確実な道筋であると考える方、約60%~80%の皆様が選択された道であります。細い道ではなく、広い道でありました。
科学的、技術的な安全を国に確保してもらい、事業者には安心を醸成してもらわなければなりません。私は基礎自治体の長として、国に対しても、事業者に対しても率直な意見を申し上げる中で、市民の安全や安心をより高いレベルに導くよう心掛けてまいりました。今年春の「原子力発電所再稼働」をめぐる「地域懇談会」でも御理解いただけたと思いますが、私は今後も意見が異なる方々との対話を厭いません。
約束11イレブン
少子化、人口減少の中にあって、今回の選挙にあたって掲げた公約、「約束11イレブン」を確実に実行し、市民の皆様の安全、安心、豊かさをより大きなものとしてまいります。
1 医療体制を守ります・さらに充実させます。
柏崎の救急医療、地域医療の多くを担う柏崎総合医療センターを必ず守ります。柏崎で唯一赤ちゃんを産むことができる環境を守ります。
2 国の法律に基づき、厳しい安全規制をクリアした原子力発電所の再稼働を認め、同時に再生可能エネルギ―の利活用をさらに進めます。脱炭素エネルギー供給地として誇りを持ち、まちづくりを力強く進めてまいります。
3 「モノづくりにおける脱炭素」日本のトップランナーになります。柏崎の基幹産業を全面的に支援いたします。
エネルギー分野においては、石油、原子力の時代の重要性を再認識し、そこにとどまりません。柏崎あい・あーるエナジー株式会社は柏崎市所有分を合わせ、太陽光、蓄電池で安定的な発電、供給を目指します。その能力は今後3年で、7,280kw、37,500kwhとなり、基礎自治体が関連するものの中では日本一になります。
2030年代までに北海道、青森、秋田、村上市、胎内市沖などの日本海側洋上風力にて発電された電力200万キロワットを海底直流送電するという計画が動いております。最終的には800万キロワットも視野に入れた国家プロジェクトであります。5年前に手を挙げた柏崎での揚陸も既に調査が行われ、歩みを進めています。
来年、令和7(2025)年夏には株式会社INPEXが市内平井の地において水素発電を始め、アンモニア製造を始めます。さらなる事業の拡大が期待されるところであります。
また、高浜地区及び西山町地区で民間事業者により予定されている陸上風力発電も全国でも指折りの規模となると聞き及んでおります。
重要な脱炭素電力として世界的にも認定されている原子力発電所の電力も直接の供給、権利としての供給などを含め、私たち地元立地点も使えるような仕組みづくりを構築してまいります。
太陽光、風力、水力、水素、蓄電池、原子力。それぞれ他地域よりも安価に、安定的な供給がなされるよう知恵を絞り、全力で取り組んでまいります。
結果、今後、脱炭素電力の奪い合いさえ予見される中、モノづくりにおいて、その性能や独自性とともに「脱炭素電力による製造」は付加価値を高めるものとなります。100年近く柏崎の製造業を牽引して頂いてきた株式会社リケンの水素エンジンへの取り組みにも期待するところであります。柏崎の基幹産業であるモノづくり産業、製造業において「脱炭素電力によるモノづくり」「環境にやさしいモノづくり」、柏崎は日本のトップランナーになってまいります。
4 子どもの産みやすい、育てやすい柏崎をさらに進めます。
妊娠、出産、保育、教育、保護者とともに地域で子どもたちを育んでまいります。
5 農業、漁業、林業、その営みは私たちの命を支える基本です。
柏崎の美味しいお米、魚、野菜などをPRし、ブランド力、収益率のアップを目指し、観光業とも連携いたします。「美味しい柏崎」を実現させます。JAえちご中越、新潟漁業協同組合柏崎支所、柏崎地域森林組合、柏崎木材協会のさらなる挑戦を応援いたします。
一次産業が頑張っています。農業においては、新米の香りをいち早く消費者へお届けできる超早場米の「葉月みのり」、コシヒカリのトップブランド「米山プリンセス」は食味値85点以上という数値化されたおいしさを多くの皆様から信頼されるようになってまいりました。お米のみならず、枝豆は「まだ足りない」というお声をいただくまでに成長し、ますます収益性の高い園芸産物として栽培を支援してまいります。玉ねぎ、カリフラワー、ブロッコリーなども同様です。JAえちご中越との連携をますます進めてまいります。
漁業においては、新潟漁業協同組合柏崎支所が積極的です。柏崎のお魚のおいしさを市内外にお届けしようと、アラのブランド化などに取り組んでおり、これまで以上に観光事業者、飲食事業者と連携し、「美味しい柏崎」を実践してまいります。
林業においては、今般、柏崎港開港以来初めて柏崎産材を輸出できることとなりました。柏崎地域森林組合の皆様の活躍は多くのメディアに取り上げられ、女性を含む若手人材の確保と育成は森林環境譲与税の使い道として高く評価されておるところであります。また、柏崎木材協会とも連携し、柏崎ショッピングモール フォンジェ内のキッズマジックのリニューアルにも柏崎産材を使わせていただき、多くの子どもたちに木のぬくもりを感じてもらいたいと考えております。
紅葉シーズンのみならず、グリーンシーズン、お茶、料理、芸術展示などとの組合せで、松雲山荘、新道・秋幸苑(飯塚邸)、高柳町岡野町・貞観園の3つのお庭めぐりが好調であります。さらなるバリエーションの展開が期待されます。
観光は文字どおり、「光を観る」ことであります。柏崎各所の「光」をこれまで以上に発信し、市外、県外からのお客様に「美しい柏崎」「美味しい柏崎」をお楽しみいただけるよう、支援し、一般社団法人柏崎観光協会とも連携してまいります。
6 建設業は地元の安心を創り、災害時には私たちを守る重要な災害対応産業です。人材の育成、確保を力強く応援いたします。
7 元気なお年寄りを導き、高齢者福祉における人材確保に施策を講じます。男性の健康づくりに挑戦します。
8 「挑戦」を応援いたします。チャレンジド(障がいがある方)、若い方々、一般財団法人柏崎市スポーツ協会、柏崎文化協会などの新しい取り組みを応援いたします。
9 AI新交通「あいくる」の全市域での運行を目指します。
10 商工会議所、商工会と連携し、身近な買い物環境を守ります。
商圏の小さな柏崎において、柏崎から「打って出る」御商売も必要であると考えております。県内外での販売、またインターネットを使った御商売にも支援してまいりたいと考えております。
11 柏崎へ帰ろう!柏崎に行こう!U・Iターン者の就業、定着をさらに支援します。
といたしました。
約束11イレブンには入れませんでしたが、拉致問題の完全解決に向けた取り組みは関係者御家族の高齢化が進む中、国に対し確固たる姿勢を求め、基礎自治体としてできうる限りの支援をしてまいります。
また、新潟県による上越地域と県都新潟市を結ぶ高速鉄道網の整備構想に関して、信越本線をスキップして、ほくほく線を経由するような案も出されております。過日、県知事に対し、「理解しがたい」と直接申し上げたところであります。まずは、糸魚川、直江津、柿崎、柏崎、長岡、新潟を結ぶ新規特急電車又は現行「しらゆき」の柔軟な運用で利便性、速達性を向上させるべきであると申し上げているところであります。
結び
私は、今から20年前、初めての市長選挙で「少し変わる勇気」という言葉をつくり、キャッチフレーズとして掲げました。
近年、「保守、そして進取」と申し上げてまいりました。歴史、伝統を大切なものとし、新しいものに挑戦します。
ますます世の中は、世界は混沌とし、不確実性を極めています。
いよいよ困難な時代です。動きは早く、決定に猶予はありません。
私は率直な物言いをもって旨としてまいりました。不徳故相手方に不愉快な思いを与える場面も多かったと承知しております。私自身が一番よく理解しております。しかし、あえて申し上げます。私の不安や厳しい見通しを含め、ほとんど全て的を射るものであったとも考えております。
私は傲岸なピエロと呼ばれようとも、裸の王様と呼ばれようとも構いません。柏崎の現実を見つめ、理想を求めてまいります。どんな方とでも率直な意見交換をする、そして誰よりも柏崎を自らの足で歩く市長であったと言われ、この任を全うしたいと考えております。私が持つ全ての力と時間を我が柏崎に注ぎます。必ずや「強くやさしい柏崎」をつくってまいります。
市民の皆様、市民の皆様を代表する柏崎市議会の皆様の御指導と御理解、御協力を心よりお願い申し上げ、所信表明とさせていただきます。
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12月定例会議には以下の議案が提出されました。
このうち、柏崎駅前ホテルの解体・撤去工事の契約(公費解体)は
令和8(2026)年3月末を期限(契約書では令和7年度末を工事完了期限としているが、国の予算繰越が決定したら令和8年度末を期限とするよう契約変更する)とし、周辺への影響を抑え、安全対策を施した上で工事を実施する
ことを確認した上で、即日採決で可決されました。
尚、本契約は電子契約であり、柏崎市のDX推進の一端を示すかたちとなりました。
柏崎市の DX 推進度が人口同規模以下の自治体で全国 1 位に
本会議終了後は、総務常任委員協議会・作業部会があり、1年半かけて調査・研究に取り組んできた「持続可能な地域公共交通について」の政策提言案を協議しました。今後は議長、市長に提出することとなります。
午後からは議会運営委員会、広報広聴常任委員会でした。
本日は「市議会だより「ギカイのとびら」198号」の発行日でもありました。
色々とやることが山積していますが、体調を整えて頑張りたいと思います。
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